相続した土地が水路に接していて、仲介に出しても買い手がつかない。
不動産の仲介会社に相談したら「建物が建てられないので難しい」と言われてしまった。
そんな状況で、売れないまま固定資産税だけを払い続けているのは大きな不安です。
水路に接する土地が売れにくいのは、多くの場合「建物を建て直せない土地」とみなされてしまうためです。
ただし、売れないと決まったわけではありません。
建て替えができるかどうかを役所で確かめ、条件に合う売り先を選べば、橋を架けたり難しい許可を取ったりしなくても手放す方法があります。
水路に接する土地が売れないと言われる5つの理由
水路に接する土地が売れない、売れにくいと言われる最大の理由は、道路に一定以上接することを求める接道義務を満たせず、建物を建て直せない「再建築不可」になりやすいことです。
加えて、地盤の弱さ・浸水リスク・管理の負担・住宅ローンの通りにくさが重なり、一般の買い手が敬遠します。
| 理由 | 内容 | 売却への影響 |
|---|---|---|
| 再建築不可になりやすい | 接道義務を満たせず建て替えできない | 買い手が大きく限られる |
| 地盤が軟弱 | 元は水辺で地盤改良が必要なことがある | 追加工事費の分だけ敬遠される |
| 浸水リスク | 増水・氾濫で浸水する恐れがある | 住宅用地としての需要が下がる |
| 管理の負担 | 害虫・雑草・悪臭が発生しやすい | 買い手の心証が下がる |
| 住宅ローンが通りにくい | 再建築不可は担保評価が低い | 現金客か業者しか買えない |
5つすべてが当てはまるとは限らないため、自分の土地がどの理由で売れないのかを切り分けることが出発点になります。
このうち管理の負担は、草刈りなどの手入れで軽くできる点がほかの4つと異なります。
水路に接する土地とは敷地が水路に隣接する土地のこと
水路に接する土地とは、敷地が用水路や普通河川などの水路に隣接している土地のことです。
水路は農業用の用水路のほか、雨水や生活排水を流す排水路など種類はさまざまです。
このうち、公図に地番がなく、登記簿に載っていない公共の水路は「青地(あおち)」と呼ばれます。
あぜ道の名残である里道(りどう)は「赤地(あかち)」と呼ばれ、これらをまとめて法定外公共物といいます。
いまも水路として機能している法定外公共物は、国から市区町村へ譲与され、市区町村が管理しています。
機能を失った旧水路は国(財務局)が管理しており、相談先が変わります。
| 水路の状態 | 主な管理者 | 橋や占用の相談先 |
|---|---|---|
| いまも機能している水路 | 市区町村 | 市区町村の水路管理担当課 |
| 機能を失った旧水路 | 国(財務局・財務事務所) | 財務局・財務事務所 |
| 農業用の用水路 | 市区町村のほか、土地改良区などの場合がある | まず市区町村で管理者を確認 |
自分の土地の隣にある水路の管理者によって、占用許可の申請先や売却の進め方が変わるため、売れない原因を探る前に、まず種類を確認しておくと安心です。
出典:財務省近畿財務局「旧法定外公共物(旧里道・旧水路等)の境界確定・購入手続き」
接道義務を満たせず再建築不可になりやすいから
水路に接する土地が売れない根本の原因が、接道義務を満たしにくいことです。
接道義務とは、建物を建てる敷地は幅員4m以上の道路に2m以上接しなければならない、という建築基準法の決まりです。
水路そのものは、原則として建築基準法上の「道路」には当たりません。
そのため、敷地と道路の間に水路がある場合や、道路がなく水路にしか接していない場合は、そのままでは接道義務を満たせないことがあります。
接道義務を満たせない土地は「再建築不可物件」になります。
再建築不可物件とは、いま建っている建物を取り壊すと、新しい建物を建て直せない土地・建物のことです。
建て替えができないと買い手にとっての使い道が狭まり、売却が一気に難しくなります。
ただし、特定行政庁の認定や許可を受けて建築が認められる例外もあるため、「水路があるから再建築不可」と決めつけず、役所で確認してください。
再建築不可物件そのものの売り方は、次の記事もあわせてご覧ください。

出典:建築基準法(e-Gov法令検索)
