ゴミ屋敷は売却できる?片付け不要で現状のまま売る3つの方法

「親から相続した実家がゴミ屋敷になっていて、どう手放せばいいのかわからない」「片付けてからでないと売れないと思うけれど、業者に頼むと数百万円かかると聞いて動けない」。

そんな行き詰まりを抱えて、この記事にたどり着いた方は多いのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、ゴミ屋敷は片付けや撤去をせず「現状のまま」売却できます

ゴミや残置物(前の所有者が残した家財など)を残したまま買い取ってもらえるため、高額になりがちな片付け費用を、売主が自分で先払いする必要はありません。

片付けを終えていなくても、まず現状のまま査定に出すところから動けます。

この記事では、ゴミ屋敷を現状のまま手放す3つの方法や覚えておくべき注意点を、はじめて不動産を売る方にもわかりやすく整理します。

この記事の監修者

株式会社AlbaLink(アルバリンク)

空き家や共有持分、再建築不可物件、事故物件、ゴミ屋敷など、売れにくい不動産の買取を専門とする不動産会社。

豊富な実務知見をもとに、当記事の監修・作成協力を行っています。

  • 東証グロース上場企業
  • 年間相談件数25,000件超(2025年実績)
  • 全国の不動産に対応
目次

そもそもゴミ屋敷とは?売れにくい理由を理解しておこう

ゴミ屋敷とは、ゴミや不用品が室内外にたまり、通常の居住や管理が難しくなった状態の家のことです。

高齢化やセルフネグレクト、孤独死が背景にあることが多く、残置物や異臭があると内見が難しいため、通常の家よりも売りにくくなります。

まずは「片付け費用がかかる分だけ安くなる」という評価の基本を押さえることが、売却の出発点になります。

ゴミ屋敷とはゴミや不用品で通常の居住が難しくなった家のこと

ゴミ屋敷に法律上の明確な定義はありませんが、一般には、ゴミや物があふれて床や生活動線がふさがれ、本来の使い方ができなくなった家を指します。

なお、この記事で何度か使う「残置物(ざんちぶつ)」という言葉は、前の所有者や居住者が家に残していった家具・家電・生活用品などの物のことです。

ゴミ屋敷の売却では、この残置物をどう扱うかが費用と手間を大きく左右します

程度によって、片付けにかかる手間や費用も変わります。目安を整理すると次のとおりです。

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残置物の程度状態の目安片付けの負担
軽度物は多いが生活動線は残っている比較的短時間で片付く
中度床が見えず、においや虫が出始めている数人がかりの作業が必要
重度天井近くまで堆積し、害虫や汚損がある特殊清掃や大量搬出が必要

ゴミ屋敷になる背景には高齢化・セルフネグレクトが多い

ゴミ屋敷は「だらしない人の家」というイメージで語られがちです。

しかし、実際には加齢による体力・判断力の低下や、セルフネグレクト(自分の生活を管理できなくなる状態)、うつなどの心の不調があるケースが少なくありません

とくに多いのが、一人暮らしの高齢の親の家が、知らないうちにゴミ屋敷化していたというパターンです。

子世代が遠方に住んでいると異変に気づきにくく、親が亡くなったり施設に入ったりして初めて実態を知る、というケースが目立ちます。

背景を「本人の性格の問題」と決めつけないことは、売却を前に進めるうえでも大切です。

責める気持ちを手放すと、「まず現状のまま査定に出してみる」という次の一歩が踏み出しやすくなります。

残置物や異臭があると内見が難しく仲介では売りにくい

ゴミ屋敷が通常の売却で苦戦する理由は、買い手の心理を考えるとわかります。

一般の買い手のほとんどは、自分や家族が住むためにマイホームを探している人です。

内見しようにも玄関から入れない、においや虫が気になる、という状態では、購入の検討の土台にすら乗りません。写真を見た時点で候補から外れてしまうことも多いのが実情です。

