相続した実家や使わなくなった家を前に、「処分したいけれど、いくらかかるのか」「解体費が高すぎて払えないのでは」と不安に感じていませんか。
空き家の処分費用は、じつは「どうやって手放すか」で大きく変わります。
数万円で済む場合もあれば、300万円を超える場合もあります。
まず押さえたいのは、必要な金額と、「その費用を売却代金で回収できるか」です。
回収が難しければ、解体や家財の処分をせず、現状のまま手放す「買取」も選択肢になります。
この記事では、空き家を処分する際の費用相場・内訳から補助金、買取までを、はじめての方にもわかるように整理します。
気になるところから確認したい方は、次の項目を選んでください。
空き家の処分費用は方法で数万円~300万円超に変わる
空き家を解体せずに売るなら、かかるのは主に売却の諸費用です。
一方、解体して更地で売るなら、規模や条件によって100万~300万円を超えることもあります。
専門の買取業者に現状のまま売れば、解体や家財の処分を売主が行わずに済む場合もあります。
まずは処分方法ごとの費用を、次の表で比べてみましょう。
| 処分方法 | かかる費用の目安 | 向いているケース |
|---|---|---|
| そのまま仲介で売却 | 数万~数十万円 ※仲介手数料・税金・登記など。 | 立地が良いなど、建物や土地に買い手が見込める |
| 解体して更地で売却 | 100万~300万円超 ※売却の諸費用は別 | 建物が危険だが、土地には需要がある |
| 専門業者へ買取を依頼 | 0円の可能性もあり ※登記・税金などは条件次第 | 売れにくい土地や、先払いを抑えたい |
| 寄付・無償譲渡 | 数万~数十万円 ※登記などの手続きに伴う費用 | 自治体・NPOなどに受け手が見込める |
| 相続放棄 | 数万円(手続き費用) ※専門家への依頼料は別途必要 | 資産価値より負担が大きい |
処分費用には、解体や家財の処分だけでなく、売却手続きや税金も含まれます。
表の金額は目安で、物件の状態や売却価格によって変わります。売却代金でまかなえる分があれば、最終的な持ち出しは少なくなります。
仲介は買主が見つかるまで数か月以上かかることもあり、更地売却には工事の期間も必要です。
買取は査定・契約・引渡し、寄付は相手との調整によって期間が変わります。
相続放棄の申述は、自分のために相続が始まったと知ってから原則3か月以内です。売却を待てる期間とは区別して考えましょう。
そのまま売却なら解体費用をかけずに処分できる
建物を残したまま買主に売る「そのまま売却」は、解体費用をかけずに処分できる方法です。
かかる費用には以下のようなものが挙げられます。
- 仲介手数料
- 印紙税
- 登記関連費用
- 必要に応じた最低限の片づけ費用
家財が残っていれば、家財の処分費用も必要になります。金額は売却価格や依頼する作業によって変わります。
ただし、これは「買い手が見つかる」ことが前提です。
人が住める状態か、少なくとも古家付き土地として需要のあるエリアであることが条件になります。
買い手が見込めない物件では、別の処分方法も検討する必要があります。
解体して更地売却は100万~300万円超かかることもある
老朽化して住めない建物は、解体して更地にしてから売る方法があります。
更地のほうが買い手の用途が広がり売りやすくなる一方、解体費用という大きな持ち出しが先に発生します。
木造住宅の解体費用は坪5万~7万円が一般的で、たとえば延べ床30坪なら150万~210万円ほどが目安です。
鉄骨造やRC造(鉄筋コンクリート造)はさらに高く、アスベスト(建材に含まれることのある有害繊維)が見つかれば100万~300万円が上乗せされることもあります。
つまり、更地で売るなら、売却代金を受け取る前に、解体費用を用意する必要があります。
解体するか、古家付きのまま売るかで迷う場合は、次の記事で判断基準を確認できます。

買取なら解体や残置物の処分が不要な場合もある