出典:国土交通省「接道規制のあり方について」
地盤が軟弱で改良工事が必要になりやすいから
水路沿いの土地は、もともと水辺だった場所や埋め立て地であることが多く、地盤が軟弱な傾向があります。
地盤が弱いまま家を建てると、不同沈下(建物が不均一に傾く現象)や地震時の液状化のリスクが高まります。
そのため、住宅を建てる際には地盤改良工事が必要になることがあり、その費用は買い手の負担として意識されます。
「土地代は安くても、改良工事でかえって高くつくのでは」という懸念が、買い控えにつながります。
過去の地盤調査の報告書や、建物を建てたときの資料が手元にあれば、査定のときに示すと、根拠なく「地盤が悪いから売れない」と判断されるのを防げます。
増水や氾濫で浸水被害を受けやすいから
水路に接している以上、大雨で水路があふれると、敷地が浸水する恐れがあります。
近年は集中豪雨による水害が各地で起きており、浸水の可能性がある土地は以前より敬遠されるようになりました。
自分の土地の浸水リスクは、国土交通省のハザードマップポータルサイトや、市区町村が公表する水害ハザードマップで確認できます。
2020年8月からは、不動産会社が売買の重要事項説明で、水害ハザードマップ上の物件の所在地を説明することが義務づけられています。
浸水想定区域に入っているかどうかは、売却前に把握しておきましょう。
区域に入っているだけで売れないわけではありませんが、説明の準備は必要です。
重要事項説明で買い手に必ず示される点であり、売却時の告知にも関わります。
出典:ハザードマップポータルサイト(国土交通省)
出典:国土交通省「不動産取引時において、水害ハザードマップにおける対象物件の所在地の説明を義務化」
再建築不可だと買い手が住宅ローンを組みにくいから
見落とされがちですが、再建築不可の土地は住宅ローンが通りにくい点も、売れない大きな要因です。
金融機関は、いざというとき担保として売却できる価値(担保評価)を重視します。
建て替えできない土地は担保評価が低く、住宅ローンの審査が通りにくいのが一般的です。
ローンが使えないと、実際に買えるのは現金を用意できる一部の人か、再生を前提とした買取業者に限られます。
マイホームを探す一般の購入希望者は資金を用意しにくいため、仲介に出しても反応が乏しく、売れない期間が長引くのです。
水路に接する土地の相場は通常の6~8割が目安
水路に接する土地の価格は、監修するアルバリンクの買取実務の感覚では、一般的な土地の6~8割程度が一つの目安です。
ただし、この目安をそのまま自分の土地に当てはめてはいけません。
水路に接する土地の価格は「建物を建てられるか」と「エリアに需要があるか」で大きく振れ、一律の相場が成り立ちにくいためです。
「水路があるから売れない」と言われた土地でも、条件を整理すると値段が付くことがあります。
状態別の目安は次のとおりで、いずれも公的な統計ではなく、買取実務での目安です。
| 土地の状態 | 価格の目安 | 下がる理由 |
|---|---|---|
| 建て替え可能(接道を満たす) | 通常の8~9割 | 水路のマイナス印象の分のみ |
| 橋や許可で建築できる見込み | 通常の6~8割 | 手続き・費用の負担が読めない |
| 再建築不可 | 通常の5~7割 | 建物が建てられず用途が限られる |
| 需要の低いエリア | 目安が成立しない | 値下げしても買い手が現れない |
建築できるかどうかで価格は大きく変わる
水路に接する土地では、似た条件の取引事例が少なく、価格を一律で語りにくいのが実情です。
もっとも大きな分かれ目は、建物を建てられるかどうかです。
建て替えができる土地なら、水路のマイナス印象を差し引いた程度の価格で売れることもあります。
一方、再建築不可であれば用途が大きく狭まり、価格は同じエリアの整形地より明確に下がります。
同じ「水路に接する土地」でもこの一点で価値がまったく変わるため、査定を受ける前に建て替えの可否を確かめておくと、提示額の理由を理解しやすくなります。
再建築不可なら通常の5~7割まで下がることもある
再建築不可の土地は、買い手が限られる分だけ価格が下がりやすく、通常の5~7割程度まで下がることもあります。
