相続した実家や長く住んだ家に雨漏り、または雨染みの跡が見つかり、「このまま売れるのだろうか」「隠して売ったら後で責任を問われないか」と不安を感じていませんか。
結論から言うと、雨漏りのある家も売却は可能です。
ただし、進行中の水の浸入を放置すると、シロアリや木材の腐食で家の被害が広がり、選べる売却方法が狭まるおそれがあります。
損を抑えるには、修理してから売る場合と、そのまま売る場合の手取りを比べることが大切です。先に工事を頼まず、家の状態を伝えて売り方を相談しましょう。
この記事では、売るときに伝えること、修繕・現状での仲介・解体・買取の選び方、費用の目安を解説します。まずは家の状態を確認するところから見ていきましょう。
雨漏りがある家も売却はできるが価格は下がりやすい
家に不具合があっても、修繕や建て替えを前提に購入する人はいます。
ただし、住宅ローンや再発への不安から買い手が付きにくく、家の売却価格は下がりやすいのが実情です。
売却価格は「立地」と「雨漏りの被害度」で変わる
雨漏りのある家にも、リフォームして住む人・解体して土地を使う人・買い取って再生する不動産買取会社など、買い手の候補は複数あります。
住まいとしての需要がある家なら、修繕を前提に購入する人もいます。
一方で、雨漏りは建物の状態に対する不安に直結するため、同じエリアの雨漏りのない家と比べると売却価格は下がりやすくなります。
下落の幅は立地の需要によって大きく変わります。
都市部で土地そのものに需要があれば、建物に不具合があっても購入を検討する人がいます。地方や郊外で買い手が少ないエリアでは、価格を下げても何年も売れ残ることもあります。
雨漏りがあるからといって、価格が一律に何割下がるとは言えません。家の被害と、その地域でどのような物件が求められているかを合わせて確認しましょう。
買い手が付きにくいのは住宅ローンと再発への不安
雨漏りのある家の買い手が慎重になる理由は、大きく2つあります。
1つは住宅ローンです。
雨漏りの被害によっては、住宅ローンの審査や融資条件に影響することがあります。
希望するローンを利用できなければ、購入を見送る人もいます。その分、家の売却に時間がかかることがあります。
もう1つは再発への不安です。
原因を十分に特定できていなければ、一度修理した後でも再発することがあります。
購入を検討する人は「買った後にまた漏れたらどうしよう」「修理費が読めない」と感じ、購入をためらいがちです。
買主が見込む修理費や再発への不安も、家の価格に影響します。査定の相談では、修理した箇所やその後の状態を伝えられるようにしておきましょう。
売却前に跡だけ・修理済み・進行中のどれかを確認する
雨漏りがある家が、次のどの状態なのかを整理しておきましょう。
| 状態 | 確認事項 |
|---|---|
| 雨染みの跡だけ | 天井や壁にシミがあるが、現在も漏れているか不明な状態。 過去の被害が止まっているのか、進行中なのかを確認する。 |
| 修理済み | 過去に雨漏りがあり、補修が済んでいる状態。 修理した時期や内容、再発の有無を整理して伝える。 |
| 雨漏りが進行中 | 雨のたびに漏れる、シミが広がる状態。 内部の腐食などを防ぐため、早めの対応が必要です。 |
シミだけでは原因や進行状況を判断できないことがあります。必要に応じて専門業者に調査を依頼し、散水調査などの方法を相談しましょう。
状態が分かれば、修理してから売却するか、そのまま売るかを考えやすくなります。
訳あり物件の買取実務でも、査定の前に「雨漏りはいつ・どこで・現在も続いているか」を必ず確認します。
状態が曖昧なまま売り出すと、後々のトラブルの原因になりやすいためです。
放置した雨漏りはシロアリ・腐食で被害が広がるおそれがある
進行中の雨漏りを放置する最大のリスクは、被害が建物内部へ広がることです。
湿った木材はシロアリが発生しやすい環境になり、家の柱や土台が腐食するおそれもあります。
こうなると修理費が数十万円単位で膨らむだけでなく、買い手に伝えるべき不具合(告知の範囲)も増えてしまいます。