買取とは、不動産買取会社が売主から直接物件を買い取る方法です。
仲介と違って買い手を探す必要がなく、条件が合えば現状のまま早く処分できます。
とくに空き家に強い買取業者であれば、解体や残置物(家の中に残った家具・荷物)の処分を前提とせず、傷んだ建物や荷物が残った状態のまま買い取れるケースがあります。
この場合、売主が解体や家財の処分を手配せずに済みます。
工事などの費用が買取価格に反映されることもあるため、諸費用を差し引いた手取り額まで確かめましょう。
「まとまったお金を用意できない」「片づける気力も時間もない」という方も、検討しやすい処分方法です。
買取の詳しい仕組みや相場については、空き家の買取について解説した記事もあわせてご覧ください。

処分費用を回収できるかは土地の需要も見て判断する
空き家の処分では、「いくらかかるか」と「売却代金で回収できるか」をセットで考えましょう。
空き家ごとの条件が違うため、空き家の売却相場を一律に示すことはできません。
とくに取引事例や買い手の少ない地域では、周辺の売出価格だけで、実際に売れる金額を判断するのは難しくなります。
都市部など、土地に需要があれば解体費用を売却代金でまかなえる場合もあります。
ただし、必ず回収できるわけではありません。
地方や郊外で買い手がいなければ、100万円かけて更地にしても売れず、支出だけが残ることもあります。
だからこそ、費用の話は「立地に需要があるか」とセットで考える必要があります。
見積もりや査定を頼むときは、次の3点を分けて聞くと比べやすくなります。
- 先に用意するお金:売却代金が入る前に支払う解体・家財処分などの費用
- 最後に残るお金:売却代金から、売主が負担する費用を差し引いた金額
- 処分までの負担:税金・管理費と、売却までにかかる期間
空き家の処分費用の内訳と相場を押さえる
- 解体費
- 残置物の処分費
- 売却の諸費用
- 税金
木造の解体は坪5万~7万円、残置物の処分は状態によって5万~300万円が目安です。同じ物件でも、どこまで作業を頼むかで総額は変わります。
まずは、どの費用が自分の空き家にかかるのかを押さえておきましょう。
解体費用の相場は木造で坪5~7万円が目安
解体費用は、建物を取り壊し、廃材を撤去・処分するための費用です。
おおよその金額は、建物の構造と延べ床面積(坪数)から計算できます。
構造別の坪単価の一般的な目安は次のとおりです。
| 建物の構造 | 坪単価の目安 | 30坪の場合の概算 |
|---|---|---|
| 木造 | 坪5万~7万円 | 150万~210万円 |
| 鉄骨造 | 坪6万~9万円 | 180万~270万円 |
| RC造(鉄筋コンクリート造) | 坪7万~10万円 | 210万~300万円 |
坪単価はあくまで目安で、立地や現場の条件で上下しますが、都市部の解体は坪単価が高くなりやすく、木造の一般的な目安を大きく上回る傾向があります。
見積もりは複数の解体業者から取り、自分の空き家ではいくらかかるのかを確かめましょう。

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残置物の処分費用は状態で5万~300万円と差が出る
見落とされがちなのが、空き家に残った家具・家電・生活用品などの残置物の処分費用です。
相続した実家などでは、家財がそのまま残っていることが多く、量によって費用が大きく変わります。
一般的な一戸建てを想定した目安は次のとおりです。
- 家具・家電が少し残っている程度:5万~20万円
- 家財道具が一式そのまま残っている:40万~70万円
- ゴミ屋敷に近い状態:100万~300万円
家財の量や処分する範囲によって、数十万円単位の差が生まれることがあります。

なお、空き家に強い買取業者に現状のまま売る場合は、この残置物の処分費用を買主側が負担するケースもあります。
売却にかかる諸費用は仲介手数料・印紙・登記で決まる
