再建築不可物件の売却方法4選!売れない理由と相場を解説【専門家監修】

「仲介に出して半年経つのに、内見の連絡すら来ない」 「不動産仲介会社に『再建築不可なのでうちでは難しい』と断られた」 「相続した実家が、調べてみたら建て替えできない土地だった」

この記事を開いたあなたは、いまこんな状況ではないでしょうか。

先に結論をお伝えしますと、再建築不可物件でも売却は可能です。

ただし、通常の物件と同じ売り方(仲介市場に出して買い手を待つ方法)が機能しにくい物件です。

だからこそ「どの売り方を選ぶか」で、手放せるかどうか、手取り額がいくらになるかが大きく変わります。

この記事では、再建築不可物件が売れにくい本当の理由と相場の実像、そして現状のまま手放すための4つの売却方法を解説します。

この記事の監修者

株式会社AlbaLink(アルバリンク)

空き家や共有持分、再建築不可物件、事故物件、ゴミ屋敷など、売れにくい不動産の買取を専門とする不動産会社。

豊富な実務知見をもとに、当記事の監修・作成協力を行っています。

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目次

再建築不可物件とは?売却できるかを左右する基礎知識

再建築不可物件とは、今ある建物を解体すると新しい建物を建てられない物件のことです。

原因のほとんどは「接道義務」という建築基準法のルールを満たしていないことにあります。

まずは自分の物件が「なぜ・どの程度」再建築不可なのかを確認することが、売却のスタートです。

再建築不可物件は今の建物を解体すると新しく建てられない

再建築不可物件とは、現在建っている建物を解体すると、新たに建物を建てられない土地・物件のことです。

ポイントは「今の建物をそのまま使うことはできる」という点です。住み続けることも、人に貸すことも、売ることも法律上は問題ありません。

禁止されているのは「建て替え」であって、「所有」や「売買」ではないのです。

建て替えができない主な理由は、接道義務を満たしていないことです。

接道義務とは、建物を建てる敷地は幅4m以上の道路に2m以上接していなければならない、という建築基準法上のルールをいいます(出典:e-Gov法令検索「建築基準法」)。

火事や急病の際に消防車・救急車が入れること、避難経路を確保することが目的です。

この義務は1950年の建築基準法施行で定められたため、それ以前からある市街地には、現在の基準を満たさない敷地が数多く残っています。

「昔から建っているのに建て替えられない」のは、こうした経緯によるものです。

再建築不可になる原因は大きく3つのパターンに分かれる

再建築不可になる原因は、大きく次の3パターンに分かれます。

自分の物件がどれに当たるかで、後述する「再建築可能にする方法」の現実性が変わります。

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パターン状態典型例
間口が2m未満道路には接しているが、接する幅が足りない旗竿地※1の通路部分が狭い
接する道が建築基準法上の道路でない見た目は道でも法律上の道路と認められていない私道・通路・農道など
そもそも道路に接していない周囲をほかの土地に囲まれている袋地※2

※1 道路に接する細い通路の奥に敷地が広がる、旗のような形の土地
※2 周囲をほかの土地に囲まれ、道路に直接出られない土地

注意したいのは2つ目のパターンです。実は、毎日使っている「道」でも、建築基準法上の道路とは限りません。

隣の人の土地を通らせてもらっているだけ、というケースも実際にあります。

逆に、私道でも行政の指定を受けた「位置指定道路」であれば、建築基準法上の道路に当たります。

どちらも見た目では判断できないため、後述する役所調査で必ず確認しましょう。

市街化調整区域や既存不適格でも「実質的な再建築不可」になる

接道義務を満たしていても、実質的に建て替えができない物件があります。

検索して出てくる情報の多くは接道の話だけですが、実務では次の3つも同じ扱いになりがちです。

1つめは市街化調整区域にある物件です。

市街化調整区域とは、街づくりを抑えるために建物の建築が原則制限されている区域のことをいいます。

既存の建物があっても、建て替えには自治体の許可が必要で、認められない場合があります。

2つめは自治体の独自条例による制限です。

たとえば東京都建築安全条例では、通路部分が20mを超える旗竿地に幅3m以上を求めるなど、国の基準より厳しい接道条件を課しています。

国の基準はクリアしていても、条例で建て替えられないことがあるのです。

3つめは既存不適格建築物です。

既存不適格とは、建築当時は適法だったものの、その後の法改正で現在の基準に合わなくなった建物を指します。

建て替え自体はできても「今の基準に収まる小さな建物」しか建てられません。

また、担保価値が低く住宅ローンが通りにくいため、売買の場面では再建築不可と似た扱いを受けます。

「うちは道路に接しているから大丈夫」と思っていても、この3つに該当する場合があります。売却を考えるなら、広い意味での「建て替えの自由度」を確認しておくことが大切です。

連棟式建物(長屋・テラスハウス)の売却は、連棟式建物が売れにくい理由と5つの手放し方で解説しています。

再建築不可かどうかは市区町村の役所で無料で確認できる

自分の物件が再建築不可かどうかは、市区町村の役所で無料で確認できます。

不動産の専門知識がなくても、次の手順で調べられます。

  1. 法務局で物件の「登記事項証明書」と「公図」を取得する
  2. 役所の建築指導課で「この土地に建物を建て替えられるか」を確認する
  3. 道路管理課(建築指導課の場合も)で、前面の道が建築基準法上のどの道路かを確認する
  4. 都市計画課で、市街化調整区域などの区域指定を確認する

