「土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)だから」と仲介の不動産会社に売却を断られたり、査定額が驚くほど低かったりして、途方に暮れていませんか。
買い手が見つからないあいだも、固定資産税や管理の手間、そして万が一の災害が起きたときの責任だけは、所有者に残り続けます。
結論からお伝えすると、土砂災害特別警戒区域の不動産は売れないと決まっているわけではなく、手放す選択肢は残されています。
建築制限や住宅ローンの事情で買い手が限られるため仲介では時間がかかりやすい一方、擁壁の補修や片付けをせず現況のまま買い取ってもらう道もあります。
エリアの需要と手放したい時期に合った出口を選べば、売れないまま抱え込み続ける必要はありません。
土砂災害特別警戒区域とは災害の危険が高い区域のこと
土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)とは、土砂災害が発生した場合に建築物が壊れ、住む人の生命や身体に著しい危害が生じるおそれがあるとして指定された区域のことです。
避難体制の整備が中心の土砂災害警戒区域(イエローゾーン)とは異なり、建築や開発そのものに法律上の制限がかかる点が、売却のしにくさに直結します。
「災害の区域だから売れない」とひとくくりにせず、自分の物件がどちらの区域に当たるのかを最初に押さえましょう。
| 比べる点 | 土砂災害警戒区域(イエローゾーン) | 土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン) |
|---|---|---|
| 指定される区域 | 土砂災害で住民の生命・身体に危害が生じるおそれがある区域 | 建築物が損壊し、生命・身体に著しい危害が生じるおそれがある区域 |
| 主な対策 | 警戒避難体制の整備、ハザードマップによる周知 | 左記に加え、建築物の構造規制・特定開発行為の許可制・移転等の勧告 |
| 建物の建築 | 土砂災害防止法による構造の規制はない | 居室のある建物は、土砂の力に耐える構造が建築確認の条件になる |
土砂災害特別警戒区域は建物損壊で命に危険が及ぶ区域
土砂災害特別警戒区域は、土砂災害防止法(土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律)にもとづいて指定されます。
急傾斜地の崩壊(がけ崩れ)・土石流・地すべりで建築物に損壊が生じ、住民の生命または身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められる区域を、都道府県知事が指定します。
通称の「レッドゾーン」は、ハザードマップや区域図で該当区域が赤系の色で示されることに由来します。
指定されると、その土地では建築物の構造規制や開発の許可制がかかり、買い手にとっては「住み続けるうえでのリスク」と「建て替えの不自由さ」の両方が生じます。
避難の備えが中心の土砂災害警戒区域(イエローゾーン)と違い、建て方や使い方まで制約を受けることが、売れない原因の出発点です。
出典:国土交通省「土砂災害防止法関係法令等の条文」
出典:国土交通省「土砂災害防止法の概要」
イエローゾーンとレッドゾーンは規制の強さが違う
先述の通り、土砂災害の危険がある区域は、大きく2種類に分かれます。
警戒避難体制の整備が求められる「土砂災害警戒区域(イエローゾーン)」と、それに加えて建築制限までかかる「土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)」です。
イエローゾーンは、市町村による警戒避難体制の整備や重要事項説明の対象になる区域で、建物の建築そのものへの制限は原則ありません。
一方でレッドゾーンは、建築物の構造規制・特定開発行為の許可制・移転の勧告といった強い制限が加わります。
イエローゾーンは重要事項説明で買い手に伝える必要はあるものの、通常の取引に近い形で売れるケースが多い区域です。
これに対し、レッドゾーンは買い手が限られ、売却が難航しやすいのが実情です。
不動産会社に「警戒区域なので売れない」と言われたときは、イエローゾーンとレッドゾーンのどちらを指しているのかを聞き返してください。
レッドゾーンかどうかはハザードマップで確認できる
自分の土地や家がレッドゾーンに含まれるかどうかは、各自治体が公表する「土砂災害ハザードマップ」や、国が運営する「重ねるハザードマップ」で確認できます。
指定は敷地の一部だけにかかっていることもあり、「敷地の奥半分だけがレッドゾーン」というケースも珍しくありません。
次の順で、指定の有無と範囲を確かめましょう。
住所を入力し、土砂災害(特別警戒区域)の情報を重ねると、指定の有無とおおよその範囲がわかります。
地図の縮尺によっては敷地の境目まで読み取れないため、この段階では区域にかかっていそうかどうかを見ます。
物件のある市区町村の防災担当課、または都道府県の砂防担当課で、区域指定の図面を閲覧できます。
都道府県がインターネットで区域図を公開している場合もあります。
敷地のどこまでが対象かで、建築の自由度や評価が変わります。