不動産仲介会社を通じて売却する場合は、成約時に仲介手数料がかかります。
売買価格が400万円を超える場合、課税事業者の仲介手数料は、原則として次の計算式が上限です。
課税事業者の仲介手数料=(売買価格×3%+6万円)×1.1
売買価格に建物の消費税が含まれていれば、その税額を除いて計算します。
また、売買価格800万円以下の物件には、売主から受け取る報酬を最大33万円(税込)までとする特例があります。
この特例を使うには、事前の説明と合意が必要です。空き家だけに限られる制度ではありません。
このほか、紙の売買契約書には、契約金額に応じた印紙税がかかります。
相続登記や抵当権抹消が必要なら、登録免許税や司法書士への報酬も見込んでおきましょう。金額は、登記の種類や不動産の評価額によって変わります。
名義変更や抵当権抹消、境界確定などにかかる費用を、買取業者が負担するケースもあります。誰がどこまで負担するのか、契約前に書面で確認しましょう。
売却益には譲渡所得税がかかるが空き家特例で軽減できる
空き家を売って利益(譲渡所得)が出た場合は、譲渡所得税がかかります。
相続した空き家には、一定の要件を満たすと、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります。
ただし、2024年以降の譲渡で対象の家屋・敷地を取得した相続人が3人以上の場合は、1人当たり最大2,000万円です。
たとえば譲渡所得が2,000万円の場合でも、この特例が使えれば控除内に収まり、譲渡所得税がかからない計算になります。
特例を使うには、次のような要件を満たす必要があります。
- 1981年5月31日以前に建築され、区分所有建物登記がされていない家屋であること
- 相続開始直前に、原則として亡くなった方が1人で住んでいたこと
- 原則として相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ現行制度では2027年12月31日までに売ること
- 売却代金が1億円以下で、相続後の居住・賃貸・事業利用などに関する要件を満たすこと
耐震・解体にも条件があります。
2024年以降の譲渡では、売却後、翌年2月15日までの耐震改修や取壊しで要件を満たす方法もあります。
特例のために先に解体すべきか迷う場合は、契約前に税務署や税理士へ確認しましょう。適用には必要書類を添えた確定申告が必要です。

更地にすると固定資産税の軽減が外れ負担が増える
解体して更地にする際に注意したいのが、固定資産税です。
住宅が建っている土地には、税負担を軽くする「住宅用地の特例」があります。
住宅1戸につき200㎡までの部分は、固定資産税の課税標準額が価格の6分の1になります。
建物を解体すると、原則として翌年からこの特例が外れ、土地の税負担が増える可能性があります。
一方で、建物分の税はなくなるため、土地と建物を合わせて、解体前後でいくら変わるのかを確認しておきましょう。
解体のタイミングによっては、更地のまま買い手を待つ間の税負担が思いのほか重くなることがあります。
解体してから処分する場合は、この税金の増加も費用の一部として見込んでおくと安心です。
空き家の処分費用が高くなる5つのケース
同じ空き家でも、前面道路が狭い・アスベストを含む・鉄骨造やRC造・残置物が大量といった条件が重なると、費用は大きく膨らみます。
自分の空き家に当てはまるものがないか、見ていきましょう。
「なぜ高くなるのか」を知っておくと、見積もりの妥当性を判断しやすくなります。
前面道路が狭く重機が入れないと解体費が上がる
家の前の道路が狭く、重機(パワーショベルなどの解体機械)が入れない現場では、解体費用が上がります。
機械が使えない分を手作業で解体することになり、人手と工期が増えるためです。
再建築不可(今の建物を壊すと建て替えられない土地)の物件などで、前面道路が狭い場合は特に注意が必要です。
