実家を売却するときに片付けは必要?費用や手順・負担を減らす方法を解説

親の相続や施設への入居をきっかけに、実家を売ることになった。

けれど、いざ動こうとすると、大量の家具や思い出の品が残ったままの実家を前に、手が止まってしまう。そんな方は少なくありません。

結論からお伝えすると、仲介で実家を売却するなら、室内を見やすく片付けておくことが大切です。ただし、査定を頼む前に、すべての家財を処分する必要はありません。

また、買取なら、家財を残したまま実家を売却できる場合もあります。

この記事では、片付けが必要な理由と範囲、自分で進める手順、業者に頼む費用の目安を整理します。

さらに、片付けをせずに手放す方法まで、はじめての方にもわかるように取り上げます。

この記事の監修者

株式会社AlbaLink(アルバリンク)

空き家や共有持分、再建築不可物件、事故物件、ゴミ屋敷など、売れにくい不動産の買取を専門とする不動産会社。

豊富な実務知見をもとに、当記事の監修・作成協力を行っています。

  • 東証グロース上場企業
  • 年間相談件数25,000件超(2025年実績)
  • 全国の不動産に対応
目次

実家を売却する前に片付けが必要な理由

実家の売却前の片付けは、建物の状態の確認・内覧での印象・処分費用において、売却結果に影響を及ぼす可能性があります。

家財が残ったままだと査定が伸びにくく、残す場合は処分費が売却額から差し引かれることもあります。

なお、ここで挙げる理由は、あくまで一般の買い手を探す「仲介」で売る場合に強く当てはまります。

後述するように、買取で売るなら事情が変わる点も、あわせて頭に入れておいてください。

家財が多いと実家の状態を確認しにくいから

家具や荷物が室内に残っていると、床や壁の状態、部屋の広さ、日当たりといった物件そのものの特徴が確認しづらくなります。

室内の状態を正確に把握できないと、見えない傷みを見込んで評価されることがあります。査定前は、床や壁を確認できる範囲から整えましょう。

とくに、水回りや壁の傷みは、荷物で隠れていると「確認できない=不安要素」として扱われがちです。

片付けは、状態を正確に見てもらうための準備です。

整理するだけで売却価格が必ず上がるわけではありませんが、片付いて中がよく見える状態のほうが、住まいの良さを正当に評価してもらいやすくなります。

内覧で生活感が残り物件の魅力が伝わりにくい

仲介で家を売却する場合、購入を検討する人が実際に室内を見学する「内覧」があります。

このとき家財や生活用品が残っていると、買い手は「自分がここで暮らす姿」を思い描きにくくなります。

また、荷物が通路や窓をふさいでいると、部屋の広さや明るさも伝わりにくくなります。

家を空にするのが難しくても、玄関・廊下・水回りから整えれば、買い手が室内を確認しやすくなります。

内覧前は「すべて捨てる」より「見てもらえる状態にする」ことを優先しましょう。

家財を残す場合は不用品の処分費が査定額から差し引かれることがある

家財を残して引き渡す合意をした場合、処分費を見込んで査定額や売却価格が調整されるため、取引条件に影響することがあります。

仲介会社が当然に処分費を負担するわけではありません。

自分で撤去しなくても、その費用が売却価格に織り込まれる場合があります。

さらに、家財の量が多い場合や、建物が古く解体が必要な場合は、処分・解体費が売却で得られる金額を上回ることもあります。

この場合、代金を受け取るどころか費用を持ち出して手放す「有料引き取り」に近い状況になることも。

極端なケースに聞こえるかもしれませんが、需要の乏しい地方の古い家では現実に起こり得ます。

だからこそ、売却価格と処分費用を同じタイミングで確認することが大切です。

形見分けと遺品整理の時間を早めに確保するため

相続にともなう実家の片付けでは、親の遺品や写真、権利証などの重要書類が家中に残っていることがほとんどです。

売却を急ぐあまり一気に処分してしまうと、大切な形見や必要書類まで捨ててしまう恐れがあります。

親族が集まって形見分けをしたり、思い出の品を仕分けたりする時間は、想像以上にかかります。

