道路に面していない土地は売却できる?種類別の相場や注意点を解説

「相続した土地が道路に接していない」「不動産会社に相談したら、うちでは扱えないと言われた」。

そんな土地を抱えて、売却できるのかどうか不安を感じていませんか。

道路に面していない土地も、隣地所有者や専門の買取業者への売却、接道条件を整えたうえでの売却を検討できます。

建て替えができない「再建築不可」の土地は買い手が限られますが、前の道が狭いだけで再建築不可と決まるわけではありません。

まず確かめたいのは、道路とのつながり方と、建築基準法上の扱いです。

道路に面していない土地は、その種類によって売却価格の目安も、費用をかけるべきかどうかも変わります。

解体や工事を始める前に、今の状態で売却する場合と、条件を改善する場合を比べてみましょう。

この記事でわかること
  • 袋地・2項道路・間口不足の違いと、接道義務の確認方法
  • 土地の種類別の売却相場と、査定額を左右する条件
  • 隣地への売却・セットバック・現況買取など5つの方法
  • 売却前に確認したい通行権・認定や許可・費用と税金
この記事の監修者

株式会社AlbaLink(アルバリンク)

空き家や共有持分、再建築不可物件、事故物件、ゴミ屋敷など、売れにくい不動産の買取を専門とする不動産会社。

豊富な実務知見をもとに、当記事の監修・作成協力を行っています。

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目次

道路に面していない土地は道路とのつながり方で3タイプに分かれる

道路に面していない土地の売却では、道路にまったく接していない「袋地」と、道には接していても建築の条件に課題がある土地を分けて考える必要があります。

後者には、前面道路の幅が4m未満の土地や、道路に接する間口が2m未満の土地があります。

ただし、幅4m未満の道でも、建築基準法上の道路として扱われる「2項道路」なら、セットバックによって建て替えられる場合があります。

見た目で道があるかどうかだけでは、売却の条件を決められません。

スクロールできます
土地のタイプ道路との関係売却前に確認すること
袋地周囲を他の土地に囲まれ、公道に通じていない通行権の内容と、接道を確保する余地
前面道路の幅が4m未満敷地は道に接しているが、道が狭い2項道路等に該当するか、必要な後退範囲
間口が2m未満道に接する敷地の幅が足りない通路全体の幅と、隣地を取得できる見込み