建物を新築できないため、住宅用地としてではなく、駐車場や資材置場、あるいは再生を前提とした業者向けの土地として評価されるためです。
ただし、これも「必ず7割で売れる」という意味ではありません。
買い手がつくエリアかどうかで、目安より下がることも、そもそも売れないこともあります。
需要の低いエリアでは値下げしても売れないこともある
地方や郊外で周辺に住宅需要が乏しい場合は、いくら値下げしても買い手が現れないことがあります。
「安くすれば売れる」は、需要があるエリアでのみ成り立つ話です。
需要のないエリアでは、価格を下げること自体が解決になりません。
値下げを繰り返しても売れないときは、隣地の所有者や近くの事業者、買取業者など、「どんな買い手なら価値を見いだせるか」から考えるほうが現実的です。
売れない土地全般の手放し方は、次の記事も参考になります。

モデルケースで見る価格の目安
周辺の整形地の相場が坪単価20万円で、広さが50坪(約165平方メートル)の土地なら、通常は1,000万円が目安です。
この土地が再建築不可で、需要は一定あるエリアだと仮定すると、5~7割の500万~700万円あたりが一つの見込みになります。
さらに地盤改良や橋の設置が必要と判断されれば、買い手はその費用分を差し引いて検討するため、提示額はさらに下がります。
あくまで目安であり、実際の価格は現地の条件と需要で決まる点にご注意ください。
需要が乏しいエリアでは、この金額まで下げても売れないことがあります。
水路に接する土地が再建築不可か見分ける方法
自分の土地で建物を建て替えられるかどうかは、「敷地が幅員4m以上の道路に2m以上接するか」と「水路をはさんでも道路に接していると認められるか」の2点で決まります。
この判定は、役所で確認すれば自分でも見当をつけられます。
価格も売り方も分ける分岐点なので、「建てられないから売れない」と言われた場合も、次の順で確認し直しましょう。
敷地が道路に直接2m以上接しているのか、水路をはさんで道路があるのか、水路にしか接していないのかを見ます。
前面の道が建築基準法上の道路に当たるか、いまの状態で建て替えが認められるかを質問します。
いまある橋が許可を受けたものか、新たに橋を架けられるかを確かめます。
接道を満たすなら建て替え可能、橋や許可で見込みが立つなら条件付きで建築可能と整理できます。
どちらも難しければ再建築不可として、仲介では売れない前提で買取や隣地への売却を考えます。
敷地が幅員4m以上の道路に2m以上接するかを確認する
まず、敷地が建築基準法上の道路に2m以上接しているかを確認します。
ポイントは、「水路をはさんで道路に接している」場合、そのままでは接していると認められないことです。
敷地と道路の間に水路があるケースでは、水路の上に橋を架けて道路とつなげない限り、接道義務を満たせません。
すでに橋が架かっている場合も、橋の幅が2m以上あるか、占用許可を受けた橋かによって扱いが変わります。
一方、道路がまったくなく水路にしか接していないケースでは、そもそも接続先の道路がないため、建て替えのハードルはさらに高くなります。
自分の土地がどちらのケースかを、まず地図と現地で確かめてください。
道路に接していない土地の売却方法は、次の記事で解説しています。

水路が道路と認められるかは自治体で判断が分かれる
水路に橋を架けて接道義務を満たせるかどうかの判断は、自治体によって異なります。
同じような立地でも、ある市では占用許可を得て橋を架ければ接道を満たすと扱われ、別の市では接道義務の例外である建築基準法第43条第2項の認定や許可(旧「43条但し書き」の許可)で対応する、といった違いが生じます。
第43条第2項は、敷地の周囲の状況から特定行政庁が支障がないと認めた場合に、接道義務の例外として建築を認める規定です。
例えば西宮市では、水路に通路橋を設置するときの事前相談と、水路使用許可の手続きが公式に定められています。
このように、対応の枠組みは自治体ごとに違うため、「他の地域ではこうだった」という情報は当てになりません。
知人の話や他地域の事例だけで「建てられない」「売れない」と判断せず、自分の土地がある自治体で確認してください。
