空き家を手放したい人必見!7つの方法と後悔しない選び方を解説

使わない空き家を持て余し、固定資産税と管理の手間だけが毎年出ていく。そんな状況が続き、「もう手放したい」と感じていないでしょうか。

仲介に出しても売れない、相続で引き継いだものの遠くて通えない、兄弟と話がまとまらない。そうした理由で動けないまま時間だけが過ぎている方は少なくありません。

空き家を手放したいと考える方の多くが本当に求めているのは、「1円でも高く売ること」よりも「所有の負担から解放されること」です。

空き家を手放す方法は、売却だけではありません。譲る・返す・解体まで含めると、選べる手は全部で7つあり、相続の場面なら相続放棄という選択肢も加わります。

この記事では、それぞれの方法と費用、そして「自分の空き家は現実にどれで手放せるのか」の選び方までを整理します。

あわせて、寄付や無償譲渡が実際にはうまくいきにくい理由や、売れない空き家でも残されている出口まで、都合の悪い事実も含めて正直にお伝えします。

この記事の監修者

株式会社AlbaLink(アルバリンク)

空き家や共有持分、再建築不可物件、事故物件、ゴミ屋敷など、売れにくい不動産の買取を専門とする不動産会社。

豊富な実務知見をもとに、当記事の監修・作成協力を行っています。

  • 東証グロース上場企業
  • 年間相談件数25,000件超(2025年実績)
  • 全国の不動産に対応
目次

空き家を手放す方法は全部で7つ!まず全体像と選び方を知ろう

空き家を手放すとは、売却・譲渡・返還などによって、その空き家の所有権と管理の責任を自分から切り離すことをいいます。

方法は「売る」と「売る以外で手放す」の2系統で全部で7つあり、相続が発生した段階なら相続放棄という選択肢も加わります。

どれを選ぶべきかは、「買い手がつく物件か」「手放すまでの時間をどれだけ待てるか」「手放すために費用を出せるか」の3点で決まります。

まずは全体像と、自分がどこに当てはまるかを確認しましょう。

手放したい気持ちの正体は所有し続ける負担にある

空き家を手放したいという気持ちの多くは、「使わない家を持ち続けること自体が負担になっている」ことから生まれます。

空き家を所有し続けることによる負担は、大きく次の3つに整理できます。

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負担の種類主な内容
経済的な負担固定資産税・都市計画税、火災保険料、庭木や建物の管理費が毎年かかる
管理・法的な負担特定空家への指定、倒壊や落下による近隣被害、損害賠償の可能性
精神的な負担「いつか誰かに迷惑をかけるのでは」という不安、子世代への負の相続

見落とされがちなのが、3つ目の精神的な負担です。

持っているだけでお金が減り、いつか近隣に迷惑をかけるかもしれないという不安は、終わりが見えないまま続きます

空き家を手放すことは、この「終わりのない不安」を断ち切る手段でもあります。

金額の損得だけでなく、不安を抱えたまま何年も過ごさなくてよくなることも、手放す大きなメリットです。

手放す方法を選ぶときは「どれがいちばん高く売れるか」だけでなく、「どれなら確実に、いつまでに手放せるか」という視点が大切になります。

空き家を手放す方法は大きく2系統に分けられる

空き家を手放す7つの方法は、次の2系統に整理できます。

系統手放す方法
売る不動産仲介会社に依頼して売る(仲介)
不動産買取会社に直接買い取ってもらう(買取)
売る以外で手放す個人へ無償譲渡する
自治体や法人へ寄付する
空き家バンクに登録する
相続土地国庫帰属制度で国に返す
解体して更地にする