そのため、後述する「不動産仲介会社に買い手を探してもらう方法(仲介)」では、先にゴミを片付けてからでないと売り出せないのが一般的です。

ここが、ゴミ屋敷の売却で多くの人がつまずく最初の壁になります。

建物より片付け費用がかかる分だけ安くなるのが基本

ゴミ屋敷の価格を考えるとき、「汚れているから価値がゼロになる」と誤解されがちですが、正確ではありません。

土地や建物そのものの価値は、通常の物件と同じ物差しで評価されます。

そのうえで、「片付け・撤去・清掃にいくらかかるか」という費用の見込みが、評価額から差し引かれるというのが基本的な考え方です。

つまり、立地がよく土地に需要があれば、ゴミ屋敷であってもそれなりの価格がつく可能性があります。

逆に、もともと需要の乏しいエリアでは、片付け費用を差し引くと価格が大きく下がることもあります。

この「費用を差し引く」という構造を理解しておくと、次章以降の売却方法や相場の話が腹落ちしやすくなります。

ゴミ屋敷は片付けなくても売却できる!そのまま買取が現実的

ゴミ屋敷は、片付けや撤去をせず「現状のまま」売却できます。

数百万円かかることもある片付け費用を、売主が自分で先払いする必要はなく、残置物を残したまま買い取ってもらう方法が現実的です。

「片付けてからでないと売れない」という思い込みで、動けずにいる必要はありません。

ゴミ屋敷は残置物を残したまま売却できる

ゴミ屋敷の売却で鍵になるのが、不動産会社が直接買主になって物件を買い取る「買取」という方法です。

不動産買取とは、不動産会社が買主となって物件を直接買い取る売却方法のことを指します。

訳あり物件やゴミ屋敷の取り扱いに強い買取会社であれば、ゴミや家財が残ったままの状態でも、そのまま買い取ってもらえます

買い取った後の片付け・撤去・清掃は、会社側が自社の費用と段取りで行うため、売主が事前に手を入れる必要はありません。

「こんな状態を人に見せるのが恥ずかしい」と感じて相談をためらう方は少なくありませんが、ゴミ屋敷の買取を数多く扱う会社にとっては見慣れた状態です。隠したり取り繕ったりする必要はありません。

また、「一般の不動産会社に相談したら、うちでは扱えないと断られた」という経験をした方もいるかもしれません。

仲介を中心とする会社は、片付けや再販の手間が大きいゴミ屋敷を敬遠しがちです。

しかし、買い取った物件を自社で片付け・再生して活用する買取会社にとっては、ゴミ屋敷はむしろ得意領域です。

他社に断られたからといって、売れないわけではありません。相談先を、訳あり物件の買取に強い会社へ切り替えることが解決の糸口になります。

仲介は基本的に片付け後が前提で買い手にも敬遠されやすい

一方で、不動産仲介会社に一般の買い手を探してもらう「仲介」は、ゴミ屋敷とは相性がよくありません。

前章で触れたとおり、買い手の多くは実際に住むためのマイホームを探している個人です。ゴミが残ったままでは内見が成立せず、売り出す前提として片付けが必要になります。

つまり仲介では、売主が先に片付け費用を負担してから売り出す流れになりがちです。

しかも、片付けても「元ゴミ屋敷」という印象が残ることを気にする買い手もいて、需要が限られるエリアでは、片付けたのに長期間売れ残る、ということも起こり得ます。

片付け費用を先に払ったうえに売れないとなると、負担だけが大きくなってしまいます。

買取なら片付け・撤去費を自分で先払いせずに済む

「片付けてから仲介で売る」場合と「現状のまま買取で売る」場合を並べると、負担のかかり方の違いがはっきりします。

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比較軸片付けてから仲介で売る現状のまま買取で売る
片付け・撤去費売主が先に負担する売主の負担は原則不要
手間業者手配・立ち会い・搬出会社に任せられる
売れるまでの期間数か月~長期になることも数日~数週間が目安
価格高くなる可能性がある費用を差し引く分やや下がる

買取は、価格の面では仲介よりやや下がる傾向があります。

ただしゴミ屋敷の場合、仲介で売るために結局は数十万円から数百万円の片付け費用を先に払うことを考えると、「その費用を自分で立て替えず、手間もかけずに手放せる」という買取のメリットは大きいといえます。