接道義務は、災害時の避難や消防活動などに必要な経路を確保するための決まりです。

売却できるかという問題と、その土地で希望する建築計画が認められるかという問題は、分けて確認しましょう。

出典:国土交通省「接道規制のあり方について」

接道義務とは原則として幅員4m以上の道路に2m以上接する決まり

都市計画区域・準都市計画区域内では、原則として、建築物の敷地は建築基準法上の道路に2m以上接する必要があります。

その道路の幅員は原則4m以上です。

もう少しかみ砕くと、「建築に使える道路か」と「敷地が必要な幅で接しているか」の両方を確認するルールです。

条件を満たさない土地では、原則として建物を新築・建て替えできません。

ここでいう道路は、公道だけではありません。

私道でも建築基準法上の道路に該当する場合があり、反対に、ふだん人や車が通る道でも該当しないことがあります。

道幅が4m未満でも2項道路として扱われる場合や、43条第2項の認定・許可を受ける場合など、例外もあります。

また、用途や規模、地域の条例によって、2mより広い接道が求められることもあります。

売却を依頼するときは、道路の所有者だけでなく、道路の種別・幅員・敷地が接する長さを不動産会社に調べてもらいましょう。

出典:e-Gov法令検索「建築基準法第41条の2・第42条・第43条」/横浜市「建築基準法の道路」

道路に一切接していない土地は袋地と呼ばれる

袋地とは、周囲を他の土地に囲まれ、公道に通じていない土地のことです。

袋地を囲む土地は「囲繞地(いにょうち)」と呼ばれます。

民法には、公道に出るために他の土地を通行する権利が定められており、一般に「囲繞地通行権」と呼ばれています。

そのため、袋地だから一切出入りできないとは限りません。

ただし、通る場所や方法は、通行に必要な範囲で、周囲の土地にとって損害が最も少ないものを選ぶ必要があります。

車の通行まで当然に認められるわけではなく、原則として、通行による損害に対する償金も必要です。

土地の分割や一部の譲渡によって袋地が生じた場合などには、通行できる土地や償金について別の扱いがあります。

査定の前には、いつ、どのような経緯で今の形になったかも確認しておきましょう。

公道に出るために水路などを通らなければならない土地や、崖などで著しい高低差がある土地も、民法では同様に扱われます。

こうした土地は「準袋地」と呼ばれます。

通行する権利があっても、接道義務を満たしたことにはなりません。

道路に面していない土地を売却するときは、出入りの条件と、建て替えの可否を別々に買い手へ説明する必要があります。

出典:e-Gov法令検索「民法第210条~第213条」

接する道路の幅が4m未満なら2項道路の可能性がある

前面道路の幅が4m未満でも、それだけで再建築不可とは決まりません。

建築基準法第3章の規定が適用されることになった時点で建物が立ち並んでいた幅4m未満の道のうち、特定行政庁が指定したものは、2項道路として扱われます。

2項道路に接する土地は、道路の中心線から原則2mまで敷地を後退させる「セットバック」など、必要な条件を満たして建て替えできる場合があります。

袋地とは売却時の評価も違ってきます。

一方、道として使われているだけの通路は、土地を後退させれば自動的に2項道路になるわけではありません。

市区町村の建築指導課などで、道路の種別と指定の有無を確認してください。

売却用の資料には、現況の道幅だけでなく、後退が必要な面積と、後退後に使える敷地面積も示すと、買い手が建築計画を検討しやすくなります。

出典:e-Gov法令検索「建築基準法第42条第2項」

道路には接するが間口が2m未満だと原則として接道義務を満たさない

建築基準法上の道路に接していても、その道路に接する敷地の幅が2m未満なら、原則として接道義務を満たしません。

あと数十cm足りないために、建て替えが難しくなることもあります。

細長い通路の奥にまとまった敷地が広がる「旗竿地」では、この幅の確認が欠かせません。

ただし、旗竿地という形そのものが再建築不可の理由ではなく、必要な幅やその他の条件を満たせば建築できます。

確認するのは道路との接点だけではありません。

通路の途中に狭い部分がないか、塀や境界の位置はどうなっているかも調べます。

条例によっては、通路の長さや建物の規模に応じた幅が必要です。

隣地の一部を取得する場合も、単に入口を2mに広げれば十分とは限りません。

建築士などに必要な範囲を確認してから、購入する面積や価格を相談しましょう。

出典:横浜市「建築基準法の道路」接道と路地状敷地

自分の土地の接道状況は図面・役所・現地を照合して確認する

「昔から家がある」「車で出入りできる」という事情だけでは、建て替えできるかは判断できません。

道路に面していない土地の売却を考えるなら、手元の資料から順に確認しましょう。

STEP
公図・登記・過去の測量図を集める

土地の地番、所有者、道との位置関係を確認します。

通行承諾書や私道の契約書があれば、一緒に用意してください。

公図だけで正確な境界や幅が確定するわけではありません。

STEP
役所で道路の種別と建築条件を聞く

所在地と地番を伝え、建築基準法上の道路か、2項道路か、セットバックや43条の認定・許可の検討が必要かを確認します。

過去の建築確認資料も手がかりになります。

STEP
現地の幅・境界と売却条件を照合する

不動産会社の現地調査で資料との違いを確認し、境界や測量は土地家屋調査士、建築計画は建築士に相談します。

その結果をもとに、現況での査定と改善に必要な費用を比べます。

不動産の実務では、売主へのヒアリング・役所調査・現地調査を組み合わせて接道の状況を確認します。

「隣の人の土地を通らせてもらっている」といった経緯も、売却の依頼先へ伝えておきましょう。

必要な調査の範囲が分からなければ、まず手元にある資料で相談できます。

確定測量や工事を先に発注せず、売却に必要な作業と費用の負担者を確認してから進めると、不要な持ち出しを抑えられます。

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道路に面していない土地の売却が難しい5つの理由

道路に面していない土地は、建築や通行に制約があると買い手の用途が限られ、一般的な宅地より売却が難しくなります。