なお、相続が発生した段階に限っては、これら7つとは別に「相続放棄する(遺産を引き継がない)」という選択肢もあります(詳しくは後述します)。

「売る」がうまくいくなら、それがもっとも手取りが多く確実な方法ですが、問題は買い手がつかない空き家をどう手放すかです。

その場合に「売る以外で手放す」方法が候補になりますが、後述するように、これらは条件が厳しく誰でも使えるわけではありません

空き家を売って手放す方法は仲介と買取の2つがある

空き家を売って手放す方法は、仲介と買取の2つです。

仲介は、不動産仲介会社に依頼して一般の買い手を探してもらう方法です。

買い手が見つかれば希望に近い価格で売れる可能性がありますが、買い手がつくまで数か月から、需要のないエリアでは何年も売れないこともあります

買取は、不動産買取会社に物件を直接買い取ってもらう方法です。

価格は仲介より下がるのが一般的ですが、買い手を探す必要がないため、早ければ数日から数週間で現金化でき、手放すまでの期間を自分でコントロールしやすいのが特徴です。

どちらを選ぶかは、物件に一般の買い手がつく見込みがあるか、手放すまでにどれだけ時間をかけられるかで変わります。

どの方法があなたの空き家に合うかは需要と時間と費用で決まる

7つの方法のうち自分に合うものは、次の3つの軸で判断できます。

買い手がつく物件か

立地に需要があり建物が使える状態なら仲介、需要が薄い・訳あり要素があるなら買取や売る以外の方法が候補になります。

手放すまでの時間をどれだけ待てるか

早く手放したいなら買取、時間をかけてでも高く売りたいなら仲介が向きます。

手放すために費用を出せるか

解体や寄付、国庫帰属制度は、手放すために数十万~数百万円の費用が先に必要になることがあります。費用をかけたくないなら、現状のまま引き取ってもらえる買取が現実的です。

とくに空き家では、「そもそも買い手がつくのか」が最初の分かれ道になります。

ここで需要が見込めない場合、後述する「売る以外で手放す方法」や「状況別の出口」を検討することになります。

【比較表】空き家を手放す7つの方法を一覧で比較

7つの方法を、費用・手放すまでの期間・手取り・成立しやすさで比較すると次のとおりです。

金額や期間は物件やエリアで大きく変わるため、あくまで目安として捉えてください。

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方法費用の目安手放すまでの期間手取り成立しやすさ
仲介で売る仲介手数料などがかかる数か月~(売れないことも)高め需要がなければ低い
買取で売るほぼかからない数日~数週間中程度高い(訳ありも可)
個人へ無償譲渡契約・登記費用相手が見つかれば早いなし(0円)相手探しが難しい
自治体・法人へ寄付状況による数か月~なし低い(原則断られる)
空き家バンク登録登録は無料が多い買い手次第で長期物件次第低め
相続土地国庫帰属解体費+負担金審査に数か月~なし(費用負担)要件が厳しい
解体して更地解体費が必要解体後に売却土地代−解体費土地に需要があれば

「売る以外で手放す」方法は、費用がかかる・成立しにくい・手取りがないなど、ハードルが高いものが多いのが実情です。

次章で、それぞれの現実的な成立条件を詳しく見ていきます。

「売る以外」で空き家を手放す方法と成立するための条件は?

仲介や買取で売れない空き家は、無償譲渡・寄付・空き家バンク・相続土地国庫帰属制度・解体更地といった「売る以外」の処分方法でも手放せる可能性があります。

ただし、いずれも「誰でも使える簡単な方法」ではありません。

寄付は原則断られ、国庫帰属制度は建物の解体と負担金が必要になるなど、成立の条件が厳しい点を先に知っておくことが大切です。

個人への無償譲渡は贈与税がかかる

無償譲渡とは、対価を受け取らずに空き家を他人へ譲り渡すことをいいます。

近隣の人や、その土地を使いたい個人がもしも見つかれば、売れない空き家でも手放せる可能性があります。

ただし注意したいのは、無償で譲り受けた側には贈与税がかかる点です。

個人から個人への贈与では、1年間に受け取った財産の合計が基礎控除の110万円を超えると、超えた分に贈与税が課されます(出典:国税庁「No.4402 贈与税がかかる場合」)。

空き家であっても土地・建物の評価額が110万円を超えれば、もらった側に税負担が生じます

たとえば、評価額の合計が500万円の空き家を親族以外からタダで譲り受けたとします。

基礎控除110万円を差し引いた390万円が課税対象となり、一般贈与の税率20%・控除額25万円で計算すると、受け取った側におよそ53万円の贈与税が生じます(390万円×20%−25万円)。