売却日程を決めるときは、形見分けの時間も含めておきましょう。急いで処分せずに済むよう、余裕をもって取りかかることが大切です。

実家の片付けはどこまでやるべきか売却手段で変わる

家をどこまで整理するかは、「売却方法」と、「買主に引き渡す条件」によって変わります。

仲介で実家を売却する場合、室内の家財は原則として引き渡しまでに撤去します。一方で買取の場合では、残置物を残したまま売却できる場合があります。

全部をきれいにしなければ売れない、とは限りません。

現状渡しとは、建物などを今の状態で引き渡すことです。

ただし、「現状渡し」と書くだけで、家財を自由に残せるわけではありません。残す品物と処分費の負担を買主と合意する必要があります。

実家の売却方法を先に相談し、査定・内覧・引き渡しの段階に応じて、必要な作業を決めましょう。

仲介で売却するなら家財は原則として引き渡しまでに撤去する

仲介で家を購入する人は、「自分が住むため」「賃貸に出すため」などの目的で購入します。

室内の家具・家電・生活用品は、原則として引き渡しまでに撤去するのが基本です。

実家の査定や売り出しを、その完了まで待つ必要はありません。

内覧では室内を見やすく整え、売買契約では残す設備と撤去する家財を確認することが大切です。エアコンなど、買主が使う設備まで先に処分しないようにしましょう。

実家を仲介で売却する方法は、時間に余裕があり、家を少しでも高く売りたい人に向いています。

買取なら残置物を残したまま売れる場合がある

一方、不動産買取会社が直接買主となる「買取」では、残置物を残したまま売れるケースがあります。

買取会社は、買い取った後にリフォームして再販したり、解体して土地として売り出したりすることを前提に検討するため、家財の撤去も自社の段取りに組み込めるからです。

実際、買取の問い合わせでは「残置物(家財)を残したまま買取を希望するか」は、査定時にほぼ必ず確認される項目です。

監修するアルバリンクの買取実務でも、築年数が古く家財が残ったままの実家の相談は珍しくなく、片付けを前提にしない売り方が現実の選択肢として存在します。

片付けに割ける時間や体力が乏しい、遠方で通えないといった方は、家財がある状態で相談してみましょう。

売却手段別に必要な片付けの範囲を一覧で整理

まず、査定・内覧・引き渡しで行うことを確認しましょう。続く表で、売り方ごとの範囲と負担を比較できます。

STEP
査定・相談前

家財が残っていても相談可能。室内の状態を確認できるようにする。

STEP
内覧前

玄関・通路・水回りを優先して整える。

STEP
契約~引き渡し

残す設備・家財、撤去期限、費用の負担を買主と合意し、実行する。

スクロールできます
売却手段必要な片付けの範囲手間と費用向いている人
仲介引き渡しまでに原則撤去。査定前の全撤去は必須ではない自分か業者で処分。家財の量により数万~数十万円など価格を重視し、片付けの時間を取れる人
買取残置物を残したまま売れる場合がある自分の作業や先払いを減らせる。処分費が価格に反映される場合あり遠方・多忙などで整理が難しい人
家財を残す合意をした仲介一部を残したまま引き渡す個別合意買主との交渉しだいで変動立地が良く買い手がつきやすい物件

迷ったら実家に通える日数と予算から決める

「どこまで片付けるか」で迷ったら、自分や家族が現地に通える日数と、出せる費用から考えてみましょう。

通える距離か、まとまった時間を取れるか、費用をどこまで出せるか——

この3点を先に見積もると、自分でやる範囲と人に任せる範囲の線引きが決まります。

すべてを完璧に整えようとして何か月も動けないより、「ここまでは自分、残りは業者か買取」と決めたほうが、売却は前に進みます。

実家の片付けを進める3つの手段と選び方

実家の片付けの手段は、大きく「自分や親族でやる」「不用品回収業者に頼む」「遺品整理業者に頼む」の3つです。

選ぶ基準は、家財の量・かけられる時間・実家までの距離です。

それぞれの向き不向きを押さえておくと、費用と手間のバランスを取りやすくなります。

自分で抱え込まないための分け方
  • 実家の貴重品や書類は、家族で先に確認する。
  • 重い家具の搬出は、無理せず業者に任せる。
  • 撤去が難しい場合は、家財を残して売却できるか相談する。