買い手が気にするのは、建て替え、住宅ローン、車両の進入、日当たり、隣地との関係です。

すべての問題が重なるとは限らないため、自分の土地に当てはまるものを確認しましょう。

募集時に分かっている条件を示せれば、「買ってから使えないと分かるのでは」という不安を減らせます。

反対に、確認できていない点を大丈夫と言い切ると、契約後のトラブルにつながります。

建て替えが難しく大規模リフォームにも確認が必要になる

再建築不可の土地では、原則として、今ある建物を解体して新しく建て直すことができません。

将来は新築したいと考える買い手にとって、大きな制約になります。

古い建物を使い続ける場合も、どこまで改修できるかを確認する必要があります。

2025年4月からは、原則として木造2階建てなどの大規模な修繕・模様替にも建築確認が必要となりました。

ただし、建築確認が必要な工事をすべて行えないという意味ではありません。

既存不適格建築物に対する緩和などが適用される場合もあり、建物の状況と工事内容によって判断が変わります。

事前に改修を検討するなら、柱や梁などの主要構造部にどの程度手を入れるかを建築士に伝え、必要な手続きを確認しましょう。

買い手にも、確認済みの内容と未確認の内容を分けて説明します。

出典:国土交通省「令和4年改正建築基準法について」/国土交通省「既存建築物の現況調査ガイドライン等」

売却のために、先に建物を解体しないでください。

既存の建物を使いたい買い手がいる場合、解体によって売却の選択肢が減ることがあります。

まずは古家付きの状態で査定を受けましょう。

買い手が住宅ローンを組みにくい

再建築不可の土地は、金融機関が担保評価や将来の処分のしやすさを慎重に判断するため、住宅ローンを利用しにくくなります。

気に入った人がいても、融資の条件が合わず契約に至らないことがあります。

ただし、すべての金融機関が一律に融資しないわけではありません。

建物の状態や借り手の条件、利用する融資商品によって扱いが異なります。

現金で購入する人のほか、既存の建物を賃貸用に活用したい人、隣接する敷地と一体で使いたい人なども買い手の候補です。

売却先を住宅の新築を希望する人だけに絞らないことが大切です。

仲介で購入希望者が見つかった場合は、融資利用の有無と審査の予定を早めに確認しましょう。

融資が下りなかった場合の契約の扱いも、不動産会社と確認しておく必要があります。

緊急車両や大型車両が進入しにくい

前面道路や通路が狭いと、消防車や救急車が建物の近くまで入れないことがあります。

日常の出入りができても、災害時や急病時の対応を気にする買い手は少なくありません。

売却価格に関わるのは、工事車両が入れるかどうかも同じです。

重機を使いにくければ、手作業での解体や小型機械の利用、資材・廃材の小運搬が増え、工事費が高くなることがあります。

また、引っ越しのトラックを停める場所や、買い物の荷物を運ぶ距離も、生活のしやすさに影響します。

道幅だけでなく、曲がり角や高低差、作業場所まで確認しておきましょう。

古家付きの場合は、解体費を一律に見積もるより、現地の進入条件を見た業者の見積もりを使うほうが、買い手との価格交渉の根拠になります。

日当たりや風通しが悪くなりやすい

周囲を建物に囲まれた袋地などは、日当たりや風通しが悪くなりやすい傾向があります。

住まいとして使う買い手には、建物の湿気や室内の明るさも気になるところです。

ただし、袋地や旗竿地という形だけで住環境が決まるわけではありません。

周りの建物の高さ、空地の位置、敷地の向きによって状況は違います。

周辺の住宅需要が高ければ、多少の制約があっても売却できる場合があります。

一方、需要が乏しい地域では、価格を下げても買い手が見つかるとは限りません。

募集用の写真や現地案内では、室内や庭の様子に加え、周囲の建物との距離も分かるようにすると、買い手が利用後の暮らしを想像しやすくなります。

隣地や私道の所有者とトラブルになりやすい

出入りや水道・ガス管の引き込みに、隣地や私道を利用する必要があると、その利用条件が売却に影響します。

私道の持分があるか、誰とどのような取り決めをしてきたかを確認しましょう。

「以前から通っている」だけでは、買い手が同じ条件で使えるか分からないことがあります。

通行承諾書や契約書があれば、対象の土地、車両通行の可否、費用、所有者が変わった場合の扱いまで確認が必要です。

水道などの設備は、他人の土地への設置や他人の設備の使用によらなければ継続的な給付を受けられない場合、民法上の権利が認められることがあります。

ただし、場所・方法の制限、事前通知、償金などの条件があります。

承諾書がないから必ず売却できないとも、法律上の権利があるから自由に掘削してよいともいえません。

権利の範囲に争いがある場合は弁護士などに相談し、売却の依頼先には経緯をそのまま伝えましょう。

専門の買取業者なら現況で検討できる場合がありますが、通行や掘削の問題が消えるわけではありません。

隣地との交渉が必要か、誰が対応するかを確認してから売却条件を決めましょう。

前面道路が私道で持分がない場合は、次の記事をご覧ください。

出典:e-Gov法令検索「民法第213条の2」

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道路に面していない土地の売却相場は通常の5~7割が目安

接道に制約が残る土地の売却価格は、同じエリアで接道義務を満たす通常の土地と比べて5~7割程度、袋地では3~7割程度が一つの目安です。

これは監修元であるAlbaLinkの買取実務でみられる目安であり、全国一律の成約統計や、査定額を保証する数字ではありません。

「通常の価格の5~7割」は、通常価格から3~5割程度低いという意味です。

たとえば比較対象の土地が1,000万円なら、5~7割は500万~700万円です。

ただし、その比較対象が面積や立地の異なる土地では、計算しても売却価格の参考になりません。

スクロールできます
種類・状態通常の土地に対する価格の目安目安を見るときの条件
袋地3~7割程度通行条件・既存建物の利用・隣地の需要で変わる
間口不足など接道に制約が残る土地5~7割程度改善費用と再建築の見込みで変わる
2項道路に接し、後退等で建築できる土地上記の割合を一律に当てはめない後退後の面積や建築条件から査定する