「タダであげるのだから相手も喜ぶはず」と考えがちですが、受け取る側からすれば、この税金に加えて、その後の固定資産税・管理の負担まで引き受けることになります。

そのため、あげたくても相手がなかなか見つからないのが現実です。

譲渡後のトラブルを避けるには、契約書の作成や名義変更(所有権移転登記)もきちんと行う必要があります。

相手が見つからず手放せないままなら、空き家に強い買取会社への相談が確実な場合もあります。

契約書の作成や名義変更の手続きごと引き受け、現状のまま買い取ってもらえるためです。

自治体への寄付は原則受け付けられない

「使わない空き家を自治体に寄付できないか」と考える方は多いのですが、自治体への寄付は原則として受け付けてもらえないのが実情です。

自治体が土地や建物の寄付を受けると、その固定資産税が徴収できなくなり、さらに管理の責任を負うことになります。

公園や道路など具体的な活用予定がある場合を除き、自治体側に受け入れる動機がないため、断られるケースがほとんどです。

個人が「引き取ってほしい」と申し出ても、行政の立場からは受け入れが難しいという構造を理解しておく必要があります。

法人(企業やNPOなど)への寄付も同様で、その土地や建物を使う具体的な目的がなければ成立しません。

寄付は「うまくいけばラッキー」という程度に考え、本命の手放し方としては期待しすぎないほうがよいでしょう。

空き家バンクは登録できても成約しにくい

空き家バンクとは、自治体が空き家の情報を登録し、所有者と利用したい人をつなぐ仕組みです。

登録は無料のことが多く、地域によっては改修費用の補助が受けられる場合もありますが、登録できることと売れる(成約する)ことは別です。

空き家バンクは一般の認知度が低く、家を探す人の多くは大手の不動産ポータルサイトを使います。

また、多くの自治体はあくまで情報の掲載を行うだけで、価格交渉や契約の仲介まではサポートしないため、登録しても問い合わせがないまま時間が過ぎることも珍しくありません

空き家バンクは「登録しておけば手放せる」方法ではなく、「地域に住みたい人が現れるのを待つ」方法です。

急いで手放したい場合や、そもそも需要が薄いエリアでは、これだけに頼るのは現実的とはいえません。

国庫帰属制度は解体と負担金が必要

相続土地国庫帰属制度とは、相続した土地を一定の要件のもとで手放し、国に引き取ってもらえる制度です(2023年4月開始。出典:法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」 )。

「国が引き取ってくれるなら」と期待する方が多い制度ですが、条件は厳しく設定されています。

まず、対象は土地のみで、建物が建っている土地は対象外です。空き家がある場合は、事前に自費で解体して更地にする必要があります。

さらに、境界が明確であること、担保権が設定されていないこと、通常の管理に過分な費用や労力がかからないことなど、複数の要件を満たさなければなりません。

加えて、承認されても負担金の納付が必要です。

負担金は、土地の管理費用のおおむね10年分に相当する額で、宅地の場合は原則20万円ですが、面積などによって算定される場合もあります(出典:法務省「相続土地国庫帰属制度の負担金」)。

