空き家を売却する方法は?流れ・費用・注意点を完全解説【専門家監修】

放置している空き家を売却したいけど、何から始めればいいのか、どうすればいいか分からない。そう感じている方は少なくありません。

空き家は持っているだけで税金や管理の負担がかかり続けるため、売却の判断が遅れるほど損が膨らみます。

また、管理が行き届かないまま放置すると、「特定空き家」に指定されて固定資産税が跳ね上がったり、建物の倒壊や火災で近隣に損害を与えて所有者が損害賠償責任を負ったりするリスクもあります。

空き家の売却方法は1つではありません。建物の状態・立地・売却を急いでいるかどうかによって、最適な選択肢は変わります。

この記事の監修者

株式会社AlbaLink(アルバリンク)

空き家や共有持分、再建築不可物件、事故物件、ゴミ屋敷など、売れにくい不動産の買取を専門とする不動産会社。

豊富な実務知見をもとに、当記事の監修・作成協力を行っています。

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目次

空き家を売却する方法は主に5つ!自分に合った売り方を選ぼう

空き家を売却する5つの方法

空き家の売却方法は、大きく分けて5つあります。

どの方法が合うかは、立地・建物の状態・売却をどれだけ急ぐかの3つで判断できます。

立地の需要が高く・建物の状態が良く・売却まで待てる時間があるなら仲介向き、どれかが欠けるほど買取が現実的になります。

ここでは5つの方法について、それぞれのメリットと、見落とされがちな手間や費用、リスクをあわせて解説します。

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空き家の売却方法価格の決まり方売れるまでの期間主な費用向いている空き家注意事項
現状のまま仲介買い手との交渉で決まる※1数か月~年単位仲介手数料現状でも状態が良い、需要のある立地–
リフォームして仲介工事費を回収できるかは需要次第数か月~年単位(工事期間を含む)リフォーム費、仲介手数料手を加えれば価値が上がる、需要のある立地安易にリフォームを進める仲介業者に注意
更地にして売却土地の需要で決まる※2数か月~年単位解体費、仲介手数料土地需要が高い地域安易に解体を進める仲介業者に注意
専門業者の買取業者の再生・活用の見込みから逆算した提示額最短数日~1か月0円(仲介手数料不要)遠方にある、老朽化している、瑕疵がある–
空き家バンク物件により幅がある長期化しやすい仲介手数料移住人気のある地方そもそも認知度が低いうえに、自治体が営業してくれるわけではないため買手が付きにくい

※1 需要があれば高く、なければ売れ残る
※2 解体費が回収できない地域もある

なお、売却方法を比較するうえで一つ押さえておきたいのは、空き家では一般的な意味での「相場」が成立しにくいという点です。

いわゆる取引相場が成り立つには「類似事例の蓄積」と「需要の存在」が必要ですが、空き家ではこの両方が崩れています。

立地の二極化と建物状態の差が大きく、需要のある都市部では相場より高く売れることもあれば、地方や郊外では買い手がつかず、0円でも引き取り手が現れないこともあります。

また、地方は取引事例そのものが少ないため実勢価格も当てになりにくく、さらに土地や建物も「そのまま住める」状態のものもあれば、「大規模リフォーム」が必要なものまで千差万別です。

そのため、初めから「どのくらいで売れそうか」を考えるよりも、どのようにして売却価格が決まるのかを理解しておくことが重要です。

現状のまま中古住宅や古家付き土地として仲介に出す

現状のまま仲介が向くのは、立地の需要が高く・建物の状態が良く・売却を急がない空き家

1つ目は、建物を解体せず、そのまま仲介に出して売る方法です。

築20年以内で状態が良ければ「中古住宅」、老朽化している場合は建物に価値を付けず「古家付き土地」として売り出すのが一般的です。

数百万円かかる解体費用を負担せずに済むぶん、手元に残る金額が多くなるのが最大のメリットです。

一方で、買主が見つかるまで内覧対応が必要で、そのたびに掃除や立ち会いをする手間がかかります。

また「契約不適合責任」により、売却後に雨漏りやシロアリなどの欠陥が見つかった場合、修補や損害賠償の責任を負う恐れがあります。

現状のまま仲介に出すのは、立地の需要や建物の状態が良く、多少時間や手間をかけてでも高く売りたい方に向いている方法です。

条件に当てはまる場合は、解体やリフォームに費用をかける前に、まずは現状のまま仲介で売却できるか不動産会社に相談してみましょう。

リフォームで整えてから中古住宅として仲介に出す

リフォームして仲介が向くのは、立地に需要があり・直せば価値が出る状態で・急がない空き家

2つ目は、建物の状態をリフォームで整えてから、中古住宅として仲介に出して売る方法です。

古びた空き家も、内装や水回りを直せば見栄えが良くなり、そのまま売るより高く、早く買い手がつく可能性があります。

「すぐ住める家」として一般の買主に訴求できるのがメリットです。

ただし、最も注意すべきは「かけた費用を売値で回収できるとは限らない」点です。

300万円かけてリフォームしても、立地が弱ければ売却価格が同じだけ上がるとは限らず、かけた費用がそのまま損になることもあります。そもそも、それだけの現金を用意できるかどうかも大きな問題です。

