境界線がはみ出した土地も買取できる!越境の解消法と売却時の注意点

相続した土地や、長く空き家になっていた実家を売ろうとして、「塀が隣の敷地にはみ出している」「庭木の枝が境界線を越えている」と気づき、困っていませんか。

自分で片づけてよいのか、隣の人に何と伝えればよいのか。測量や工事の費用まで考えると、土地の売却に踏み出せない方もいるでしょう。

結論からお伝えすると、境界線を越えるはみ出し(越境)があっても、土地の売却や買取は可能です。

隣地と話し合えるなら、撤去や覚書で対応する方法があります。

一方、費用を用意できない、遠方で通えないといった場合は、現況のままの買取も選択肢になります。売れないと決めつけて放置すると、税金の負担や売却の長期化につながります。

この記事では、隣地との関係や費用を踏まえた対処法を解説します。まず確認することを整理して、ご自身に合う売り方を考えていきましょう。

この記事の監修者

株式会社AlbaLink(アルバリンク)

空き家や共有持分、再建築不可物件、事故物件、ゴミ屋敷など、売れにくい不動産の買取を専門とする不動産会社。

豊富な実務知見をもとに、当記事の監修・作成協力を行っています。

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目次

土地の境界線を越えるはみ出し(越境)とは何か

はみ出しに気づいたときは、すぐに撤去の話をする前に、境界線の位置・物の所有者・はみ出しの向きを確認しましょう。

見た目では隣の敷地に入っているようでも、塀の位置と実際の境界線が違うことがあります。

自分の物が隣へ出ているのか、隣の物が入ってきているのかで、対応を頼む相手も変わります。

はみ出し(越境)とは物が境界線を越えて入り込んだ状態

越境とは、建物や工作物、樹木などが、隣地との境界線を越えて入り込んでいる状態です。

地面の上にある塀だけでなく、屋根の先や地下の配管も対象になります。

たとえば、足元の塀に問題がなくても、見上げると庇が隣へ出ていることがあります。

確認する場所は、地上・空中・地中の3つです。

  • ブロック塀・フェンスなどの境界塀
  • 屋根・庇(ひさし)・雨樋(あまどい)・出窓
  • 樹木の枝、地中に伸びた根
  • 地中を通る給排水管・ガス管
  • 空中を横切る電線や支線

地中の配管や根は、掘って初めて分かる場合もあります。

土地の図面や工事資料があれば調査時に渡し、見えない場所まで「問題なし」と決めないようにしましょう。

自分がはみ出す側か隣にはみ出される側かで対応が変わる

同じ塀のはみ出しでも、自分の塀なら撤去を検討する側、隣の塀なら所有者に対応を求める側になります。

誰の物なのかを先に確認すると、隣地との話し合いも進めやすくなります。

自分がはみ出している側

自分の物が隣の土地に入り込んでいるなら、所有者として撤去や移設を検討します。
すぐに動かせない場合は将来の対応を覚書で合意し、土地の売却時にはその約束も買主へ引き継ぐ必要があります。

隣にはみ出されている側

隣の物が自分の土地に入っているなら、まずは隣地所有者に状況を伝えます。
撤去を求めるほか、覚書で対応を決める、該当部分を分筆して相手に売る・譲るといった方法を話し合います。