区域図の写しなどで正確な範囲を押さえておくと、査定や売却交渉で説明しやすくなります。
指定が敷地の一部にとどまるなら「敷地全体が売れない」とは限らないため、範囲の確認は査定の前に済ませておくと安心です。
レッドゾーンの指定は全国で年々増えている
土砂災害防止法にもとづく基礎調査と区域指定は全国で進められており、土砂災害特別警戒区域の指定数は年々増加しています。
国土交通省の集計では、2026年6月末時点で土砂災害警戒区域が約72万1千区域、そのうちレッドゾーンが約62万1千区域です。
かつては指定がなかった土地が、基礎調査の進展で後からレッドゾーンに指定されることもあります。
「買ったときは何ともなかったのに、いつの間にか指定されていた」という相談は少なくありません。
指定は所有者の落ち度とは無関係に進むため、まずは現状を正しく把握することが出発点になります。
指定の有無は資産価値や税額、売り方の選択に直結するため、売れないと感じたら最初に確かめたい情報です。
土砂災害特別警戒区域の不動産が売れない3つの理由
土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)の不動産が売れないと言われるのは、大きく3つの理由が重なるためです。
- 建て替えに構造補強の費用がかかり、分譲などの開発には知事の許可が必要になる
- 住宅ローンが付きにくく、買い手が現金で買える層に限られる
- 災害リスクへの心理的な抵抗で敬遠される
「立地が悪いから」という単純な話ではなく、買い手の数そのものが絞られてしまう構造が原因です。
なお、不動産会社に「売れない」と言われても、それは「絶対に売れない」という意味とは限りません。
建て替えに構造補強の費用、開発に知事の許可が必要になるから
レッドゾーン内で居室のある建物を建てたり建て替えたりするには、土砂の力に耐える構造にすることが建築確認の条件になります。
また、宅地分譲などを目的とした開発には、都道府県知事の許可が必要です。
自分が住む家を建て替えるだけなら知事の許可は不要ですが、構造の補強や擁壁の対策には数百万円単位の費用がかかることもあります。
買い手の立場に立つと、「同じ予算なら、制限のない土地を買ったほうが自由に建てられて安心」と考えるのが自然です。
つまり、追加費用と手続きの負担が、買い手にとっての値引き要求や購入見送りの理由になり、価格を下げても売れない一因になります。
制限の対象と費用の目安は、建築制限の章で確認できます。
住宅ローンが付きにくく買い手が現金客に限られるから
レッドゾーンの土地は担保としての評価が下がりやすく、金融機関が住宅ローンの融資に慎重になる傾向があります。
長期固定金利の住宅ローン「フラット35」では、金利を引き下げる「フラット35S」などのメニューが、2021年10月以後の設計検査申請分から、土砂災害特別警戒区域内の新築住宅では利用できなくなりました。
対象外になるのは新築住宅を建設・購入する場合の金利引き下げで、通常の「フラット35」は利用できます。
住宅ローンが使いにくいと、買えるのは「現金で一括購入できる人」にほぼ限られます。
まとまった現金を用意できる買い手は、条件のよい物件を選べる立場にあり、わざわざ災害リスクと建築制限のあるレッドゾーンを選ぶ必要がありません。
結果として、買い手層は「現金があり、かつレッドゾーンでも構わないと考える、ごく一部の人」まで狭まります。
これが、仲介で売り出しても売れない期間が長引きやすい最大の理由です。
災害リスクへの心理的な抵抗で買い手に敬遠されるから
大きな土砂災害が報道されるたびに、「特別警戒区域」という言葉に不安を感じる人は増えます。
実際に住むかどうかにかかわらず、「災害の危険がある区域」というラベルそのものが、買い手の心理的なハードルになります。
家族が住む家であればなおさら、安全性を重視するのは当然の感覚です。
この心理的な敬遠は、価格を下げても完全には解消しにくい点が、レッドゾーンの難しさです。
「安いのには理由がある」と受け取られ、かえって不安を強めてしまうこともあります。
物理的なリスクだけでなく、こうした心理面まで含めて買い手が限られるため、値下げを重ねても売れない状態が続くことがあります。
不動産仲介会社が売れないと断るのはメリットが少ないから
仲介の不動産会社に相談して「うちでは扱えません」「売れませんよ」と言われると、「もう手の打ちようがない」と感じてしまいます。
しかし、その言葉は「この世に買い手が一人もいない」という意味とは限りません。
仲介会社の報酬は、売買が成立したときの仲介手数料です。
買い手が極端に限られ、重要事項説明や告知の手間・トラブルのリスクも大きいレッドゾーンは、仲介会社にとって「労力のわりに成約しにくく、割に合わない案件」になりがちです。
つまり「売れない」の裏には「積極的に扱いたくない」という事情が隠れていることが少なくありません。
断られたときは、「仲介では売れない」のか「買取でも値段が付かない」のかを分けて考え、レッドゾーンを扱った実績のある会社にあらためて相談してみてください。

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土砂災害特別警戒区域で受ける建築制限の中身とは?