出典:国土交通省「接道規制のあり方について」
出典:水路の使用(西宮市)
役所の建築指導課と道路管理課で確認する手順
確認先は、主に市区町村役所の2つの窓口です。
建物を建てられるかは「建築指導課」、水路の占用や橋の可否は「道路管理課」が窓口になります。
水路の担当課は、自治体によって土木管理課・河川課・下水道課など名称が異なるため、代表窓口で「この水路の管理担当」を尋ねると早く分かります。
建築指導の窓口がない市町村では、都道府県の出先機関が担当します。
不動産会社に「売れない」と言われた理由が接道にあるなら、この2つの窓口で根拠を確かめられます。
- 住宅地図と公図(境界や地番を示す図面)を持参する
- 「この土地は建て替えできるか」
- 「水路に橋を架けて接道を満たせるか」
- 「いまある橋は占用許可を受けているか」
このように具体的に質問すると、話が早く進みます。
自分で調べるのが難しい場合は、不動産仲介会社や土地家屋調査士などの専門家に役所調査を依頼する方法もあります。
占用許可で接道を満たせるかを事前に問い合わせる
橋を架けて売却を目指すなら、その前に占用許可が下りるか・その橋で接道を満たすと認められるかを必ず自治体に確認します。
占用許可が下りても、それだけで接道を満たすとは限らないためです。
占用許可は水路を管理する課、接道の判断は建築指導の窓口と、担当が分かれています。
見込みが立たないまま話を進めると、費用をかけたのに建てられず、結局売れない、という事態になりかねません。
売り出す前に両方の窓口の見解を得ておくことが、遠回りを避けるコツです。
水路に接する土地を手放す4つの売却方法
水路に接する土地を手放す方法は、大きく4つあります。
| 方法 | 向いているケース | 価格の目安 | 期間 |
|---|---|---|---|
| 橋を架けて宅地として売る | 占用許可が下り建築可能な土地 | 通常の6~8割 | 数カ月~長期 |
| 非住宅用地として売る | 駐車場・資材置場の需要がある土地 | 用途と立地しだい | 数カ月~長期 |
| 隣地所有者に売る | 隣地と一体で使える土地 | 交渉しだい | 相手しだい |
| 買取業者に現状のまま売る | 再建築不可・急いで手放したい土地 | 通常の5~7割 | 最短数日~数週間 |
建て替えができる土地は仲介、建て替えができない土地は無理に橋を架けず買取、という選び方が現実的です。
価格と期間はいずれも目安で、立地や買い手の事情によって変わります。
仲介で売れないからといって、手放す方法がなくなるわけではありません。
橋を架けて接道義務を満たし宅地として売る
もっとも高く売れる可能性があるのが、水路に橋を架けて接道義務を満たし、宅地として売る方法です。
占用許可(水路占用許可)とは、水路の上に橋を架けるなど公共の水路を使うために、管理する自治体から受ける許可のことです。
ただし、この方法にはまとまった費用がかかります。
橋の設置には数百万円単位の工事費がかかることもあり、加えて自治体に支払う占用料も発生します。
これらの金額は自治体や工事の内容によって大きく異なるため、事前に管理担当課へ確認してください。
売却価格が上がっても、これらの費用を回収できるとは限らない点に注意が必要です。
橋を架けたのに売れない場合、工事費は売主の持ち出しになります。
建てられる見込みと費用対効果を確かめてから選ぶべき方法といえます。
駐車場や資材置場など非住宅用地として売る
建物を建てられなくても、住宅以外の用途で価値を見いだせるケースがあります。
宅地としては売れない場所でも、周辺に月極駐車場の需要があれば駐車場用地として、事業者が近くにいれば資材置場として売れることがあります。
この方法は、建て替えの可否に左右されにくいのが利点です。
一方で、その用途の需要が地域にあるかどうかに左右されます。
車や資材を出し入れするには水路を渡る橋や通路が必要なため、道路からの進入方法も買い手の判断材料になります。
需要がなければ買い手は現れないため、周辺の月極駐車場の空き具合や、近くに事業所があるかを先に確かめましょう。
隣地の所有者に買い取ってもらう
隣地の所有者は有力な買い手候補です。