自分や親族で片付けると費用は抑えられるが時間と労力がかかる

家族や親族の手で片付ける方法は、業者への支払いを減らせるため、費用を抑えやすくなります。

思い出の品を確認しながら進められるため、形見分けや遺品の仕分けを丁寧に行いたい場合にも向いています。

ただし、家一軒分の家財を運び出し、分別し、処分場やごみ集積所へ運ぶ作業は、想像以上の重労働です。大型の家具や家電は運搬に人手がいり、遠方に住んでいれば往復の交通費や日数もかさみます。

片付けに通う交通費と、自分たちの作業日数も含めて比べましょう。

不用品回収業者は大量の家財を一気に処分できる

不用品回収業者は、家具・家電・生活用品などをまとめて引き取ってくれる業者です。

分別や搬出を任せられるため、大量の不用品を短期間で一気に片付けたいときに向いています。

料金は家財の量や車両の大きさ、作業人数、搬出条件などで変わります。階段や駐車場所によっても見積額が変わります。

注意点として、無許可の業者や、後から高額を請求する悪質な業者も一部に存在します。

実家の家庭ごみを収集・運搬する業者は、市区町村の一般廃棄物処理業の許可、または委託が必要です。

産業廃棄物の許可や古物商の許可だけでは足りません。実際に回収する業者と、追加料金の条件を確認しましょう。

出典:国民生活センター「不用品回収サービスのトラブル」

遺品整理業者は仕分けから供養までまとめて任せられる

遺品整理業者は、仕分け・搬出に加え、貴重品の捜索や供養、清掃などを請け負う専門業者です。処分の手配を含め、対応範囲は業者やプランによって異なります。

ただ処分するだけでなく、写真や書類、貴重品を仕分けながら作業してくれるため、親の遺品が大量に残る実家の片付けと相性が良いのが特徴です。

仏壇や位牌の供養を相談できる業者もあります。遠方で現地に立ち会うのが難しい場合や、自分で遺品に手をつけるのがつらい場合の支えになります。

また、作業範囲が広いほど費用も増えます。片付けで必要な作業と、任せたい作業を分けて見積もりを取りましょう。

家財の量・使える時間・実家までの距離から依頼先を選ぶ

家財が少なく、実家に通う時間も取れるなら、自分や家族で片付けると費用を抑えられます。

一方、家財が多い場合や、遠方で何度も通えない場合は、業者に任せるほうが負担を減らせます。

業者を選ぶときは、何を頼みたいかで考えましょう。

処分するものが決まっていて、まとめて運び出してほしいなら不用品回収業者。

遺品の仕分けや貴重品の捜索から手伝ってほしいなら、遺品整理業者が候補になります。

依頼前に、対応できる作業を確認してください。

業者にすべてを任せる必要はありません。

思い出の品や書類は家族で確認し、重い家具の搬出だけ業者に頼む方法もあります。

片付けの手配自体が難しい場合は、家財を残したまま実家を売却できるか、買取会社に相談する方法もあります。

実家を自分で片付ける5ステップの手順

自分で実家を整理すると決めたら、計画→仕分け→現金化→処分→清掃の5ステップで進めましょう。

とくに大切なのは、最初の仕分けを丁寧に行い、重要書類や形見を誤って処分しないことです。

行き当たりばったりで始めると、途中で手が止まったり、必要なものまで捨ててしまったりしがちです。

STEP
計画

売却の日程と、家族の担当を決める。

STEP
仕分け

残す・処分する・売るものを分ける。

STEP
現金化

売れる家財を選び、期限を決めて売る。

STEP
処分

実家がある自治体のルールや回収業者を確認する。

STEP
清掃

契約で決めた状態に整え、引き渡す。

STEP1 家族で片付けの計画とスケジュールを決める

まず、実家の所有者や関係する家族と「いつまでに・誰が・どこを担当するか」を決めます。

親が施設に入居している場合は、親の意向も確認し、家財を子どもの判断だけで捨てないようにしましょう。

売却希望時期から逆算し、作業に使える日を決めておくと、業者に頼む範囲も見えてきます。

遠方に住む相続人が複数いる場合は、集まれる日が限られます。

作業日をあらかじめ共有し、当日の分担(不用品の搬出係・仕分け係など)まで決めておくと、限られた時間を有効に使えます。

STEP2 残すもの処分するもの売るものに仕分ける

次に、家の中のものを「残す」「処分する」「売る」の3つに仕分けます。