現状のままとリフォーム後の想定価格を不動産仲介会社に聞き、差額が費用を上回るなら価値はあります。

逆に費用の回収が難しそうな立地の場合は、無理に手を加えず「現状のまま」売りに出す方が、持ち出しによる赤字リスクを避けられます。

ただし、不動産仲介会社にリフォームを勧められても、鵜呑みにするのは危険です。

中にはリフォーム業者と提携してキックバックを受け取っている仲介会社もあり、その場合、売主が損をしても責任は取ってくれません。

提案が本当に自分の手取りを増やすものか、現状のまま売った場合と冷静に比べましょう。

リフォームしてから売却するべきかどうかは、次の記事で解説しています。

建物を解体して更地にしてから土地を売却する

更地にして売却が向くのは、土地の需要が高く・建物が古く(解体前提)・急がない空き家

3つ目は、空き家になっている建物を解体して、更地にしてから土地として売却する方法です。

新築住宅を建てたい買主にとって、更地はすぐに着工でき使い道を描きやすいため、土地需要の高い地域では買い手がつきやすく、早く売れる可能性が高くなります。

古家付きでは「解体費がかかる」と敬遠される地域でも、売りやすくなるのがメリットです。

ただし、コストとリスクは大きくなります。解体費用は全額自己負担となり、相場は木造で坪5万~7万円程度、一般的な戸建てで150万~300万円超の持ち出しになります。

さらに、建物を解体すると「住宅用地の特例」が外れ、翌年から土地の固定資産税が最大6倍に上がります。

土地需要が高く、解体後すぐに売れる確証がある地域なら有効な方法です。

逆に需要が読めない地域では、解体費と税負担が二重の重荷になるため、安易に解体せず古家付きのまま売却活動を始めるのが安全です。

解体するか迷う場合は、先に不動産会社へ相談し、更地にした場合の売却見込みを確認してから解体を決めましょう。

更地にして売却したほうがよい土地の見分け方は、次の記事で解説しています。

時間と手間をかけずに売るなら専門業者に買取を依頼する

買取が向くのは、立地の需要が低くてもOK・建物の状態が悪くてもOK・早く手放したい空き家

4つ目は、空き家に強い専門の不動産買取会社に直接買取をしてもらう方法です。

一般の買主を探す仲介と違い、買い手が見つかるのを待つ必要がなく、最短数日~1か月程度で現金化できるので、時間と手間をかけずに確実に手放したい方に最も向いた方法です。

買取には、仲介にはない明確なメリットがあります。

買取の主なメリット
  • 売却時期が読みやすいため計画を立てやすい
  • 不動産買取会社が直接買い取るため、仲介手数料が0円になる
  • 内覧希望者への対応が一切いらない
  • 契約不適合責任が免責されるケースが多い

これらは、仲介につきまとう手間とリスクが「すべてゼロになる」ことを意味します。

唯一のデメリットは、仲介で売れるような需要のある空き家なら、価格がほぼ確実に下がる点です

ただし、仲介で長期間売れ残って維持費を払い続けたり、解体費を負担したりする場合と比べると、トータルではむしろ手元に多く残ることも少なくありません。

さらに、近隣からのクレームや特定空き家の指定、倒壊事故による損害賠償(数千万円~億単位の事例もあります)などの不安を、何年も抱え続けずに済む。この精神的な負担からの解放も、買取の大きな価値です。

とくに、地方や郊外(一部の政令指定都市などは除く)で立地の需要が高くない空き家では、買取が最も合理的な選択肢になります。

地方で買い手が見つかりにくいなら空き家バンクを活用する

空き家バンクが向くのは、地方で需要は低いが・そのまま住める状態で・時間をかけられる空き家

5つ目は、自治体が運営する「空き家バンク」に登録し、移住希望者などの買い手を探す方法です。

地方や郊外で、一般の不動産市場では買い手が見つかりにくい物件でも、移住・二拠点生活を検討する層にアプローチできるのがメリットです。

民間業者が取り扱いを敬遠しがちな低価格帯の物件でも登録できますが、買い手が見つかるまでにかなり時間がかかる点に注意が必要です。

登録すれば売れるわけではなく、問い合わせが入らない間も固定資産税や管理の負担は続きます。

また、正直なところ、空き家バンクは一般の認知度が低く、自治体は情報の掲載が中心で価格交渉や契約のサポートまではしてくれないため、現状では十分に機能しているとは言いにくいのが実情です。

時間も手間もかけられ、希望価格で地域の移住者に譲りたいという方に限って、有力な選択肢になります。

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空き家の売却から引き渡しまでの具体的な流れと手続き

空き家の売却は、大きく分けると以下のような流れで進みます。

  1. 査定を依頼する【仲介・買取】
  2. 媒介契約を結ぶ【仲介のみ】
  3. 買い手探し・内覧対応を行う【仲介のみ】
  4. 売買契約を結ぶ【仲介・買取】
  5. 決済・引き渡しを行う【仲介・買取】