土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)で受ける制限は、建物を建てるときの「構造規制」と、分譲などを行うときの「特定開発行為の許可制」の2つが柱です。
これに擁壁などの対策工事の費用が重なって買い手の負担を押し上げることが、売れない理由の土台になっています。
| 制限・負担 | 対象になる場面 | 求められること | 売却への影響 |
|---|---|---|---|
| 建築物の構造規制 | 居室のある建物の新築・建て替えなど | 土砂の力に耐える構造にして建築確認を受ける | 建築費が上がり、建て替えを考える買い手が減る |
| 特定開発行為の許可制 | 分譲住宅や社会福祉施設・学校・医療施設のための開発 | 対策工事の計画について都道府県知事の許可を受ける | 開発・分譲を目的とする事業者が買いにくい |
| 擁壁などの対策工事 | 崖や斜面に接する土地 | 擁壁の設置・補強など(規模は土地ごとに異なる) | 数百万円単位になることもあり、値引き交渉の材料になる |
そして多くの方が期待する「指定の解除」は、個人の土地単位ではほとんど見込めません。
制限の中身と解除の難しさを踏まえると、「直してから売る」より「現況のまま手放す」ほうが現実的になりやすい理由が見えてきます。
建て替えはRC造や耐力壁など構造補強が条件になる
レッドゾーン内で居室のある建物を新築・建て替えする場合、想定される土砂の力に耐えられるよう、建築物の構造に補強が求められます。
具体的には、土石流などが到達すると想定される高さまでを鉄筋コンクリート(RC)造にする、土砂の力を受け止める耐力壁を設ける、基礎と壁を一体の構造にする、といった対応です。
都市計画区域の外であっても、レッドゾーン内で居室のある建物を建てるときは建築確認が必要です。
これらは建築確認を通すための条件であり、通常の木造住宅より建築コストが上がります。
買い手にとっては「買った後に建て替えるとき、割高で制約の多い家しか建てられない」という将来の制約になり、購入をためらう要因になります。
今ある建物を使い続ける分には直ちに建て替えを求められるわけではなくても、「将来の建て替え」を見据えると評価が下がる、という二段構えのハンデがあります。
必要な補強の程度は想定される土砂の力や高さで変わるため、買い手から質問を受けたときは、市区町村や都道府県の建築指導担当課で確認した内容を伝えましょう。
出典:国土交通省「土砂災害防止法関係法令等の条文」
出典:国土交通省「土砂災害防止法の概要」
特定開発行為には都道府県知事の許可が必要になる
レッドゾーン内で、分譲住宅や、高齢者・障害者・子どもなどが利用する施設、学校、医療施設を建てるために土地の造成などを行う場合、その開発(特定開発行為)には都道府県知事の許可が必要です。
許可を得るには、土砂災害を防ぐための対策工事の計画が、技術基準を満たしている必要があります。
自分が住むための家を建てる場合は、この許可の対象ではありません。
これは主に土地を分譲・開発して売り出す事業者に関わる規制ですが、売主にとっても無関係ではありません。
「土地を業者が買って開発・分譲する」という出口が制限されるため、土地を買い取ってくれる相手がさらに絞られるからです。
広い土地ほど分譲用地としての需要に頼りやすいだけに、この許可制も土地が売れない一因になっています。
出典:国土交通省「土砂災害防止法関係法令等の条文」
出典:国土交通省「土砂災害防止法の概要」
擁壁補強や対策工事は数百万円かかることもある
崖や斜面に接する土地では、土砂を受け止める擁壁(ようへき)の設置・補強や、斜面の対策工事が必要になることがあります。
費用は擁壁の規模や地形で大きく変わり、部分的な補修で済むこともあれば、全面的な新設・やり直しでは数百万円単位になることも少なくありません。
問題は、対策工事に数百万円をかけても、その分だけ高く売れる保証がないことです。
むしろ「工事費を負担してまでレッドゾーンを買いたい」という個人の買い手は限られるため、費用を回収できないことのほうが多いのです。
工事をしても区域の指定が外れるとは限らず、直したのに売れないという結果になれば、工事費だけが持ち出しになります。
「直してから売る」がかならずしも得策にならないため、工事の見積もりを取る前に、現況のままの査定額を確かめておくと判断しやすくなります。
擁壁のある土地の売却で注意したい点は、次の記事でも解説しています。

レッドゾーンの指定解除は現実にはほぼ不可能
「対策工事をすればレッドゾーンの指定を外せて、普通に売れるのでは」と期待する方は多いのですが、個人の土地単位では現実的ではありません。
指定の解除は、砂防堰堤(砂防ダム)などの対策工事によって区域の危険性そのものが解消されたと都道府県が判断した場合に行われます。
しかし、そうした大規模な工事は個人が単独で行えるものではなく、実際に個人の土地単位で解除に至る例はごくまれです。
がけ崩れの区域では擁壁などの対策施設が解除の検討対象になることもありますが、基準を満たすかどうかは都道府県の判断で、工事をすれば解除されると決まっているわけではありません。
したがって、「解除できれば高く売れる」という前提で時間と費用をかけるのは、現実的とは言えません。