自治体によっては、道路の種別をウェブ上の「指定道路図」で公開しています。

「〇〇市 道路種別」「〇〇市 指定道路図」で検索すると、窓口に行く前に当たりを付けられます。

なお、売却の相談先が決まっていれば、この調査は依頼先の不動産仲介会社や買取業者が行うのが一般的です。

再建築不可に強い買取業者であれば、役所調査・現地調査を無料の査定に含めて行います。「調べ方がよく分からない」という段階で相談してしまっても、まったく問題ありません。

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再建築不可物件が売れない・売りにくい4つの理由

再建築不可物件が売れにくい最大の理由は、住宅ローンが使えないため買い手が「現金で買える人」に絞られることです。

しかも資金に余裕のある買主はあえて制限付きの物件を選ばないため、一般の仲介市場では需要が極端に細くなります。

売れないのは物件の値打ちがゼロだからではなく、売り方が市場に合っていないケースがほとんどです。

住宅ローンが使えないため買い手が現金で買える人に限られる

再建築不可物件では、住宅ローンの利用が非常に難しくなります。

金融機関は、万一返済が滞った場合に物件を売って資金を回収します。建て替えができない物件は、この担保としての評価が低くなるためです。

一般の住宅購入者のほとんどは、住宅ローンを組んで家を買います。

ローンが使えないということは、買い手の候補が「物件価格を現金で用意できる人」にいきなり絞り込まれるということです。

さらにいえば、再建築不可物件の多くは建物が古く、住むにはリフォーム資金も必要です。

物件代金に加えて数百万円規模の工事費まで現金で出せる人となると、一般の買い手はほとんど残りません。これが「売れにくさ」の出発点です。

現金で買える人はあえて再建築不可物件を選ばない

では、現金で買える人なら買ってくれるのでしょうか。

実際の買い手の立場で考えると、ここに再建築不可物件の本当の壁があります。

数千万円の現金を用意できる人は、物件を選ぶ側です。同じお金を出すなら、建て替えもできて資産価値も落ちにくい、制限のない物件を選べます。

つまり、お金がある人ほど、あえて再建築不可物件を買う理由がないのです。

「ローンが使えないから売れない」という説明はよく見かけます。

しかし実務の観点では、その先にあるこの需要の空洞化こそが本質です。

買える人はいるのに、買う動機がない。だから一般の仲介市場に出しても、何か月も問い合わせゼロという状態が起こります。

例外は、再建築不可物件を「事業の材料」として見る買い手です。安く仕入れてリフォームし、賃貸や再販で収益化するノウハウを持つ買取業者や投資家です。

再建築不可物件の現実的な売却先がこの層になるのは、こうした構造によります。

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老朽化が進んでいる物件が多く住むにも貸すにも初期費用がかかる

再建築不可物件の多くは、接道義務ができた1950年より前からの敷地に建っています。

そのため建物自体も築50年を超えるものが珍しくありません。

老朽化した建物は、そのままでは住むことも貸すことも難しい状態です。水回りの交換や耐震補強まで含めると、工事費は数百万円規模になることもあります。

買い手から見ると「物件価格+多額の初期費用」を負担する物件になり、築浅の物件と比べてさらに敬遠されやすくなります。

一方で、これは裏を返せば「建物の状態が価格を大きく左右する」ということです。

同じ再建築不可でも、雨漏りがなく構造がしっかりしている建物なら評価は変わります。

「古いからどうせ値段は付かない」と自己判断せず、状態も含めて査定で確認するのが得策です。

2025年4月の法改正で大規模リフォームのハードルも上がった

2025年4月に施行された改正建築基準法で、再建築不可物件を取り巻く環境は一段と厳しくなりました(出典:国土交通省「建築基準法・建築物省エネ法の改正について」)。

これまで木造2階建てなどの小規模な住宅には、「4号特例」という制度がありました。

大規模なリフォーム(柱や屋根など主要部分の過半を改修する工事)でも、工事前に法律への適合を審査する建築確認申請が不要とされてきたのです。

改正でこの特例が縮小され、木造2階建て住宅などの大規模リフォームにも原則として建築確認申請が必要になりました。

再建築不可物件は接道義務を満たしていないため、この審査のハードルが特に高くなります。

特定行政庁(建築主事を置く自治体)が安全上・防火上などの支障がないと認めれば工事できる緩和措置もありますが、認められるかは自治体の個別判断です。

結果として、従来の「フルリフォームして住み続ける・活用する」という選択肢が、以前より大きく制限されることになりました。

なお、平屋かつ延べ面積200㎡以下の住宅など対象外となる建物もあり、「一切手を入れられなくなった」わけではありません。

それでも、時間の経過がこの物件の選択肢を狭める方向に働いていることは確かです。売却を検討しているなら、早めに動くほうが条件面で有利になりやすい状況といえます。

再建築不可物件を売却する4つの方法

再建築不可物件を売却する4つの方法

再建築不可物件の売却方法は、「再建築不可に強い買取業者への売却」「隣地所有者への売却」「仲介での売却」「再建築可能にしてから売却」の4つです。

手間なく確実に手放すなら買取、高値の可能性を追うなら隣地・仲介という整理になります。

それぞれ向く条件が違うため、まず比較表で全体像をつかんでください。

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方法価格水準期間手間向いている人
再建築不可に強い買取業者に売る仲介より安くなるのが一般的最短数日~数週間小確実に・早く手放したい人
隣地所有者に売る相場以上もあり得る相手次第(数か月~)中隣地と関係が良好な人
仲介で売る需要があれば最も高値も半年~年単位、売れないことも中都市部で時間をかけられる人
再建築可能にして売る通常物件に近づく数か月~年単位+費用大是正の条件が揃っている人