互いにはみ出している場合は、境界線を挟んで「こちらが直す物」と「相手に頼む物」を整理しましょう。

塀・枝・庇ごとに分けると、土地売却までに必要な対応が見えてきます。

どちらの立場でも買取は相談できますが、売却後の対応を任せられる範囲は契約で確認します。

境界標やブロック塀の位置は正しい境界線と一致しないことがある

「塀の外側は隣の土地」と思っていても、その塀が境界線上にあるとは限りません。

片方の敷地内に寄せて造ったものや、昔の話し合いで便宜的に置いたものもあるためです。

境界を示す杭やプレートが見つかっても、年月の経過や工事によって、元の境界線の位置からずれていることがあります。

塀や境界標の見た目だけで、はみ出しがあるかを判断しないようにしましょう。

本記事を監修するアルバリンクの調査実務でも、現地の塀の位置と、法務局に備えられた地積測量図(土地の面積や形状を示す図面)が食い違っている土地は珍しくありません。

境界線に疑問があるときは、図面と現地の境界標を土地家屋調査士に照合してもらうのが先です。

隣へ撤去を求める前に根拠を確かめ、不明な場合に境界確定測量を検討します。

境界線を越えるはみ出しがあっても土地の売却や買取はできる

はみ出しが見つかっても、それだけで土地を売れなくなるわけではありません。

土地のはみ出しの状況を買主に伝え、残る対応も含めて合意できれば、売却を進められます。

仲介・買取の査定を頼むときは、「境界線が分からず、越境しているかも未確認」なのか、「境界線は分かっていて、越境物が残っている」のかを伝えましょう。

必要な調査や負担が違うためです。

仲介で条件がまとまらない場合は、事情を承知で購入する買取業者も候補になります。買取できる土地は会社によって異なりますが、測量・撤去前でも資料をもとに相談できます。

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境界線を越えるはみ出しが土地の売却に与える影響は?

土地を売却できるとしても、はみ出しへの対応が曖昧なら、買主が購入をためらう理由になります。

使える範囲や隣地との約束が分からないためです。

影響は売却価格だけではありません。

融資の審査、引き渡し後の責任、所有権や固定資産税の問題も関わるため、状況に応じた対応が必要です。

住宅ローン審査に影響し買い手が限られることがある

買主が住宅ローンを使う場合、金融機関は担保となる土地の状態も確認します。

境界線や越境の扱いが曖昧だと、担保評価や融資の判断に影響することがあります。

買主に購入の意思があっても、融資の条件として撤去や覚書を求められれば、土地の取引が止まる場合があります。

融資を受けられなければ、現金で購入する人や買取業者を探すことになります。

ただし、はみ出しがある土地すべてが、住宅ローンの対象外になるわけではありません。

土地の境界線の資料、越境物の種類、撤去や覚書の予定を伝え、金融機関ごとの判断を確認しましょう。

越境を隠すと契約不適合責任で売却後に賠償を求められる

はみ出しを隠して売り、引き渡した土地が契約内容と違っていれば、売主が「契約不適合責任」を問われることがあります。

修補や代金減額のほか、要件を満たせば損害賠償や契約解除につながるおそれもあります。

「現地を見れば分かるはず」では、買主が問題を理解しているとは限りません。

はみ出しの状況を説明し、土地をどの状態で引き渡すかを売買契約に残しましょう。

買取では売主の責任を免除する特約を相談できる場合がありますが、それも告知が前提です。

買主が買取業者でも、知っている事実は省略せず伝えることが、売却後の負担を抑えるうえで欠かせません。

知っていながら告げなかった事実は、免責特約があっても責任を免れません。
隣地からの申し入れや過去の合意も、買取業者へ共有してください。

出典:e-Gov法令検索「民法」第562~564・572条

買い手が敬遠し売却が長期化して価格も下がりやすい

買主は、購入後に隣地と交渉する負担も考えて土地を選びます。

境界線を越えるはみ出しへの対応が決まっていないと、内見まで進んでも購入を見送られることがあります。

ただし、売れ方は立地にも左右されます。

需要の高い都市部では条件を合意して売れる場合がある一方、買い手の少ない地方や郊外では、値下げをしても売却が長引くことがあります。

工事を急ぐ前に、仲介での土地売却の見込み額・期間と、現況での買取価格を確認しましょう。

価格差から必要な費用を引いて比べると、解消にお金と時間をかけるかを判断しやすくなります。

放置すると取得時効で土地の一部を失う可能性がある

隣の塀に囲まれた土地の一部を、隣地所有者が自分の敷地として長年使い続けているなどといった場合は、取得時効によって、その部分の所有権を相手が取得する可能性があります。