とくに相続した家を空き家のままにしていると、換気や点検が行き届かず、変化に気づくのが遅れがちです。
水の浸入にシロアリや腐食の被害が重なると、修理が大がかりになり、家の売却も難しくなります。
「そのうち考えよう」と先延ばしにせず、被害を広げない対応と売却の相談を並行して進めましょう。
雨漏りがある家を売却する際には告知義務が必要になる
雨漏りは「物理的瑕疵(かし)」と呼ばれる家の不具合にあたります。
売却するときは、把握している症状や修理歴を買主に伝えましょう。
隠して家を売却すると、契約不適合責任を問われ、損害賠償や契約解除に発展するおそれがあります。
雨漏りを修理した後も、いつ・どこを・どのように直したかを告知書に残しておくことが大切です。
物理的瑕疵とは家や土地に生じた不具合のこと
物理的瑕疵とは、雨漏り・シロアリ被害・給排水管の故障・建物の傾きなど、建物や土地そのものに生じている物理的な欠陥のことです。
雨漏りはこの物理的瑕疵の代表例であり、売主は買主に対して、把握している雨漏りの事実を伝える必要があります。
ここで押さえておきたいのが、事故物件などの「心理的瑕疵」との違いです。
人の死に関する告知の扱いと、建物の不具合の告知は、同じ基準で判断するものではありません。
雨漏りの症状を「何年も前のことだから」と自己判断で伏せず、売却を依頼する不動産会社に伝えましょう。

家の状態が契約と異なると賠償や契約解除を求められることがある
契約不適合責任とは、引き渡した家の状態などが、契約で合意した内容と合っていないときに売主が負う責任です。
買主は、それぞれの要件を満たす場合に、次のような対応を求められます。
- 追完請求:家の不具合の修理などを求める
- 代金減額:家の売買代金を減らすよう求める
- 損害賠償:生じた損害の賠償を求める
- 契約解除:要件を満たす場合に家の売買契約を解消する
つまり、不具合を知りながら告知せずに売却すると、引き渡し後に修理や損害賠償を請求されたり、契約を解除されたりするおそれがあります。
売却代金を受け取った後に、追加の負担や代金返還の問題が生じることにもなりかねません。
一方、すでに雨漏りを修理した家については、過去の不具合を説明する法的義務があるかどうかは、修理後の状態や取引の事情によって判断されます。
売却時に自分だけで「修理したから伝えなくてよい」と決めず、修理歴を不動産会社に伝え、告知書に残しておきましょう。
出典:e-Gov法令検索:民法(第562~566条・第572条)/不動産流通推進センター:修繕済みの瑕疵の報告・説明義務
修理済みでもシロアリやカビの二次被害まで伝える
告知の対象は、雨漏りそのものだけではありません。
雨漏りが原因で発生したシロアリ被害・カビ・木材の腐食といった二次被害も、把握している範囲で買主に伝える必要があります。
修理して見た目が直っていても、内部にシロアリ被害が残っていれば、それは伝えるべき不具合です。
口頭で「雨漏りは修理しました」と伝えるだけでは、修理した範囲まで正確に共有できるとは限りません。
まだ原因が分からない箇所や、残っている被害も分けて伝えると、家の状態について認識をそろえやすくなります。
分かっていることは具体的に、不明なことは不明と書き残しましょう。
これは、把握している事実を広く伝える実務上の方針です。売却する家ごとの法的な説明義務とは分けて考え、後から認識の違いが生じないようにしています。
告知書には雨漏りの時期・箇所・修理内容を具体的に書く
雨漏りは、売買時に作成する「物件状況等報告書(告知書)」に記載します。
雨漏りなどの不具合や過去の修理歴を、買主に書面で伝えるための書類です。
記入方法は不動産会社に確認できますが、状態を知る売主自身が、記載内容に間違いがないか確かめることが大切です。
書式によって、「現在まで発見していない」「過去にあった」「現在発見している」などの選択肢が設けられています。