解除の見込みを確かめたい場合は、工事を発注する前に都道府県の砂防担当課へ相談してください。
解除を待つあいだも売れない状態は変わらないため、指定は当分続くものと考えて、その状態のまま手放す方法を検討するほうが、多くのケースで合理的です。
土砂災害特別警戒区域への指定が資産価値に与える影響
レッドゾーン指定は、資産価値にプラスとマイナスの両面で影響します。
売却相場は下がりやすい一方で、相続税などの評価額は補正によって下がるため、税負担の面では軽くなることもあります。
ただし、評価が下がっても「保有し続けるコスト」と「災害時の責任」は所有者に残ります。
売れないからと持ち続けた場合の負担と、手放すメリットを天秤にかけて判断しましょう。
イエローゾーンとレッドゾーンでは、資産価値にかかわる次の点が変わります。
| 区分 | 土砂災害警戒区域(イエローゾーン) | 土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン) |
|---|---|---|
| 建築制限 | 原則なし | 建物は構造補強、分譲などの開発は知事許可が必要 |
| 売却相場への影響 | 小さい~限定的 | 下がりやすく買い手が限られる |
| 住宅ローン | 通常に近い | 付きにくく、新築ではフラット35Sの対象外 |
| 相続税評価 | 区域指定による補正はない | 特別警戒区域補正率やがけ地補正で下がる場合がある |
| 保有コストと責任 | 通常どおり残る | 通常どおり残る(軽減されない) |
売却相場は周辺の同条件より下がるのが一般的
レッドゾーンの不動産は、同じエリア・同じ広さで指定のない土地と比べると、売却価格が下がるのが一般的です。
買い手が現金客に限られ、心理的な敬遠もあるため、需要が細るぶん価格に反映されます。
ただし、「一律に何割下がる」とは言い切れません。
下落の幅は、立地の需要に大きく左右されるからです。
都市部で駅に近く、そもそもの土地需要が強いエリアなら、下落は比較的小さく収まることもあります。
反対に、地方や郊外で土地需要が乏しいエリアでは、価格を大きく下げても買い手が現れず、事実上「いくらにしても売れない」状態になることもあります。
レッドゾーンかどうか以前に、そのエリアに買いたい人がいるかどうかが、価格を決める最大の要素です。
査定を受けるときは、周辺で指定のない土地がどのくらいの期間で成約しているかもあわせて聞いておくと、仲介で待つか、売れないと見切って買取に切り替えるかを決めやすくなります。
相続税評価はがけ地補正などで評価額が下がる
売却では不利に働くレッドゾーン指定ですが、相続税や贈与税を計算するときの土地の評価では、逆に評価額を下げる補正が用意されています。
路線価で評価する地域の宅地は、敷地のうちレッドゾーンに含まれる部分の割合に応じて、0.90~0.70の「特別警戒区域補正率」を掛けて評価額を減額できます。
| 敷地に占める区域の割合 | 特別警戒区域補正率 |
|---|---|
| 10%以上40%未満 | 0.90 |
| 40%以上70%未満 | 0.80 |
| 70%以上 | 0.70 |
崖などで通常の用途に使えない部分がある宅地には、その割合と斜面の方位に応じて評価額を下げる「がけ地補正」もあります。
がけ地補正とあわせて適用する場合は2つの補正率を掛け合わせ、下限は0.50です。
この補正は、2019年1月1日以後に相続・遺贈・贈与で取得した財産に適用されます。
倍率方式で評価する地域では、指定による減価が固定資産税評価額に反映されていることを前提にするため、この補正率は使いません。
つまり、レッドゾーンの土地を相続した場合、相続税の計算上は評価が下がり、税負担が軽くなる可能性があります。
実際の補正率は区域の割合や斜面の方位で変わるため、相続税申告の際は税理士に確認してください。
売るときは不利、相続税評価では有利という両面があることを覚えておくと、売れない土地を相続したと感じたときの判断に役立ちます。
出典:国税庁「土砂災害特別警戒区域内にある宅地の評価」(財産評価基本通達20-6)
固定資産税は下がっても保有コストは残り続ける
土地の固定資産税評価も、利用が制限される分だけ下がることがあります。
ただし、税額が下がったとしても、保有し続ける限り固定資産税・都市計画税はかかり続けます。
加えて、建物がある場合は草木の手入れや老朽化への対応、遠方であれば現地に通う交通費など、管理の手間と費用も継続します。
さらに注意したいのが、空き家として放置した場合です。
適切に管理されず「特定空家」や「管理不全空家」として市区町村から勧告を受けると、住宅用地の特例(200㎡以下の部分について固定資産税の課税標準を6分の1にする仕組み)から外れます。
その結果、土地の固定資産税が最大で6倍になる可能性があります。
たとえば特例の適用で年3万円に抑えられていた土地なら、特例が外れると単純計算で年18万円程度まで上がります。
実際の税額は負担調整措置などで変わるため、勧告を受けた場合の見込み額は市区町村の税務担当課に確認してください。
「評価が下がったから持っていても損はない」とは言い切れず、売れないまま保有する年数の分だけコストが積み上がる点を見落とさないでください。
空き家が売れない原因と対処法は、次の記事でも解説しています。