不動産会社への相談は状態を隠さず伝えても問題ない

査定を受けるとき、「室内がひどい状態だと足元を見られるのでは」と心配になるかもしれません。

しかし、状態を隠すことは、かえって売主自身の不利益につながります

査定額は、片付け・撤去にどれくらいの費用がかかるかを見積もったうえで決まります。

実態より軽く伝えてしまうと、契約後に「話が違う」と減額の交渉をされたり、引き渡し後にトラブルになったりする原因になります。

においや害虫、水回りの不具合なども含めて、ありのままに伝えるほうが、結果として納得できる取引につながります。

なお、正直に伝えた状態を前提に契約を結べば、売った後に「契約内容と違う」と責任を問われる心配も避けられます。

ゴミ屋敷を売却する3つの方法とは?仲介・買取・更地で比べる

ゴミ屋敷の売却方法は、大きく分けると仲介・買取・更地(解体)の3つがあります。

仲介は高く売れる可能性がある一方で片付けが前提となり長期化しやすく、買取は現状のまま数日~数週間で現金化でき、契約不適合責任も免責にできます。

立地の需要と片付けの状態、売り急ぎ度で選び分けます。

ここで大事なのは、「ゴミ屋敷にはいくらという一律の相場はない」ということです。

相場という言葉が成り立つのは、似た条件の取引事例が積み重なり、買いたい人が一定数いる場合です。

ゴミ屋敷は物件ごとに状態も立地もばらつきが大きく、需要の有無で価格が大きく振れます。

だからこそ、方法ごとの特徴を理解して選ぶことが重要になります。

仲介は高く売れる可能性がある一方で片付けと長期化の負担が大きい

仲介は、不動産仲介会社に依頼して一般の買い手を探してもらう方法です。うまく買い手が見つかれば、希望に近い価格で売れる可能性があります。

一方で、ゴミ屋敷では売り出す前の片付けが前提となり、その費用は売主が負担します。

さらに、買い手が現れるまで数か月かかることも珍しくなく、需要の乏しいエリアでは、片付けても長期間売れ残るおそれがあります。

「時間に余裕があり、立地に需要があり、片付け費用を先に出せる」場合に向いた方法です。

なお、「片付けたうえでリフォームすれば高く売れるのでは」と考える方もいます。

しかしリフォーム費用は、水回りまで含めると数百万円に達することもあり、その分だけ確実に高く売れる保証はありません。

かけた費用を売却価格の上乗せで回収できないと、赤字になってしまいます

建物の傷みが激しい場合ほど、無理にリフォームせず、現状のまま売るほうが結果的に手元に残る金額が多くなるケースもあります。

買取は現状のまま数日で現金化でき契約不適合責任も免責にできる

買取は、不動産会社が直接買主になる方法です。ゴミ屋敷では、次のようなメリットがあります。

  • ゴミや残置物を残したまま、現状のまま売れる
  • 片付け・撤去・清掃の費用と手間を、売主が負担せずに済む
  • 買い手を探す必要がないため、数日から数週間で現金化できる
  • 契約不適合責任を免責にできる