袋地は通常の3~7割まで下がることがある

袋地は、建築だけでなく出入りにも制約があると、売却価格が通常の土地の3~7割程度まで下がることがあります。

買い手は、建物を使えるか、工事の際に資材を運べるか、周囲の土地をどの条件で通れるかを確認する必要があります。

利用の見込みを立てにくいほど、査定にも影響します。

一方、隣地所有者が庭や敷地を広げるために買い増す場合や、既存の建物を活用できる場合には、具体的な需要が見込めます。

資材置き場などの用途も、必要な車両通行や利用上の条件を満たせるかが前提です。

袋地を駐車場として売却しようとしても、人が通れるだけの通路では実現できないことがあります。

想定する使い道に必要な条件まで示して査定を受けましょう。

間口不足など接道の制約が残る土地は通常の5~7割が目安

間口不足などで接道義務を満たせない土地は、通常の土地の5~7割程度が売却価格の目安になります。

隣地の一部取得などで改善できる見込みがあれば、買い手が利用方法を考えやすくなります。

ただし、前面道路の幅が4m未満でも、2項道路に接し、セットバックなどの条件を満たして建築できる土地には、この割合をそのまま当てはめません。

後退によってどれだけ敷地が減るか、希望する規模の建物が建つか、境界や工事の費用がどの程度かを確認して、査定額を見立てる必要があります。

逆に、間口を広げるには隣地の取得が必要なのに相手の協力が得られないなど、改善が難しい場合は、袋地に近い評価となることもあります。

見込みだけで高い価格を付けず、確認できた条件を査定に反映しましょう。

売却相場に幅があるのはエリアの需要で価格が変わるから

道路に面していない土地は、通常の宅地より似た条件の取引事例が少なく、買い手も限られます。

近所の土地の売り出し価格に一定の割合を掛けるだけでは、売却できる金額は分かりません。

たとえば、住宅や事業用地の需要が強い場所なら、隣地とまとめて使う価値があり、接道の制約があっても購入希望者が見つかる場合があります。

一方、周辺にも売れ残った土地が多い地域では、値下げしても使いたい人が現れないことがあります。

「通常の何割なら必ず売却できる」とは考えないほうがよいでしょう。

査定を受ける際は、比較した取引事例の場所や条件、想定する買い手、売却までの期間を聞いてみてください。

金額の根拠が分かれば、高い査定額だけで依頼先を選ぶことを避けられます。

価格を左右するのは再建築可能化のしやすさと立地

売却価格を左右するのは、主に「建築できる状態に整えられるか」と「その場所を使いたい人がいるか」です。

さらに、改善にいくらかかるかによって、売主の手残りも変わります。

スクロールできます
確認する要素評価につながりやすい条件価格を抑える要因
再建築の見込み必要な後退範囲や認定・許可の条件が確認できている隣地取得や行政判断の見込みが立たない
立地の需要住宅・事業用途や隣地買い増しの需要がある利用希望者が少なく、成約事例も乏しい
形・面積必要な通路を確保しても利用できる面積が残る後退や通路部分を除くと建築計画が難しい
通行と費用権利関係や費用負担が明確通行の争い、測量・解体費等の見通しが立たない

再建築の条件を整えれば売却価格が上がる場合がありますが、購入する隣地の代金や工事費が増額分を超えることもあります。

現況での売却価格と、改善後の売却価格から必要費用を引いた金額を比べましょう。

道路に面していない土地を売却する方法は主に5つ

売却方法は、隣地の一部購入・セットバック・43条第2項の認定や許可によって建築条件を整える方法と、隣地所有者や専門の買取業者に現況で売却する方法の5つです。

高い価格を目指す場合も、費用と時間をかければ必ず条件が改善するわけではありません。

まずは自分の土地で利用できる方法を確かめましょう。

スクロールできます
方法検討しやすい条件費用・期間で確認すること
隣地を一部購入必要な通路・間口を確保でき、隣地所有者が応じる購入・測量・分筆等。交渉を含め数か月以上かかる場合も
セットバック2項道路に接し、後退後の敷地で建築できる測量・塀の撤去・整備等。協議と工事の期間を確認
43条第2項の認定・許可敷地・通路・建築計画が基準に適合する申請・設計等。準備と審査に数か月かかる場合も
隣地所有者への売却隣地と一体利用する需要と購入資金がある測量・登記等の分担。交渉次第で期間は変わる
専門業者への現況売却業者が現状と活用見込みを踏まえて買い取れる条件が揃えば最短数日~数週間。費用負担は契約で確認
STEP
現況の査定額と引き渡し条件を聞く