過去に雨漏りがあった場合は、次の点を具体的に書き残すと、後の解釈の食い違いを防げます。
- 発生時期:いつから、どのような雨の日に症状が出たか
- 家の被害箇所:シミや水滴を確認した場所と、分かっていれば浸入口
- 原因と現在の状態:調査で分かった内容。不明な点は不明と記す
- 修理歴:工事の時期・内容・依頼先。写真や明細があれば添える
- 二次被害:シロアリ・カビ・腐食など、把握している不具合
雨漏りの修理が済んでいる場合も、時期や工事内容を具体的に残しておくと、売却後に「聞いていなかった」となる行き違いを防ぎやすくなります。
家の写真や修理の明細があれば、書面と一緒に保管しておきましょう。相続した家で分からない点は推測で埋めず、不明であることを伝えて確認を進めます。
雨漏りがある家を売却する4つの方法
雨漏りがある家の売り方は、大きく4つあります。
- 修繕して仲介で売る
- 現状のまま仲介で売る
- 解体して土地を売る
- 不動産会社に買い取ってもらう
工事費を先に用意できるか、いつまでに家を手放したいかによって、選びやすい方法が変わります。
まずは全体像を表で確認しましょう。
| 売却方法 | 費用の目安 | 売却期間の目安 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 修繕してから仲介で売る | 数万円~100万円超(修繕費) | 3か月~半年以上など | 被害が軽微で立地に需要がある家 |
| 住宅診断を受けて現状で仲介 | 5万~十数万円(診断料) | 3か月~半年以上など | 買主の不安を減らして売りたい家 |
| 解体して更地で売る | 木造30坪の本体で90万~150万円程度 | 解体+数か月 | 建物が古く土地に需要がある家 |
| 家をそのまま業者へ売却 | 修繕・解体の先払いを避けられる場合あり | 条件が整えば最短数日~数週間 | 家の管理負担を早く終えたい場合 |
表の費用・期間は目安です。
仲介手数料や登記などの諸費用は別に確認し、家の名義・買主との合意・必要書類によって売却時期も変わると考えておきましょう。
家を修繕して売るなら値上がり分と工事費を比べる
家を修繕してから売却すると、買主が修理を手配する負担を減らせます。
住まいとして購入を検討してもらいやすいのが利点です。被害が軽微で、立地に十分な需要がある家では有力な選択肢になります。
ただし注意したいのは、修繕費が売却価格の上昇分を上回らないかという点です。
たとえば修繕に100万円かけても、上乗せできる売却価格が50万円であれば、差し引きでは損になります。
とくに築古の家では、雨漏りを直しても別の劣化が残るため、修繕費を売却価格で回収しきれないことも少なくありません。
修理の見積もりと、修理前後の売却見込み額を並べ、工事費を引いても手取りが増えるかを確かめてから依頼しましょう。

ホームインスペクションを受けて現状のまま売る
ホームインスペクションとは、専門家が家の劣化や不具合の状況を調べる住宅診断のことです。
診断結果を示せば、買主はどこに傷みがあるかを把握し、修繕や購入を検討しやすくなります。
この方法は、修繕費をかけずに現状のまま売りたいが、買い手の不安はできるだけ減らしたい、という場合に向いています。
診断料は数万円から十数万円程度が目安です。建物の規模や調査範囲、追加調査の有無で変わります。
診断で把握した不具合はそのまま告知書にも反映できるため、後の契約不適合責任のトラブルを防ぐうえでも役立ちます。
ただし、目視等を中心とする調査では、建物の内部の状態や水の浸入口まで特定できるとは限りません。
不具合がないことや、再発しないことを保証するものではありません。
土地に需要があるなら更地または古家付きで売る
家の傷みが激しく、修繕しても住むのが難しい場合は、解体して更地で売却する方法があります。
更地にすれば、買い手は既存の家の修理を考えず、土地の利用を検討できます。
ただし、再建築や土地利用の制限は解体してもなくなりません。解体前に、土地の需要と建築条件を確認しましょう。