出典:国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」
放置しても管理義務と災害時の責任は残る
もっとも重いのが、災害時の責任です。
擁壁や建物などの工作物は、占有者や所有者が安全な状態に保たなければなりません。
擁壁の崩落などで隣家や通行人に被害が及び、その原因が設置や管理の不備にあった場合、所有者が損害賠償責任を問われる可能性があります(民法上の土地工作物責任)。
この責任は、占有者が必要な注意を尽くしていたときには、所有者に過失がなくても負うものとされています。
「売れないから」と放置していると、税金や管理費の負担が続くだけでなく、こうした賠償リスクをずっと抱え続けることになります。
金銭的な負担だけでなく、「大雨のたびに不安になる」という精神的な負担から解放されること自体も、手放す大きなメリットです。
擁壁のひび割れやふくらみ、排水の詰まりに気づいたときは、売却の相談と並行して、市区町村の担当課や専門の業者に点検を相談してください。
責任の有無は個別の事情で判断されますが、不備に気づきながら放置しないことが大切です。
土砂災害特別警戒区域の不動産を売る3つの方法
土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)の不動産を手放す方法は、大きく3つあります。
| 方法 | 向いている状況 | 売主の主な負担 | 気を付けること |
|---|---|---|---|
| 対策整備をアピールして仲介で売る | エリアに土地需要があり、買い手を待てる | 安全性に関する資料の準備、売れるまでの保有コスト | 実績のない会社では売れない期間が長引きやすい |
| 買取業者に現況のまま売る | 需要が乏しい、早く手放したい、補修や片付けをしたくない | 価格は仲介の相場より低くなりやすい | 現況・残置物・契約不適合責任の条件を業者ごとに確認する |
| 隣地所有者や自治体に打診する | 隣地に敷地を広げたい事情がある | 自分で交渉する手間 | 自治体の寄付受け入れは条件が合う場合に限られる |
そして、どうしても売れない土地には「相続土地国庫帰属制度」という選択肢もあります。
自分の物件のエリア需要と、対策費を出せるか、いつまでに手放したいかで、向いている方法は変わります。
次の順に確かめると、どの方法から当たるかを決めやすくなります。
周辺で土地や中古住宅が売買されているエリアなら、仲介での売却から検討できます。
取引がほとんどないエリアでは、仲介で売り出しても売れない期間が長引くおそれがあるため、買取の査定を先に取ります。
時間をかけて買い手を待てるなら仲介が候補になります。
期限がある場合や、管理の負担を早く終わらせたい場合は、現況買取が候補になります。
隣地所有者に、購入の意向がないかを尋ねます。
自治体への寄付は受け入れ条件が限られるため、買取の相談と並行して進めます。
相続や遺贈で取得した土地で、建物がなく、崖などの不承認要件に当たらない場合に申請を検討できます。
対策整備をアピールして仲介で売る方法
土地需要のある都市部などでは、レッドゾーンでも売れないとは限らず、仲介での売却も十分に選択肢になります。
その場合は、ただ「レッドゾーンです」と伝えるだけでなく、安全性に関する情報を整理して買い手に示すことが効果的です。
- 擁壁の状態と、検査済証(建物や擁壁が法令基準を満たすと確認された証明書)の有無
- これまでの災害履歴
- 周辺の砂防対策の状況
- 敷地のうち指定区域にかかる範囲がわかる図面
買い手の不安を具体的な資料で和らげることが、成約につながります。
一方で注意したいのは、業者選びです。
よく「複数の会社に査定を依頼して比較を」と言われますが、レッドゾーンのような特殊な物件では、数を当たること以上に、こうした物件を扱った実績のある信頼できる一社を見つけることが重要です。
実績のない会社に任せると、売り出したまま何か月も動かず、売れないまま時間だけが過ぎることになりかねません。
仲介が向くのは「エリアに一定の需要があり、時間をかけて買い手を待てる」ケースです。
空き家に強い買取業者に現況のまま売る方法
エリアの需要が乏しい、早く手放したい、擁壁補修や残置物の片付けに手をかけたくない――そうした場合に現実的なのが、訳あり物件や空き家に強い不動産買取業者への売却です。
仲介が「買い手を探す」のに対し、買取は業者が直接買い取るため、条件が折り合えば買い手が見つからずに売れないという問題そのものが起きません。
買取価格は、仲介で個人に売れた場合の相場より低くなるのが一般的です。
これは、業者が買い取った後に対策工事や再販のコストとリスクを負うためで、安さには理由があります。
その代わり、レッドゾーン特有の負担を売主が肩代わりせずに済むのが大きな利点です。
- 擁壁の補修や対策工事をせず、現況のまま売れるか
- 家財(残置物)を残したまま引き渡せるか
- 契約後に欠陥が見つかっても売主が責任を問われない「契約不適合責任の免責」で売れるか
- 査定額の根拠と、契約から代金を受け取るまでの日程
こうした条件は業者によって異なるため、査定のときに書面で確認しましょう。
買取の相場や業者の選び方は、次の記事も参考にしてください。


土地の売却でお困りではありませんか?