取得時効には、所有の意思をもって平穏かつ公然と占有を続けるなどの条件があります。

期間は原則20年で、占有を始めたときに自分の物だと信じ、そのことに過失もなければ10年です。

ここで注意したいのは、枝や庇が境界線を越えているだけで、年数に応じて自動的に土地を失うわけではないという点です。

占有の状況や、時効の援用(時効による権利を主張すること)も判断に関わります。

自分がはみ出している側でも、時効を主張すれば解決するとは限りません。

昔の写真、塀の設置経緯、合意書を集め、土地の所有権に不安があれば弁護士へ相談しましょう。

出典:e-Gov法令検索「民法」第145・162条

はみ出された部分にも固定資産税がかかり負担だけが続く

隣の塀や建物が入り込み、使えない部分があっても、そのことだけで固定資産税の負担がなくなるわけではありません。

固定資産税は原則として、1月1日時点で登記簿や土地補充課税台帳に所有者として登記・登録されている方に課税されます。

売却が延びている間も負担が続きます。評価や課税内容に疑問があれば、土地のある自治体に確認してください。

今後その土地を使う予定がないなら、境界線や越境の扱いを整理して売る方法を考えましょう。

自分で整理するのが難しい場合は、境界未確定のままでの買取条件を聞くこともできます。

出典:東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」

境界線を越えるはみ出しに対処して売る4つの方法

土地のはみ出しに対しては、撤去のほか、覚書、分筆、現況買取という選択肢があります。

まずは隣地と合意できるか、撤去できる物か、費用を用意できるかを考えながら、4つの方法を見比べてみましょう。

スクロールできます
方法何をするか費用の目安選ぶための条件
覚書を交わす越境と将来の対応を書面で合意数万円程度
書面作成の費用
隣地と合意でき、撤去を待てる
越境物を撤去する塀・枝・配管などを撤去・移設数万~数十万円工事が可能で費用を用意できる
分筆して売買・譲渡する越境部分を分け、相手へ売る・譲る数十万~100万円超相手が取得に同意し、残地も使える
そのまま買取に出す現況で引き受ける買取業者へ売る測量・撤去費の先払いが不要な場合あり買取価格と引き受ける範囲に納得できる

費用は工事の規模や依頼先によって変わる目安です。

覚書だけで済むつもりでも、境界線が分からなければ別途測量が必要になることがあります。

買取で先払いが不要でも、測量・撤去費は価格に反映されます。登記など、売却に伴う諸費用まで一律に無料になるわけではありません。

越境の覚書を交わして現況のまま売る

すぐには撤去できなくても、隣地と話し合えるなら覚書を検討できます。

越境の事実と今後の対応を、双方が確認して書面に残す合意書で、たとえば建て替え時に庇のはみ出しを解消する、といった約束を形にします。

「いつか直す」という口約束だけでは、売却時に買主へ説明できません。

境界線と越境範囲を図面や写真で示し、撤去の時期・費用負担・責任を具体的に決めましょう。

覚書に盛り込むこと
  • 越境物の所有者、場所、境界線からのはみ出しの範囲
  • 建て替え・撤去など、越境を解消する時期や条件
  • 撤去費用の負担と、越境に伴うトラブルへの責任
  • 売却や相続で所有者が代わる場合の引継ぎ方法

買主にとっては、残る問題と対応の約束を確認できる資料になります。

ただし、購入や融資が保証されるわけではありません。土地の売買契約にも引継ぎを記載し、隣地が売られる場合も含めて承継方法を専門家に確かめましょう。

土地の所有権を確認した記録は、取得時効をめぐる争いへの備えにもなります。

隣地所有者が応じなければ弁護士に相談するほか、覚書なしで土地を買う買取業者へ相談する方法もあります。

覚書を作れば必ず時効が止まる、というわけではありません。
隣地所有者が所有権を認める内容か、すでに時効期間が経過していないかでも判断が変わります。署名前に文面と経緯を弁護士へ確認してください。

出典:e-Gov法令検索「民法」第152条

越境物を撤去してから売るのが最も確実

境界線の位置を確認して所有者と合意でき、工事も可能なら、越境物を撤去し、はみ出しそのものをなくす方法が確実です。

買主が隣地との対応を引き継がずに済むため、購入を検討してもらいやすくなります。

枝の剪定と、塀の撤去や地中配管の移設では、手間も費用も違います。

境界線から出ている部分をどこまで取り除くか、工事業者に確認しましょう。

越境物の撤去費用の目安
  • 樹木の枝の剪定:数千~数万円
  • ブロック塀の撤去:数万~数十万円
  • 地中の給排水管の移設:数十万円

作業条件で変わる目安です。自分の物でも、共有の有無や工事範囲、安全性を確認して手配します。

隣の物が自分の土地にはみ出している場合、枝・根と塀・建物では扱いが異なります。

枝と根では、切り取れる条件が違う

枝は、所有者に切ってもらうのが原則
ただし、切除を求めても相当の期間内に対応しない、所有者や所在を知ることができない、急迫の事情がある、といういずれかの場合は、自ら切り取れる規定があります。