解体費は、木造30坪の家なら本体工事で90万~150万円程度が目安です。
家財の処分や付帯工事などは別にかかることがあります。
家を解体すると、原則として土地の住宅用地の特例が外れます。売却を待つ間の税負担も考えておきましょう。
解体費を先払いしたくない場合は、建物を残したまま「古家付き土地」として売却し、買主が解体する条件を相談する方法もあります。
前面道路が狭いと、重機や廃材の搬出車両が入りにくく、工事費が上がることがあります。再建築できるかどうかも、家の売却前に別途確認が必要です。

家をそのまま買取に出し責任や費用の範囲を合意する
不動産買取とは、不動産会社が直接買い手となって家を買い取る方法です。
一般の買い手を探す必要がないため、条件が合えば、現状のまま短期間で売却できます。修繕や解体、家に残った荷物の片づけをせずに売却できるケースもあります。
個人が売主となる場合、契約不適合責任を負わない特約を、買取会社と合意できることがあります。
どの不具合を対象に、どこまで責任を免れるのかを契約書で確認しましょう。「現状のまま引き渡す」と書くだけで、不具合について自動的に免責になるわけではありません。
免責の特約があっても、知りながら伝えなかった事実については責任を免れません。
家を売却する前に、症状・修理歴・免責の対象を共有し、修繕や片づけ、登記などの費用を誰が負担するかも確認しましょう。
訳あり物件を扱う買取会社であれば、被害や修理費を価格に織り込んで検討するため、修繕費の先払いを避けたい方の選択肢になります。
ただし、買取価格は仲介より安くなる傾向があります。
家の売却額だけでなく、修理や家財処分など、自分で払う費用を差し引いて比べましょう。
出典:e-Gov法令検索:民法(第562~566条・第572条)/国民生活センター:契約の内容が守られないとき(2)
【状況別】雨漏りの家はどの売却方法を選ぶべきか
家の状態や手放したい時期によって、選びやすい売り方は変わります。
ここでは、4つの状況に分けて考えてみましょう。
修理費をかけても手取りが増える見込みなら仲介、工事費を回収しにくいなら現状のまま売る方法が候補です。急いでいる場合は、買取の条件も聞いてみましょう。
| 家の状況 | 検討する売却方法 | 先に確認すること |
|---|---|---|
| 被害が軽く、住まいの需要がある家 | 修繕して仲介で売却 | 工事費を引いても手取りが増えるか |
| 修理の負担を買主と相談したい場合 | 住宅診断を受け、現状のまま仲介 | 家の状態を買主に示し、修繕条件を合意できるか |
| 住むのが難しく、土地に需要がある家 | 更地での売却/古家付き土地での売却 | 再建築の可否、解体費、土地の税負担 |
| 遠方で管理を続けにくい家 | 現状のまま買取で売却 | 買取価格、家の引き渡し日、免責・費用の条件 |
被害が軽く需要のある家なら修繕して仲介を検討する
被害が部分的で、駅近や都市部など住まいの需要がある立地なら、修繕して仲介で売却する方法を検討できます。直すことで購入を検討する人の不安が減り、修繕前より売却しやすくなる可能性があるためです。
この場合、無理に買取を選ぶと、仲介で売れたはずの価格より安くなってしまうこともあります。
「雨漏り=すぐ買取」ではありません。
需要のある家でも、修繕後の売却額と工事費を確かめてから依頼しましょう。
家の修繕費を回収しにくいなら現状での買取を検討する
修理によって上がる価格よりも、工事費のほうが高くなるなら、現状のまま家を売る方法を検討しましょう。
高く売れても、それ以上に費用がかかれば、手元に残るお金は減ってしまうためです。
このケースでは、現状のまま買い取ってもらう方法が向いています。
修繕費を先払いせず、契約で免責を合意できる場合もあります。
ただし、知っている不具合を隠した場合まで責任を免れることはできません。
買取会社は、家を直して再販売するか、解体して土地を売るかを見込んで価格を出します。その条件で合意できれば、売主が先に修理をしなくても売却できます。