再建築不可に強い買取業者に現状のまま買い取ってもらう

最も確実で早いのは、再建築不可の物件に強い買取業者への売却です。

買取業者が直接の買主になるため、買い手を探して待つ時間がそのまま不要になります。早ければ数日~数週間で契約・現金化まで進みます

買取には、再建築不可物件の売主にとって重要なメリットが3つあります。

  • リフォーム・解体・家財の処分が不要で現状のまま引き渡せる(残置物ごと買い取る業者もある)
  • 契約不適合責任を免責とする特約を付けるのが一般的で、売却後に損害賠償を求められるリスクを残さない
  • 買取業者との直接取引なら仲介手数料がかからない

本記事を監修するアルバリンクに寄せられる相談事例では、売主が最後の決め手にするのは、実は「一番高い金額」ではないことが多くあります。

残置物を片付けずに済む、いつ手放せるか期日がはっきりする、売った後に責任を追及されない、といった「確実さ・早さ・安心」が選ばれています。

一方でデメリットも正直にお伝えします。

買取価格は、仲介で運よく一般の買い手が見つかった場合と比べると安くなるのが一般的です。

そのため、「都市部で需要が見込め、時間をかけられる」なら仲介との比較検討をおすすめします。

逆に、すでに仲介で売れなかった方、早く負担から解放されたい方には、買取が現実的な出口です。

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隣地の所有者に買い取ってもらう

隣の土地の所有者は、あなたの物件を「相場より高く」買う合理的な理由を持つ、ほぼ唯一の相手です。

理由は単純で、隣地と一体になると土地の価値が変わるからです。

たとえば隣地も間口が狭い土地なら、2つを合わせて接道義務を満たせる場合があります。

その瞬間、両方の土地が「建て替えできる普通の土地」に変わるのです。

隣地所有者にとっては、ほかの誰かに売る場合より高い価格を払ってでも買う経済合理性があるのです。

ただし、声のかけ方には少し配慮が必要です。実務では次の進め方がポイントになります。

  • いきなり価格の話をせず、「売却を考えている」事実を先に伝える
  • 相手にもメリットがある理由(土地が広がる・建て替え可能になる等)を添える
  • 価格交渉と契約は不動産仲介会社に間に入ってもらうか、売買契約書の作成を司法書士に依頼して進める

特に3つめは重要です。

個人間の口約束で進めると、価格や境界をめぐるトラブルになりやすく、契約書の不備が後々の紛争につながります。

また、「隣地に持ちかけたが断られた」「地主に打診したら揉めてしまった」という声も珍しくありません。

相手に資金の都合や買う動機がなければ話は進みませんし、前面道路の持分がなく通行掘削承諾が取れないと、そもそも取引を扱えない場合もあります。

「打診はするが、当てにはしない」くらいの位置づけで並行して他の方法を進めるのが現実的です。

不動産仲介会社を通じて一般の買い手を探す

不動産仲介会社に依頼して一般の買い手を探す方法は、需要のあるエリアなら最も高値が期待できる売り方です。

都市部の駅近など、現金で買ってでも住みたい・使いたい人がいる立地なら、仲介市場で買い手が見つかる可能性は十分あります。

ただし、ここまで見てきたとおり、買い手は現金購入できる人に限られます。

販売期間は半年~年単位を覚悟する必要があり、需要がなければ何年待っても売れないこともあります。売れない期間も、固定資産税と管理の負担は続きます。

仲介を選ぶ場合は、期限を決めておくことをおすすめします。

「1年で売れなければ買取に切り替える」と最初に決めておけば、値下げを繰り返しながらズルズルと時間だけが過ぎる事態を避けられます。

なお、仲介で売れた場合は仲介手数料がかかります。

上限は法定されており、売買価格が400万円を超える場合は「価格×3%+6万円+消費税」で計算します。(出典:国土交通省「宅地建物取引業法関係」)。

たとえば500万円で売れた場合の上限は約23万円です。この分も資金計画に入れておきましょう。

セットバックや43条許可で「再建築可能」にしてから売る

検索でよく見る「再建築不可の裏ワザ」「救済措置」の実態は、主に次の3つです。

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方法どんなもの・使える条件
セットバック敷地の一部を道路側に後退させて幅4mを確保する。前面が42条2項道路の場合に使える。敷地は狭くなるが建て替え可能になる
43条2項の認定・許可接道義務を満たさなくても、安全性などの基準を満たし自治体の手続きを経れば例外的に建築が認められる制度
隣地の一部を購入・交換間口が2mにわずかに足りない場合、隣地から数十cmを譲り受ける。金銭が難しければ土地の一部を交換する「等価交換」で間口を確保する