根は、境界線を越えた部分を切り取れる規定がある
枝と同じ条件ではありませんが、隣地に入る場合の通知や作業の安全も含め、実際の対応は専門家に確認しましょう。

工事ができる場合も、費用をかけた分だけ高く売れるとは限りません。売却の見込み額を確認し、負担が大きければ、着工前に現況買取と比較しておくとよいでしょう。

隣地の塀や建物は、はみ出しているからといって勝手に撤去できません。物の所有者と対応を話し合う必要がある点も注意が必要です。

出典:e-Gov法令検索「民法」第209・233条/熊谷市「空き家から越境した竹木の取扱い」

分筆して越境部分を売買または譲渡する

隣の建物が自分の土地に入り込んでいて、建物を動かすのが難しい。

そんな場合は、越境部分を分筆し、隣地所有者に売る・譲る方法もあります。分筆とは、1つの土地(1筆)を、登記上いくつかに分ける手続きです。

相手がはみ出し部分を取得すれば、建物を動かさずに解消できます。

ただし、筆界を明らかにする測量や分筆登記、取得する隣地所有者との合意が必要です。

費用は数十万~100万円超になることもあるため、売る部分の代金だけで判断しないようにしましょう。

測量・登記の負担をどちらが持つか、残った土地で希望する建物を建てられるかまで確認します。

残地の形や使い方も変わるため、隣地との越境を解消しても、残った土地が売りにくくなっては困ります。

分筆後の利用まで、土地家屋調査士や不動産会社と検討してください。

出典:法務省「隣の土地の所有者が分からなくてお困りの方へ」

解消が難しいならそのまま買取業者に売る

「隣と話し合えない」「撤去する費用を出せない」といった場合は、越境を残したままの買取を相談できます。

買取業者が現況で引き受ける条件なら、売主がすべてを解決してから売る必要はありません。

買取業者は、境界線や所有者、隣地とのやり取りをもとに、土地の買取価格・条件を判断します。

ここで確かめたいのは、「現況買取」という言葉の中身です。覚書の取得や測量を売主が済ませる条件になっていないか、引き渡し後の撤去や交渉は誰が担うかを確認しましょう。

費用や手間を減らす目的で選ぶなら、売主に残る対応を曖昧にしないことが大切です。

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【状況別】はみ出しのある土地に向いている売り方は?

ご自身の土地なら、どの売り方が合うでしょうか。隣地と話し合えるかを考え、費用・現地へ行く負担・売却期限を重ねてみましょう。

同じ越境でも、解消する余裕がある方と、早く負担を減らしたい方では選び方が変わります。

スクロールできます
あなたの状況まず検討する売り方確認したいこと
隣地と良好で撤去も相談できる撤去・覚書のうえ仲介工事費を差し引いても手取りが残るか
隣地と不仲で話し合いが難しい現況のまま買取交渉や覚書を売主が担う条件ではないか
測量費や撤去費を用意できない先払いを抑えられる買取価格に含まれる費用と別途支払う費用
遠方の相続地で何度も通えない現地対応を任せられる買取立会いの要否と書類のやり取りの方法