古い家は土地の需要を確認し、更地か買取を検討する
築年数が古く、地方や郊外で買い手が付きにくい家は、修繕しても売れ残るリスクが高いのが実情です。
建物を解体して土地として売るか、家ごと買取に出すかを比べてみましょう。
判断のポイントは、その土地に需要があるかどうかです。
土地に需要があり、解体費を含めても手取りが残るなら、更地で売る方法を検討できます。
一方で、土地の需要も乏しいエリアでは、解体費をかけても売れる保証はありません。
「壊せば売れる」とは限らないため、解体前に土地の売れ行きを冷静に見極める必要があります。
需要が読みにくい家は、解体費をかける前に買取会社へ相談し、現状での価格を確認しておくと安全です。
相続した家を早く手放したいなら買取を検討する
「相続した実家を早く片づけたい」「遠方で管理できない」「固定資産税や管理の負担を早く終わらせたい」
こうした事情がある場合は、買取を検討してみましょう。
仲介は買い手が見つかる時期を読みにくい一方、買取は条件が整えば最短数日~数週間で進む場合があります。
家の名義や必要書類、契約条件によって期間は変わります。
相続した家では、兄弟や親族と話し合い、誰が家を引き継いで売却するのかを整理する必要もあります。
家の引き渡し日を買取会社と調整できれば、片づけや管理を終える予定を立てやすくなります。
提示された価格に加えて、管理を続ける期間や自分の手間も含めて判断しましょう。
雨漏りの修繕・解体にかかる費用の目安
雨漏りの部分修理は数万円~数十万円、屋根の葺き替えなど大規模な修繕は100万円を超えることもあります。
家が台風などで破損したことが原因なら、火災保険の補償対象となる場合もあります。
家を直す前に、工事費と修繕後の売却見込み額を比べましょう。
下の表は概算の目安です。家の状態や工事の範囲、地域などによって費用は変わります。
| 修繕・解体の内容 | 費用の目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 壁のひび割れなど小規模な補修 | 2万~20万円程度 | 被害が1か所で軽微な場合 |
| 屋根の部分補修 | 3万~30万円程度 | 高所は足場代が加算される |
| ベランダ・バルコニーの防水再施工 | 5万~40万円程度 | 防水層の再施工が必要な場合 |
| 屋根全体の葺き替え | 80万~200万円程度 | 面積・屋根材で変動 |
| 雨漏りの原因調査(散水調査) | 5万~35万円程度 | 目視のみなら無料~3万円 |
| 家の解体(木造・本体工事) | 1坪あたり3万~5万円 | 30坪で90万~150万円。付帯工事等は別 |
部分的な雨漏り修理は数万~数十万円が目安
雨漏りの修理費は、被害の範囲と原因によって大きく変わります。
壁のひび割れ1か所程度の補修なら2万~20万円ほど、屋根の部分補修なら3万~30万円程度が目安です。
ただし、高い位置での作業には足場が必要になり、その分の費用が加算されます。
また、どこから漏れているか特定するための調査(散水調査など)に別途5万~35万円ほどかかることもあります。
修理を依頼する際は、調査費・足場代を含めた総額を見積もりで確認しましょう。
屋根の葺き替えや大規模修繕は100万円を超えることもある
被害が広範囲におよび、屋根全体の葺き替えや防水工事が必要になると、費用は一気に上がります。
屋根全体の葺き替えでは、家の屋根面積や屋根材によって80万~200万円程度になることもあります。
ここで冷静に考えたいのが、その費用を売却価格で回収できるかです。
100万円以上をかけて修繕しても、売却価格がその分だけ上がるとは限りません。
とくに築古の家では、雨漏りを直しても内装や設備の古さが残るため、修繕費が回収しきれないことがよくあります。
大がかりな工事が必要なら、家をそのまま売る場合の価格も確かめてから決めましょう。
木造の家の解体は本体工事で坪3万~5万円が目安