道路や建物の資料を渡し、そのまま売却できる価格、必要な手続き、自分が負担する費用を確認します。

STEP
改善できる範囲と費用を調べる

役所や建築士に再建築の見込みを確認し、隣地取得・測量・工事・申請の見積もりを揃えます。

STEP
手残りと期限が合う方法を選ぶ

改善後の売却見込み額から費用を差し引き、現況売却と比べます。

交渉や許可がまとまらない場合の見直し時期も決めておきましょう。

隣地を一部買い取り接道義務を満たしてから売る

袋地や間口不足の土地では、隣地の一部を取得して必要な通路や接道幅を確保し、建築できる状態で売却する方法があります。

取得するのは隣地全体ではなく、条件を満たすために必要な範囲で済む場合もあります。

接道の問題を改善できれば、住宅を新築したい人にも売却を検討してもらいやすくなります。

ただし、購入する部分を決める前に、通路全体の幅や条例、建築計画との関係を確認しなければなりません。

隣地所有者が応じてくれることも前提です。

「売るつもりがない」「残った敷地が使いにくくなる」「価格が合わない」といった理由で、交渉がまとまらないこともあります。

一部を取得する際には、対象範囲を明確にし、必要な境界確認や測量、分筆登記を行って所有権を移すことになります。

売却後の見込み額だけでなく、隣地代金とこれらの費用を合算して判断しましょう。

専門の買取業者に現況で売却し、取得後の測量や隣地交渉を業者側で行う形なら、売主が先に費用を出さずに済む場合もあります。

どの作業を誰が担うかは、契約前に確認が必要です。

隣地の一部を譲り受けた結果、隣地側の建物が接道や敷地面積の条件を満たさなくなることもあります。

同じ通路を双方の建築敷地として二重に扱わないかも含め、両方の敷地を確認してから交渉しましょう。

セットバックで道路幅4mを確保してから売る

2項道路に接する土地では、原則として道路の中心線から2mの位置まで敷地を後退させるセットバックにより、建築条件を整えて売却する方法があります。

ただし、道の反対側が崖・川などの場合は、その側の境界から4mの位置まで後退が必要になることがあります。

現地の中央を自分で測って、後退位置を決めることはできません。

後退部分は建物や塀の敷地として使えなくなり、建築に使える面積も減ります。

セットバック以外の建築条件も満たす必要があるため、後退後にどのような建物が建つかまで確認しましょう。

費用は、境界がすでに確定していれば数十万円程度、確定していない場合は80万円前後まで上がることもあります。

売却に向けて工事をする前に、買い手が後退工事を行う条件で売却する場合の査定も聞いてみましょう。

先に整備するほうがよいか、費用を織り込んで引き渡すほうがよいかを比べられます。

幅の狭い通路なら、どこでもセットバックで建築できるわけではありません。

道路の指定、後退線、必要な工事を役所で確認してから、売却の準備を進めてください。

出典:e-Gov法令検索「建築基準法第42条第2項」

43条第2項の認定・許可を受けてから売る

建築基準法上の道路に接していなくても、敷地や通路、建築計画が一定の基準を満たせば、建築基準法第43条第2項の認定・許可を受けて建築できる場合があります。

かつて「43条但し書き」と呼ばれていた制度です。

現在は、幅員4m以上の一定の道に接する場合などの「第1号の認定」と、周囲に広い空地がある場合などの「第2号の許可」に分かれます。

許可には、特定行政庁の判断に加えて建築審査会の同意が必要です。

事前に利用の見込みを確認できれば、買い手が検討できる建築計画の範囲を示せます。

ただし、自治体の基準、通路の利用条件、建物の用途や規模などを確認する必要があります。

図面の準備や関係者との調整を含め、数か月かかることもあります。

申請費用だけでなく、建築士への依頼費用や、必要な整備の有無も確認しておきましょう。