審査手数料も別途かかります

「無料で国に返せる」わけではなく、解体費と負担金という費用を負担して、ようやく手放せる制度だと理解しておく必要があります。

解体して更地にすると税負担が増える

古い空き家は、建物があるままでは買い手がつきにくいため、解体して更地にすると土地として売りやすくなることがあります。

買い手が「解体の手間と費用がかからない」と感じるためです。

ただし、解体には費用がかかります。

木造家屋の解体費は一般的に1坪あたり5万~7万円程度が目安とされ、30坪の家なら150万~200万円程度になることもあります

重機が入りにくい土地やアスベストを含む建材がある場合は、さらに高くなります

また見落としがちなのが、解体後の固定資産税の増加です。

建物が建っている土地は「住宅用地の特例」で固定資産税が軽減されていますが、解体して更地にするとこの特例から外れ、翌年からの固定資産税が上がります

解体は土地に確実に需要がある場合に限って検討するのが安全です。

売れる見込みが立たないうちは、解体せずに現状のまま買い取ってもらえる方法のほうがリスクは小さくなります。

【状況別】手放したいのに手放せない空き家の現実的な対処法

「手放したいのに手放せない」空き家には、たいてい理由があります。

共有でもめている、買い手がつかない、残置物が片づかない、遠方で動けない。こうした事情がある空き家ほど、一般の仲介では出口が見つかりにくくなります。

ここでは、手放せない原因ごとに現実的な出口を整理します。

いずれも、訳あり不動産に強い買取会社であれば対応できる場合があります。

共有名義の空き家でも自分の持分だけなら手放すことができる

相続した空き家を兄弟や親族と共有している場合、売却には共有者全員の同意が必要です一人でも反対すれば、家全体を売ることはできません

話し合いがまとまらず、共有のまま塩漬けになっているケースは多く見られます。

このとき知っておきたいのが、自分の持分だけなら単独で手放せるという点です。

他の共有者の同意がなくても、自分が持っている共有持分だけを買取会社などに売ることは可能です。

共有持分の売却・買取には専門的な知識が必要になるため、共有名義の不動産に強い会社への相談が現実的です。

「もめているから何もできない」とあきらめる前に、自分の分だけでも先に手放すという選択肢があることを覚えておくとよいでしょう。

仲介で売れにくい事情がある空き家は買取業者への相談が現実的

再建築不可の土地や事故物件など、一般の買い手がつきにくい空き家もあります。

再建築不可の物件とは、現在の建物を取り壊すと新しい建物を建て直せない土地のことで、住宅ローンが使いにくいため一般の購入希望者が敬遠しがちです

こうした物件は、資金に余裕のある人ほど「あえて訳あり物件を選ぶ理由がない」ため、仲介ではなかなか売れません。

現実的な出口は、再生・活用のノウハウを持つ買取会社への売却です。

買取会社は、リフォームして貸し出す・別の用途で活用するなど独自の出口を持っているため、一般には売れない物件にも値をつけられる場合があります。

事故物件では、買取であれば契約不適合責任(引き渡し後に見つかった不具合の責任)を免責にできる場合があり、売主が後々のトラブルを避けやすいというメリットもあります。

残置物やゴミが多く残っている物件でも片づけずに手放せる

家具や家電、生活用品などの残置物が残ったままで、「片づけないと手放せない」と考えて動けずにいる方も多くいます。

とくに遠方の実家では、片づけに通うこと自体が大きな負担です。

しかし、残置物の撤去は必ずしも自分で行う必要はありません。買取会社の中には、家財を残したままの状態で買い取るところがあります。

査定の際も「残置物をそのままにして買取を希望するか」は必ず確認される項目で、対応できる会社が存在します。

また、ゴミ屋敷のように大量の物がある場合でも、片づけずに相談できるケースがあります。

自分で撤去すると、量によっては十数万円から、ゴミ屋敷状態では100万円を超える費用がかかることもあります

撤去費用をかけずに手放したい場合は、現状のまま引き取ってもらえる買取が有力な選択肢になります。

遠方にある空き家でも写真と資料があれば手続きを進められる

「遠くに住んでいて現地に行けないから手放せない」という声もよく聞かれます。

しかし、遠方の空き家でも手放すことは可能です。

買取会社の多くは、問い合わせを受けると住宅地図や現地調査で物件の状況を確認し、写真や資料をもとに査定を進めます。

所有者が現地に立ち会えなくても、物件の情報を伝えれば話を進められる場合がほとんどです。

高齢で通うのが難しい方や、仕事で時間が取れない方でも、負担を抑えて手続きを進められます。

権利証(登記識別情報)が見つからない場合や、住宅ローンの抵当権が残っている場合でも、手続きは可能です。

いずれもよくある相談なので、「書類が揃っていないから」とためらう必要はありません。

お金を払ってでも手放したいなら引き取りという選択肢もある

「タダでもいいから」「むしろお金を払ってでも手放したい」という状態まで来ている空き家もあります。

有料引き取りとは、売却代金よりも解体・処分などのコストが上回るため、所有者側が費用を負担して手放す取引のことをいいます。

有料引き取りになるのは、主に次の3つの理由からです。

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理由詳細
直せない建物が傷みすぎて、リフォーム費用が売れる価格を超えてしまう
壊せない重機が入らない・再建築不可などで解体費が高くつく
需要がないそもそもその場所に住みたい人がおらず、固定資産税だけがかかり続ける