急いで土地を売りたいときは、価格だけでなく、買取代金を受け取れる決済日も確認してください。買取査定が早くても、調査・登記の準備次第で入金は先になります。

隣地と良好で撤去できるなら撤去して仲介で売る

隣地所有者と話し合える関係で、撤去もできるなら、仲介で一般の買主を探す方法を検討しましょう。

境界線を越える物がなくなれば、買主の不安や引継ぎの負担を減らせます。

ただし、工事から始めるのではなく、まず仲介会社に「解消した場合にいくらで売れそうか」を聞いてみてください。

需要のあるエリアで、工事費をかけても手取りが多くなる見込みなら、仲介を選びやすくなります。

時間に余裕があっても、撤去そのものが難しい場合はあります。その場合は覚書で将来の対応を決め、買主が受け入れられる条件を整えます。

隣地と不仲で覚書も立会いも頼めないならそのまま買取

隣地所有者が話し合いや測量の立会いに応じないと、土地売却の手続きが止まることがあります。

「自分で解決しないと売れない」と考える前に、事情を承知で購入する買取業者を探してみましょう。

相談の際は、「隣と不仲です」だけでなく、境界線の位置で意見が違うのか、撤去や覚書をすでに断られているのかを伝えます。

経緯が分かれば、買取業者も土地を引き受ける条件を判断しやすくなります。

売主の直接交渉を省ける買取なら、「これ以上もめたくない」という方にも選びやすい方法です。

隣地との関係を隠さず、買取後の対応方針まで確認しましょう。

数十万円の測量費を出せない土地は現況買取が現実的

仲介で売るために境界線を確認しようとすると、測量だけで数十万円が必要になることがあります。

売却代金を受け取る前にその資金を用意できず、計画が止まる方もいるでしょう。

この土地を手放すには、測量や撤去を買取業者が引き受け、売主の先払いを抑えられる条件を相談します。

対応にかかる費用は土地の買取価格に織り込まれますが、最初にまとまった現金を用意せず進められる場合があります。

買取の見積もりでは、価格に反映済みの費用と、売主が別途支払う費用を分けてもらいましょう。

先払いが不要でも、必要な諸費用までなくなるわけではありません。支払額と時期を確認すれば、手元の資金で進められるか判断できます。

遠方の相続地で通えないなら書類中心で進む買取が向く

相続した土地が遠方にあると、現地の確認や隣地との調整のたびに交通費と時間がかかります。

仕事や年齢の事情で何度も通えない方は、現地対応を任せ、書類のやり取りを中心に進める買取を検討するとよいでしょう。

買取の相談時には、「土地を売るまでに何回行けばよいか」より先に「何のために立会いが必要か」を確認してみてください。

調査や写真撮影は任せられても、本人の確認や書類の準備が別に必要なことがあります。

土地の図面や覚書を送り、足りない資料の取得方法や郵送で進める範囲を相談します。往復の回数・費用も含めて、買取の条件を判断しましょう。

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はみ出しのある土地を買取で手放すメリットは?

買取の利点は、買主探しの時間を省けることだけではありません。

はみ出しの調査・解消を任せる範囲や、売却後の責任まで含めて条件を決められる場合があります。

一方、対応費用やリスクは土地の価格に反映されます。何を任せられて、代わりに価格がどう変わるのかを確かめましょう。

境界確定測量や隣地交渉を買取業者に任せて売れる場合がある

境界線の資料を集め、測量を手配し、隣地と撤去を話し合う。

仲介でこうした準備を求められると、売却前に何人もの関係者と調整することになります。

買取では、業者が土地購入後の測量・撤去・交渉を引き受ける条件なら、売主がそれぞれを手配して完了させる負担を減らせます。

何から始めればよいか分からない状態でも、まず事情を説明して相談できる点が利点です。

ただし、「買取業者に任せる」の一言で済ませないようにしましょう。境界線の確認、覚書の作成、撤去、隣地への連絡について、売主が行うことと買主が引き受けることを分けて書面で確認します。