処分を始める前に、預金通帳・権利証(登記識別情報)・保険証券・現金・貴金属などを確保しましょう。

家を購入したときの契約書や領収書も、売却後の税金を計算するときに役立ちます。

思い出の品は、なかなか捨てる決心がつかないものです。写真に撮って残す、一時的に家族が預かるなど、すぐに処分しない方法も考えてみてください。

仕分けを飛ばして一気に処分すると、大切なものを失うリスクが高まります。

STEP3 売れるものはリサイクルやフリマで現金化する

状態の良い家具・家電、骨董品、未使用品などは、リサイクルショップやフリマアプリで売却でき、片付け費用の足しにできます。

現地にある不用品の売却で得たお金を、搬出や処分の費用に充てられることがあります。ただし、出品や引き渡しには手間と時間がかかります。

引き渡しの期限が迫っている場合は、無理にすべてを売ろうとせず、価値の高いものだけに絞るのが現実的です。

STEP4 自治体か業者かで処分方法を決める

売れないものは、実家がある自治体のルールに従ってごみに出すか、回収できる業者に依頼します。

自治体は費用が安い一方、分別・予約・搬出を自分で行う必要があります。量が多い場合は、不用品回収業者にまとめて依頼したほうが、手間を大きく減らせます。

ただし、、エアコン・テレビ・冷蔵庫や冷凍庫・洗濯機や衣類乾燥機は、家電リサイクル法の対象です。通常の粗大ごみとは別に、購入店などへ引き取りを依頼する必要があります。

リサイクル料金と収集運搬料金がかかるため、依頼先に金額を聞いておきましょう。

出典:経済産業省「家電リサイクル制度FAQ」

STEP5 清掃して引き渡せる状態に整える

片付けで家財を運び出したら、最後に清掃を行い、契約で決めた状態に整えます。

売却活動が続いている場合は、内覧で見られる水回りや床を優先して掃除しましょう。

長年空き家だった実家は、汚れやにおいが強く残っていることもあります。

自力での清掃が難しい場合は、ハウスクリーニングを部分的に使うのも手です。

引き渡し前には、実家に残すもの・撤去するものが、買主と決めたとおりになっているか確認します。

実家の片付けにかかる費用相場

実家の片付け費用は方法と家財の量で変わります。

粗大ごみは品目ごと、業者への依頼は搬出量や作業内容ごとに見積もります。

売却する家が広く、家財が多いほど片づけにかかる費用が高くなる傾向があります。

これから紹介する金額は、監修するアルバリンクの片付け・買取実務でよく見る目安と、一般的な料金体系をもとにした概算です。

実際の費用は物件の状態・地域・業者によって大きく変わるため、正確な金額は見積もりで確認してください。

自治体の粗大ごみは1点200~2,200円程度が目安

タンスやベッドなどを自治体で処分するなら、1点200~2,200円程度が概算の目安です。

自治体を通して粗大ごみを処分する方法は、業者に搬出から任せる場合に比べて費用を抑えやすい一方、予約や指定場所への運び出しは自分で行う必要があるため、手間がかかるといったデメリットもあります。

家財が少なく、実家に通う時間を取れる人に向く方法です。

逆に、量が多い・遠方・急ぎのケースでは、手間の面で現実的でないこともあります。

出典:横浜市「粗大ごみ処理手数料表」

不用品回収業者はトラックの大きさで1万~12万円

不用品回収を依頼する場合、トラックの大きさ別の費用目安は次のとおりです。
定額プランでも、積める量や追加料金の条件は業者により異なります。

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処分方法費用の目安特徴
軽トラック1台分1万~3.5万円少量の不用品向け
1トントラック1台分3万~5万円少なめの家財向け。量を見て確認
2トントラック1台分5万~8万円まとまった家財向け。一軒分とは限らない
4トントラック1台分8万~12万円大量の家財向け。追加車両の要否を確認

分別や搬出を任せられ、短期間で片付く点が利点です。

家財の量、階段の有無、車両の駐車位置を伝え、搬出費・処分費・家電リサイクル料金・追加料金を含む総額を見積もってもらいましょう。

見積もりでそろえて確認する項目
  • 実家の家財をどこまで運び出すか
  • 処分費・搬出費・家電リサイクル料金を含む総額
  • 階段作業・車両追加などで料金が増える条件
  • 実家の売却日程に間に合う作業日と、作業完了の確認方法