ただし、仲介と買取のどちらを選ぶかで、途中の手間や期間は大きく異なります。

仲介は買主探しや内覧対応が必要で数か月~年単位の時間がかかりますが、買取は買主探しが不要なため最短数日~1か月で完了します。

ここでは、各ステップで何をするのか、仲介と買取の違いを比較しながら確認していきましょう。

信頼できる不動産会社を見つけて査定を依頼する

空き家売却の第一歩は、信頼できる不動産会社を見つけて査定を依頼することです。

大切なのは査定額の高さだけではなく、その根拠を実費ベースで説明できるかどうか。

「そもそも仲介で売れる可能性がありそうか」「買取なら査定価格とその他に必要となる諸費用があるか」を、理由とともに示してくれる会社を選びましょう。

需要が高いエリアであれば、仲介の方が基本的には高く売れます。

一方で、需要がそこまで高くないエリアだったり、老朽化や立地など物件に何らかの事情がある場合は、空き家に強みを持った買取業者に売る方が得策でしょう。

なかには、高い査定額を出しておいて、契約の直前で難癖をつけて金額を下げてくる会社も少なくありません。

こうした買い叩きを避けるため、査定額の内訳まで詳細に説明してくれる、信頼できる会社を選びましょう。

【仲介の場合】不動産会社と媒介契約を結んで買い手を探す

仲介で売る場合は、不動産会社と「媒介契約」を結び、買主を探してもらいます。

媒介契約とは、売却の仲介を依頼する正式な契約で、これを結ぶことで不動産会社が広告や物件情報サイトへの掲載を通じて買主を募集します。

ご自身の希望する価格で売り出せるのが、仲介の最大のメリットです。

ただし、買主候補となるのは一般のマイホームを探しているお客さんがほとんどなので、需要の少ない空き家なら、ずっと売れない可能性もあることを覚悟しなければなりません。

その間、購入希望者が現れるたびに内覧対応が必要で、室内を掃除し、売主が立ち会って案内することもあります。

空き家が遠方にある場合、内覧のたびに足を運ぶのは大きな負担です。

時間に余裕があり、手間をかけてでも相場で売りたい方に向いていますが、内覧対応やいつ売れるか分からない期間の長さが不安な場合は、別の選択肢として「買取」を検討してみましょう。

買主が見つかり、価格や引き渡し条件に双方が合意したら、売買契約を結びます。この時点で買主から手付金を受け取り、後日の決済に進みます。

【買取の場合】不動産会社と売買契約を結んで直接売却する

買取の場合は、不動産会社が直接の買主になるため、買主を探す期間も内覧対応も一切不要です。

会社が提示する買取価格に売主が合意すれば、すぐに売買契約へ進めます。

仲介では買主が現れるのを待ち、見つかった後も内覧や価格交渉を重ねる必要がありますが、買取では不動産会社が査定額を提示し、それに納得すれば契約成立です。

買主探しの期間がないため、売却にかかる時間は最短数日~1か月程度に短縮されます。

「遠方の空き家で何度も足を運べない」「とにかく早く現金化したい」「内覧や価格交渉の手間を避けたい」という方にとって、買取は合理的な選択肢となります。

スケジュールが読めるため、「いつまでに相続税の納税資金が必要」のような事情がある場合にも向いています。

残代金の受領と所有権移転登記を行い空き家を引き渡す

売買契約時に手付金を受け取ったあと、最後の決済日に残りの代金(残代金)を受け取り、同時に空き家の名義を買主へ移す「所有権移転登記」を行い、鍵を渡して完了となります。

この流れは仲介でも買取でも基本的には同じです。

決済の当日は司法書士が登記手続きを進め、固定資産税の精算(引き渡し日以降の分を日割りで買主と精算)も行います。

なお、引き渡し日までに室内に残った家財道具などは自費で処分して空にする必要があります。

ご自身での片付けが難しい場合は、残置物をそのまま引き取ってくれる空き家に強い買取業者を選ぶことで、片付けの費用や手間を大きく省くことができます。

決済が終われば空き家の売却は完了となり、以降は維持費や管理の負担が買主に移ります。

空き家を売却する際にかかる主な費用と税金の内訳

空き家を売却する際、売れた金額がそのまま手元に残るわけではありません。

仲介手数料や登記費用のような諸費用のほか、利益が出れば譲渡所得税もかかります。

そのため、売却価格だけでなく、売却にかかる費用や税金を差し引いて「最終的にいくら手元に残るか」で考えることが大切です。

どんな費用がいくらかかるかを事前に知っておくと、手取り額を正しく見積もることができるため、自分のケースに照らし合わせて読んでみてください。

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費用・税金金額の目安かかるケース
仲介手数料売買価格×3%+6万円+消費税仲介で売ったとき
解体費用木造で坪5~7万円、RC造で坪8~12万円更地にして仲介で売るとき
登記費用登録免許税(評価額の0.4%)+司法書士報酬 数万円~名義変更・抵当権抹消が必要なとき※
測量費用数十万円~(複雑なら100万円近く)土地の境界が不明確なとき※
残置物撤去費数十万円規模~家財が残っているとき※
印紙税契約金額により1万円・2万円など売買契約書を作成するとき※
譲渡所得税短期39.63%、長期20.315%売却益が出たとき

※ 買取業者に売る場合は、業者側が負担してくれるケースもあります。

仲介の場合は売買成立時に仲介手数料がかかる

仲介で空き家を売る場合、売買が成立したときに不動産会社へ支払う成功報酬が「仲介手数料」です。

上限額は法律で定められており、売買価格が400万円を超える場合は「売買価格×3%+6万円+消費税」となります。

仲介手数料の計算例

空き家が1,000万円(税抜)で売れた場合の仲介手数料の上限は、39万6,000円(税込)になります。

1,000万円×3%+6万円=36万円

36万円+消費税(10%)=39万6,000円

なお、令和6年の法改正により、売買価格(税抜)が800万円以下の低廉な空き家等は、特例により仲介手数料の上限が売主・買主それぞれ33万円(税込)に引き上げられました。

