空き家の相続をしたらどうすべき?放置するリスクから最適な選択肢まで解説

空き家を相続したら、まず知っておくべきは「放置し続けるのが最も損をする」という事実です。

空き家は誰も住んでいないだけで資産価値が下がり、固定資産税や管理の負担が続き、放置すれば税金が跳ね上がったり損害賠償を求められたりするリスクを抱えています。

そのため、相続した空き家を「持ち続けるべきか」「手放したほうがよいのか」を早い段階で判断することが重要になります。

この記事では、放置するとどんなリスクがあるかを押さえたうえで、相続後にやるべき手続き、活用・売却・処分の選択肢、状況別の対処法、税金と特例、注意点まで解説します。

売れない・管理できない空き家ほど早めの判断が肝心なので、一つずつ確認していきましょう。

この記事の監修者

株式会社AlbaLink(アルバリンク)

空き家や共有持分、再建築不可物件など、売れにくい不動産の買取を専門とする不動産会社。

空き家に関する豊富なノウハウをもとに、当記事の監修・作成協力を行っています。

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目次

相続した空き家を放置し続けてはいけない5つの理由

相続した空き家を「とりあえずそのまま」にしておくと、時間が経つほど不利になります。

空き家は放置している間も維持費がかかり続け、建物は傷み、税金・近隣・防犯の面でもリスクが膨らんでいくためです。

まずは、相続した空き家を放置することによって具体的に何が起きるのかを5つの面から見ていきましょう。

これらのリスクは、どれも「早く動けば避けられた」ものばかりです。自分の空き家にどれが当てはまりそうか、確認しながら読んでください。

建物の老朽化が進むたびに資産価値が急速に下がる

誰も住まない空き家は、放置している間に資産価値が急速に下がっていきます。

建物は人が住んで換気や通水が行われることで状態が保たれるため、無人のまま放置すると湿気で柱や壁が傷み、配管も劣化して、老朽化のスピードが一気に早まるからです。

相続した空き家の売却を考えているなら、価値が残っているうちに動くほど有利になります。

実際、木造住宅では、空き家になった期間が1年を超えるだけで査定価格が2割から3割下がるケースも珍しくありません

放置している空き家は、いわば毎年目減りしていく負債のようなものです。

築古の木造戸建ては、建物にほとんど値が付かず「土地値」での取引になることも多く、迷っている間にも手取りは減り続けます。

今すぐ売る決心がつかなくても、まずは現状でいくらで売れるのかを不動産会社に査定してもらい、放置した場合に1年後どれだけ下がりそうかと比べて判断するのが現実的です。

放置していても固定資産税や維持費の負担は続く

空き家は誰も住んでいなくても、所有している限り毎年お金が出ていきます。

代表的なのが固定資産税と、市街化区域にあれば都市計画税です。これに加えて、火災保険料、最低限の光熱費、庭の草刈り代、遠方なら様子を見に行く交通費も必要になります。