遺品整理業者は間取り別で5万~60万円

遺品整理を依頼する場合の費用は、間取り別ではおおよそ次の範囲です。
仕分けや清掃、供養まで含むかどうかで料金は変わります。見積もりは、同じ作業内容で比べましょう。

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間取り遺品整理の費用目安
1LDK5万~20万円
2LDK10万~30万円
3LDK15万~50万円
4LDK以上20万~60万円

同じ間取りでも、家財の量や作業の難易度で金額は上下します。

仏壇の閉眼供養など個別の作業は別料金になることが多いため、見積もり時に内訳を確認してください。

費用を抑えるには自分でやる範囲を増やし売れるものは売る

片付け費用を抑える基本は、自分でできる仕分けを済ませ、売れる家財は現金化することです。

貴重品の確保や小物の仕分けを自分で済ませ、大型家具の搬出だけ業者に頼むといった「部分依頼」でも、費用は下げられます。

状態の良い家具・家電をリサイクルやフリマで売れば、その収入を処分費に充てられます。

ただし、売れるまで待つ時間も必要です。実家の売却に間に合うかを考えながら進めてください。

実家の整理費用は負担者と精算方法を先に決める

相続した実家を家族で整理するなら、業者に頼む人と費用を払う人を、先に決めておきましょう。

実家の売却代金から精算する、合意した割合で分担するなど、方法はさまざまです。親が存命なら、親の意向と支払い方法も確認します。

大切なのは、作業に着手する前に取り決めておくことです。

後から「立て替えた費用を誰が持つか」でもめると、親族関係にしこりを残しかねません。

見積額・負担割合・立替分の精算時期を記録しておくと、行き違いを防ぎやすくなります。

【状況別】片付けが負担で手が止まる人の進め方

「遠方で通えない」「時間が取れない」「費用が読めない」「相続人が複数でまとまらない」

実家の売却準備が進まないときは、自分に近いケースから確認してください。

実家を完璧に片づけてから売却しようと考えるほど、動けなくなることもあります。

任せる作業と家族で確認する作業を分ければ、着手しやすくなります。

遠方に住んでいて片付けに通えない場合

実家が遠方にあり、何度も通えない場合、自力での片付けは日数も交通費もかさみます。

この場合、遺品整理業者に立ち会いなしで頼む方法のほか、家財を残したまま買取を検討するのがおすすめです。

鍵をどう渡すか、残したい品物をどう伝えるか、作業後の写真を送ってもらえるか。こうした点を聞いておくと、現地に行けなくても頼みやすくなります。

買取の実務では、遠方の相談者が現地に行けないまま話を進める例も多く、「通えないから売れない」わけではありません。

仕事や介護で片付けの時間が取れない場合

仕事や介護があると、実家の整理にまとまった時間を割くのは難しいものです。

無理に自分で抱え込むと、売却そのものが何か月も先送りになりがちです。引き渡しの日程に合わせ、片付けの仕分けや搬出を業者に任せる方法を検討しましょう。

大型家具の搬出だけ頼む部分依頼でも負担は大きく減ります。

売却に間に合うよう、作業できる日を業者と相談しておきましょう。

家財の量が多すぎて費用が読めない場合

「片付け費用がいくらになるか分からず、動くのが怖い」という不安もよく聞きます。

とくに、長年ものをため込んだ実家や、ゴミ屋敷に近い状態では、処分費が数十万円単位になることもあり、費用の見通しが立たないと踏み出しにくくなります。

まずは実家の売却価格と家財の処分費用を見積もり、差し引きでいくら残るかを把握しましょう。

たとえば、仲介での想定売却額が100万円、片付け費用が50万円なら、この2項目だけの差額は50万円です。

実際の手取りは、そこから仲介手数料・登記費用・税金などを差し引いた金額になります。

買取で実家を売却する場合も、別に払う費用がないかを確認します。仲介と買取を、手元に残る金額で比べると判断しやすくなります。

相続人が複数いて片付けの分担がまとまらない場合

兄弟姉妹など相続人が複数いると、作業や費用の分担がまとまらず、実家の売却が止まってしまうことがあります。

誰も動けないまま、固定資産税や管理の負担だけが続く状態です。

この場合、まず売却の方針(いつ・いくらで・どう売るか)を相続人全員で共有することが先決です。

実家の売却方針が決まれば、搬出を業者に任せるか、家財ごと買取に任せるかも選びやすくなります。

遺産分割が未了なら、実家を誰が取得するかなどを関係する相続人で決めます。

共有名義なら、家全体の売却には共有者全員の同意が必要です。単独で相続した場合まで、全相続人の売却同意が必要になるわけではありません。