知っておきたいのは、不動産会社が直接買い取る「買取」なら、この仲介手数料は0円になるという点です。

仲介で少し高く売れても手数料で数十万円引かれることを考慮し、最終的な「手取り額」で比較することが大切です。

更地にして売却する場合は数百万円規模の解体費用がかかる

空き家になっている建物を解体して更地で売る場合は、解体費用が自己負担でかかります。

相場は木造で坪5万~7万円程度、鉄筋コンクリート造なら坪8万~12万円程度で、一般的な戸建てであれば150万~300万円超の出費です。

需要が高い地域なら回収できる見込みはありますが、売れ残った場合は解体費が丸ごと持ち出しになります。

さらに、前述のとおり更地にすると住宅用地の特例が外れ、翌年から土地の固定資産税の評価(課税標準額)が最大6倍(実際の税額は3~4倍程度)に上がるリスクもあります。

つまり、「費用負担」と「税負担の増加」がセットで発生するため、解体費用の回収に不安がある場合は、古家付きのまま現状で売却(または買取)を検討する方が安全です。

名義変更や抵当権抹消が必要な場合は登記費用がかかる

売却にあたって登記の手続きが必要な場合は、登記費用がかかります。

名義が亡くなった方のままなら「相続登記(名義変更)」が、住宅ローンが残っていれば「抵当権抹消登記」が必要となり、それぞれに費用が発生します。

費用は、登録免許税という税金と、手続きを司法書士に依頼する場合の報酬に分かれます。

登録免許税は固定資産税評価額の0.4%、抵当権抹消は「土地」「建物」など不動産1個につき1,000円(一般的な一戸建てなら計2,000円)です。

2024年4月から相続登記自体が法律で義務化されているため、売却活動を始める前に必ず完了させておく必要があります。

自分で法務局に申請すれば報酬は不要ですが、戸籍の収集や申請書の作成に手間がかかるため、相続登記は司法書士に任せる人が多いのが実情です。

なお、買取業者に売る場合は、こうした登記費用を業者側が負担してくれるケースもあります。

まずは登記簿で現在の名義や抵当権の有無を確認し、売却前にどの登記手続きが必要になるか確認しておきましょう。

測量費用は土地の境界が不明確な場合にかかる

土地の境界がはっきりしない場合は、測量費用がかかります。

古い土地は隣地との境界が確定していないことが多く、買主に安心して引き渡すために、売却前に土地家屋調査士による「確定測量」を行うのが一般的です。

境界が曖昧なまま売り出すと、隣地所有者とのトラブルに発展するおそれがあるため、一般的な仲介売買では、売主の責任として確定測量を引き渡しの条件とされるケースがほとんどです。

費用の目安は、隣地が個人所有の土地(民々境界)であれば40万~60万円程度ですが、隣地に国や自治体の土地が含まれる「官民境界」の場合は手続きが複雑になり、80万~120万円以上かかることもあります。

すでに境界標が揃っており確定書面がある土地などは不要なため、自分の土地に測量が必要かどうかは査定時に不動産会社に確認しましょう。

専門の買取業者なら、境界確定の費用や手間を業者が引き受けてくれることもあります。

室内に残った家財道具などを処分すると撤去費がかかる

空き家に家財道具や生活用品が残っている場合、それらを処分する撤去費がかかります。

仲介で売る場合、原則として室内を空にした「空室引き渡し」が前提となるため、売主が自費で片付ける必要があります。

撤去費は室内の状態で大きく変わりますが、一般的な戸建て(3LDK程度)で、家具・家電が残る程度なら15万~30万円、ほとんど手つかずの状態で20万~50万円、いわゆるゴミ屋敷状態では約50万~150万円以上が目安です。

亡くなった方が住んでいた家には、家具・家電・衣類・仏壇など大量の家財が残されていることが多く、すべて自力で処分するのは時間的にも体力的にも大きな負担です。

空き家に強い買取業者であれば、家財が残ったままの状態で引き受けてくれるケースが多いため、売却前に手元から大きな処分費用を持ち出したり、片付けの手間をかけたりする必要がなくなります。

家財の量が多く、自分での片付けや処分費用の負担が大きい場合は、残置物ごと買い取ってもらえる業者への売却も検討しましょう。

解体や片付けを含めた費用の全体像は、空き家の処分費用の相場と内訳もあわせて確認してください。

印紙税は売買契約書に収入印紙を貼って納める

不動産の売買契約を結ぶ際は、印紙税がかかります。

これは、売買契約書に契約金額に応じた収入印紙を貼り、消印することで納める税金であり、売却金額にかかわらず必ず発生します。

現在は「印紙税の軽減措置」が適用されているため(令和9年3月31日まで)、契約金額が500万円超~1,000万円以下なら5,000円、1,000万円超~5,000万円以下なら1万円となります。

金額としては他の費用に比べて大きくありませんが、売却の諸費用の一つとして見込んでおきましょう。

なお、近年増えているパソコンやタブレットを用いた「電子契約」で結ぶ場合は、書面の作成にあたらないため、印紙税はかかりません。

また、印紙税が必要になるケースでも、買取業者であれば代わりに負担してくれることもあります。

空き家を売却して利益が出た場合は譲渡所得税を納める

空き家を売却して利益が出た場合は、その利益に対して譲渡所得税(所得税・住民税)がかかります。

譲渡所得は、売却価格から取得費(買ったときの価格等)と譲渡費用(売却にかかった諸費用)を差し引いて、プラスになった場合のみ課税されます。

税率は売却した年の1月1日時点の所有期間で決まり、所有期間が5年以下「短期譲渡所得」なら税率39.63%、5年を超えていれば「長期譲渡所得」で税率20.315%です。