最後の「契約不適合責任」は聞き慣れない言葉かもしれません。

契約不適合責任とは、引き渡した物件が契約内容と異なる場合に、売主が修補・減額・損害賠償・契約解除などの責任を負う制度のことです。

一般の買い手に売ると、引き渡し後に見つかった不具合について、売主が責任を問われることがあります。

買取では、この責任を負わない特約(免責)を結べるケースが多く、売った後の不安を残さずに済みます。

価格は仲介よりやや下がりますが、「早く・確実に・手間なく手放したい」というニーズには最も現実的な方法です。

買取価格は片付け費用を差し引くため仲介想定価格の6~8割が目安

買取価格は、仲介で売れると想定される価格から、会社が負担する片付け・撤去・清掃やリフォームの費用、再販の経費などを差し引いて決まります。

そのため、仲介で売れると想定される価格のおおむね6~8割程度が一つの目安になります。

ただし、これも一律ではありません。そもそも訳あり物件には、一般に言われるような「相場」がそのまま当てはまりません。

好立地で土地に需要があれば片付け費用を差し引いても1割程度の下落で済むこともあります。

一方、需要の乏しい地方では6割を切ったり、土地に買い手がつかないエリアでは値がつかないこともあります。

「6~8割」はあくまで出発点の目安として捉え、実際の金額は物件ごとの査定で確認するのが現実的です。

更地にして売る方法は解体費と固定資産税の増加に注意が必要

3つ目は、建物を解体して更地にし、土地として売る方法です。建物の傷みが激しく再生が難しい場合や、土地としての需要が高い立地では、選択肢になります。

ただし、更地にして売る方法には重要な注意点が2つあります。

1つは解体費です。木造でも建物の規模によっては百万円単位の費用がかかり、残置物が多いと撤去費も上乗せされます。

もう1つは税金です。建物を取り壊すと、土地の固定資産税を軽くする「住宅用地の特例」が外れ、土地の固定資産税が最大で6倍になることがあります

さらに、道路づけの条件によっては、解体すると建て替えができない「再建築不可」になる土地もあります。

この場合、更地にするとかえって売りにくくなるため、解体前の確認が欠かせません。

再建築不可になるケースについては、再建築不可物件を売る方法でくわしく解説しています。

解体費や更地化の費用は買取なら会社側が負担するケースもあるため、自分で解体する前に一度相談してみるとよいでしょう。

立地の需要・片付けの状態・売り急ぎ度の3点で方法を選ぶ

どの方法が向くかは、次の3つの軸で考えると整理しやすくなります。

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判断軸仲介が向く買取が向く
立地の需要需要が高いエリア需要が乏しいエリア
片付けの状態と費用費用を先に出せる費用を負担したくない
売り急ぎ度時間に余裕がある早く確実に手放したい