片付けをせずに実家を売却する方法

片付けをせずに実家を売る方法

片付けの負担が重いなら、家財を残したまま実家を売却する方法もあります。

不動産買取会社に直接売る「買取」なら、自分で家具や家電を運び出さずに済む場合があります。

ただし、買取価格は仲介より下がる点は押さえておきましょう。

ここでいう買取とは、不動産買取会社が買主となって物件を直接買い取る売却方法です。

一般の買い手を募って繰り返し内覧に対応する負担を減らせます。

買取なら残置物を残したまま現状で売れる

買取会社は、買い取った物件をリフォームして再販したり、解体して土地として売り出したりすることを前提に検討します。

そのため、家財の撤去も自社の段取りに組み込め、残置物を残したまま買い取れるケースがあります。

前述のとおり、買取のヒアリングでは「残置物を残したまま買取を希望するか」がほぼ必ず確認されます。

家財が残っていることは、買取ではあらかじめ想定されています。残すものを写真や一覧で伝えておくと、条件を確認しやすくなります。

家財を残せれば自分での搬出や費用の先払いを減らせる

家財を残したまま引き渡せれば、自分で搬出する手間を省けます。数万~数十万円かかることもある撤去費用を、先に用意せずに済む場合もあります。

遠方で何度も通えない方や、大量の家財がある方には、大きな利点です。片付け・残置物処分・解体などの費用は、買取会社が負担してくれるケースもあります。

ただし、その費用が買取価格に織り込まれている場合もあります。

実家の売却代金から、自分が別に支払う費用を引いて比べましょう。

買取価格は仲介より下がることが一般的

一方で、都合の良い面だけではありません。買取価格は、一般の買い手に売る仲介と比べて安くなるのが通常です。

目安として、一般の消費者からの需要がある物件なら、仲介で売れる価格のおおむね6~8割程度になることが多く、買取の実務でも同程度が目安です。

買取会社は、片付けや再販のコストとリスクを引き受ける分、その費用を価格に織り込むためです。

少しでも高く売却したいなら、時間をかけて片付け、仲介で買い手を探す方法が向いています。

一方、実家を早めに手放したい、作業や立ち会いを減らしたいなら、残置物に対応できる買取が向きます。

実家の売却で、価格と手間のどちらを優先したいのか、自分の状況に合わせて選びましょう。

提示された金額だけでなく、売却までにかかる費用と時間も比べることが大切です。

遠方でも写真と資料をもとに査定を進められる

遠方の実家でも、写真や登記簿・固定資産税の資料をもとに、売却の査定を進められるケースがあります。

たとえば、不動産会社に鍵を預けて室内を見てもらう方法があります。自分が行かずに済むか、いつ査定額が決まるかを聞いておきましょう。

本コラムを監修するアルバリンクの買取実務でも、相談者が遠方に住んでいて一度も現地に行かないまま話が進む例は珍しくありません。

「遠くて通えない」「片付けられない」という理由で、実家の売却をあきらめる必要はありません。まずは今の状態を伝えてみてください。

実家の片付けと売却で失敗しないための注意点

実家の売却準備では、重要書類の誤処分・相続登記の遅れ・特例の期限切れに気をつけましょう。

「価値がない」と早々にあきらめてしまうのも、もったいない判断になりがちです。最後に、つまずきやすい4点を押さえましょう。

処分を始める前に確認しておくと、売却の直前に慌てずに済みます。

遺品や重要書類を処分する前に必ず中身を確認する

片付けを急ぐと、預金通帳・権利証・保険証券・現金・貴金属といった貴重品や、相続に必要な書類まで処分してしまう恐れがあります。

とくに業者にまとめて処分を頼む場合は、作業前に貴重品を自分で確保しておくことが欠かせません。一度処分したものは戻りません。

「あとで探せばいい」と後回しにせず、仕分けの最初の段階で重要書類と貴重品を抜き出しておきましょう。

相続登記は実家の売却準備と並行して進める

相続した実家を売るには、名義を故人から相続人へ変更する「相続登記」が必要です。

実家の査定や売却相談は、登記前でもできます。ただ、買主へ名義を移すときに困らないよう、司法書士などと登記の日程を決めておきましょう。

相続登記は2024年4月1日から義務化されています。

相続で所有権を取得したことを知った日から3年以内に申請するのが原則で、正当な理由なく義務に違反すると10万円以下の過料の対象になります。

2024年4月1日より前に相続した実家も対象です。その時点で取得を知っていた場合は、原則2027年3月31日までに申請します。売却予定がなくても、期限を確認してください。