重機が入れるか、廃材を運び出せるかを、見積もりの際に確かめましょう。

アスベスト含有で100万~300万円の追加費用がかかる
古い建物では、屋根材や外壁、断熱材などにアスベストが使われていることがあります。
アスベストは飛び散ると健康被害のおそれがあるため、法令にもとづく除去・処分が必要です。
含有レベルによっては、100万~300万円ほどの追加費用がかかることもあります。
2006年9月より前に着工した建物には、石綿を含む建材が使われている可能性があります。
ただし、建築時期だけでは含有の有無を判断できないため、解体前の事前調査が必要です。
築年数の古い空き家では、この追加費用の可能性も念頭に置いておきましょう。
出典:厚生労働省:建築物の解体・改修工事を行う事業者のみなさまへ
鉄骨造やRC造は木造より坪単価が高い
前述のとおり、解体費用は建物の構造によって坪単価が変わり、鉄骨造やRC造は木造より高くなります。
頑丈な構造ほど取り壊しに手間がかかるためです。
「実家だから木造」と思い込んでいても、一部が鉄骨造だったり基礎が大きかったりすると、想定より高くなることがあります。
建物の構造は、登記事項証明書(登記簿)や建築時の書類で確認できます。
見積もりを頼む前に、一度目を通しておくと安心です。
残置物やゴミが大量だと処分費が数百万円になる
家の中の残置物が大量に残っていると、解体前にそれらを撤去・処分する費用が別途かかります。
前述のとおり、ゴミ屋敷に近い状態では100万~300万円に達することもあり、解体費用そのものと同じくらいの負担になる場合もあります。
自分で運び出せる分を減らせば、費用を抑えられます。
ただ、遠方に住んでいたり、高齢だったりすると、思うように片づけられないこともあるでしょう。
その場合は、残置物ごと現状のまま買い取ってもらう方法も選択肢になります。
繁忙期や積雪地は解体費が高くなりやすい
解体業者にも繁忙期があり、依頼が集中する時期は費用が高くなりがちです。
また、積雪地では冬場の作業効率が落ちるため割高になったり、そもそも作業できる時期が限られたりします。
急ぎでなければ、業者の閑散期を選ぶことで費用を抑えられる可能性があります。
処分に伴う解体の時期は、固定資産税にも関わります。
工事代が安くなる分と税負担が増える分を比べて、いつ頼むかを決めましょう。
空き家を処分する方法と費用をかけない選択肢
空き家を処分する方法は、仲介売却・解体して更地売却・買取・寄付や無償譲渡・相続土地国庫帰属制度などです。
相続するかを判断する段階なら、相続放棄という選択肢もあります。まずは、次の3つを基準に考えてみましょう。
- 立地に需要があるか:解体費や諸費用を売却代金で回収できるか
- 先払いできるか:解体費などのまとまった現金を用意できるか
- 処分までにどれだけ待てるか:時間をかけてよいか、早く処分したいか
需要のあるエリアはそのまま仲介で売却する
買い手が見込める立地で、建物もある程度使える状態なら、不動産仲介会社を通じてそのまま売却するのが基本です。
持ち出しが少なく、需要があれば相応の価格で売れる可能性があります。
仲介では、住まいを探す個人など、物件の条件に合う買主を探すことになります。
そのため需要の少ない空き家では、買い手が現れるまで半年以上、場合によっては何年も売れないこともあります。
売り出したまま売れずに、その間の維持費と税金だけが出ていく状況は避けたいところです。
建物が危険なら解体して更地で売却する
老朽化して倒壊のおそれがあるなど、建物を残すことがかえってマイナスになる場合は、解体して更地で売る方法があります。
更地は買い手の用途が広く、需要のある土地なら売りやすくなります。
一方で、規模や条件によって解体費用は100万円を超え、更地にすると住宅用地の特例も原則として外れます。
「解体費用をかけても、その分を売却代金で回収できる立地か」を必ず確かめてから判断しましょう。
空き家に強い買取業者に現状のまま売る