3つに共通するのは、時間と費用がかかり、成功が保証されていないことです。

測量や申請、隣地交渉には数十万円~の費用と数か月の期間を見込む必要があります。

「是正の余地があるか」の見極め自体が専門的なので、再建築不可の取引経験が豊富な買取業者に相談し、費用対効果を試算してから判断してください。

再建築不可物件の売却相場と査定価格の決まり方

再建築不可物件の価格は「相場の何割」という目安だけで考えると、かえって見誤ります。

買い手が限られるため個別差が極端に大きく、都市部で相場に近い値が付くこともあれば、値が付かないどころか手放すのに費用がかかることもあるからです。

ここでは、よくある「5~7割」という目安の限界と、買取業者の価格が決まる仕組み、そして正直に知っておくべき「有償引き取り」の現実までを解説します。

仲介で売れた場合の目安は再建築可能な物件の5~7割程度

不動産の実務では、仲介で売れた場合、再建築不可物件の価格は同じ立地・広さで再建築できる物件の5~7割程度が一つの目安とされています。

ただし、これは公的な統計がある数字ではなく、取引現場の経験則です。

建て替えできない制約と、買い手が現金購入層に限られることが、この差の理由です。

そのうえで、次の2つの正直な現実を知っておく必要があります。

1つは、条件の厳しい物件では5割を下回り、相場の3割程度まで落ちることや、そもそも買い手が現れないことすらある点です。

特に地方や、道路にまったく接していない袋地では、仲介市場に何年出しても反応がないケースが実際にあります。

もう1つは、逆に都市部の生活利便性が高いエリアでは、再建築不可でも需要があり、目安より高く売れる場合がある点です。

「再建築不可=一律に安い」ではなく、振れ幅が極端に大きい物件だと理解してください。

買取相場は数万円から数百万円まで極端に割れる

ここは一般的な解説ではあまり語られない部分です。

本記事を監修するアルバリンクでは、再建築不可物件の取引価格は同じ「再建築不可」でも結果が大きく割れています。

実際の傾向として、取得価格が数万円程度にとどまる物件が相当数を占める一方で、立地や接道状況によっては数百万円、まれに1,000万円を超える価格で取引されるものもあります。

「平均すると相場の何割」という発想ではこの実態をつかめません。

同じ町内の再建築不可物件でも、片方は数百万円で買い手が付き、片方は値が付かない、ということが普通に起こります。

なぜこれほど割れるのでしょうか。

「相場」という言葉が成り立つには、似た条件の取引事例が積み重なっていることと、一定の買い手の需要があることの2つが必要です。

再建築不可物件では、この両方が崩れているからです。

取引の数自体が少なく参考になる近隣事例がほとんどないうえ、間口の広さ、道路の種別、建物の状態、隣地との関係など、価格を左右する要素が物件ごとにバラバラだからです。

だから「うちの物件は通常の6割くらいだろう」という逆算は、残念ながら当てになりません。

再建築不可物件の価格は、個別の査定で確かめる以外に正確に知る方法がないのが実情なのです。

値が付かないどころか引き取りに費用がかかることもある

都合の悪い事実ですが、正直にお伝えします。

再建築不可物件では、売却代金がゼロになるだけでなく、所有者がお金を払って引き取ってもらう「有償引き取り」になることがあります。

有償引き取りとは、売却代金よりも物件を処分するためのコストが上回った状態での取引です。

目安としては、次の式で考えると腑に落ちます。

売却価格 < 解体費 + 残置物処分費 + 登記費用 + 税金

有償引き取りになる主な理由は3つです。

「直せない」こと

建物が傷みすぎて、住める状態にするリフォーム費用が販売見込み額を超えてしまうケースです。

「壊せない」こと

重機が入らない旗竿地や、解体しても建て替えできない再建築不可では、解体費が割高になりがちです。

「需要がない」こと

そもそもその場所に住みたい人がおらず、固定資産税だけがかかり続ける状態です。

ここで大切なのは、有償引き取りだからといって「価値がない」と切り捨てる話ではない点です。

保有し続ければ固定資産税・管理の手間・倒壊や近隣トラブルのリスクが延々と続きます。

有償引き取りは、その終わりのない負担を一度の費用で断ち切り、次の世代に負の遺産を残さないための選択肢でもあります。

「いくらで売れるか」だけでなく「持ち続けるといくら出ていくか」と並べて考えるのが、後悔しない判断の順序です。

買取業者の価格は「再生後にいくらで売れるか」からの逆算で決まる

買取業者の査定額がどう決まるのか、仕組みを知っておくと、提示された金額の意味を冷静に判断できます。

買取業者は、その物件を買い取った後に「誰に・どうやって売るか(出口)」を先に想定します。

たとえば「リフォームして賃貸に出し、収益物件として投資家に売る」という出口なら、想定家賃から逆算した売値が起点になります。

そこからリフォーム費用・税金などの経費と事業の利益を差し引いた額が、買取価格です。

つまり買取価格は、「今の物件の状態」だけでなく「その業者がどれだけ良い出口を描けるか」で決まります。

再建築不可の再生ノウハウが乏しい業者は出口を描けないため、査定額が安くなるか、そもそも買取を断ることになります。

逆にいえば、専門業者が一般市場で値の付かない物件でも取得できるのは、取得後に再生・用途転換して取得額を上回る価格で再販できる見込みを立てられるからです。

仲介で売れなかった物件・他社に断られた物件でも、出口を描ける業者にとっては値段の付く「商品」です。断られた経験は、物件の価値がゼロという意味ではありません。

再建築不可物件の価格を左右する代表的な要因

査定額がどちらに転ぶかを分ける主な条件を、対照表に整理します。

  • 都市部・駅徒歩圏で生活需要が強い
  • 間口が2mに近く、通路として使いやすい
  • 建物の構造がしっかりしていて雨漏りがない
  • 隣地との境界・関係が良好
  • セットバック等で再建築可能にできる余地がある