契約不適合責任の免責を相談し売却後の負担を抑えられる

土地を売った後に、追加の撤去費や補修を求められないか心配な方もいるでしょう。

買取では土地の状態を承知した業者と、契約不適合責任を免責とする特約を相談できる場合があります。

確認したいのは、「免責あり」という表示だけではなく、何について売主が責任を負わない買取契約なのかです。

はみ出しの状態や境界線の認識の食い違い、過去の申し入れを先に伝え、その内容を踏まえた契約になっているか確認してください。

土地の状態を告知したうえで、買取契約にその内容と免責の範囲が反映されているか確かめましょう。

知っていながら告げなかった事実については、免責特約があっても責任を免れません。
隣地との約束や相談中の問題も、契約前に共有しておきましょう。

出典:e-Gov法令検索「民法」第572条

広告を広く出さず短期間での現金化を目指せる

「土地を売りに出したことを近所に広く知られたくない」という場合にも、買取は検討できます。

買取業者自身が土地の買主になるため、仲介のように購入希望者を集める広告を出さずに取引を進められます。

もっとも、調査のために隣地へ連絡する場合はあります。

広告を出さないことと、誰にも知られず売れることは別なので、連絡する相手やタイミングは相談しておきましょう。

購入希望者を探す期間が不要なぶん、早期の現金化を目指せる点も利点です。

ただし、契約時に手付金を受け取る場合があっても、買取の残代金は通常、調査や登記の準備を整えた決済時に支払われます。

相続税の納付などで期限が決まっている方は、「早く売れますか」だけでなく「必要な日までに代金を受け取れますか」と確認してください。

買取価格が相場より下がるのは再販コストを差し引くため

正直にお伝えすると、買取価格は、仲介で売れる価格より安くなるのが一般的です。

買取業者は土地を整備して再販するため、境界線の確認やはみ出しの是正などの費用、管理費、利益を見込んで価格を決めます。

買取価格の考え方

再販の見込み価格 − 再販までの費用・利益 = 買取価格

再販の見込み価格は、土地の立地や需要、整備後の使い方によって変わります。
下記は買取査定の算定要素で、全額を売主が別途支払うものではありません。

  • 境界確定測量や分筆にかかる費用
  • 越境物の撤去・整地の費用
  • 登記にかかる司法書士報酬・登録免許税と、取得にかかる不動産取得税
  • 再販までの管理コストと買取業者の利益

本記事を監修するアルバリンクの買取実務でも、越境や境界未確定の土地はこうした整備コストを見込んで価格を算定しています。

売主から見ると、価格差の一部は、測量・撤去・交渉の手間やリスクを引き受けてもらう対価と考えられます。

仲介の売却見込み額から自己負担の費用を引いた額と、買取の手取りを比較してみましょう。

売れるまでの負担や、自分が動けるかも考えましょう。

擁壁や高低差など、ほかの問題が重なる場合の現況買取は、次の記事でも解説しています。

境界確定測量の費用と期間はどのくらい?

境界線が曖昧な土地を仲介で売る場合、確定測量を求められることがあります。

ただ、測量とひと口にいっても、現地の形状を測る作業と、隣地との境界を確認する作業では依頼する範囲が違います。

測量前に、何を確認するための測量なのか、どこまでの費用を見込むのかを整理しましょう。

資料があれば、仲介・買取の相談先へ先に見せてください。

境界確定測量とは資料と隣地立会いで境界線を確認する作業

境界確定測量は、土地家屋調査士が資料調査や現地測量を行い、隣地所有者との立会いなどを通じて境界線の位置を確認し、図面や確認書にまとめる作業です。

現地を測るだけでなく、関係者との確認・調整が含まれます。

道路や水路などの公有地と接し、その境界線が未確認なら、行政との立会いなども必要になります。

既存資料で足りるか、新しい調整が必要かで作業量は変わります。

なお、登記上の区画を示す「筆界」と、所有権の範囲を示す線は、同じとは限りません。筆界は隣地同士の合意だけで自由に動かせるものではありません。

境界線の位置について合意できない場合は、土地家屋調査士へ筆界特定制度などを相談し、所有権自体に争いがあるときは弁護士への相談も検討しましょう。

出典:法務局「所有境界とは?」

境界確定測量の費用は登記まで含め100万円程度になることもある

土地の測量の見積もりを見るときは、金額と一緒に作業範囲を確かめてください。

現況測量の料金で境界線の確認や登記まで済むと思うと、資金が足りなくなる場合があります。

費用・期間は次のとおりです。

全国一律の料金ではなく、依頼内容や土地の条件によって変わる目安としてご覧ください。

スクロールできます
項目費用・期間の目安確認しておきたい条件
現況測量(仮測量)10万~20万円100㎡程度の整形地の場合
確定測量
図面・境界確認書・登記を含む
100万円程度になることも隣接地の所有者数などで変動
確定測量の期間1~3か月官民境界を含むとさらに長くなる

現況測量は現地の形状などを測るもので、隣地との境界線を確認する手続きまで含むとは限りません。

図面・境界確認書の作成や登記まで依頼すると、確定測量は100万円程度になる場合もあります。

隣接する所有者が多ければ、立会いの日程調整や説明の手間も増えます。見積もりを受け取ったら、必要な登記、官民境界の確認、追加調査が料金に含まれるかを確認しましょう。