3つの軸のうち「買取が向く」に多く当てはまるほど、現状のまま買取を選ぶ合理性が高まります。

とくに「片付け費用を自分で出したくない」「早く手放したい」というゴミ屋敷特有の事情がある場合は、買取が現実的な選択肢になります。

【状況別】あなたのゴミ屋敷はどう売却するのが現実的か

ゴミ屋敷の売り方は、置かれた状況によって現実的な選択肢が変わります。

相続した実家がゴミ屋敷・遠方で通えない・親が存命・近所に知られたくない・貸していた家がゴミ屋敷化した、といった状況ごとに、無理のない進め方があります。

自分のケースに近いものから読んでください。

相続した実家がゴミ屋敷なら相続登記後に現状のまま査定を受ける

相続した実家がゴミ屋敷で困っている。これは、ゴミ屋敷の売却相談でもっとも多いケースです。

進め方の基本は、まず「相続登記」で名義を故人から相続人(自分)に移し、その後にゴミ屋敷の取り扱い実績がある会社へ、片付けずに現状のまま査定を依頼することです。

相続登記とは、亡くなった方の名義になっている不動産を、相続人の名義に変更する手続きのことで、これを済ませないと売却できません。

なお、相続登記は2024年4月から義務化され、取得を知った日から3年以内に申請しないと、10万円以下の過料の対象になり得ます2

「まず片付けてから」と考えて手続きを止めているうちに期限が来てしまわないよう、登記と査定は並行して進めるのが安全です。

遠方で通えない場合は写真と書類のやり取りだけでも売却を進められる

「片付けや手続きのたびに帰省するのは難しい」という理由で、売却を先延ばしにしている方も多いはずです。

現状のまま買取であれば、必ずしも売主が現地に立ち会う必要はありません

物件の写真や登記関係の書類のやり取りをベースに話を進め、査定や契約もオンラインや郵送で対応できるケースが増えています。

片付けを自分で手配する必要もないため、遠方でも負担を抑えて手放せます。

親が存命で施設入所やセルフネグレクトの家は本人の意思確認を先に行う

親がまだ存命で、その家がゴミ屋敷になっている。施設入所や入院、認知機能の低下などで、実家がゴミ屋敷のまま放置されているケースです。

この場合に注意したいのは、家の名義人が親である以上、売却の意思決定をするのは親本人だという点です。

子であっても、親に無断で売ることはできません。親の判断能力がしっかりしているうちに、売却について話し合い、意思を確認しておくことが第一歩になります。

判断能力がすでに低下している場合は、「成年後見制度」を利用して後見人が手続きを代行する方法がありますが、家庭裁判所への申立てが必要で時間もかかります。

早めに専門家へ相談しておくと、いざというときに動きやすくなります。

近所や親族に知られず売りたいなら広告を出さない買取が向いている

「ゴミ屋敷だったことを、近所や親族に知られたくない」など、世間体が気になって相談に踏み出せない、という声はとても多く聞かれます。

一般の買い手を広く募集する仲介では、物件情報がインターネットの不動産ポータルサイトやチラシに掲載され、近所の人の目に触れる可能性があります。

一方、不動産会社が直接買い取る買取なら、広告を出さずに取引を完結できるため、周囲に知られにくくなります

人に知られずに手放したい事情がある場合には、買取が向いています。

貸していた家がゴミ屋敷化した場合は孤独死の有無で対応が変わる

賃貸に出していた家が、借主によってゴミ屋敷になってしまった。この場合は、借主が退去済みかどうか、そして室内で孤独死などが起きていないかによって対応が変わります。

もし室内で人が亡くなり、発見が遅れて特殊清掃(においや汚れを専門技術で除去する清掃)が必要になった場合を考えます。

このケースでは、ゴミ屋敷であると同時に、買い手が心理的な抵抗を感じる「事故物件(心理的瑕疵のある物件)」として扱われることがあります

この場合、売却時には過去の経緯を買い手に伝える告知義務が生じます。

ゴミの片付けと事故物件としての対応の両方が必要になるため、両方の取り扱い実績がある会社に相談すると安心です。

ゴミ屋敷を現状のまま売却する流れは?相談から引き渡しまでの5ステップ

ゴミ屋敷の売却は、基本的には以下の順で進みます。

  1. 相談・査定
  2. 相続登記(※相続なら)
  3. 条件のすり合わせ
  4. 売買契約
  5. 決済・引き渡し

残置物は引き渡し後に会社側が撤去するため、売主が先に片付ける必要はありません。相続した物件は登記の名義変更が済んでいないと売却できない点が要点です。

全体像をつかんでおくと、どこから動けばよいかが見えてきます。

ゴミ屋敷の取り扱い実績がある会社に相談し査定を受ける

最初のステップは、ゴミ屋敷や訳あり物件の取り扱い実績がある不動産買取会社への相談です。

査定にあたって聞かれることが多いのは、次のような項目です。あらかじめ整理しておくと、話がスムーズに進みます。

  • 物件の住所・土地と建物のおおよその広さ
  • 築年数と、雨漏りや傾きなどの不具合の有無
  • 残置物の量と、においや害虫の状況
  • 住宅ローン(抵当権)が残っているか
  • 相続物件の場合、相続人が誰で、話がまとまっているか

あわせて、次のような書類が手元にあると、査定や契約がスムーズに進みます。

すべてがそろっていなくても相談は可能なので、まずは今あるものから確認しておきましょう。

  • 固定資産税の課税明細書(納税通知書に同封)
  • 権利証(登記識別情報)
  • 購入時の売買契約書(あれば)
  • 相続物件の場合は、被相続人の戸籍や相続人がわかる書類