出典:e-Gov法令検索「建築基準法第43条第2項」/横浜市「敷地等と道路との関係の許可・認定」

認定・許可は、土地に将来の自由な建築を保証するものではありません。

売却時には「相談段階」「取得済み」を区別し、対象となった建築計画と条件を伝えます。

買い手の計画に変更する場合や将来の建て替えでは、改めて手続きが必要か確認してください。

隣地の所有者にそのまま買い取ってもらう

道路に面していない土地でも、隣地所有者には、庭や駐車スペースを広げたり、自分の敷地と一体で利用したりするための価値がある場合があります。

隣地への売却がまとまれば、売主が接道条件を改善する工事や申請を行わずに、そのまま引き渡せる可能性があります。

単独では使いにくい土地ほど、一体利用できる相手がいるかを考えてみましょう。

一方、隣地所有者に購入の意思や資金がなければ成立しません。

身近な相手だからこそ、価格の話がこじれると、その後の通行や境界の相談もしにくくなることがあります。

直接打診しにくい場合は、不動産会社を通じて意向を確認する方法もあります。

売却価格の根拠、引き渡す範囲、測量や登記費用の分担を示し、口約束だけで進めないようにしましょう。

隣地への売却と専門業者の買取を並行して相談すれば、相手からの返事を待ち続けずに、条件を比べて判断できます。

専門の買取業者にそのまま売却する

工事や隣地交渉を自分で進めるのが難しい場合は、再建築不可や無道路地を扱う専門の買取業者への売却が選択肢になります。

専門業者は、既存建物の活用や隣地との一体利用、接道条件の改善などを見込んで査定します。

そのため、一般の購入希望者が見つかりにくい土地でも、現況のまま売却できる場合があります。

買取では、業者が直接の買主になるため、一般の買い手を募集する期間を省けます。

条件が揃えば最短数日~数週間で進むケースもありますが、権利関係や相続登記などの確認に時間がかかることもあります。

仲介で売却する場合より価格は低くなりやすいものの、解体や片付けを先に依頼せずに済む点は大きな利点です。

提示額とあわせて、引き渡しまでに自分が行う作業を確認しましょう。

買取の条件で確認すること
  • 建物・家財・残置物をどこまで残して引き渡せるか
  • 境界確認・測量・登記の手配と費用を誰が負担するか
  • 提示価格から別途差し引かれる費用があるか
  • 契約不適合責任の範囲、決済日、不成立になる条件

「一般の不動産会社に断られた」「古家や通行の問題を抱えたままでは無理なのでは」と感じている方は、こうした土地の買取を専門的に扱う会社へ、現状を伝えて相談してみてください。

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業者が費用を負担する場合も、必要経費は買取価格に織り込まれます。

また、契約不適合責任を免責とする合意があっても、知りながら告げなかった事実まで免責されるわけではありません。

通行の争いや建物の不具合など、把握している事情は売却前に伝えましょう。

出典:e-Gov法令検索「民法第572条」

【状況別】道路に面していない土地の売却方法はどのように選ぶ?

売却方法を選ぶときは、再建築の見込みだけでなく、自分が現地へ通えるか、費用を立て替えられるか、いつまでに引き渡したいかも大切です。

買取が向く事情があっても、必ず買い取ってもらえるわけではありません。

土地の条件と希望を伝え、実際の提示条件で比べましょう。

スクロールできます
今の状況検討する方法契約前に確かめること
遠方に住み、現地へ通えない現地調査を任せられる業者への売却立ち会いの要否、郵送等で進められる範囲
古家を残したまま手放したい古家付きの現況買取残せる家財、解体費の扱い、引き渡し条件
隣地との交渉が難しい事情を把握した専門業者への売却売主による承諾取得が条件になっていないか
時間をかけても高く売却したい改善の見込みと費用を確認して仲介現況売却より手残りが増えるか