自分の物件を表に当てはめると、おおよその立ち位置が見えてくるはずです。

上がる条件に複数当てはまるなら、安売りを急ぐ必要はありません。下がる条件が多い場合も、価格はともかく「手放す手段」は残されています。

どちらのケースでも、次章の4つの方法から自分に合う売り方を選んでいきましょう。

【状況別】再建築不可物件の最適な売却方法

再建築不可物件の最適な動き方は、「仲介で売れない」「不動産仲介会社に断られた」「相続した」など、いま置かれている状況によって変わります。

共通するのは、放置して状況が良くなることはない、という点です。

以下の早見表から、自分に近いケースの項目を読んでください。

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いまの状況最初の一手
仲介で半年以上売れていない買取査定で「価格の下限」を把握する
不動産仲介会社に断られた再建築不可に強い買取業者に直接相談する
相続した実家が再建築不可だった相続登記を済ませてから売却を進める
共有名義でもめて動けない自分の持分だけの売却を検討する
カミソリ地・旗竿地などの変形地隣地頼みにせず再建築不可に強い買取業者に査定を依頼する
売却以外(貸す・使う)も迷っている改修費を回収できる見通しがあるかで判断する

仲介で半年以上売れていないなら買取査定で下限を知る

仲介で半年以上反応がない場合、よくある流れは「とりあえず100万円値下げ」の繰り返しです。

しかし再建築不可物件の場合、この値下げ合戦は消耗するだけで終わることが少なくありません。

そもそも買える人が市場にほとんどいないため、価格を下げても問い合わせが増えない構造だからです。

このタイミングでおすすめしたいのは、並行して買取査定を受けてみることです。

買取査定額は「その価格なら確実に・すぐ売れる」という価格の下限を意味します。

下限が分かると、判断の景色が変わります。

  • 仲介の売出価格と買取額の差が小さい → 待つ意味は薄く、買取で早く手放すのが合理的
  • 差がまだ大きい → 期限を決めて仲介を続け、期限が来たら買取に切り替える

値下げを判断する前に、比較の物差しを手に入れる。これが売れない期間の焦りと損失を最小にする、実務的な順序です。

仲介会社に断られたら再建築不可に強い買取業者に直接相談する

「うちでは扱えません」と断られると、物件に価値がないと宣告された気持ちになります。

しかし、断られた理由は物件の価値ではなく、不動産仲介会社の商売の仕組みにあります。

不動産仲介会社の収入は、売買が成立したときの仲介手数料です。

売れる見込みが薄い物件は、広告費と手間だけがかかる案件になるため、最初から引き受けない判断をすることがあるのです。

つまり「うちでは(仲介では)売りにくい」という意味であって、「誰も買わない」という意味ではありません。

一方、買取業者は自社で買い取り、再生して収益化することで利益を出します。

再建築不可物件の扱いに慣れた業者なら、仲介会社が断った物件にも値段を付けられるケースは珍しくありません。

実際、本記事を監修するアルバリンクには、「複数の仲介会社に断られてから来ました」という方が多くいらっしゃいます。

断られた経験がある方こそ、相談先を「仲介」から「買取」へ切り替えてみてください。その際は、再建築不可物件の買取実績を明示している業者を選ぶのがポイントです。

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相続した実家が再建築不可だったら相続登記を先に済ませる

相続で初めて「実家が再建築不可だった」と知るケースは、非常に多くあります。

親世代が1950年より前からその土地に住んでいた場合、確率は決して低くありません。

この場合、売却の前に不可欠なのが相続登記(名義変更)です。

不動産は登記上の所有者しか売却できないため、亡くなった親の名義のままでは売買契約を結べません。

なお相続登記は2024年4月から義務化されており、取得を知った日から3年以内に申請しないと、10万円以下の過料(行政上の金銭的なペナルティ)の対象になり得ます。(出典:法務省「相続登記の申請義務化について」)。