木造の家を解体する場合、本体工事は1坪あたり3万~5万円程度が費用の目安です。
延床面積30坪の家なら、本体工事だけで90万~150万円程度かかる計算になります。
家財の処分、塀や庭木の撤去などを含む総額は、見積もりで確認しましょう。
さらに、前面道路が狭く重機が入りにくい場合や、住宅が密集している場合は、費用が高くなりやすい点にも注意が必要です。
家を取り壊すと、原則として土地の住宅用地の特例が外れ、土地の税負担が増える可能性があります。家の分の税はなくなるため、解体前後の合計額を確認しましょう。
なお、解体費や解体後の税負担をかけたくない場合は、現状のまま不動産買取に出せば、解体も片付けもせずに手放せるケースもあります。
火災保険で雨漏りの修理費をまかなえる場合がある
台風や強風、大雪などで家の屋根が破損し、その箇所から水が入った場合は、火災保険の補償対象になることがあります。
風災と雪災は補償の区分が異なります。加入している保険で、家のどの損害が補償されるかを確認しましょう。
一方、屋根材の摩耗や防水層の劣化など、経年劣化が原因の雨漏りは、一般に補償の対象外です。
保険金請求権には原則3年の時効があります。家の被害に気づいたら早めに保険会社へ連絡し、必要な写真・書類や請求の手順を確認しましょう。
保険で修理費が全額まかなえるとは限りません。補償範囲と自己負担額を確認し、修理や売却の予定を立てましょう。
出典:
日本損害保険協会:風水雪災等による損害を補償する損害保険
日本損害保険協会:火災保険の契約にあたっての手引
e-Gov法令検索:保険法(第95条)
工事を頼む前に売却後の手取りを比べる
家にお金をかける前に、直して売却する場合と、そのまま売却する場合の手取りを比べましょう。
高く売れても、修理や解体の費用が増えれば、手取りが少なくなることがあります。
被害を広げないための応急措置と、売却のための工事は分けて考えます。
不動産の買取実務でも、査定では「この家をリフォームして実需で売るか、解体して土地で売るか」という出口を先に想定し、そこから逆算して価格を決めます。
売主も同じ発想で、「直してから売る」「現状のまま売る」「解体して売る」のどれが最終的に手元に多く残るかで判断するのが合理的です。
雨漏りの家を売却するときの注意点
家の売却では、告知の内容・修繕費の回収・査定額の根拠を確認することが大切です。
相談先を選ぶときも、家の状態に基づいて価格や必要な作業を説明してくれるかを確かめましょう。
ここでは失敗を避けるための注意点を整理します。
家の不具合を伏せると引き渡し後の賠償トラブルにつながる
繰り返しになりますが、雨漏りの告知を省くことは最も避けるべき選択です。
家の状態が契約内容と異なれば、引き渡し後でも契約不適合責任を問われるおそれがあります。
その結果、修理費用や損害賠償の請求、場合によっては契約解除に至り、受け取った売却代金を返すことにもなりかねません。
家を引き渡した後に「伝えた・聞いていない」とならないよう、説明した内容を残しておきましょう。
家の状態を告知書に残し、責任の範囲や修理の負担について、契約前に買主と確認しましょう。
修繕費をかけてもすべて回収できるとは限らない
「高く売るために直しておこう」という判断は、常に正解とは限りません。
修繕費を売却価格で回収できるかは、立地の需要と建物の状態によって変わります。
家の立地や傷みによっては、修理しても売却価格がほとんど変わらないことがあります。
大切なのは、修繕にかける前に「直したらいくらで売れそうか」の見当をつけることです。
家の査定額は、その金額で売れることを保証するものではありません。想定より価格が下がった場合も、工事費を負担できるか考えておきましょう。
判断に迷ったら、家を現状のまま売却する価格も聞いてみましょう。工事に使える予算を考える材料になります。
高い査定額を出す業者には契約直前の減額に注意する
売却を急ぐあまり、査定額の高さだけで売却先を決めるのは危険です。