有料引き取りを検討する方の多くは、他社に断られたり、何年も放置して疲れ果てたりしています。

こうした相談では「いくらで売れるか」よりも「いつまでにこの問題が終わるか」という期限の確定が、最大の安心材料になります。

値がつかないと諦めていた空き家でも、費用の内訳を明確にしたうえで引き取りが成立し、負担から解放されるケースがあります。

「価値がないから」とあきらめる前に、費用がいくらかかるのか、いつ手放せるのかだけでも確認してみる価値はあります。

空き家を手放したい人が知っておくべき放置する4つのリスク

空き家は、所有しているだけで固定資産税や管理の負担が続きます。

放置すると、特定空家に指定されて税負担が増えたり、倒壊・火災で近隣への損害賠償を負ったりするおそれもあります。

手放す方針は早く決めるほど負担が軽くなります。

空き家は所有しているだけで税金と管理費が出ていく

空き家は、誰も住んでいなくても、毎年1月1日時点の所有者に固定資産税がかかります。

都市計画区域内であれば都市計画税も加わります(出典:総務省「地方税制度」)。

たとえば土地150平方メートル・建物延床100平方メートル程度の戸建てでは、地域や評価額によって幅がありますが、固定資産税と都市計画税を合わせて年間おおよそ10万~15万円程度になることがあります

これに火災保険料や、草木の管理を業者に頼む費用などが加わります。

住んでいれば「暮らしのための費用」ですが、空き家では「使っていない資産に払い続けるだけの費用」です。

出口が見えないまま毎年出ていく点が、所有者の負担になります。

行政から勧告を受けると固定資産税が最大6倍になる

特定空家とは、倒壊のおそれや衛生上の問題などがあり、そのまま放置するのが不適切だと自治体に判断された空き家のことです(出典:e-Gov法令検索「空家等対策の推進に関する特別措置法」)。

住宅が建つ土地は「住宅用地の特例」で固定資産税が最大6分の1に軽減されています。

ところが、特定空家に指定されて自治体から勧告を受けると、この特例から外れ、固定資産税(本体)が最大で6倍近くまで上がることがあります

なお都市計画税(軽減は3分の1)も含めた実際の負担増は、おおむね4倍前後になることが多いとされます。

正確に押さえておきたいのは、「指定された瞬間に6倍」ではなく、その先の勧告が引き金になる点です。助言・指導の段階で適切に対応すれば、増税には至りません。

ただし2023年12月からは、特定空家になる手前の「管理不全空家」(放置すればいずれ特定空家になるおそれのある状態)でも、勧告を受ければ同じく特例から外れます。

そのため、「まだ特定空家ではないから大丈夫」とは言い切れなくなっています。

さらに、勧告のあとの命令にも従わず危険な状態を放置した場合には、自治体が所有者に代わって建物を解体する「行政代執行」に至ることがあります。

この場合、解体にかかった費用は所有者に全額請求され、支払えなければ財産の差し押さえを受ける可能性もあります

放置は「何もしない」ではなく、最終的に費用の請求という形で跳ね返ってくる選択になり得ます。

倒壊や火災で近隣に被害を及ぼすと損害賠償を負うこともある

人が住まない家は、換気や補修がされないため劣化が早く進みます。

屋根材や外壁の落下、ブロック塀の倒壊などで他人にケガをさせたり、隣家を傷つけたりした場合、所有者が損害賠償責任を負う可能性があります(民法717条の工作物責任。出典:e-Gov法令検索「民法」)。

「必ず賠償になる」わけではありませんが、管理が不十分だったと判断されれば、責任を問われることは十分あり得ます。

遠方に住んでいて様子を見に行けない場合ほど、このリスクは静かに大きくなります。

空き家を手放すことは、こうした責任を抱え続けなくてよくなるという意味でも、精神的な負担の軽減につながります。

放置するほど傷んで手放しにくくなる

建物は、傷むほど買い手にとっての価値が下がります。

雨漏りや床の傷み、庭の荒れが進むと、そのままでは売れず、リフォームや解体を前提にしないと買い手がつかなくなっていきます。

放置している間に「売れる家」が「売りにくい家」へと変わっていきます。

方針を早く決めた人ほど選べる手が多く、遅れるほど選択肢が減っていきます。

「いつか手放そう」と考えているなら、傷みが進む前に動くほど、手放し方の選択肢は広く残ります。

空き家を手放すときにかかる費用や税金は?