相続した不動産の売却には、取得費や特例など税務上の論点もあります。

登記さえ済めば、再建築不可であっても売却手続きは通常どおり進められます。「名義の整理」と「売り方の選択」を分けて、一つずつ片付けていきましょう。

共有名義でもめて動けないなら自分の持分だけ売れる

相続した再建築不可物件が、兄弟など複数人の共有名義になっているケースもあります。

物件全体を売るには共有者全員の同意が必要なため、一人でも反対する人がいると、売却の話はそこで止まってしまいます。

この場合に知っておきたいのが、自分の共有持分だけなら、ほかの共有者の同意なしに売却できるという点です。

「もめている相手と話がまとまるまで何もできない」わけではありません。

ただし、持分だけの買い手は一般市場にはほぼおらず、売却先は共有持分の買取に対応する買取業者になります。

再建築不可×共有名義という条件でも、対応する買取業者は存在します。

カミソリ地や旗竿地などの変形地は専門業者が現実的

カミソリ地(細長いわずかな土地)や通路の狭い旗竿地など、形の特殊な再建築不可物件は、「隣の人が買ってくれるまで待つ」戦略になりがちです。

確かに理屈のうえでは、隣地所有者が最有力の買い手です。

しかし、隣地所有者にも資金の都合・相続の予定・土地を広げる動機がないなどの事情があり、「いつか買ってくれるはず」が10年単位の塩漬けになった例もあります。

現実的なのは、隣地への打診は一度行い、まとまらなければ変形地・狭小地の扱いに慣れた買取業者へ売却する、という二段構えです。

買取業者は買い取った後、隣地との交渉や別の活用方法を事業として引き受けます。個人が背負っていた「出口探し」を、まるごと買取業者に引き継ぐイメージです。

売却以外も迷っているなら改修費を回収できるかで判断する

再建築不可物件は、売らずに貸して家賃収入を得るという活用も、仕組みのうえでは可能です。

入居者は建物を建て替えるわけではないため、再建築の可否をほとんど気にしません。

きれいに改修されていて家賃が相場より手頃なら、借り手が付く物件は実際にあります。

問題は、その状態にするまでの初期投資です。築古の建物を貸せる状態にするには、水回りの交換などで数百万円規模の改修費が先行します。

家賃収入でこの投資を回収するには年単位の期間がかかり、空室や修繕のリスクも所有者が負い続けることになります。

自分や親族が住む場合も、同じ規模の改修費が同様に論点になります。

つまり判断軸は、「改修費を家賃や利用価値で回収できる見通しが立つか」です。

賃貸需要の強いエリアで建物の傷みが浅い再建築不可物件なら、活用は選択肢になります。

見通しが立たないまま「とりあえず貸せるかもしれない」と改修に踏み切るのは、回収できない出費になりがちです。

なお、買取業者が買い取った再建築不可物件を賃貸として再生できるのは、仕入れ価格と工事の原価を事業として抑えられるからです。

個人が同じことをするのは条件面で不利になりやすい、という構造も知っておいてください。

再建築不可物件を売却する流れは?査定で見られるポイント

買取業者への売却は「相談→査定→契約→決済」の4ステップで、早ければ数週間で完了します。

査定では接道状況や道路の種別など、再建築不可特有のポイントをプロが調査します。

売主側の費用は限定的で、買取ではそもそもかからない費用も多くあります。

売却の流れは相談から決済まで4ステップで進む

再建築不可物件を買取業者に売却する際は、次の4ステップで進みます。

STEP
相談・問い合わせ

物件の所在地と状況を伝える。この時点で書類が揃っていなくてもよい

STEP
査定

業者が机上査定(データでの概算)と訪問査定(現地確認)を行い、買取額を提示する

STEP
売買契約

金額・引き渡し条件に合意したら売買契約を締結し、手付金(契約時に受け取る代金の一部)を受け取る

STEP
決済・引き渡し

残代金の受け取りと同時に所有権移転登記を行い、鍵を引き渡す

買取は買主(業者)が最初から決まっているため、一般的な仲介の流れにある「売却活動(広告・内見対応)」の期間が丸ごとありません。

相談から決済まで、早いケースで数日~数週間、通常でも1~2か月程度が目安です。

また、遠方に住んでいて現地に行けない場合でも、写真や資料をもとに進められるケースが多くあります。

査定では接道状況や道路種別や建物の状態を見ている

「査定で何を見られるのか」は、売主にとってブラックボックスになりがちです。

再建築不可物件の査定で買取業者が実際に確認しているのは、主に次の4点です。

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確認項目内容
接道の実測間口と通路の幅を現地で測る。旗竿地は「一番狭い部分」が基準になる
道路の種別前面の道が建築基準法上のどの道路か、役所の資料と現況を突き合わせる。敷地と道路の間に水路が挟まる場合もあり、調査精度が査定額を大きく左右する
建物の状態傾き、雨漏り、基礎のひび、シロアリの痕跡など。リフォーム費用の見積もりに直結する
エリアの需要賃貸需要や周辺の取引状況から出口を描けるかを判断する

売主側で特別な準備は必要ありません。

片付けや掃除をしていない状態でも、査定額の本質(立地と構造)は変わらないので、現状のまま見てもらって問題ありません。

むしろ、把握している情報(道の使用について隣地と取り決めがある等)を正直に伝えることが、正確な査定と後のトラブル防止につながります。

なお、権利証(登記識別情報)が見つからない場合でも、司法書士による本人確認などで手続きは進められます。

売主が払う費用は印紙税・登記関連費用・譲渡所得税など

売却時に売主側で発生する主な費用は、次のとおりです。

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費用項目内容金額の目安
印紙税売買契約書に貼る収入印紙売買価格500万円超1,000万円以下で5,000円(軽減措置適用時)
抵当権抹消の登記費用住宅ローン等の担保が残っている場合のみ登録免許税は不動産1個につき1,000円+司法書士報酬
譲渡所得税・住民税売却益が出た場合のみ所有期間5年超なら税率20.315%

譲渡所得税は「売れたら必ずかかる税金」ではありません。

売却価格から取得費(買ったときの価格等)と譲渡費用を引いて、利益が出た場合にだけ課税されます(出典:国税庁「譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」)。

簡単な計算例を示します。

相続した物件を500万円で売却したとします。親が買ったときの資料がなく取得費が不明な場合、売却価格の5%(25万円)を取得費とみなす概算取得費を使えます。

譲渡費用が5万円なら、譲渡所得は500万−25万−5万=470万円。

相続で引き継いだ長期所有(5年超)なら、税額は470万円×20.315%≒約95万円です。(※実際には特例の適用等で変わるため、確定申告前に税務署や税理士に確認してください。)