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隣地所有者や自治体への売却や寄付を打診する
第三者には売れない土地でも、「隣の土地の所有者」なら買い手になることがあります。
自分の敷地を広げたい、庭や駐車スペースとして使いたいといった動機があれば、一般の買い手より前向きに検討してもらえる場合があるからです。
とくに斜面地では、隣地とまとめて対策を講じたほうが合理的なこともあり、隣地所有者への打診は一度試す価値があります。
自治体への寄付は、期待しすぎないことが大切です。
自治体は管理の負担を負う寄付を原則として受け付けないことが多く、「公共で使う具体的な計画がある土地」など、条件が合う場合に限られます。
「売れないなら引き取ってもらえるだろう」と当てにするのは難しいのが実情です。
まずは隣地、次に自治体、という順で可能性を探りつつ、並行して買取の査定を取っておくと、どちらも不調だった場合にすぐ次へ進めます。
売れないなら相続土地国庫帰属制度を検討する
相続や遺贈で取得した土地に限られますが、どうしても売れず引き取り手もない場合には、負担金を国に納めることで土地を手放し国に引き渡せる「相続土地国庫帰属制度」があります。
2023年4月27日に始まった制度で、申請や相談は法務局で受け付けています。
ただし、売れない土地なら何でも引き取ってもらえるわけではありません。
| 確認する点 | レッドゾーンの土地で注意したい要件 |
|---|---|
| 建物 | 建物がある土地は申請できない |
| 崖 | 勾配30度以上かつ高さ5m以上の崖があり、管理に過分な費用・労力がかかる土地は承認されない |
| 工作物・樹木など | 管理や処分を妨げる工作物・樹木などが地上にある土地は承認されない |
| 費用 | 審査手数料は土地1筆あたり14,000円。承認後に、土地の種目や区域に応じた負担金を納める |
崖がある土地や、擁壁など管理に過大な費用・労力がかかる土地は、そもそも承認されない可能性があります。
レッドゾーンの土地は地形的にこの条件に当たることがあるため、利用できるとは限りません。
審査手数料は、却下や不承認になった場合も返還されません。
申請前に法務局の相談で見込みを確かめ、まずは買取など売却の可能性を探ったうえで、最後の選択肢として位置づけるのが現実的です。
相続放棄や国庫帰属を含めた「いらない土地の手放し方」は、次の記事でも解説しています。

出典:法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」
出典:法務省「相続土地国庫帰属制度において引き取ることができない土地の要件」
出典:法務省「相続土地国庫帰属制度の概要(手続・審査手数料)」
【状況別】土砂災害特別警戒区域にある物件の手放し方
同じレッドゾーンの物件でも、売れない事情や置かれている状況によって、最初に取るべき一手は変わります。
| 状況 | 最初に確かめること | 候補になる手放し方 |
|---|---|---|
| 相続した空き家を放置している | 相続登記が済んでいるか | 残置物を残したままの現況買取 |
| 住みながら指定を受けた | 移転の勧告や自治体の支援制度の対象になるか | 住み替えと並行した仲介・買取 |
| 更地・土地だけが残っている | 固定資産税の額と隣地所有者の意向 | 隣地への打診、土地の買取 |
| 遠方で指定を知らなかった | 指定の有無と敷地内の範囲 | 現地対応を任せられる買取業者への相談 |
自分に近いケースから読んでください。
相続した空き家がレッドゾーンで放置しているとき
相続した実家がレッドゾーンにあり、誰も住まないまま放置している――もっとも多いケースです。
この場合、まず確認すべきは相続登記が済んでいるかどうかです。
2024年4月1日から相続登記は義務化されており、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請しなければなりません。
正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になり、2024年3月以前の相続も原則として2027年3月31日までの申請が必要です。
名義が亡くなった方のままだと売却の手続きに進めず、買い手がいても売れない状態になります。
登記を済ませたら、放置による負担(固定資産税・管理・災害時の責任)が積み上がる前に、早めに出口を決めることが大切です。
エリアに需要が乏しく、片付けや補修に手をかけたくないなら、残置物を残したまま現況で買い取ってもらう方法が現実的です。
相続後の空き家の選択肢は、次の記事もあわせてご覧ください。

住みながらレッドゾーン指定を受け売却を考えるとき
住んでいる家が後からレッドゾーンに指定され、将来が不安になって売却を考えるケースもあります。
この場合は、急いで動く必要があるかを冷静に見極めましょう。
すぐに危険が迫っているわけでなければ、住み替え先の準備と並行して、時間をかけて売却先を探すことができます。
あわせて確認したいのが、移転を支援する制度です。