相続した土地で遠方に住み現地に通えない場合

相続した土地が遠方にあると、セットバックの手配や隣地との交渉、役所での確認のたびに通うのは大きな負担です。

この場合は、現地調査を行い、書類のやり取りを郵送などで進められる不動産会社や買取業者へ売却を相談する方法があります。

手元の公図、登記の資料、現地写真などから相談を始められる場合もあります。

ただし、本人確認や境界確認などで対応を求められることはあります。

「現地へ行かなくてよいか」だけでなく、どの手続きに誰の立ち会いが必要かを聞いておきましょう。

亡くなった方の名義のままでも売却の相談はできますが、売却を完了するには、相続登記など必要な手続きを進める必要があります。

共有者がいる場合も、誰がどこまで合意しているかを依頼先へ伝えてください。

古家が残ったまま手放したい場合

「古い家だから、更地にしたほうが売却しやすいのでは」と迷う方もいるでしょう。

しかし、再建築不可の土地では、古家があること自体が利用の選択肢を残している場合があります。

解体すれば、既存の建物を補修して使うことはできなくなります。

解体費の持ち出しが生じるうえに、かえって買い手が限られることもあるため、まずは古家付きの状態で査定を受けましょう。

現況買取なら、建物や家財を残したまま売却できる場合があります。

雨漏りや傾き、設備の故障など、分かっている不具合を伝え、どの範囲までそのままでよいかを確認してください。

売主が解体費を先払いしない契約でも、買主が将来負担する費用は査定に反映されます。

提示された売却代金と、別途自分が支払う費用を分けて確認することが大切です。

隣地と関係が悪く交渉が難しい場合

隣地所有者と関係がこじれている、あるいは連絡が取りにくい場合は、隣地の一部取得や、通行・掘削の条件を整える作業が進みにくくなります。

その場合は、交渉の経緯を含めて専門の買取業者へ伝え、現況で売却できるか相談してみましょう。

業者が取得後の対応を担う条件であれば、売主が直接やり取りする負担を減らせる場合があります。

ただし、どの業者でも隣地交渉をせずに買い取れるとは限りません。

買取の提示に「売主が通行承諾を取得すること」などの条件が付いていないか確認してください。

過去の承諾書、通知、やり取りの記録があれば、売却の依頼先に共有しましょう。

合意済みの内容と争っている内容を区別できれば、実行できない条件で契約してしまうことを防ぎやすくなります。

時間をかけても高く売りたい場合

引き渡しを急がず、工事や申請の費用を用意できるなら、接道条件を整えてから仲介で売却する方法を検討できます。

住宅を新築できるようになれば、一般の買い手にも検討してもらいやすくなります。

ただし、値上がりする見込み額より準備費用が大きければ、手元に残る金額は減ります。

隣地代金だけでなく、測量・分筆・設計・工事・仲介などの費用を含めて比べましょう。

たとえば、現況で300万円の売却が見込める土地を、改善後に500万円で売却できると仮定します。

改善する場合の追加費用が合計250万円なら、差し引きは250万円となり、現況売却のほうが50万円多く残る計算です。

これは比較方法を示す仮の例で、税金など両方の方法で生じる費用は別に考える必要があります。

実際の判断では、同じ範囲の費用を引いた手残りで比較してください。

隣地との合意や認定・許可が得られない可能性もあるため、相談の段階で「いつまでに見込みが立たなければ現況売却へ切り替えるか」を決めておくと、費用と時間をかけ続けずに済みます。