権利証が見つからない場合でも、手続きを進める方法はあります。「書類がそろっていないから」と相談を止める必要はありません。

相続した物件は相続登記を済ませて名義を売主に移す

相続した実家などの場合は、売買契約の前提として相続登記を済ませ、名義を売主本人に移しておく必要があります。

名義が故人のままでは、売却の手続きを進められません。

相続人が複数いる場合は、誰がその不動産を相続するかを話し合い(遺産分割協議)でまとめる必要があります。

時間がかかることもあるため、査定と並行して早めに着手しておくと安心です。

現状や残置物を隠さず伝え査定額と条件をすり合わせる

査定額の提示を受けたら、その根拠を確認しながら条件をすり合わせます。

このとき、においや害虫、水回りの不具合、残置物の量などは、隠さずありのままに伝えることが大切です。

正確な情報をもとに算出された査定額であれば、契約後に「話が違う」と減額される心配が減ります。

査定額に「なぜその金額になるのか」の説明があるか、疑問に丁寧に答えてくれるかも、会社を見極める材料になります。

契約不適合責任の免責を確認して売買契約を結び手付金を受け取る

条件に納得できたら、売買契約を結びます。

ゴミ屋敷を現状のまま売る場合は、このとき契約不適合責任を免責とする特約が入っているかを必ず確認しましょう。

この特約があれば、引き渡し後に見つかった不具合について、売主が責任を問われずに済みます。

契約時には、売買代金の一部を手付金として受け取るのが一般的です。

契約書の内容は専門的な言葉が多いため、わからない点はその場で質問し、理解してから署名・押印するようにします。

決済・引き渡しで残代金を受け取り残置物は会社が撤去する

最後のステップが、決済と引き渡しです。

残りの代金(残代金)を受け取り、所有権を買主である不動産会社に移します。

住宅ローンが残っている場合は、この決済のタイミングで、売却代金からローンを完済して抵当権(住宅ローンの担保として土地建物に設定された権利)を抹消します。

抹消登記の手配は買取会社が段取りを一括で引き受けるケースが多く、売主が個別に動く手間はほとんどかかりません。

現状のまま買取であれば、残置物やゴミは引き渡し後に会社側が撤去するため、売主が事前に片付ける必要はありません。

鍵を引き渡した時点で、片付けの負担からも所有の負担からも解放されます。

ゴミ屋敷の売却でかかる費用と片付け・撤去費の相場

ゴミ屋敷の片付け・撤去費は状態で大きく変わり、数万円から数百万円までの幅があります。

ただし現状のまま買取なら、この費用を自分で負担せずに済みます。

売却益が出れば譲渡所得税がかかり、特例で軽減できる場合や、自治体の片付け支援がある場合もあります。

片付け・撤去費は状態で大きく変わり数万円から数百万円まで幅がある

片付け・撤去費は、ゴミの量や間取り、作業に必要な人数・日数で大きく変わります。あくまで目安ですが、状態別に整理すると次のようになります。

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残置物の状態費用の目安
少し物が残っている程度(軽微)5万~20万円程度
家具・家電など家財一式が残っている40万~70万円程度
天井近くまで堆積したゴミ屋敷状態100万~300万円程度

金額の幅が大きいのは、トラック何台分の搬出が必要か、階段作業や分別が必要かなどで、作業量が大きく変わるためです。

重度のゴミ屋敷では、これに次の特殊清掃費が加わることもあります。

特殊清掃や害虫駆除が必要な場合はさらに費用が上乗せされる

長期間放置されたゴミ屋敷では、においや汚損、害虫の発生を伴うことがあります。

この場合、通常の片付けに加えて特殊清掃が必要になります。

特殊清掃とは、汚れやにおいを専門の技術と薬剤で原状に近づける清掃のことです。

害虫駆除や消臭・除菌の作業が加わると、費用はさらに上乗せされます。仲介で売るために自分でここまで手配するとなると、負担は決して小さくありません。

現状のまま買取なら片付け費用を自分で負担せずに済む

ここまで見てきた片付け・撤去費や特殊清掃費は、現状のまま買取を選べば、売主が自分で負担する必要はありません。

買い取った会社が、自社の費用と段取りで片付け・清掃を行うためです。

「片付けてから仲介で売る」場合、数十万円から数百万円を先に立て替えることになります。

その負担をかけずに手放せる点は、ゴミ屋敷における買取の大きな利点です。

費用の持ち出しを避けたい場合や、そもそもまとまった現金を用意しにくい場合には、現状買取が現実的といえます。

売却益が出れば譲渡所得税がかかり特例で軽減できる場合がある

不動産を売って利益(譲渡所得)が出た場合は、その利益に対して譲渡所得税がかかります。

譲渡所得は、「売却価格−取得費−譲渡費用」で計算します。

相続した実家の場合、一定の要件を満たせば「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」により、譲渡所得から最大3,000万円(令和6年1月1日以後の譲渡で相続人が3人以上いる場合は1人あたり2,000万円)を控除できる可能性があります。

適用には、耐震基準や売却期限などの細かな条件があるため、利用を検討する場合は国税庁の情報を確認し、税理士など専門家に相談するのが確実です。

このほか、売買契約書に貼る印紙税や、仲介で売る場合の仲介手数料(売買価格400万円超なら「売買価格×3%+6万円+消費税」が上限)などがかかります。

ゴミ屋敷の売却にかかる主な費用を整理すると次のとおりです。

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費用・税金内容主な負担者
片付け・撤去費残置物の搬出・処分仲介=売主/現状買取=会社側
特殊清掃・害虫駆除費におい・汚損・害虫の除去仲介=売主/現状買取=会社側
譲渡所得税売却益に対する税(特例あり)売主
印紙税売買契約書に貼る税売主
仲介手数料仲介で売る場合のみ売主(買取では不要)

自治体によってはゴミ屋敷の片付けに補助制度がある

一部の自治体では、ゴミ屋敷対策として、片付けや清掃の費用を補助する制度を設けている場合があります。

しかし、金額の上限や対象条件は自治体ごとに大きく異なり、そもそも制度がない地域も多いのが実情です。

利用できるかどうかは、物件のある市区町村の窓口や公式サイトで確認する必要があります。

ただし、補助を受けるための申請や条件確認には時間と手間がかかるため、「早く手放したい」という場合は、片付けごと引き受けてもらえる現状買取のほうが負担は軽くなります。