レッドゾーン内の住宅で、著しく危険と判断された場合には、都道府県知事から移転の勧告を受けることがあります。
勧告を受けて移転する際には、住宅金融支援機構の融資など、移転に必要な資金の支援を受けられる制度があります。
構造の基準に合わなくなった住宅の除却や、移転先の住宅取得を支援する「がけ地近接等危険住宅移転事業」を実施している自治体もあります。
補助は交付決定を受けてから工事や契約に進むのが原則のため、解体や売却を決める前に、住まいのある市区町村の窓口で対象になるかを確認してください。
「この家は売れないかもしれない」と不安を抱えたまま住み続けるより、売却と移転支援の両面から、負担の少ない住み替えを設計するのがポイントです。
出典:国土交通省「土砂災害防止法の概要」
出典:国土交通省「がけ地近接等危険住宅移転事業に関するQ&A」
建物を解体して更地や土地だけが残っているとき
すでに建物を解体し、レッドゾーンの土地だけが残っているケースです。
更地は管理の手間こそ減りますが、住宅用地の特例が外れて固定資産税が上がっていることが多く、持ち続けるほど負担がかさみます。
しかも、レッドゾーンの土地は特定開発行為の許可制もあり、業者が買って分譲する出口も限られます。
土地だけを一般の買い手に売るのは、家付き以上に難しいのが実情です。
隣地所有者への打診や、土地の買取に対応する業者への相談が現実的な選択肢になります。
建物がない土地は相続土地国庫帰属制度の申請もできるため、相続で取得した土地なら、要件に当たるかを法務局で確かめる方法もあります。
これから解体を考えている場合は、「更地にすれば売りやすくなる」とは限らず、解体費をかけたのに売れないこともあるため、更地にする前に売却の見込みを確認しておくのが安全です。
遠方で指定を知らずに保有し続けていたとき
遠方の土地を相続などで持っていて、レッドゾーンに指定されていること自体を知らなかった、という方もいます。
まずはハザードマップと自治体窓口で、指定の有無と敷地内の範囲を確認しましょう。
そのうえで、現地に通えない状況では、管理が行き届かないことによる責任リスクが特に高まる点に注意が必要です。
遠方の物件は、自分で買い手を探したり片付けたりするのが難しいため、現地対応まで含めて任せられる買取業者に相談するのが効率的です。
全国対応の業者であれば、現地に行かずに売却手続きを進められることもあります。
「遠くて手が回らない」「地元の会社には売れないと言われた」という状態を長く続けるほど負担が増えるため、早めに動くことをおすすめします。

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土砂災害特別警戒区域の不動産を売却するときの注意点
土砂災害特別警戒区域の不動産を売却するときは、告知や説明の義務、引き渡し前の災害リスク、業者選びでトラブルが起きやすくなります。
どれも「知らなかった」では済まされない、売主を守るための知識です。
売れない期間が長かった物件ほど、買い手が見つかると契約を急ぎたくなりますが、次の4点は契約前に確かめてください。
重要事項説明と告知を怠ると損害賠償になる
物件がレッドゾーンに含まれることは、宅地建物取引業法にもとづき、売買契約の前に買い手へ書面で説明すべき重要事項です。
仲介であれば宅建業者が説明しますが、売主も、指定の事実や過去の災害履歴など、知っている情報を隠さず伝える必要があります。
もし指定や不具合を知りながら伝えず、後で買い手が知った場合、契約不適合責任を問われ、損害賠償や契約解除を求められる可能性があります。
「言わなければわからない」「伝えたら売れない」と考えて黙っているのは危険です。
伝えた内容を物件状況報告書(告知書)などの書面に残しておくと、後から「聞いていない」と言われる事態を防げます。
逆に、こうした責任を負いたくない場合には、契約不適合責任を免責とする条件で買い取ってもらえる買取業者への売却が、売主にとって安全な選択肢になります。
引き渡し前に災害が起きると売主負担になることがある
売買契約を結んでから物件を引き渡すまでの間に、土砂災害で建物が損壊した場合、その損失を誰が負うのかという「危険負担」の問題があります。
危険負担とは、契約から引き渡しまでの間に、当事者どちらの責任でもなく物件が損害を受けたとき、その負担を誰がかぶるかというルールです。
民法では、引き渡し前に物件が滅失して引き渡せなくなった場合、買い手は代金の支払いを拒むことができ、損失は売主側に残るのが原則です。
実際の売買契約書の定めによっては、引き渡し前の災害でも売主が修繕や代金の減額に応じる負担を負うことがあります。
とくにレッドゾーンは、この期間中に実際に災害が起こるリスクが一般の物件より高い点に注意が必要です。
契約時には、危険負担についての取り決めを必ず確認し、修繕の範囲や契約を解除できる条件が売主に不利になっていないかをチェックしてください。
契約から引き渡しまでの期間を短くすることも、リスクを抑える方法のひとつです。
高く売れると煽る業者には根拠を必ず確認する
レッドゾーンのように売れない期間が長引きやすい物件ほど、「うちなら高く売れます」といった言葉に期待したくなります。
しかし、根拠のない高値には注意が必要です。