道路に面していない土地の評価額と固定資産税の考え方

土地の資料にある「評価額」は、売却できる金額と同じではありません。

相続税の評価、固定資産税の評価、実際の売却価格では、計算の目的や決まりが違います。

接道条件によって税務上の評価が下がる場合はありますが、それだけで売却価格や税額が決まるわけではありません。

納税通知書の数字だけを見て、安すぎる査定だと判断しないようにしましょう。

売却を先送りするか考える際は、評価額よりも、今支払っている税金と管理費を確認すると、持ち続ける負担を把握しやすくなります。

相続税評価額は要件を満たせば無道路地補正で下がる

相続税などの土地評価では、道路に接しない宅地や、接していても接道義務を満たさない宅地を「無道路地」として評価する取扱いがあります。

実際に利用している道路の路線価を基に、不整形地などとして計算した価額から、その40%を限度に、通路の開設に必要な相当額を控除します。

単純に評価額を一律40%引きにする制度ではありません。

たとえば、控除前の価額が1,000万円で、必要な通路の価額が300万円と計算された仮の例なら、上限400万円の範囲内なので、控除後は700万円となります。

通路の幅は、一律に2mと決めるのではなく、建築基準法や条例に基づく接道義務を満たすために必要な最小限のものとして計算します。

土地の形や位置関係によって結果が変わるため、税理士や税務署へ確認しましょう。

他人の土地に通行の用に供する権利を設定している場合は、この取扱いの対象となる無道路地に該当しないとされています。

道路に面していない土地なら必ず控除できるわけではなく、売却価格の値引き率としても使えません。

出典:国税庁「No.4620無道路地の評価」

接道状況によっては固定資産税評価額が低くなる場合がある

固定資産税の土地評価では、形状や道路との関係など、利用上の条件が反映されます。

接道に制約がある土地は、周辺の標準的な土地より評価が低くなる場合があります。

ただし、税額は評価額そのものではなく、特例や負担調整などを反映した課税標準額に基づいて計算します。

相続税の無道路地補正を、そのまま固定資産税にも使うわけではありません。

納税通知書や課税明細書で、評価額・課税標準額・税額を分けて確認しましょう。

道路との関係が評価に反映されているか分からない場合は、自治体の固定資産税担当へ問い合わせできます。

なお、原則として、同一市町村内で同じ所有者が持つ土地の課税標準額の合計が30万円未満なら、免税点により固定資産税は課税されません。

土地を1筆ずつ見て判断するものではありません。

課税されている場合は、売却できない間も負担が続きます。

税額が小さいからと保有を決める前に、草刈りなどの費用も合わせて考えましょう。

出典:東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」

路線価で相続税評価の目安を調べられる

路線価は、道路に面する標準的な宅地の1㎡あたりの価額で、相続税などの評価に使います。

国税庁の「財産評価基準書」で、所在地と評価する年を選んで調べられます。

路線価に面積を掛けると計算の出発点になりますが、奥行きや形状などの補正が必要です。

無道路地では、実際に利用している道路の路線価を基に、前述の調整を行います。

路線価が設定されていない地域は、評価倍率表を使う倍率方式の対象となります。

図面に数字がないから価値がない、という意味ではありません。

路線価は資産の規模を知る材料にはなりますが、道路に面していない土地の売却価格を直接示すものではありません。

査定では、買い手の需要や接道改善の費用なども別に確認します。

出典:国税庁「財産評価基準書路線価図・評価倍率表」/国税庁「No.4620無道路地の評価」

売れないまま持ち続けると税金や管理の負担が続く

使う予定がない土地を持ち続けると、課税されている税金に加えて、草刈りや管理、遠方へ通う交通費がかかります。

金額が小さくても、毎年続けば負担は積み重なります。

古家があれば、屋根や外壁の傷み、敷地内の樹木などの確認も必要です。

「いつ売却できるのか」と気にかけ続けること自体が、負担になる方もいるでしょう。

一方、隣地の売買などで利用条件が変わる可能性があれば、保有を続ける判断もあり得ます。

手放す時期は、将来の見込みと、待つ間の費用を比べて決めましょう。

使い道がなく、改善の見込みも立たない場合は、現況での買取価格を確認する価値があります。

希望価格だけでなく、いつ管理を終えられるかも売却条件の一つです。

道路に面していない土地についてよくある質問

自分の土地が道路に面しているか確認する方法はありますか?

公図・登記・測量図などで位置関係を確認し、役所で前面の道の種別や建築条件を調べます。

現地の幅や境界も照合しますが、公図や自己測定だけでは再建築の可否を確定できません。

売却を考えている場合は、不動産会社に資料を渡し、必要に応じて建築士や土地家屋調査士にも確認してもらいましょう。

道路に面していない土地の固定資産税は安くなりますか?

接道などの利用条件が評価に反映され、税負担が低くなる場合はありますが、一律には決まりません。

税額は課税標準額を基に計算し、免税点などで課税されない場合もあります。

納税通知書の評価額と税額を分けて確認してください。

相続税の無道路地補正と、固定資産税の計算や売却価格は別です。

袋地でも売却できますか?

買い手と条件が合えば売却できます。

隣地所有者への売却や専門業者の現況買取のほか、隣地の一部を取得して接道を改善する方法もあります。

通行権があっても建築できるとは限らないため、出入りと建て替えの条件を分けて確認しましょう。

売却価格は通行条件や地域の需要などによって変わります。

古家が建ったままでも売れますか?

古家付きのまま売却できる場合があります。

再建築不可の土地では、解体すると既存建物を使う選択肢がなくなるため、まずはそのまま査定を受けましょう。

現況買取なら、解体や片付けを先に行わずに済むこともあります。

残せる物、売主負担の費用、把握している不具合の説明まで含めて売却条件を確認してください。

まとめ|道路に面していない土地も条件に合う方法で売却できる

道路に面していない土地は、建築や通行の条件によって買い手が限られますが、売却できないと決まったわけではありません。

まずは、袋地なのか、前面道路が狭いのか、間口が不足しているのかを確認しましょう。

2項道路に接していて建て替えできる土地と、接道の改善が難しい土地では、相場の見方も売却方法も異なります。

隣地の一部取得・セットバック・43条第2項の認定や許可を検討する方法と、隣地所有者や専門業者へ現況で売却する方法があります。

費用をかける場合は、現況売却より手残りが増えるかまで比べてください。

解体や工事を始める前に、今の状態で売却できる条件を確かめましょう。

相続した土地が遠方にある、古家が残っている、隣地との交渉が難しい場合は、監修元AlbaLinkのように、再建築不可や無道路地を扱う買取業者へ相談する方法があります。

一社に断られた場合でも、扱う地域や活用方法が異なれば、検討できる会社が見つかることがあります。

所在地と手元の資料、分かっている問題を伝え、売却価格・自己負担・引き渡し時期を確認してみてください。

売れない土地の手放し方をタイプ別に知りたい方は、次の記事もご覧ください。

この記事を書いた人

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