隣の土地と一体にすれば、水路に接する土地の使い勝手が一気に上がることがあるからです。
例えば、隣地がすでに道路に接していれば、その土地を取り込むことで庭や駐車スペースを広げられます。
第三者には売れない土地でも、隣地所有者にとってだけは価値が高い、というケースも珍しくありません。
見ず知らずの第三者より話がまとまりやすいこともあるため、一度打診してみる価値があります。
価格の折り合いがつかない場合に備えて、買取業者の査定額を先に聞いておくと、交渉の目安になります。
訳あり物件に強い買取業者に現状のまま売る
橋を架けたり許可を取ったりする余力がない場合や、急いで手放したい場合に現実的なのが、訳あり物件に強い買取業者に現状のまま売る方法です。
買取業者への売却では、不動産仲介会社を通して一般の買い手を探すのではなく、業者が自ら土地を買い取ります。
再建築不可や水路に接する土地のような扱いの難しい不動産でも、再生・活用のノウハウを持つ買取業者なら、現状のまま買い取れることがあります。
実際に、監修するアルバリンクの買取現場でも、「橋を架けないと売れない」と言われて数年動かなかった土地を、現状のまま引き取った例は少なくありません。
橋の設置や占用許可の取得を売主が済ませる必要はなく、地盤や浸水のリスクを承知のうえで評価してもらえるのが特徴です。
契約不適合責任を免責にできるケースや、残置物・境界確定の負担を業者が引き受けてくれるケースもあります。
- 契約不適合責任(引き渡した物件に契約内容と違う欠陥があった場合に売主が負う責任)を免責にできるか
- 残置物の片付けや境界確定を業者が引き受けるか
- 査定額の根拠と、契約から代金を受け取るまでの日程
仲介より価格は下がる傾向がありますが、時間と手間、そして「いつまでも売れないかもしれない」という不安から解放される点は大きなメリットです。
なお、需要のあるエリアで建て替えもできる土地なら、仲介のほうが高く売れます。
買取が向くのは、あくまで再建築不可や需要の乏しいケースだと理解しておきましょう。
再建築不可物件の買取相場や業者の選び方は、次の記事もあわせてご覧ください。

【状況別】水路に接する土地の売却方法の選び方
どの方法を選ぶかは、「建物を建てられるか」「エリアに需要があるか」「急いでいるか」の3つの軸で考えると迷いません。
| 状況 | 判断の軸 | 向いている売り方 |
|---|---|---|
| 建て替えができる | 建築できる・需要がある | 実績のある会社に任せて仲介 |
| 再建築不可と分かった | 建築できない・橋の費用を回収しにくい | 現状のまま買取、隣地への打診 |
| 相続直後で急いでいる | 早く手放したい・遠方で管理が難しい | 相続登記を済ませて買取 |
| 農地や田畑に隣接している | 住宅需要が乏しい・農業関係の需要がある | 用途を絞って近隣へ売る |
「売れない」と感じている理由がどの行に近いかで、最初の相談先が変わります。
建て替えができる土地は仲介での売却を検討する
建て替えができる、または橋と占用許可で建築の見込みが立つ土地なら、まずは仲介での売却を検討します。
建てられる土地は一般の購入希望者も買い手になり得るため、需要のあるエリアなら仲介のほうが高く売れる可能性が高いからです。
この場合は、水路に強い、または訳あり土地の取り扱い実績がある不動産仲介会社を選ぶことが大切です。
何社にも一括で依頼するより、こうした土地の事情を理解して親身に動いてくれる信頼できる一社を見つけるほうが、結果的にうまく進みます。
役所で確認した建て替えの可否や占用許可の内容を書面で渡しておくと、買い手への説明が正確になり、「水路があるから売れない」という先入観を解きやすくなります。
再建築不可なら無理に橋を架けず買取を検討する
役所で再建築不可と分かった場合は、無理に橋を架けようとせず、買取を検討するのが現実的です。
橋の設置に数百万円をかけても、その分を売却価格で回収できるとは限らないためです。
費用をかけて建てられる土地に変えてから売るか、現状のまま買取に出すかは、「かかる費用」と「上がる価格」を並べて比べて判断します。
回収できないと見込まれるなら、現状のまま買い取ってもらうほうが、手元に残る金額もかえって多くなることがあります。