なかには、最初に高い査定額を提示して契約を取り付け、後になって「やはりこの価格では難しい」と難癖をつけ、契約直前に大幅な減額を持ちかける業者も存在します。
こうした業者に当たると、時間を無駄にしたうえに、精神的にも消耗します。
査定額を提示されたら「なぜその価格になるのか」「どういう出口(再販先)を想定しているのか」を具体的に確認しましょう。
説明が曖昧だったり、相場からかけ離れて高いだけだったりする場合は、慎重になるべきサインです。
相場より安くても現況買取なら責任を外せる
買取価格が仲介の相場より低くなることは、買取のデメリットです。
しかし、価格だけで判断すると、レッドゾーン特有の「負担」から解放される価値を見落とします。
現況買取であれば、擁壁の補修や対策工事をしないまま売れることが多く、家財を残したまま引き渡せる場合もあります。
契約不適合責任の免責で売れれば、売った後のトラブルの心配も減らせます。
知事許可の手続きや買い手探しに時間を取られることもありません。
「多少安くても、面倒と責任をまとめて手放して、大雨のたびの不安から解放されたい」という方にとっては、買取は十分に合理的な選択です。
仲介で売れないまま保有した場合の固定資産税や管理費と、買取価格との差を並べて、自分にとっての納得点を見つけてください。
契約不適合責任の免責は、買主が買取業者である場合などに契約で定めるもので、条件は業者ごとに異なります。
売主が知りながら伝えなかった事実は、免責の特約があっても責任を免れません。
免責で売る場合でも、指定の事実や擁壁の不具合は査定の段階で伝えてください。

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土砂災害特別警戒区域の売却に関するよくある質問
- 土砂災害特別警戒区域の家は本当に売れないのですか?
-
売れないわけではありません。
住宅ローンの付きにくさや建築制限で買い手は限られますが、対策整備をアピールした仲介や、空き家・訳あり物件に強い買取業者への現況売却など、手放す方法は残されています。
エリアの需要と、いつまでに・どのくらいの手間で手放したいかによって、向いている方法が変わります。
- レッドゾーンの指定は解除できますか?
-
砂防堰堤(砂防ダム)などの対策工事で区域の危険性そのものが解消されたと都道府県が判断すれば、解除の対象になります。
しかし、そうした工事は個人が単独で行えるものではなく、土地単位で実際に解除される例はごくまれです。
解除を待つあいだも売れない状況は変わらないため、「解除できれば高く売れる」と当てにして時間や費用をかけるのは、現実的とは言えません。
- 土砂災害特別警戒区域だと住宅ローンは使えませんか?
-
借りられないと決まっているわけではありませんが、担保評価が下がるため審査は厳しくなりがちです。
長期固定の「フラット35」では、金利を引き下げる「フラット35S」などが、レッドゾーン内の新築住宅では利用できません。
こうした事情から買い手が現金で購入できる層に偏りやすく、仲介では売れない期間が長引く原因になります。
- レッドゾーンの土地は税金で優遇されますか?
-
相続税や贈与税の土地評価では、特別警戒区域内の割合に応じた減額や、がけ地補正によって評価額が下がる場合があります。
固定資産税評価も利用制限の分だけ下がることがあります。
ただし、評価が下がっても、保有し続ける限り税金・管理費・災害時の責任は残る点に注意が必要です。
- 買い手が見つからないまま放置するとどうなりますか?
-
管理義務と災害時の損害賠償リスクが所有者に残り続けます。
空き家の場合は、特定空家や管理不全空家として勧告を受けると、土地の固定資産税が最大6倍になるおそれもあります。
売れないからと放置して負担が積み上がる前に、買取などの現実的な出口を早めに検討することをおすすめします。
まとめ|土砂災害特別警戒区域でも手放す選択肢はある
土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)の不動産が売れないと言われるのは、建築制限・住宅ローンの付きにくさ・心理的な敬遠が重なり、買い手が限られるためです。
指定の解除に期待するのは現実的でなく、放置すれば税金や管理の負担、そして災害時の責任だけが残り続けます。
一方で、手放す選択肢はきちんと残されています。
- 需要のあるエリアなら、実績のある一社に任せて仲介で売る
- 需要が乏しい・早く手放したいなら、擁壁補修や片付けをせず現況のまま買い取ってもらう
- 隣地所有者や自治体に打診する
- 相続した土地なら、相続土地国庫帰属制度を検討する
大切なのは、「売れない」と一度言われたことで動きを止めず、自分のケースに合った出口を早めに選ぶことです。
売れないと決めつける前に、まずはハザードマップと自治体の窓口で指定の範囲を確かめ、現況のままの査定額を聞くところから始めてみてください。
価格だけでなく、面倒と不安をまとめて手放せるかどうかまで含めて、納得できる方法を見つけてください。

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