買い手が見つかりにくい、あるいは解体や家財の処分費用をかけたくない場合に現実的なのが、空き家に強い買取業者への売却です。
買取業者は買い取った物件を再生・再販することを前提にしているため、一般の買い手がつかない物件でも値を付けられることがあります。
傷んだ建物や家財をそのまま引き受けてもらえるなら、売主が解体や家財の処分を手配せずに済みます。
ただし、登記や税金まで含めて持ち出しがなくなるかは、契約条件によります。売主が何を支払うのかを確かめておきましょう。
需要の高いエリアなら仲介のほうが高く売れる場合もあるため、「まず仲介、難しければ買取」と比較しながら処分方法を選びましょう。
自治体やNPOへの寄付は受け手が限られる
「売れないなら誰かに譲りたい」と考える方も多いですが、自治体やNPOへの寄付・無償譲渡は、実際には受け手が限られます。
自治体によっては不動産の寄付を受け付けていません。
NPOや個人への譲渡も、相手に使い道がなければ成立しないため、まず受け入れの可否を確認しましょう。
無償で譲る場合でも、名義変更の登記などには費用がかかります。
誰が負担するか、事前に決めておきましょう。
税金の扱いは、譲る相手が個人か法人かなどによって変わり、譲る側に課税される場合もあります。契約前に税務署や税理士へ確認しておきましょう。
相続土地国庫帰属制度で国に引き取ってもらう
相続した土地を処分する方法として、2023年に始まった相続土地国庫帰属制度があります。
一定の要件を満たせば、相続などで取得した土地を国に引き取ってもらえる制度です。
ただし、建物がある土地は、そのままでは申請できません。家を残したまま処分することはできず、解体が必要です。
ほかにも、境界や権利関係などの要件を確かめておきましょう。
手続きでは、主に次の費用がかかります。
- 審査手数料:1筆につき1万4,000円
- 承認後の負担金:基本20万円。※10年分の管理に要する標準的な費用をもとに算定されます。
市街化区域や用途地域内の宅地などは、面積に応じた算定となるため、20万円を超える場合があります。
買い手が見つからない土地の処分方法の1つですが、要件と負担額を確認してから検討しましょう。
相続放棄は相続開始を知ってから原則3か月以内に行う
相続放棄とは、亡くなった方の財産も負債も、すべて受け継がない手続きです。家庭裁判所へ申述して行います。
利用予定のない空き家を引き継がずに済む方法ですが、いくつか注意点があります。
相続放棄は、自分のために相続が始まったと知ってから、原則3か月以内に、家庭裁判所へ申述します。
相続財産を売るなどの行為によっては、相続を承認したと扱われ、放棄できなくなる場合があります。財産を処分する前に、弁護士などへ確認しましょう。
また、預貯金など他の遺産も一切受け取れなくなります。
相続放棄後に残る保存義務については、後述の「状況別」で説明します。
出典:裁判所:相続の放棄の申述
空き家の処分費用を抑える方法と使える補助金
処分費用を抑えるには、解体費用と残置物の処分費を見直すのが基本です。
相見積もりや補助金、自分でできる片づけなど、取り組めるものから考えてみましょう。
補助金は自治体ごとに条件があり、必ず使えるわけではありません。
解体の時期を調整できるかも含め、無理のない処分方法を選ぶことが大切です。
解体業者は相見積もりを取って費用を比較する
解体費用は業者によって数十万円単位で差が出ることがあります。
1社の見積もりだけで決めず、複数の解体業者から相見積もりを取り、費用と工事内容を比較しましょう。
その際、極端に安い見積もりには注意が必要です。
廃材の処分やアスベスト対応などが見積もりに含まれているか、追加料金が生じる条件は何かを確認しましょう。
安さだけで決めず、「なぜその金額でできるのか」まで説明してもらうことが大切です。
自治体の解体補助金や助成金がないか確認する
自治体によっては、老朽化した危険な空き家の解体に補助金や助成金を設けています。