空き家を手放すには、登記費用・譲渡所得税・解体費・残置物撤去費などがかかる場合があります。

金額は手放し方や物件の状態で大きく変わります。

これらの費用の多くは、買取であれば買主側が負担してくれるケースもあります。

「手放すのにお金がかかるのでは」と不安な方こそ、費用の全体像を押さえておきましょう。

名義変更や抵当権抹消が必要な場合は登記費用がかかる

空き家を売ったり譲ったりするときは、所有権を相手に移す所有権移転登記が必要です。

また、相続した空き家の名義が親のままなら相続登記を、住宅ローンが残っていたなら抵当権抹消登記を、先に済ませる必要があります。

これらの登記には、登録免許税と、司法書士に依頼する場合はその報酬がかかりますが、金額は数万円から十数万円程度が一般的です

相続登記は2024年4月から義務化されており、正当な理由なく怠ると過料の対象になる可能性があるため、いずれにしても早めの対応が必要です(出典:法務省「相続登記の申請義務化について」)。

名義変更や抵当権抹消にかかる費用や手間は、買取会社が負担・代行してくれる場合があります。相談の際に確認しておくとよいでしょう。

空き家を売ったことで利益が出たら譲渡所得税がかかる

空き家を売って利益(譲渡所得)が出た場合、その利益に対して譲渡所得税がかかります(出典:国税庁「No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」)。

利益は、売った金額から、取得にかかった費用や売却の経費を差し引いて計算します。

ただし、相続した空き家を売る場合には、一定の要件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける「空き家の3,000万円特別控除」という特例があります。

この特例を使えると税負担を大きく抑えられますが、要件が細かいため、適用できるかは個別の確認が必要です。

解体費や残置物の撤去費は物件の状態によって大きく変わる

解体して更地にする場合や、残置物を撤去する場合の費用は、物件の状態によって大きく変わります。

次の金額は、公的な統計値ではなく、実務においてよく見られる目安です。

同じ広さでも、地域・業者・建物の構造・残置物の量によって大きく上下する点に注意してください。

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項目費用の目安
解体費(木造)1坪あたり5万~7万円程度(30坪で150万~200万円程度)
残置物撤去(家具・家電だけが残る)15万~50万円程度
残置物撤去(生活用品まで多く残る)50万~100万円程度
残置物撤去(ゴミ屋敷状態)100万~300万円程度になることも

このように、手放すために先に大きな費用が必要になる場合があります。

とくに解体は、売れる見込みが立たないまま行うと「費用だけかかって手放せない」事態になりかねません。

買取業者への依頼なら費用を負担してくれる場合もある

ここまで見てきた登記費用、残置物の撤去費、解体費などの費用は、買取会社に依頼する場合、買主側が負担してくれるケースがあります。

たとえば「残置物はそのままでよい」「解体しなくてよい」「登記の手続きも任せられる」といった条件で買い取ってもらえれば、売主が費用を先に用意する必要がなくなります。

「手放したいのに、手放すためのお金が用意できない」という方にとっては、費用を持ち出さずに済む買取が現実的な出口になります。

一方で、立地に需要があり建物も使える状態なら、仲介で売ったほうが手取りは多くなります。

「費用を抑えて確実に手放す」ことを優先するのか、「時間をかけても高く売る」ことを優先するのかで、選ぶ方法は変わります。

相続放棄で手放すときの3つの注意点

相続放棄は、相続が発生した段階で、空き家を含む親からの遺産を引き継がずに済む方法です。

ただし、「相続放棄すればすべて解決する」というのは誤解です。

放棄した後も管理責任が残る場合があったり、手続きに期限があったり、また空き家だけを選んで放棄することはできません。

ここでは、相続放棄で空き家を手放すことを検討する上で知っておきたい3つの注意点を整理します。

相続全体の進め方については、空き家の相続について解説した記事でも詳しく扱っています。

相続放棄しても空き家の管理責任自体はすぐに消えない

相続放棄をすれば、その空き家の所有者にはなりません。

しかし、放棄した時点で空き家を現に管理していた場合は、次に管理する人が管理を始められるようになるまで、引き続き適切に管理する義務が残ります(出典:e-Gov法令検索「民法」)。