家の調査後や契約直前に、査定額が下がることもあります。現地調査が済んだ金額か、今後どのような理由で変わる可能性があるかを確認しましょう。
ほかの売却先を断ったり、引っ越しの予定を決めたりした後では、条件を見直しにくくなります。
査定では、なぜその金額なのか、調査後に変わる可能性があるかを聞いておきましょう。
雨漏りの状態をきちんと確認し、根拠を示して価格を提示してくれるかどうかが、信頼できる相手かを見分ける材料になります。
家の売却相場は信頼できる一社に根拠を聞いて確かめる
雨漏りのある家のように事情のある物件は、一般的な相場表で価格を測ることが難しく、物件ごとの個別性が大きくなります。
だからこそ、雨漏りや訳あり物件の扱いに慣れた、信頼できる一社にじっくり相談して、自分の家の現実的な価格と売り方を見極めることが大切です。
雨漏りのある家を数多く扱ってきた会社であれば、状態を正しく評価したうえで、修繕して仲介すべきか・現状のまま買い取れるかまで含めて提案してくれます。
家の査定を依頼する前に、下の項目を確認しておくと、査定額と実際の手取りの違いを把握しやすくなります。
- 家を修繕した場合と、現状のまま売却する場合の価格
- 家の調査後に査定額が変わる条件と、金額が確定する時期
- 修繕・解体・家財処分・登記など、売主が負担する費用
- 家の契約不適合責任の範囲と、引き渡しまでの予定

雨漏りがある家の売却でよくある質問
- 雨漏りを隠して家を売却するとどうなりますか?
-
家の状態が契約内容と異なれば、契約不適合責任を問われるおそれがあります。
買主は要件に応じて、修理・代金減額・損害賠償・契約解除を求められます。
免責の特約があっても、知っている家の不具合を伏せた場合は責任を免れません。
- 修理した家でも過去の雨漏りを伝えた方がよいですか?
-
家の修理歴も、不動産会社と買主に伝えて書面に残しましょう。
法的な説明義務は、家の状態や契約内容などの事情によって判断されます。
「修理したから不要」と自己判断せず、時期・箇所・工事内容と、その後の家の状態を共有することが大切です。
- 家を修理せずに売却することはできますか?
-
できます。
家を現状のまま仲介で売る方法と、業者に買い取ってもらう方法があります。
いずれも家の状態を正直に伝え、修理の負担者や契約不適合責任の範囲を確認しましょう。
買取で免責を合意できる場合でも、知っている不具合を隠してよいわけではありません。
- 雨漏りのある家は買取だといくらになりますか?
-
一律には言えません。
家の立地と被害の程度、修繕や再販売の見込みによって変わります。
需要のある家なら仲介の方が高く売れることもあります。
家を直す費用や売却までの管理費も含めて、手元に残る金額を比べましょう。
- 火災保険は雨漏りの修理に使えますか?
-
災害による家の破損が原因なら、補償対象となる場合があります。
経年劣化による雨漏りは一般に対象外です。
家の被害の原因、加入している補償、自己負担額を保険会社に確認してください。
まとめ|雨漏りがある家も状態に合う方法で売却できる
雨漏りがある家も、売却は十分に可能です。
大切なのは、雨漏りが跡だけ・修理済み・進行中のどれかを見極め、告知義務を正直に果たしたうえで、自分の状況に合った売り方を選ぶことです。
売り方は、修繕して仲介・住宅診断を受けて現状で仲介・解体して更地・そのまま買取の4つ。
修理後の価格から工事費を引いても手取りが増えるか、家の管理をいつまで続けられるかを考えると、方法を絞りやすくなります。
先に工事を頼まず、家の状態を伝えて査定を受けましょう。
また、査定額が下がることを恐れて雨漏りを隠すことだけは避けてください。
目先の負担を避けようとして伏せると、家を手放した後に契約不適合責任を問われるおそれがあります。
そのままでも売却できる方法があります。今の家がいくらで売れそうか、どの費用を自分が負担するのかを聞くところから始めてみてください。
修理した時期や内容が分かる書類、被害箇所の写真などがあれば、相談時に伝える材料になります。