金額や条件は地域ごとに異なりますが、解体費の一部として数十万円が補助される制度もあります。
たとえば京都市には、対象の老朽木造建築物の除却に対する補助制度があります。
まずは物件がある市区町村の名前と「空き家 解体 補助金」で検索するか、役所の担当窓口に直接問い合わせてみましょう。
補助金には、対象区域や建物の老朽度、所有者、予算などの条件があります。
特に気をつけたいのが申請の時期です。契約・着工前に申請や交付決定が必要な制度もあるため、業者へ処分を依頼する前に、その年度の募集要項を確認しましょう。
残置物は自分で片づけられる分を減らす
残置物の処分費は量や搬出条件で変わるため、自分で処分できる分を減らしておくと負担を抑えられます。
まだ使える家具・家電はリサイクルショップやフリマアプリで売る、粗大ごみは自治体の回収を使う、といった方法があります。
なお、テレビ・冷蔵庫など家電リサイクル法の対象品は、通常の粗大ごみ処分とは処分方法が異なります。
とはいえ、遠方に住んでいる・高齢である・仕事が忙しいといった事情で、家財の処分に時間を割けない方も少なくありません。
無理をして体を痛めたり、何年も手つかずのままになるより、残置物ごと現状のまま買い取ってもらうほうが結果的に負担が軽いこともあります。
建物の解体は固定資産税の課税日を考えて時期を選ぶ
固定資産税は、毎年1月1日時点の状態にもとづいて課税されます。
1月1日より前に住宅を解体して更地になっていれば、原則としてその年から住宅用地の特例が外れます。
土地の税負担が増える可能性があるため、年末に解体する場合は注意しましょう。
一方、1月1日時点で特例の要件を満たしていれば、その後に解体しても、当年の土地の課税には特例が適用されます。
税額と売却予定を市区町村や仲介会社に確認し、解体の時期を決めましょう。
ただし、勧告ですでに特例の対象外となっている土地は別です。
倒壊のおそれがある建物などは、税負担を理由に必要な対応を遅らせないようにしましょう。
不動産は信頼できる1社に相談して条件を決める
解体業者は、相見積もりで比較するのが有効です。
一方、不動産の売却・買取では、やみくもに何社にも同時に当たるより、空き家に強く信頼できる1社をじっくり見極めるほうが、結果的にスムーズに進みやすくなります。
とくに買取では、査定額の根拠や、残置物・解体の扱い、契約後の流れまで丁寧に説明してくれるかが見極めのポイントです。
最初の査定額と現地確認後の提示額が異なる場合は、変更の理由を確認してください。金額の高さだけでなく、条件が書面で明確になっているかも判断材料です。
【状況別】空き家の処分費用と進め方を確認しよう
田舎で買い手がつかない・費用が払えない・相続放棄したい・急ぎたいなど、状況によって最適な進め方は変わります。
次の4つの状況に分けて、進め方を確認します。
田舎で買い手がつかない空き家は0円でも売れないことがある
地方や郊外では、空き家を処分したくても買い手が見つからないことがあります。
前述のとおり、相場は需要があって初めて成り立つもので、需要のない地域では価格を0円まで下げても引き取り手が見つからないことがあります。
こうした地域では、「安くすれば売れる」という一般的な考え方が通用しません。
そこで、専門の買取業者への相談や、相続土地国庫帰属制度など、別の処分方法も検討しましょう。
買取には買主側の活用・再販の見込みが必要で、国庫帰属にも要件や負担金があります。
自分の物件で使える方法を絞っていくことが大切です。
仲介で売れる見込みが薄いなら、値下げを繰り返す前に、ほかの方法で処分できないかを相談してみましょう。
処分費用が払えないなら現状のまま買取に出す
「解体費用や家財の処分費用が払えない」という方にとって、先に工事代を払う更地売却は選びにくい方法です。
空き家に強い買取業者なら、傷んだ建物や家財が残ったままでも買い取れるケースがあります。