同じ作業範囲で比べることが大切です。

期間は1~3か月で隣地の協力が得られないと長引く

境界確定測量の期間は、目安として1~3か月程度です。現地を測る作業に加え、隣地所有者との立会いや書面の確認があるためです。

官民境界を含めば行政の手続きも加わりますし、隣地が立会いに応じない、境界線の位置で意見が食い違うといった場合は、数か月~年単位に長引くこともあります。

土地の引き渡しを急ぐ方は、どの調整に時間がかかりそうかを確認してください。

1~3か月という目安は、関係者の協力を得ながら進められる場合のものとして考えておきましょう。

隣地との関係が難しい場合は、測量そのものが進まないリスクもあります。
費用をかける前に、現況買取の条件と、確定測量を進める見通しを比べておくとよいでしょう。

確定測量図と境界確認書は売却条件に応じて用意する

売却時に提示を求められる資料として、測量結果を示す「確定測量図」と、隣地所有者と境界線の位置を確認した「境界確認書」があります。

相続した土地の書類にあれば、相談先へ見せてください。

ただし、資料があるから何もしなくてよいとも、古いから必ずやり直しとも限りません。現況との違いや売買条件を踏まえ、追加の調査が必要かを確認します。

一方、買取では書類がそろっていない状態でも、買取業者が調査を引き受ける条件で売れる場合があります。

分かる範囲を伝え、買取前に売主が測量を依頼する必要があるか確かめましょう。

はみ出しのある土地を売るときの注意点は?

売り方の候補が決まったら、契約前の確認に進みます。

境界線や所有者についての思い込みを残したまま、価格だけで話を進めないようにしましょう。

押さえたいのは、物の所有者、買主への告知、買取査定額の前提、売主に残る対応です。土地の買取でも、契約前に確認してください。

塀の積み方(内積み・芯積み・外積み)は所有者確認の手がかり

境界線の近くにある塀は、まず誰が所有するものかを確かめます。

自分の塀なら自分で手配できることでも、隣の塀や共有の塀なら、相手との相談が必要になるためです。

位置関係を表す言葉として、次の3つがあります。積み方は所有者を調べる手がかりですが、それだけで決まるわけではありません。

  • 内積み:境界線の内側、自分の敷地側に建てた塀。自分が設置したものか確認する
  • 芯積み:境界線を中心に建てた塀。隣と共有していることが多い
  • 外積み:境界線の外側、隣の敷地側に建てた塀。隣が設置したものか確認する

隣の塀が自分の土地へ出ていれば隣地所有者に是正を求め、自分の塀が隣の土地へ出ていれば自分の側で対応を考えます。

境界線との位置関係だけでは分からないときは、誰が工事を発注し、費用を負担したか、過去の合意書があるかも調べましょう。

測量による境界線の確認と、塀の所有者の確認は分けて考えましょう。

境界線上の塀などは民法で共有と推定されますが、例外もあります。
内側にあるから自分の物、外側にあるから隣の物と決めつけず、設置の経緯や資料を確認してください。

出典:e-Gov法令検索「民法」第229・230条

越境は必ず買主に告知し覚書を書面で残す

買主への説明は、「越境があります」と一言伝えて終わりにはしないようにしましょう。

何がどこではみ出し、隣地と何を約束しているかを伝え、土地購入後の対応を判断できるようにします。

図面や写真、過去の覚書を見せ、残るはみ出しと、撤去・費用負担の約束を告知書や売買契約書に残すことが大切です。

境界線を調査中の場所は、未確認であることも伝えてください。

隣地との約束が口頭だけなら、可能な範囲で書面にしましょう。「前の所有者とは話がついていた」という説明だけでは、売却や相続で相手が代わったときに確認が難しくなります。