ゴミ屋敷を放置する4つのリスクは?税金増加から行政代執行まで

ゴミ屋敷を放置すると、以下のような4つのリスクが重なります。

  • 資産価値が下がり続ける
  • 悪臭や害虫で近隣トラブルになる
  • 行政に勧告されると税負担が増える
  • 行政代執行になると多額の費用が発生する

とくに「特定空家」や「管理不全空家」に勧告されると、住宅用地の特例が外れて固定資産税が最大6倍になることもあります。

持ち続けるほど、売却そのものも難しくなっていきます。

資産価値が下がり続け老朽化で売却がさらに難しくなる

人が住まなくなった家は、換気や手入れがされないため、想像以上の速さで傷みます。

くわえて、ゴミや残置物を抱えたまま放置すれば、湿気やにおいで建物の劣化がさらに進みます。

時間が経つほど片付け・修繕の費用は膨らみ、買い手からの評価も下がります。

「いつか片付けよう」と先延ばしにするほど、売却の難度と費用は増していくのが実態です。

悪臭や害虫で近隣トラブルになりゴミ屋敷条例の指導対象になる

ゴミ屋敷は、悪臭・害虫・害獣の発生源となり、近隣との深刻なトラブルに発展することがあります

放火や不法投棄を誘発する懸念もあり、たとえ所有者に落ち度がなくても、管理が行き届いていない状態と判断されれば、火災が周囲に広がった際などに損害賠償責任を問われる可能性があります

近年は、いわゆる「ゴミ屋敷条例」を定め、指導・勧告や、場合によっては行政による強制的な片付け(後述)を行える自治体が増えています。

近隣からの苦情をきっかけに、行政の指導が入るケースもあります。

特定空家に勧告されると固定資産税が最大6倍になる

空き家となったゴミ屋敷は、「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、「特定空家」に指定されるおそれがあります。