その条件で売れれば、売主が解体費用や家財の処分費を用意せずに手放せます。
まとまった現金を用意できずに迷っているなら、解体費用だけでなく、登記や税金も含めて持ち出しを抑えられるかを相談してみましょう。
相続放棄しても保存義務が残る場合がある
相続放棄をしても、放棄の時点での占有状況によっては、建物を保存する義務が残ります。
2023年4月施行の改正民法940条では、放棄の時点で財産を「現に占有している」人に、保存義務があるとされています。
相続人や相続財産清算人へ引き渡すまでは、自分の財産と同じ注意をもって保存しなければなりません。
現に占有しているかは、実際に住んでいるか、どのように管理しているかなどの事情によります。
鍵を持っていることだけで一律に決まるわけではありません。
相続人がいることが明らかでない場合などには、相続財産清算人の選任が必要になることもあります。
報酬などを相続財産でまかなえなければ、予納金を求められる場合もあります。
申立ての際に、裁判所へ費用を確認しておきましょう。
相続放棄は万能ではなく、放棄後の扱いまで見据えて判断することが大切です。
出典:裁判所:相続財産清算人の選任
出典:横須賀市:空き家に関するよくある質問
急いで処分したいなら解体せずに売れる買取を検討する
転勤・資金の都合・親の介護など、事情があって早く処分したい場合、仲介での売却は買い手が現れるまで時間が読めません。
解体して更地にする方法も、工事の手配や近隣への配慮で数か月かかることがあります。
急ぐ場合は、解体や家財の処分をせず、現状のまま買い取ってもらえるかを確認しましょう。
買主を探す期間がいらない分、仲介より早く現金化できる場合があります。
ただし、査定や権利関係の確認には日数が必要です。希望する期限に間に合うか、引渡しと入金の日程まで聞いておきましょう。
スピードを優先したい場合の有力な処分方法として覚えておきましょう。
空き家を処分せず放置し続けるとかかる費用とリスク
空き家は処分せず放置しても費用がかかり続けます。
税金や維持費に加え、放置した結果、行政による解体の費用や損害賠償などを負担するおそれもあります。
今かかる処分費用だけでなく、「持ち続けるといくらかかるか」も比べてみましょう。
放置した場合の負担を、具体的に見ていきましょう。
特定空家等の勧告を受けると土地の税負担が増えることがある
特定空家とは、倒壊の危険や衛生・景観上の問題があり、放置が不適切と行政が判断した空き家のことです。
通常は「助言・指導 → 勧告 → 命令 → 行政代執行」の段階で対応します。
ただし、災害などで緊急の対応が必要な場合の代執行など、例外も設けられています。
(出典:国土交通省:空き家対策)
勧告を受けると、住宅用地の特例の対象から外れます。
住宅1戸につき200㎡までの部分は、固定資産税の課税標準額が価格の6分の1になる特例です。
ただし、特例が外れても、実際の税額がそのまま6倍になるとは限りません。
特例から外れるきっかけは、特定空家等と判断されたことだけではなく、「勧告」を受けることです。
負担調整措置などによって実際の税額は変わるため、増加額は市区町村の固定資産税担当窓口へ確認しましょう。
2023年の法改正では、その手前の段階にあたる「管理不全空家」も勧告の対象になりました。危険な状態が進む前でも、税の軽減が外れる可能性があります。

維持費は毎年数十万円になる場合もある
特定空家に指定されなくても、空き家を持ち続ける限り維持費はかかり続けます。
- 固定資産税・都市計画税
- 火災保険料
- 電気や水道の基本料金
- 定期的な管理・清掃の費用
遠方の空き家では、通うための交通費や、管理代行サービスの利用料も加わります。
物件や管理方法によっては、これらを合計して年間数十万円になる場合もあります。
「使わないのに毎年出ていくお金」を、いつまで払い続けるのか。こうした視点でも考えてみてください。
倒壊や火災で近隣に損害賠償を負う可能性がある