【例】被相続人が20年前に購入した空き家を売却し、取得費や譲渡費用を差し引いた譲渡所得が800万円だった場合、長期譲渡所得として税額は約162万円(800万円×20.315%)になります。ただし、次章で解説する特別控除を使えば、この税額を大きく減らせる、あるいはゼロにできることもあります。

ここで重要なのが、相続した空き家の場合は「亡くなった方が取得した日」を引き継げるという点です。

そのため、被相続人が長く所有していた家であれば、相続後すぐに売却しても「長期譲渡所得(低い税率)」になることがほとんどです。

譲渡所得が発生しそうな場合は、まず利用できる特例がないか確認したうえで、実際にかかる税額を見積もりましょう。次章では、空き家売却で利用できる主な特例を解説します。

空き家売却の税金や費用を大幅に抑えられる特例と補助金は?

空き家の売却では、要件を満たせば税金や費用を大幅に抑えられる特例・補助金が複数あります。

特に譲渡所得税の特別控除は、使えるかどうかで納税額が数百万円単位で変わることもあり、知らずに売ると大きく損をしかねません。

使える特例は、おもに①相続した空き家か・自分が住んでいた家か、②売却額、③所有期間で決まります。

まず『相続した空き家』なら3,000万円特別控除、『自分が住んでいたマイホーム』なら居住用の3,000万円控除+10年超の軽減税率、が中心になります。以下、当てはまるものをご確認ください。

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特例・補助金内容主な対象
相続空き家の3,000万円特別控除譲渡所得から最大3,000万円控除相続した旧耐震の戸建て(相続人3人以上は1人2,000万円)
マイホームの3,000万円特別控除譲渡所得から最大3,000万円控除自分が住んでいた家(住まなくなって3年以内に売却)
取得費加算の特例納めた相続税の一部を取得費に加算相続税を払い、3年以内に売却(上記の相続空き家控除とは併用不可)
低未利用土地の100万円特別控除長期譲渡所得から100万円控除500万円以下(一定区域は800万円以下)の低額な土地
10年超所有軽減税率の特例税率を約14.21%に軽減所有10年超の自分のマイホーム(3,000万円控除と併用可)
空き家解体補助金解体費の一部を補助(自治体による)老朽危険空き家など(着工前の申請が必須)

それぞれ適用要件が細かく、複数の特例は併用できないものもあるため、自分がどれを使えるかを見極めることが大切です。

相続した空き家なら最大3000万円の控除が使える

相続した空き家を売却する場合、要件を満たせば、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります。

「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除」と呼ばれるものです。

適用のための要件が厳しめですが、これが使えると譲渡所得税がゼロになるケースも多く、空き家を手放す人にとって非常に大きな節税になります。

【参考例】相続した空き家を1,500万円で売却し、取得費・譲渡費用を引いた譲渡所得が1,200万円だった場合、本来は約240万円(1,200万円×20.315%)の税金がかかります。この特例で3,000万円を控除すると課税対象は0円となり、税額もゼロになります。

特例を利用するための主な要件
  • 昭和56年5月31日以前に建築された家(旧耐震基準の建物)であること
  • マンションなどの区分所有登記がない建物であること
  • 相続開始の直前まで被相続人が一人で居住していたこと
  • 相続から売却時まで事業・貸付・居住に使われていないこと
  • 相続開始日から3年を経過する年の12月31日までに売却すること
  • 売却価格の合計が1億円以下であること
  • 親子や夫婦など特別の関係がある人への売却ではないこと
  • 他の譲渡所得に関する特例と併用していないこと
  • 原則、耐震のためのリフォームか解体をして売却すること

このうち売却期限は特に見落とされやすいですが、3年を過ぎるとこの特例は使えなくなります。

仲介で買い手を探しているうちにこの3年の期限が迫るケースは珍しくありません。買取なら最短数日~1か月で売却が完了するため、期限切れで特例を逃すリスクを避けやすいのもメリットです。

なお、令和6年(2024年)以降は、売主側があらかじめ解体等をしなくても、買主が引き渡し後の翌年2月15日までに耐震改修や解体を行う場合も対象に含められるよう緩和されました。

ただし、この緩和を利用する場合は売買契約書での事前合意などが必要になるため、あらかじめ不動産会社や税理士へ相談しておきましょう。

マイホームだった空き家は3000万円特別控除が使える

相続した家ではなく、自分が住んでいた家が空き家になっている場合は、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除」が使えます。

これは、自分のマイホームを売ったときに、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度で、所有期間の長短に関係なく適用できます。

前述の「相続した空き家の3,000万円控除」とは別の制度ですが、どちらも控除額は最大3,000万円で、譲渡所得税を大きく圧縮できる強力な特例です。

控除を利用するための主な要件
  • 日本国内にある自分が住んでいる(または住んでいた)家と土地の売却であること
  • 住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
  • 家を解体して土地だけ売る場合、解体から1年以内の売買契約、かつ住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売却すること
  • 売却した年の前年および前々年に、この特例や他の譲渡所得の特例を受けていないこと
  • 親子や夫婦など、特別な関係がある人への売却ではないこと
  • マイホームの買換え特例など、他の特定の特例と重ねて適用を受けていないこと
  • 売却するためだけに一時的に入居した家や、別荘などではないこと