「放棄したその日から一切関係なくなる」わけではない点は、多くの方が誤解しています。

放棄しても管理を引き継ぐ人がいなければ、責任だけが宙に浮いたまま残ることがあるため、注意が必要です。

相続放棄は3か月以内の手続きが必要

また、相続放棄には期限があります。

原則として、自分が相続人になったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所へ申述しなければなりません(出典:裁判所「相続の放棄の申述」)。

この期間を過ぎると、原則として相続を承認したものとみなされ、放棄ができなくなります。

相続財産の調査に時間がかかりそうな場合は、期間の伸長を家庭裁判所に申し立てることもできますが、いずれにしても早めの判断が必要です。

「空き家を引き継ぎたくない」と考えるなら、相続を知った段階で速やかに検討を始めることが大切です。

一部だけ放棄はできず全財産を手放す

相続放棄では、「いらない空き家だけを放棄して、預貯金や他の不動産は受け取る」ということはできません。

放棄すると、プラスの財産もマイナスの財産も含めて、すべての相続財産を手放すことになります

そのため、空き家以外に価値のある財産がある場合は、相続放棄がかえって損になることもあります。

空き家単体を手放したいだけなら、相続してから前章までの方法で手放すほうが、選択肢は広く残ります。

空き家を手放したい人からのよくある質問をまとめました

空き家はタダでも手放せますか?

無償譲渡や自治体・法人への寄付という方法はありますが、受け取り手が見つからない・寄付は原則断られるなど、タダでも簡単には手放せないのが実情です。値がつかない空き家は、訳あり不動産に強い買取会社による引き取りが現実的な出口になる場合があります。

空き家を手放すのにかかる費用はどのくらいですか?

登記費用・解体費・残置物撤去費・売却益が出た場合の譲渡所得税などがかかります。とくに解体費や撤去費は物件の状態で数十万~数百万円と幅があります。これらの費用は、買取であれば買主側が負担してくれる場合もあります。

相続放棄すれば空き家の管理から解放されますか?

相続放棄をしても、次に管理する人が決まるまで管理責任が残る場合があります。また相続を知った時から3か月以内の手続きが必要で、預貯金など他の財産もすべて手放すことになる点に注意が必要です。

仲介で売れなかった空き家でも手放せますか?

手放せる可能性があります。買い手がつかない原因(再建築不可・事故物件・残置物・共有など)によって出口は異なり、訳あり不動産に強い買取会社であれば、現状のまま引き取れる場合があります。

遠方の実家の空き家でも手放せますか?

手放せます。現地に行けなくても、写真や資料をもとに査定や手続きを進められる買取会社があり、残置物をそのままにした状態でも相談できます。

まとめ|空き家は手放し方を決めた人から負担が終わる

空き家を手放す方法は、売る(仲介・買取)と、売る以外で手放す(無償譲渡・寄付・空き家バンク・相続土地国庫帰属・解体更地)の全部で7つあります。

相続が発生した段階なら、これらとは別に相続放棄という選択肢も加わります。

どれを選ぶかは、「買い手がつく物件か」「どれだけ早く手放したいか」「費用を出せるか」で決まります。

大切なのは、寄付や無償譲渡、国庫帰属制度は条件が厳しく、誰でも使えるわけではないという現実を知っておくことです。

一方で、共有でもめている・買い手がつかない・残置物が片づかない・遠方で動けないといった事情がある空き家でも、訳あり不動産に強い買取会社であれば、現状のまま引き取れる場合があります。

「売れない」「タダでも手放せない」と諦めていた空き家にも、出口は残されています。

空き家は、放置するほど税金と管理の負担が積み上がり、傷んで手放しにくくなっていきます

逆にいえば、手放す方針を早く決めた人から、その負担は終わります。まずは自分の空き家がどの方法で手放せそうかを見極めることから始めてみてください。

この記事を書いた人

空き家売却ガイドは、相続した空き家の売却や活用、管理に悩む方に向けて、専門家の協力のもと情報を発信するWEBメディアです。

空き家に関する基礎知識や手続きだけでなく、共有名義・再建築不可物件・老朽化した住宅など、状況に応じた対処法も分かりやすく解説しています。

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