特定空家とは、倒壊のおそれや衛生上の問題などがあると自治体に判断された、そのまま放置するのが不適切な空き家のことです。

さらに2023年12月の法改正で、倒壊の危険まではなくてもゴミの堆積や管理不全で周囲に悪影響を及ぼす「管理不全空家」という区分が新設されました

ゴミ屋敷は、たとえ倒れそうになくてもこの管理不全空家に該当しやすく、「うちは倒壊の心配はないから関係ない」とは言い切れません。

ここで正確に理解しておきたいのは、固定資産税が上がるタイミングです。

特定空家や管理不全空家に「指定」された瞬間ではなく、その後の「勧告」を受けた段階で、土地の固定資産税を軽減する住宅用地の特例が外れます

これにより、土地の固定資産税が最大で6倍になることがあるのです。

行政代執行になると撤去費を請求され過料の対象にもなる

自治体の勧告・命令にも従わないでいると、最終的に「行政代執行」に至ることがあります。

これは、行政が所有者に代わって強制的に片付けや解体を行い、その費用を所有者に請求する手続きです。

費用は状態によっては数百万円規模になることもあり、支払わなければ財産の差し押さえにつながる可能性もあります。

また、命令に違反した場合は50万円以下の過料の対象になり得ます。

「自分で片付けを手配しないまま放置した結果、より高い費用を強制的に請求される」という最悪の展開を避けるためにも、早めに売却を含めた出口を検討することが大切です。

ゴミ屋敷を後悔なく売るための注意点

ゴミ屋敷を後悔なく売るために覚えておくべきポイントは、以下の3点です。

  • 独断で解体しないこと
  • 状態を隠さないこと
  • 信頼できる一社に相談すること

安さを理由に高い査定額を掲げ、契約直前で減額してくる会社もあるため、ゴミ屋敷の取り扱い実績で相手を選ぶことが大切です。

独断で建物を解体しない|再建築不可だと更地の方が売れないことがある

「更地にしたほうが売れそう」と考えて、相談の前に解体を進めてしまうのは避けたいところです。

前述のとおり、解体には百万円単位の費用がかかるうえ、建物を壊すと土地の固定資産税が上がることがあります。

さらに、道路づけの条件によっては、解体すると建て替えができない「再建築不可」の土地になり、かえって売りにくくなることもあります。

解体すべきかどうかは、土地の条件を確認してから判断すべきで、独断で進めないことが肝心です

状態や残置物を隠さず正直に伝えて契約不適合責任のトラブルを避ける

売却を有利にしたいあまり、雨漏りや害虫、残置物の量などを実際より軽く伝えるのは禁物です。

伝えた内容と実際の状態が食い違うと、契約後に減額を求められたり、契約不適合責任を問われて損害賠償や契約解除に発展したりするおそれがあります。

現状のまま買取で、契約不適合責任を免責とする特約を結ぶ場合でも、その前提となるのは「状態を正確に伝えていること」です。

正直に伝えることが、結果的に売主自身を守ります。

高い査定額を出し契約直前で減額してくる会社に注意する

査定額は高いに越したことはありませんが、根拠のない高値には注意が必要です。

契約を取るために妥当な水準からかけ離れた高い査定額を提示しておき、契約の直前になって理由をつけ金額を大きく下げてくる会社も残念ながら存在します。

こうした事態を避けるには、査定額の根拠をきちんと説明できるか、片付け費用の見込みを含めて筋の通った金額かを確認することが大切です。

金額の大きさだけで相手を選ばないようにしましょう。

ゴミ屋敷の取り扱い実績がある信頼できる一社に相談する

一般的な売却では「複数社に査定を出して比較する」と説明されることもありますが、ゴミ屋敷のような訳あり物件では、そもそも扱える会社が限られます。

数を集めることよりも、ゴミ屋敷や訳あり物件の取り扱い実績が豊富で、状態を正直に話せる、信頼できる一社を見つけることのほうが重要です。

実績のある会社であれば、片付けから権利関係の処理まで一括して任せられ、遠方や相続がからむ複雑なケースでも現実的な出口を示してくれます。

まずは状態を隠さず相談し、対応の丁寧さや説明のわかりやすさで判断するとよいでしょう。

ゴミ屋敷の売却に関するよくある質問(FAQ)

ゴミ屋敷は片付けないと売れませんか?

片付けなくても売却できます。不動産会社が直接買い取る買取なら、ゴミや残置物を残したまま現状のまま引き渡せるため、数百万円かかることもある片付け費用を自分で先払いする必要はありません。片付けは引き渡し後に会社側で行います。

ゴミ屋敷の売却では価格はどのくらい下がりますか?

買取の場合、片付けや撤去にかかる費用を差し引くため、仲介で売れると想定される価格のおおむね6~8割が目安です。ただし一律ではなく、立地の需要が高ければ下落は小さく、需要の乏しい地方では大きく下がったり値がつかなかったりすることもあります。正確な金額は取り扱い実績のある会社の査定で確認するのが現実的です。

相続した実家がゴミ屋敷なら何から始めればいいですか?

まず相続登記で名義を自分に移し、その後にゴミ屋敷の取り扱い実績がある会社へ現状のまま査定を依頼するのが基本の流れです。遠方で通えない場合でも、写真と書類のやり取りで話を進められることが多いため、片付けてから動く必要はありません。

近所や親族に知られずにゴミ屋敷を売れますか?

できます。広く買い手を募集する仲介と違い、不動産会社が直接買い取る買取なら広告を出さずに取引でき、周囲に知られにくくなります。世間体が気になる方に向いた売り方です。

特殊清掃や害虫駆除が必要なほどひどい状態でも買い取ってもらえますか?

買い取ってもらえます。訳あり物件やゴミ屋敷の取り扱いに強い買取会社なら、異臭・害虫・汚損がある状態でも現状のまま対応できます。清掃や害虫駆除も引き渡し後に会社側で行うため、売主が事前に手を入れる必要はありません。ただし極端に需要の乏しい立地では価格が大きく下がることもあるため、まずは状態を伝えて査定を受け、条件を確認するのが確実です。

まとめ|ゴミ屋敷は片付けずにそのまま売却できる

ゴミ屋敷になった家は、「片付けてからでないと売れない」と思い込んで動けなくなりがちです。

しかし実際には、ゴミや残置物を残したまま、現状のまま売却できます

不動産会社が直接買い取る買取であれば、数十万円から数百万円かかることもある片付け・撤去費を、売主が自分で先払いする必要はありません。

売却方法は仲介・買取・もっと現地の3つで、どれを選ぶかで手間・費用・期間が大きく変わります。

時間に余裕があり立地に需要があるなら仲介、早く確実に手間なく手放したいなら現状買取、という選び分けが基本です。

ゴミ屋敷は、放置すれば資産価値の低下や近隣トラブルに加え、特定空家への勧告による固定資産税の増加、行政代執行での費用請求といったリスクが重なっていきます。

恥ずかしさや費用の心配で一人で抱え込む必要はありません。状態を隠さず、ゴミ屋敷の取り扱い実績がある信頼できる一社に相談すれば、片付けの負担も所有の負担も手放せます。

他社に敬遠された物件でも、訳あり物件の買取に強い会社なら、現実的な出口が見つかります。

この記事を書いた人

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