仲介・買取とも、土地と一緒に引き継ぐ合意を確かめます。

高い査定額を出して契約直前に減額する業者に注意

買取査定では、提示額と、その金額で買うための条件をセットで確認しましょう。

最初は高い買取価格を示し、話が進んでから境界線やはみ出しを理由に大きく減額する買取業者には注意が必要です。

一方で、調査によって新たな越境物や権利関係が分かり、査定額が変わること自体はあります。

土地の買取査定の根拠、未確認の事項、価格が変わる条件を説明してもらいましょう。

すでに伝えたはみ出しを、なぜ後から減額理由にするのか。調査前の概算なのか、調査後の提示なのか。

分からない点を聞き、根拠が曖昧なまま契約を急がせる場合は、その場で判断しないようにしてください。

訳あり土地は信頼できる一社を見つけて相談する

越境や境界未確定の土地は、どの会社でも同じように扱えるわけではありません。

まずは同様の買取実績があり、価格だけでなく対応の難しさも説明してくれる一社を見つけて相談しましょう。

何社にも話すのが負担なら、まず一社からで構いません。

隣地との関係や費用の心配を伝え、現況での買取条件と、解消して売る場合の見通しを具体的に説明してもらえるかを見てください。

買取可否や価格は会社によって異なります。次の順番で条件を整理し、疑問を解消してから契約へ進みましょう。

売却条件は買取会社へ、測量や境界線の位置は土地家屋調査士へ、取得時効・所有権の争いや法的な交渉は弁護士へ相談します。

覚書の承継、契約不適合責任の免責、告知内容に不安があるときも、弁護士に確認しておくとよいでしょう。

STEP
土地の資料とはみ出しの状況をまとめる

手元の測量図・境界確認書・過去の覚書と、はみ出しが分かる写真を用意します。
資料がなくても相談はできます。境界線が分からない箇所や、隣地から求められている対応をメモして伝えましょう。

STEP
土地の買取条件と入金日を確かめる

買取査定額の根拠と、調査後に変更される条件を確認します。
売主が別途支払う費用、残る作業、残代金の入金日を同じ書面で整理してもらうと、契約前に確かめやすくなります。

STEP
土地を手放したときの手取りで比較する

仲介は売却見込み額から測量・撤去などの自己負担を引き、買取は提示価格から別途支払う費用を引いて比べます。
買取価格に織り込み済みの費用を、もう一度引かないようにしてください。

よくある質問

境界線を越えるはみ出しがあっても土地を売却できますか?

売却・買取ともに可能です。

ただし、買主へはみ出しの事実を伝え、引き渡す状態と残る対応について合意する必要があります。

撤去や覚書を整えて売るほか、解消が難しければ現況での買取を相談できます。

越境物を撤去しないと土地は売れませんか?

売却前の撤去が必須とは限りません。

隣地と覚書を交わし、将来の撤去を約束して仲介で売る方法や、越境を残したまま買取業者に売る方法があります。

撤去できれば問題を解消できますが、工事費が売却価格に見合うかも確認してください。

隣地の所有者が覚書に応じてくれないときはどうすればいいですか?

まずは、境界線の認識が違うのか、撤去時期や費用の条件に納得していないのかを整理し、弁護士などに相談します。

話し合いを続けるのが難しければ、覚書がない状態での買取を相談する方法もあります。

経緯を伝え、直接交渉を省ける買取条件か確認しましょう。

境界線を越えるはみ出しを放置するとどうなりますか?

売却が長引いたり、使えない部分にも固定資産税の負担が続いたりすることがあります。

占有の状況や期間などの要件によっては、取得時効で土地の一部を隣地所有者に取得される可能性もあります。

枝や庇が出ているだけで自動的に所有権を失うわけではありませんが、昔からの境界線だと思っていても確認が必要です。

境界線や権利関係から確認しましょう。

まとめ|はみ出しのある土地は解消か買取で手放せる

境界線を越えるはみ出しが見つかっても、土地を手放すことを諦める必要はありません。

まずは、境界線の資料と物の所有者を確認し、自分が対応する側か、相手に頼む側かを整理しましょう。

隣地と合意でき、費用もかけられるなら、撤去や覚書、分筆で条件を整えて仲介に出す方法があります。

一方、話し合いが難しい、数十万円の測量費や撤去費を用意できない、遠方で通えない場合は、現況買取を相談できます。

判断するときは売却価格だけでなく、手元に残る金額と、ご自身に残る対応を比べてください。

買取は価格が下がる傾向がある一方、測量・撤去・交渉を任せる範囲や、契約不適合責任の免責を相談できる場合があります。

何から始めるか迷っているなら、工事や測量を依頼する前に、はみ出しの状況を伝えて買取査定の条件を聞くところからで構いません。

資料がなくても、土地の状況と困っていることを伝えれば、必要な準備を相談できます。

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この記事を書いた人

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