仲介で長く売れない状態が続いている場合も、同じ考え方で買取の査定額と比べてみてください。
相続した直後で急いで手放したい場合の進め方
相続した土地を早く手放したい場合や、遠方で管理が難しい場合は、スピードを優先した進め方が向いています。
仲介では買い手がつくまで数カ月から年単位かかることもありますが、買取なら条件が合えば最短数日~数週間で現金化できることもあります。
相続した土地を売るには、まず相続登記(亡くなった人から相続人へ名義を移す手続き)を済ませておく必要があります。
相続登記は2024年4月1日から義務化されており、相続で取得したことを知った日から3年以内に申請しなければなりません。
名義がそのままだと売却できないため、早めに準備しておきましょう。
農地や田畑に隣接する場合は用途を絞って売る
用水路沿いで周囲が農地・田畑という立地なら、農業に関わる用途に絞って売り先を探すのが近道です。
住宅用地としては売れない立地でも、近隣で農業を営む人にとっては、農機具置場や資材置場として使える土地に価値が生まれることがあります。
ただし、売りたい土地そのものが農地に当たる場合は、売買に農地法にもとづく農業委員会の許可が必要になるなど、手続きが変わります。
許可を受けずに行った農地の売買は、効力が生じません。
宅地なのか農地なのか、登記上の地目(用途区分)を先に確認し、判断に迷うときは市区町村の農業委員会に問い合わせましょう。
市街化調整区域にある場合の事情は、次の記事もあわせてご確認ください。

水路に接する土地を売却するときの注意点
水路に接する土地を売る前に押さえておきたいのは、占用許可を買主に引き継げるか・買主への告知義務・費用の見込みの3点です。
ここを怠ると、売却後に契約トラブルや思わぬ出費につながります。
長く売れない状態が続いたあとほど、買い手が現れると確認を省きがちです。
あわせて、査定額の高さだけで売却先を決めないことも大切です。
占用許可を買主に承継できるか事前に確認する
すでに橋を架けて占用許可を得ている土地を売る場合は、その占用許可を買主に引き継げるかを売却前に自治体へ確認します。
占用許可は許可を受けた人に対して出されているため、名義がそのまま自動で移るとは限らないからです。
例えば西宮市では、不動産の売買で通路橋などの水路使用許可を譲渡するときに、譲渡の許可申請が必要とされています。
もし承継できなければ、買主は許可のないまま水路を使うことになり、自治体との間でトラブルになりかねません。
古い橋では、許可を受けた記録が残っていないこともあります。
橋がある土地こそ、許可の有無・名義・期間を確認し、必要な手続きを売買契約の前に確かめてください。
出典:水路の使用(西宮市)
建築制限や浸水リスクは告知義務があり契約不適合責任を問われる
水路に接する土地に建築制限や浸水リスクがある場合、それらを買主に伝える告知義務があります。
告知義務とは、買主の判断に影響する重要な事実を、売主が事前に伝えなければならない義務のことです。
注意したいのは、「伝えさえすればよい」わけではない点です。
伝え方が不十分だったり、買主が正しく理解できていなかったりすると、後から契約不適合責任を問われ、損害賠償や契約解除を求められることがあります。
次の事項は、書面で明確に残すことが大切です。
- 再建築不可であること、または建て替えに橋や許可が必要なこと
- 浸水想定区域に入っているか、過去に浸水したことがあるか
- 地盤が弱いこと、地盤調査の結果
- 橋の占用許可の有無と、承継に必要な手続き
「伝えると売れない」と考えて黙っていると、売却後の負担がかえって大きくなります。
買取業者への売却なら、この契約不適合責任を免責にできる場合があり、引き渡し後のトラブルの不安を減らせます。
免責の特約があっても、売主が知りながら伝えなかった事実については責任を免れません。
買取で売る場合も、知っている事実は査定の段階で伝えてください。
橋の設置費用と占用料の負担を見込んでおく
橋を架けて売る場合は、売却でかかる費用をあらかじめ見込んでおきましょう。
| 費用項目 | 目安金額 | 負担者・備考 |
|---|---|---|