管理されない空き家は老朽化が早く、台風や地震で建物の一部が崩れるおそれがあります。隣家や通行人に被害を与えれば、所有者が損害賠償責任を負う可能性もあります。
民法では、建物などの工作物の管理に不備があって他人に損害を与えた場合、所有者が責任を問われうると定められています。
火災による近隣への賠償責任は、出火の原因や故意・重大な過失の有無などで変わります。
所有者だからといって、すべての延焼被害に賠償責任を負うわけではありません。
金銭面だけでなく、建物の状態や近隣への影響を気にかけ続ける負担もあります。
行政代執行になると解体費を全額請求される
勧告・命令を経ても改善しない場合、最終的に行政代執行に至ることがあります。
行政代執行とは、所有者に代わって行政が強制的に解体・撤去を行い、その費用を所有者に請求する手続きです。
代執行に必要な費用は、所有者などの義務者から徴収されます。自分で業者を選んで工事内容や費用を調整することはできません。
さらに、命令に違反した場合は50万円以下の過料が科される可能性もあります。
処分費用をかけたくないと放置した結果、負担が増えるおそれがあります。
解体費用を用意できない場合は、代執行に至る前に、解体せず現状のまま売却できるかなど、処分方法を相談しましょう。
空き家の処分費用に関するよくある質問
処分にあたって疑問に感じやすい点を、Q&Aでまとめます。
- 空き家の処分費用は誰が払うのですか?
-
原則として所有者(相続した場合は相続人)が負担します。ただし現状のまま買取に出す場合は、解体や家財の処分を買主側が行うケースもあります。売主が負担する税金や登記なども含め、契約前に確認しましょう。
- 費用をかけずに空き家を処分する方法はありますか?
-
専門の買取業者に現状のまま売れば、解体や家財の処分を売主が行わずに済む場合があります。買い手が見込めるエリアなら、そのまま仲介で売る方法もあります。ただし、税金や登記なども含めて費用がなくなるかは、契約条件や売却価格によります。
- 空き家の解体費用に補助金は使えますか?
-
自治体によっては老朽化した危険な建物の解体に補助金があります。
条件や金額は自治体ごとに異なり、すべての物件が対象になるわけではありません。
契約・着工前の申請が必要な制度もあるため、市区町村の窓口に確認しましょう。
- 田舎の空き家で買い手がつかない場合はどうすればいいですか?
-
需要が乏しい地域では、価格を下げても売れないことがあります。
専門の買取業者への相談や、相続土地国庫帰属制度など、別の処分方法を検討しましょう。
ただし、買取には活用・再販の見込みが必要で、国庫帰属は建物のある土地を対象にできず、要件や負担金もあります。
- 処分費用が払えないまま放置するとどうなりますか?
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土地の税金や維持管理の費用が続き、特定空家等や管理不全空家等として勧告を受けると、住宅用地の特例から外れる可能性があります。
行政代執行に要した費用も徴収の対象です。
解体や家財の処分をせずに売れるかなど、早めに相談しましょう。
まとめ|空き家は処分方法を選んで費用の負担を抑える
空き家の処分費用は、処分方法と物件の条件によって、数万円で済む場合から300万円を超える場合まで大きく変わります。
解体して更地で売るなら、まとまった支払いが先に発生します。一方、空き家に強い買取業者へ現状のまま売れば、解体や家財の処分を売主が行わずに済む場合があります。
大切なのは、必要な費用と、売却代金で回収できるかを確かめることです。
土地に需要があっても、解体費を必ず回収できるとは限りません。工事を頼む前に、そのまま売る場合と、更地で売る場合の手取りを比べておきましょう。
「田舎で売れない」「先払いが難しい」「急いで処分したい」という方は、買取も検討してみてください。先延ばしにする間の維持費や税金も含めて考えることが大切です。