特に「住まなくなった日から3年目の12月31日まで」という期限や、売る前に解体する場合のタイムリミットには注意が必要です。

転勤や住み替えで家を離れ、空き家のまま放置していると、3年の期限を過ぎて特例を使えなくなるおそれがあります。

要件を一つでも見落とすと特例が使えなくなるため、マイホームだった空き家を売却する際のスケジュールは慎重に計画しましょう。

相続税を支払っている場合は取得費加算の特例を使える

相続税を支払った人が空き家を売却する場合は、「取得費加算の特例」が使えます。

納めた相続税の一部を売却時の取得費に加算でき、そのぶん譲渡所得が圧縮されて、譲渡所得税が軽くなる制度です。

適用には、相続税の申告期限の翌日から3年以内(相続開始を知った日の翌日から約3年10か月以内)に売却するという期限があります。

ここで重要なのが、前述の「相続した空き家の3,000万円特別控除」とは併用できないという点です。

どちらか一方しか選べないため、両方の要件を満たす場合は、どちらを使うほうが手取りが多くなるかを比較する必要があります。

一般的には、控除額の大きい3,000万円特別控除のほうが有利なケースが多いものの、相続税を多額に納めた場合や、空き家以外の相続財産も同時に売却して売却益が非常に大きい場合には、取得費加算のほうが有利になることもあります。

判断を誤ると納税額が変わってしまうため、両方に当てはまりそうなら、税理士にどちらが有利かをシミュレーションしてもらうのが確実です。

売却価格が500万円以下なら100万円の特別控除が使える

地方の安い空き家を売る場合は、「低未利用土地等の100万円特別控除」が使える可能性があります。

これは、長く利用されていない土地の取引を促すための特例で、要件を満たせば長期譲渡所得から100万円を控除できます。地方の低価格な空き家・空き地に向いた制度です。

制度を利用するための主な要件
  • 売却価格(建物等の対価を含む総額)が500万円以下であること
  • 都市計画区域内にある土地・建物であること
  • 売却した年の1月1日時点で、所有期間が5年を超えていること
  • 親族や夫婦など、特別な関係がある人への売却ではないこと
  • 売却後に、その土地が買主によって新しく利用される見込みであること

利用にあたっては、土地が所在する市区町村で「低未利用土地等確認書」の交付を受け、確定申告をする必要があります。

なお、本特例は時限措置ですが、最新の税制改正によって適用期限が3年間延長され、「令和10年(2028年)12月31日まで」の売却が対象となりました。

低額な土地では、100万円の控除で譲渡所得が大きく圧縮されるため、あらかじめ売却後の用途も含めて不動産会社に相談し、確認する価値は十分にあります。

所有期間10年超の空き家は軽減税率の特例が使える

自分が住んでいたマイホームが空き家になっている場合で、所有期間が10年を超えているなら、「10年超所有軽減税率の特例」が使えます。

通常の長期譲渡所得(税率20.315%)よりもさらに低い税率が適用され、譲渡所得税をいっそう抑えられる制度です。

この特例では、課税譲渡所得のうち6,000万円以下の部分について、税率が14.214%(所得税10.21%・住民税4%)に軽減されます。

特例を利用するための主な要件
  • 売却した年の1月1日時点で、その家屋と敷地の所有期間がともに10年を超えていること
  • 日本国内にある自分が住んでいる(または住まなくなって3年目の年の12月31日までの)マイホームの売却であること
  • 売却した年の前年および前々年に、この特例を受けていないこと
  • 親子や夫婦など、特別な関係がある人への売却ではないこと

さらに、前述の「マイホームの3,000万円特別控除」と重ねて併用できるのがこの特例の大きな利点です。

まず譲渡所得から3,000万円を差し引き、それでも残った利益に対して、この低い軽減税率(14.214%)をかけることができます。

長く住んだ持ち家を売る場合に、税負担を二重に軽くできる非常に強力な組み合わせです。

この軽減税率は、あくまで「自分が住んでいたマイホーム」を売るための制度です。親から相続した実家(自分が同居していなかった空き家)を売る場合には適用できませんので注意してください。その場合は、前述した「相続空き家の3,000万円特別控除」の利用を検討しましょう。

建物を解体する場合は空き家解体補助金が活用できる

更地にして売るために建物を解体する場合は、自治体の「空き家解体補助金」を活用できることがあります。

老朽化した空き家の解体を促すため、多くの自治体が解体費用の一部を補助する制度を設けており、これを使えば数百万円かかる解体費の負担を軽減できます。

補助の内容は自治体によって異なりますが、解体費用の一部を補助するのが一般的で、上限額は50万~100万円程度、手厚い自治体では150万円を超えるケースもあります。

補助金を利用するための主な要件(自治体による一般的な例)
  • 老朽化が進んで倒壊の危険がある空き家であること
  • 一定期間(1年以上など)だれも住んでいない空き家であること
  • 申請者の所得が一定基準以下であること(所得制限がある場合のみ)
  • 自治体が指定・登録する地元の解体業者に工事を発注すること
  • 必ず「解体工事の契約・着工前」に申請を完了させること

ここで絶対に押さえておきたいのが、補助金は必ず「解体工事の契約・着工前」に申請する必要があるという点です。先に解体を始めてしまうと、補助の対象外になり、一切受け取れなくなります。