なお、この試算はあくまでモデルケースです。「自分の場合はどうなるか」は、査定時に業者へ確認すれば概算を出してもらえます。

境界確定や残置物処分や登記の費用は買取業者負担のことも

前項の費用のほかに、売却では次のような実費が話題になります。

  • 土地の境界確定測量(数十万円かかることもある)
  • 家財・残置物の処分費
  • 相続登記や住所変更登記の手続き費用

これらは仲介で個人の買主に売る場合、売主負担で済ませておくのが通常です。

一方、買取業者への売却では、売主の持ち出しなしで進められるケースが多くあります。

境界非確定のまま・残置物そのまま・登記手続きは買取業者側の司法書士に一任、という形です。

「売るためにまず数十万円の出費が必要」という状態は、それ自体が売却の壁になります。

手元の現金を使わずに手放せるかどうかも、売り方を選ぶ重要な基準に入れてください。

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再建築不可物件の売却で損しないための5つの注意点

再建築不可物件の売却で損を避けるには、「更地にしない」「自己判断でリフォームしない」「不利な事実を隠さない」の3つがまず重要です。

いずれも良かれと思ってやった結果、価値や信頼を下げてしまう典型パターンです。

加えて、業者選びの落とし穴と放置のコストにも注意してください。

  • 売れないからと更地にしていないか
  • 売る前にリフォームすべきか自己判断していないか
  • 再建築不可の事実を伝えずに売ろうとしていないか
  • 「高く売れます」の言葉だけで売却先を決めていないか
  • 「いつか考えよう」と放置していないか

売れないからといって安易に更地にしない

再建築不可物件の更地化は、原則として避けるべき選択です。

理由は2つあります。

1つめは、解体した瞬間に「二度と建物を建てられない土地」が完成してしまうことです。

古くても建物が建っていれば、リフォームして住む・貸すという使い道が残ります。更地にすると、その可能性ごと消えるため、買い手はさらに限られます。

2つめは、固定資産税の負担が増えることです。

住宅が建っている土地は「住宅用地の特例」により、200㎡以下の部分は固定資産税の課税標準が6分の1に軽減されています。(出典:総務省「固定資産税の概要(住宅用地に対する課税標準の特例)」)。

建物を解体するとこの特例が外れ、土地の税額が大きく上がります。

たとえば土地の固定資産税評価額が2,000万円の場合、特例適用時の固定資産税は単純計算で約4.7万円/年です(標準税率1.4%で計算)。

更地にすると約28万円/年となり、差額は年間約23万円にのぼります。(※実際は負担調整措置等で変動します。あくまで目安の計算例です。)

解体費用を自分で払ったうえで、税負担が増え、売りにくくもなります。

三重の損になり得るため、解体は「買い手・買取業者が決まってから相談」が鉄則です。

なお、老朽化した建物ごと買い取る業者なら、解体の要否は業者側が判断します。

売却前のリフォームを自己判断でしない

「きれいにしてからのほうが高く売れるのでは」と考えて、売却前にリフォームを検討する方は少なくありません。

しかし再建築不可物件では、自己判断のリフォームはおすすめできません。

最大の理由は、かけた費用を売却価格で回収できないことが多いためです。

買い手が買取業者の場合、業者は自社の出口(賃貸・再販)に合わせて自社の原価で改修する前提で買い取ります。

売主が数百万円かけた内装が、査定でそのまま数百万円のプラスになることはまずありません。

また、2025年4月の法改正により、大規模なリフォームには建築確認が必要になった点も前述のとおりです。知らずに工事を進めると、法令違反のリスクさえあります。

付け加えると、仲介会社からのリフォーム提案には慎重になってください。提携するリフォーム業者からの紹介料を目的に、回収見込みの薄い工事を勧める会社も存在します。

リフォームの要否は「売り先が決まってから、買い手側と相談して」判断するのが安全です。

再建築不可であることを隠して売らない

「再建築不可と言ったら売れなくなるから、黙っておこう」。これは決してやってはいけません。

売主には、契約の内容に適合した物件を引き渡す責任があります。

契約不適合責任とは、売った物件が契約内容と異なる場合に、売主が買主から修補・代金減額・損害賠償・契約解除を求められる責任のことです。

再建築の可否は買主の判断を左右する重大な事項であり、隠して売れば、売却後に代金の減額や契約解除、損害賠償に発展するおそれがあります。

そもそも買主側の不動産仲介会社や金融機関の調査で、再建築不可はほぼ確実に判明するので、隠し通せる情報ではありません。

正直に開示して売る前提に立つと、買取業者への売却には合理性があります。再建築不可であることを織り込み済みで買い取るため、告知が価格交渉の妨げになりません。

さらに、個人間売買と異なり契約不適合責任を免責とする特約が一般的なため、売った後に責任を追及される不安を残さずに取引を終えられます。

「高く売れます」の営業トークだけで売却先を決めない

売主の不安につけ込む形で、根拠のない高値を提示する業者も残念ながら存在します。

典型的なのは、不動産仲介会社が相場より明らかに高い査定額を提示して専任媒介契約(1社だけに売却を任せる契約)を結ばせ、売れないまま数か月放置して、結局大幅な値下げを迫るパターンです。

売主は時間を失い、物件は「売れ残り」の印象まで付いてしまいます。

見極めのポイントは、金額の高さではなく根拠と実績です。

  • その査定額の根拠(出口の想定・工事費の見立て)を説明できるか
  • 再建築不可物件の取引実績を具体的に示せるか
  • 買取の場合、契約から決済までの期日を明確に約束できるか