| 橋の設置工事 | 数百万円規模 | 売主または買主(金額は工事内容による・要確認) |
| 水路の占用料 | 自治体が設定 | 占用者。年額制が一般的 |
| 地盤改良工事 | 数十万~数百万円 | 主に買主が想定する費用 |
これらを積み上げると、売却価格が上がってもほとんど手元に残らない、という場合もあります。
金額はいずれも実務上の目安で、橋の構造や水路の幅、地盤の状態によって変わります。
費用をかけて売るか、現状のまま買取に出すかは、工事業者の見積もりと自治体の占用料を確かめ、この総額と、橋を架けても売れない可能性を踏まえて判断してください。
高すぎる査定額による契約直前の減額に注意する
査定を依頼したとき、相場からかけ離れた高い金額を出してくる会社に出会うことがあります。
しかし、その金額に安易に飛びつくのは危険です。
なかには、高い査定額でいったん契約を取り付けておき、契約直前や引き渡し前に理由をつけて、金額を大きく下げてくるケースもあるため注意が必要です。
長く売れない土地ほど高い査定額に期待したくなりますが、再建築不可であることや橋の費用を踏まえた金額かどうかを質問しましょう。
査定額の高さだけでなく、その金額の根拠を丁寧に説明してくれるか、水路に接する土地の扱いに慣れているかを見て、信頼できる一社を選ぶことが、結果的に損をしないコツです。
水路に接する土地の売却でよくある質問
- 水路に接する土地でも住宅ローンは使えますか?
-
再建築不可に該当する場合、住宅ローンは通りにくいのが一般的です。
金融機関は担保としての価値を重視するため、建て替えできない土地は評価が低くなります。
結果として買い手は現金で購入できる人か買取業者に限られ、これが売れない一因になっています。
- 水路の占用許可を取るのにどのくらい費用と期間がかかりますか?
-
占用料は自治体が定めており、橋の設置には数百万円規模の工事費がかかることもあります。
許可の可否や審査にかかる期間も自治体によって異なるため、金額と期間は事前に管理担当課へ確認してください。
橋を架けても売れないこともあるため、申請の前に買取の査定額も確かめておくと判断しやすくなります。
- 水路に接する土地は相続税評価も下がりますか?
-
道路に接していない「無道路地」や、接道義務を満たしていない宅地に該当する場合、相続税の土地評価が下がることがあります。
無道路地は、通路を設ける費用に相当する額として、評価額の40%の範囲内で控除して評価します。
評価方法は複雑なため、正確な評価額は税理士に確認するのが安全です。
- 水路に接する土地は風水的に良くないのですか?
-
風水では水の流れを気にする考え方もありますが、水路沿いが売れない理由は、風水よりも接道義務や地盤・浸水といった実務的な条件にあります。
買い手の多くも、風水より「建てられるか」「安全か」で判断します。
- 水路に接する土地は仲介と買取のどちらで売るべきですか?
-
建て替えができ、需要のあるエリアなら仲介のほうが高く売れます。
一方、再建築不可であったり、需要の乏しいエリアだったりする場合は、現状のまま買い取る買取のほうが、買い手を待つ時間をかけずに手放せます。
仲介で売れない期間が続いているなら、買取の査定額と比べて、どちらに当てはまるかで選ぶとよいでしょう。
出典:無道路地の評価(国税庁)
出典:接道義務を満たしていない宅地の評価(国税庁)
まとめ|水路に接する土地も橋を架けずに手放せる
水路に接する土地が売れにくいのは、接道義務を満たせず再建築不可になりやすいことが主な理由です。
地盤・浸水・住宅ローンの問題も重なり、一般の買い手が敬遠しやすいのは事実です。
ただし、売れないと決めつける必要はありません。
まず役所で「建て替えができるか」を確認し、建てられる土地なら仲介、建てられない土地なら無理に橋を架けず買取、と分けて考えるのが近道です。
橋の設置に数百万円をかけても回収できないケースでは、訳あり物件に強い買取業者に現状のまま売るほうが、手元に残る金額も多く、早く不安から解放されることがあります。
仲介で売れない期間が長引いているなら、買取の査定額と比べてみてください。
まずは自分の土地がどのケースに当たるのかを確かめることが、手放すための最初の一歩です。