「知らずに解体してしまい、後から補助金を申請できなかった」という失敗は珍しくありません。

また、遠方の業者と勝手に契約を進めてしまい、自治体の「地元業者への発注要件」を満たさずに対象外になるケースもあります。

解体を考えているなら、まず空き家の所在地の自治体に補助金制度の有無と条件を確認し、「要件確認→業者選定→補助金申請→契約・着工」という順序を必ず守ってください。

空き家の売却で後悔しないために押さえておくべき注意点

空き家の売却では、知らずに進めると「売れなかった」「税金が高くなった」「トラブルになった」と後悔する落とし穴があります。

これらは事前に知っていれば避けられるものばかりです。

ここでは、売却を始める前に必ず確認すべき5つの注意点を解説します。

売却の成否や手取り額を左右する重要なポイントですので、自分のケースに当てはめながらチェックしてください。

亡くなった人の名義では売却できないため相続登記を済ませる

相続した空き家は、亡くなった方の名義のままでは売却できません。

不動産を売るには名義を自分に変更する「相続登記」が必須であり、これを怠ると売買手続きに進めません。

さらに、相続登記に関して絶対に知っておくべき重要なポイントが以下です。

  • 2024年4月から相続登記の申請が「完全義務化」されている
  • 取得を知った日から「3年以内」に申請しなければならない
  • 正当な理由なく放置すると「10万円以下の過料」の対象になる

親族間での遺産分割協議が難航すると、登記までに数ヶ月以上かかることも珍しくありません。

「売るときに登記すればいい」と後回しにせず、売却を少しでも考えたら、まず最優先で相続登記に着手しておきましょう。

複数人で相続した場合は相続人全員の同意を得てから進める

複数人で相続した「共有名義」の空き家を物件全体として売却するには、共有者全員の同意が必須です。

一人でも反対すれば売買契約は成立せず、途中で意見が割れると親族間のトラブルにも発展しかねません。

そのため、売り出す前に全員で以下のポイントを話し合い、合意を固めておくことが重要です。

  • 本当に売却してもよいか
  • 最低いくら以上で売り出すか
  • 売却して残ったお金をどう分けるか

なお、どうしても全員の合意が得られない場合は、自分の持分だけを単独で売却する方法もあります。

物件全体は売れなくても、自分の持分を専門業者に買い取ってもらえば、合意の取れない状況から抜け出して現金化できます。

ただし、物件全体を売る場合に比べると、持分だけの買取価格は下がる傾向があります。

とはいえ、共有者との話し合いがまとまらず何年も塩漬けになるくらいなら、自分の持分だけでも先に現金化して共有関係から抜け出す方が、結果的に負担を軽くできるケースは少なくありません。共有持分に強い買取業者に、一度相談してみるとよいでしょう。

1月1日より前に更地にすると翌年の固定資産税が高くなる

更地にして売る予定で建物を解体するなら、その時期に注意が必要です。

固定資産税は毎年1月1日時点の状態で課税されるため、年内に解体して更地で1月1日を迎えると「住宅用地の特例」が外れてしまいます。

特例が外れると、土地の固定資産税の課税標準額が最大6倍(実際の税額は3~4倍程度)に跳ね上がります。

解体のタイミングによる税負担の違い

12月(年内)に解体して1月1日を迎えた場合

土地の固定資産税の課税標準額が最大6倍(実際の税額は3~4倍程度)に上がる

1月2日(年明け)以降に解体した場合

1月1日時点で建物が存在していたため、その年いっぱいは軽減特例が維持される

つまり、解体のタイミングを1月1日の前後どちらにするかで、丸1年分の税負担が大きく変わるのです。

解体して更地で売るなら、年明けの売却スケジュールと照らし合わせ、できるだけ無駄な税負担が出ないよう時期を調整しましょう。

なお、解体するかどうか迷っている段階なら、建物を残したまま買い取ってもらう方法もあります。空き家に強い買取業者なら、老朽化した家でも解体せずそのまま買い取れるため、解体費用も固定資産税の増額も気にせずに手放せます。

売却後に建物の不具合が発覚すると契約不適合責任を問われる

仲介で空き家を売った後、雨漏りやシロアリ被害などの欠陥が見つかると、売主が「契約不適合責任」を問われることがあります。

これは、引き渡した物件が契約内容と異なる場合に、修繕費用の負担や損害賠償に応じなければならない責任です。

契約不適合責任における売主の主な防衛策と選択肢
  • 【仲介】把握している不具合を「物件状況報告書」等で正直にすべて伝える
  • 【仲介】特約により、責任を負う期間を「引き渡し後3ヶ月」などに短縮する
  • 【仲介】「現状渡し(契約不適合責任は一切免責)」を条件にして売り出す
  • 【買取】不動産会社に直接買い取ってもらい、最初から責任を「完全免責」にする

古い空き家には売主も気づいていない欠陥が隠れていることが多く、仲介でも「現状渡し」として免責特約をつけて売ることは可能ですが、一般の買主はリスクを嫌うため価格を大きく下げざるを得ないのが現実です。

売却後のトラブルが不安な場合は、不動産会社へ直接売る「買取」を検討してみましょう。

買取の場合は、プロが現状を承知のうえで買い取るため、売主の責任が免責されるケースがほとんどで安心です。

売却が決まるまでは空き家を適切に管理する

空き家は、売りに出した後も買主へ引き渡すまでは適切に管理しましょう。

管理せずに放置すると建物の老朽化が進み、屋根や外壁の落下、倒壊などによって近隣住民や通行人に被害を与える可能性があります。建物の管理状態に問題があり他人に損害を与えた場合は、所有者が損害賠償責任を負う可能性もあります。