なお、よく言われる「とにかく多くの会社に査定を出す」方法は、再建築不可物件では査定額のばらつきが大きく、かえって混乱のもとになります。

数を集めるより、再建築不可を扱い慣れた信頼できる一社を見つけることに力を使ってください。

放置し続けると特定空家に指定されるリスクも高まる

「今すぐ困っていないから」と判断を先送りにすることには、明確なコストがあります。

第一に、建物は住む人がいないと急速に傷みます。

再建築不可物件の価値の源泉は「使える建物が建っていること」なので、老朽化の進行はそのまま査定額の下落につながります。

数年放置した結果、買取さえ難しい状態になることもあります。

第二に、空き家として放置すると行政の指導対象になり得ます。

特定空家とは、倒壊の危険や衛生・景観上の問題があり、自治体から指導・勧告の対象となる空き家のことです。

「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づく制度で、勧告を受けると、前述した住宅用地の特例(固定資産税の軽減)の対象から除外されます(出典:国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」)。

つまり、建物を残していても更地並みの税負担になり得るということです。

2023年の法改正では、その手前の「管理不全空家」も勧告により特例除外の対象になりました。

さらに、老朽化した建物の一部が崩れて通行人や隣家に被害を与えた場合、所有者は損害賠償責任を問われるおそれがあります(民法第717条の工作物責任)。

放置していたら必ず指定されるわけではありませんが、遠方の物件を適切に管理し続けるのは、費用と労力の面で簡単ではありません。

「使う予定がない」と分かっているなら、価値が残っているうちに手放すことが、経済面でも精神面でも合理的な選択です。

再建築不可物件の売却についてよくある質問

再建築不可物件の買取相場はいくらですか?

再建築不可物件は、仲介で売れた場合の価格が同じ条件で再建築できる物件の5~7割程度になるのが一つの目安です(公的な統計ではなく実務上の目安です)。

買取業者への売却では、業者が負担するリフォーム費用や事業リスクが差し引かれるため、これより安くなるのが一般的です。

ただし実際は、数万円にとどまる物件から数百万円で取引される物件まで個別差が極端に大きく、立地や接道状況によって結果が大きく割れます。

正確な金額は再建築不可に強い買取業者の無料査定で確認するのが確実です。

再建築不可物件はお金を払わないと手放せないこともありますか?

あり得ます。

建物の解体費や残置物の処分費が販売見込み額を上回る場合、売却代金がゼロになるだけでなく、所有者が費用を負担して引き取ってもらう「有償引き取り」になることがあります。

ただし、保有し続ける固定資産税・管理の手間・倒壊や近隣トラブルのリスクと比べれば、一度の費用で負担を断ち切れる選択肢でもあります。

金額だけでなく「持ち続けると出ていく費用」と並べて判断するのがおすすめです。

遠方に住んでいて現地に行けませんが売れますか?

売れるケースが多くあります。

買取業者への売却では、写真や資料をもとに机上査定を進め、現地調査は業者側が行う形で対応できることが一般的です。

相談現場でも、遠方・高齢で通えない方からの依頼は少なくありません。権利証が見つからない、相続登記がまだ、といった場合でも手続きは進められます。

再建築不可物件を再建築可能にする裏ワザはありますか?

「裏ワザ」の実態は、セットバック・43条2項の認定や許可・隣地の一部購入の3つです。

いずれも正式な制度や交渉であり、適用には条件があり、費用と期間もかかります。

確実に成功する方法はないため、費用対効果を再建築不可に強い買取業者に試算してもらってから判断することをおすすめします。

再建築不可物件は売れるまでどのくらいかかりますか?

仲介なら半年~年単位、買取業者への売却なら早くて数日~数週間、通常でも1~2か月程度が目安です。

仲介では、需要がないエリアだと何年も売れないことがあります。

納税や相続などで期限が決まっている場合は、最初から買取を選ぶか、仲介に期限を設けて切り替える方法が確実です。

まとめ|再建築不可物件は現状のまま買取業者への相談が現実的

再建築不可物件が売れにくいのは、物件に価値がないからではありません。

住宅ローンが使えず、現金を持つ買主はあえて選ばないという構造のせいで、一般の仲介市場に買い手がほとんどいないからです。

だからこそ、売却の成否は「売り方の選択」で決まります。

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状況現実的な売り方
都市部で需要があり、時間をかけられる期限を決めて仲介に挑戦
隣地との関係が良好隣地所有者への打診(並行して他の方法も)
是正できる条件が揃っている再建築可能にしてから売却
早く・確実に・現状のまま手放したい再建築不可に強い買取業者への売却

価格は、数万円にとどまる物件もあれば数百万円になる物件もあり、場合によっては有償引き取りになることもあります。

振れ幅が大きいからこそ、「自分の物件にいくらの値が付くのか」を一度確かめることが、すべての判断の出発点になります。

迷っている間も、建物の老朽化と税負担は静かに進み、次の世代に引き継ぐ「負動産」へと近づいていきます。

更地化や自己判断のリフォームといった「損する一手」を打つ前に、まず価格という判断材料を手に入れてください。

仲介で売れなかった物件、他社に断られた物件、残置物が残ったままの物件でも、現状のまま査定・買取できるケースは多くあります。

無料査定は「売ると決めていない段階」でも利用できます。

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この記事を書いた人

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