出典:法務省「相続登記の申請義務化について」

相続した空き家は特例の期限があるため早めに動く

相続した実家(空き家)を売る場合、一定の要件を満たすと、譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける特例を使える可能性があります。

2024年以降の売却で、対象の家屋・敷地等を取得した相続人が3人以上の場合は、控除上限が1人2,000万円となります。控除されるのは税額ではなく、売却による譲渡所得です。

期限は、相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ2027年12月31日までの売却です。

1981年5月31日以前の建築、売却代金1億円以下、耐震基準や取り壊しなど、ほかにも条件があります。親が施設に入居していた実家も、一定の条件で対象になる場合があります。

また、特例を受けるには、確定申告が必要です。実家の売却を考え始めたら、税理士や税務署に使えるかどうかを確認しておきましょう。

出典:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

価値がないと諦める前に買取の可否を確認する

「古い」「田舎」「傷んでいる」といった理由で、売れないと思い込んで放置してしまうケースがあります。

仲介では買い手がつきにくい実家でも、買取で売却できる場合があります。

買取会社は再販や土地活用を前提に評価するため、一般の買い手とは違う見方をするからです。

固定資産税や管理の負担が続く前に、実家を今のまま売却できるか、査定を受けてみましょう。

物件によっては買い取れない場合や、費用の持ち出しが必要な場合もあります。売却価格と、自分が払う費用の両方を確かめてください。

実家を売却する際の片付けに関してよくある質問まとめ

実家の片付けをせずに売ることはできますか?

できます。

家財を残せる買取会社などと合意できれば、片付けをせずに実家を売却できます。

ただし、「現状渡し」というだけでは、何でも残せるわけではありません。

残す品物と処分費の負担を確認しましょう。

遠方の実家で片付けに通えなくても売却できますか?

可能です。

遺品整理業者に立ち会いなしで頼む方法や、家財ごと実家を買い取ってもらう方法があります。

鍵の受け渡しや現地確認をどう進めるか、売却の相談時に聞いてみてください。

実家の片付け費用は誰が払うのですか?

相続した実家なら、誰が発注し、費用をどう分担・精算するかを関係者で決めておきましょう。

売却代金から精算する方法もあります。

親が存命の場合は、親の意向や支払い方法も確認してください。

片付けと相続登記はどちらを先に進めるべきですか?

片付けと並行して、早めに登記の準備も始めましょう。

実家の査定や売却相談は登記前でもできますが、引き渡しに間に合うよう、司法書士などと日程を調整してください。

まとめ|実家の売却方法に合わせて片付けの範囲を決めよう

仲介で実家を売却するなら、内覧前には室内を見やすく整え、原則として引き渡しまでに家財を撤去します。

すべて終えてからでなければ査定を頼めないわけではありません。

買取なら、残置物ごと実家を売却できる場合もあります。どこまで残せるか、処分費を誰が払うかを聞いておきましょう。

自分で片付けるなら、計画→仕分け→現金化→処分→清掃の順で進め、重要書類と貴重品の確保を最優先にしてください。

実家までの交通費や作業日数も、片付けの負担の一つです。業者に頼む費用と比べて、無理のない方法を選んでください。

大切なのは、完璧に片付けてから売ろうと、一人で抱え込まないことです。

実家の古さや家財の多さだけで、売却をあきらめる必要はありません。

手が止まっているなら、実家の写真や家財の量、売却したい時期を伝えて相談してみてください。どこまで自分で片付けるかが分かれば、次の一歩も踏み出しやすくなります。

この記事を書いた人

空き家売却ガイドは、株式会社Lifeplayが運営する、空き家の最適な選択肢が見つかるWebメディアです。

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