また、管理状態が悪化して「管理不全空家」や「特定空家」として勧告を受けると、土地に適用されている固定資産税等の住宅用地特例が外れ、税金が最大6倍になるリスクがあります。

売却活動中であっても、定期的な換気や通水、庭木の手入れなど、引き渡しまで必要な管理を続けましょう。

残っている家財や不用品は引き渡し日までに自費で処分する

仲介で空き家を売る場合、室内に残った家財や不用品は、引き渡し日までに売主が自費で処分しておくのが原則です。

先述の通り、亡くなった方が住んでいた空き家には大量の家財が残されていることが多く、業者に処分を依頼すれば数十万円規模の費用と膨大な手間がかかります。

「遠方で片付けに通えない」「量が多すぎて手に負えない」という方にとっては、これが売却の大きなハードルになります。

ご自身での片付けが難しい場合や、事前の持ち出し費用を避けたい場合は、残置物をそのまま引き取ってくれる専門業者の「買取」を選ぶことで、片付けの費用や手間を大きく省くことができます。

売れにくい空き家でもスムーズに売却できる状況別の対処法

「不動産仲介会社に何度も断られた」「何年も売りに出しているのに問い合わせすら来ない」もし今そういう状況なら、あなたの空き家は次の4タイプのいずれかに当てはまるかもしれません。

再建築不可・ゴミ屋敷・共有名義・事故物件は、普通の不動産会社では断られたり長期間放置されたりしがちです。

ここでは、こうした空き家がなぜ一般市場で売れないのかと、それでも売却するための具体的な方法を4タイプごとに解説します。

建て替えできない再建築不可物件は専門業者に買取を依頼する

「再建築不可物件」の空き家は、一般市場では売れにくいため、専門の買取業者への売却を検討しましょう。

再建築不可物件とは、今建っている家を取り壊すと、法律上あらたに家を建て直せない土地のことです。主な原因として、接道義務を満たしていないことが挙げられます。

再建築不可物件は建て替えができず、住宅ローンの審査も通りにくいため、一般の買主を見つけるのが難しい傾向があります。

一方、専門の買取業者は、建物をリフォームして賃貸物件として活用するなど、独自の方法で再生できるため、再建築不可物件でも買い取れる可能性があります。

再建築不可物件の売却方法や買取業者の選び方については、以下の記事で詳しく解説しています。

残置物が多いゴミ屋敷は片付け不要のまま買い取ってもらう

家具やゴミが大量に残ったゴミ屋敷状態の空き家を一般の仲介で売る場合、内覧や引き渡しのために自費で片付ける必要があり、費用と手間が大きな負担になります。

一方、空き家に強い買取業者のなかには、残置物が残った状態でもそのまま買い取ってくれる会社があります。

遠方に住んでいて片付けに通えない、量が多く自力での対応が難しい場合は、残置物ごと買い取ってくれる業者への売却を検討しましょう。

ゴミ屋敷の売却方法や片付けにかかる費用については、以下の記事で詳しく解説しています。

共有名義になっている空き家は自分の持分のみ単独で売却する

複数人で共有名義になっている空き家は、物件全体を売却するには共有者全員の同意が必要ですが、「自分の持分だけ」なら他の共有者の同意を得ずに売却できます。

ただし、共有持分だけを購入しても物件を自由に活用できないため、一般の買主を見つけるのは簡単ではありません。

共有者同士の話し合いがまとまらず、物件全体の売却が難しい場合は、共有持分の買取に対応している専門業者への売却も検討しましょう。

共有名義になっている不動産の売却方法や注意点については、以下の記事で詳しく解説しています。

事故物件は告知義務を守ったうえで専門業者に売却する

室内で孤独死や自死などがあった「事故物件」の空き家は、心理的な抵抗から一般の買い手がつきにくく、売却が難航しやすい傾向があります。

国土交通省のガイドラインでは、自死や他殺、特殊清掃が必要となった孤独死など、買主への告知が必要となるケースが示されています。告知すべき事実を隠して売却すると、売却後のトラブルにつながる可能性があります。

一般市場で買い手が見つからない場合は、事故物件の取り扱いに慣れている買取業者への売却も検討しましょう。

事故物件の告知義務や売却方法、売却価格への影響については、以下の記事で詳しく解説しています。

まとめ|空き家の売却は方法選びと早めの行動で損を防げる

空き家の売却は、物件の状態や立地、自分が売却にかけられる時間や手間を踏まえて、適した方法を選ぶことが大切です。

好立地で需要が高ければ「仲介」で高く売ることを目指せます。一方、需要の低いエリアや老朽化が進んだ空き家では、仲介で買い手が見つかるまで時間がかかる可能性があります。

また、空き家を所有している間は固定資産税や管理費がかかり続けるほか、管理状態によっては「管理不全空家」や「特定空家」に指定される可能性もあります。3,000万円特別控除など、売却期限が設けられている特例にも注意が必要です。

遠方の実家や老朽化が進んだ家、残置物が多い家など、仲介では手間や費用の負担が大きい場合は「買取」も選択肢になります。

まずは自分の空き家がどのくらいで売れそうか、どの売却方法が適しているのかを確認するために、不動産会社へ査定を依頼するところから始めましょう。

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この記事を書いた人

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