これらをまとめた「維持費」は、戸建ての空き家で年間十数万円~数十万円かかることも珍しくありません。

住む予定も貸す予定もないまま保有を続けると、1円も生み出さない家のために毎年この金額を払い続けることになります。

判断の目安はシンプルで、「今後この空き家を具体的に使う予定があるか」で、予定がないなら維持費が累積する前に手放した方がトータルの出費は確実に小さくなります。

なお、この保有コストは、後の章で売却か保有かを判断する際の基準にもなります。

特定空家等に指定されると固定資産税が最大6倍になる

管理が行き届かない空き家は、行政から「特定空家」や「管理不全空家」に指定されると、固定資産税が最大約6倍に跳ね上がるおそれがあります。

通常、住宅が建つ土地は「住宅用地の特例」で固定資産税が最大1/6(都市計画税は最大1/3)に軽減されています。

しかし、倒壊の危険や衛生上有害な状態の「特定空家」として勧告を受けると、この特例が外され税負担が急増します。

2023年12月施行の改正空家対策特別措置法で、放置すれば特定空家になりかねない「管理不全空家」も勧告の対象に加わりました。

さらに指導・勧告・命令に従わないと、行政が強制的に建物を解体する「行政代執行」が行われ、費用は全額所有者に請求されます。

こうした事態を避けるには、適切な管理を続けるか、早めに手放すかの決断が必要です。

倒壊・害虫被害など近隣トラブルや損害賠償の原因になる

空き家を放置すると、近隣に実害を与えて損害賠償に発展するリスクがあります。

老朽化した屋根瓦や外壁の落下、ブロック塀の倒壊が隣家や通行人を傷つけるほか、伸び放題の雑草や、シロアリ・害獣の発生がトラブルの原因となります。

ここで注意すべきは、民法上の「工作物責任」です。

建物や塀などの工作物に欠陥があり、それが原因で他人に損害を与えた場合、所有者は自らに過失がなくても賠償責任を負うとされています。

「きちんと管理していなかったわけではない」という言い分が通りにくく、所有しているだけで重い責任を問われうるのです。

こうしたリスクを抑えるには、定期的な見回り・除草・修繕を行うか、それが難しいなら手放すかです。

遠方で頻繁に通えないなら、空き家管理サービスで最低限の管理を委託しつつ、並行して売却を進めるのが現実的な落としどころになります。

不法侵入や放火など防犯リスクが高まる

人の出入りがない空き家や、外から見て「放置されている」と分かる家は、防犯の面でもリスクが高まります。

具体的には、ごみの不法投棄場所にされる、不良のたまり場や不法占拠の場になる、放置された家財が盗まれる、といったことが起こります。

なかでも、空き家の犯罪被害として深刻なのが放火です。

人目につきにくく、燃えやすい枯れ草やごみが溜まった空き家は標的になりやすく、近隣へ延焼すれば被害は一気に広がり、所有者の責任問題にも発展しかねません。

防ぐには、確実な施錠、郵便物やごみの溜め込み防止、定期的な見回りで「管理されている家」に見せることが基本です。

とはいえ、遠方の空き家でこれを続けるのは負担が大きいので、根本的にリスクをなくすには手放すのが最も確実です。

ここまで見てきた放置リスクを踏まえ、次の章では、相続直後にまずやるべき手続きを確認していきましょう。

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相続した空き家をどうする?活用・売却・処分の選択肢を解説

空き家を手放す・活かす方法は一つではありません。

自分で住む、貸す、仲介で売る、解体する、買取に出す、お金を払ってでも引き取ってもらう、国に返す、と幅広く、それぞれ向いているタイプも異なります。

自分が相続した空き家の立地・状態・採算に合った方法を選ぶことが、損をしないコツです。

ここでは相続した空き家の7つの選択肢を、どんな物件に向くか、どんな費用やリスクがあるかとあわせて解説します。

自分や家族が住む・セカンドハウスとして利用する

まずは、思い出の実家を残し、自分たちで居住する、あるいはセカンドハウスとして利用する選択肢です。

人が定期的に出入りして換気や通水を行うことで建物の老朽化を防ぎ、適切に管理することで「特定空家等」に指定されるリスクも回避できます。

ただし、長期間無人だった空き家は、そのまま快適に住めるとは限りません。

特に注意したいのが「改修費」で、古い家は耐震性や断熱性が現行基準に合わず、修繕に数百万円単位の費用がかかるケースも多くあります。

特に1981年(昭和56年)以前の旧耐震基準の家は、耐震改修も必須となります。

判断の軸は「改修費と毎年の維持費を合計して、今の住居費と比べてメリットがあるか」です。

「いつか使うかも」という曖昧な見込みだけで保有を続けると、使わないまま維持コストが垂れ流しになるため、明確な予定がない場合は売却や買取を並行して検討するのが安全です。

リフォームして賃貸物件として貸し出し収益化する

相続した空き家を手放さず収益化したい場合、リフォームして賃貸に出し家賃収入を得る方法があります。

人が住むことで老朽化を防ぎ、保有しながら収益を生めるのがメリットです。

しかし、家賃収入だけでなく、初期投資を回収できるか見極める必要があります。

古い空き家を貸せる状態にするには、フルリフォームで1,000万~2,000万円かかることもあります。

この費用を家賃から経費(管理委託費や固定資産税、保険料)を引いた手残りで何年かけて回収できるか試算しましょう。

さらに入居者がつかない空室リスクや、貸主としての修繕義務も生じます。

地元の不動産会社に賃貸需要を確認し、回収見込みが立たない場合は、無理に貸さず売却に切り替えた方が金銭的負担を小さく抑えられます。

不動産仲介業者に依頼して買主を探してもらう

立地や状態がよく資産価値が残っているなら、不動産会社に買主を探してもらう「仲介」での売却を目指すのが基本です。

市場価格で一般の買い手に売るため、後述の買取よりも手残りの金額が大きくなる可能性が高いのが最大のメリットです。

一方、買主が現れるまで数か月~半年以上かかることも多く、その間は固定資産税や管理費などの維持費を払い続ける必要があります。

また、内覧対応の手間がかかるほか、印象を良くするために事前の清掃や荷物整理(残置物撤去)も必要です。

さらに注意すべきは「契約不適合責任」です。

個人に売る仲介の場合、引き渡し後に雨漏りやシロアリ被害などの見えない不具合が発覚すると、売主が修繕費用を負担するリスクが伴います

そのため仲介は、駅近で再建築可能な状態の良い空き家に向いています。

老朽化が進んでいる場合は、修繕費や売却後トラブルのリスクも考慮し、現状のまま手放せる買取と比較検討するのが得策です。

建物を解体して土地として売却・活用する

建物が古く買い手がつきにくい空き家の場合、解体して更地にすることで買い手がつきやすくなることがあります。

しかし解体には木造で坪5万~7万円程度、一般的な戸建てで100万~200万円以上の費用がかかります。

さらに重要なのが固定資産税です。建物を解体すると「住宅用地の特例」が外れ、翌年から土地の固定資産税が最大約6倍に上がります。

更地にしてすぐ売れないと、高い税金を払い続けるリスクが生じます。

土地としての利用を考える場合、まずは更地にした場合の売却価格や活用見込みを不動産会社に確認し、解体費を回収できるか試算しましょう。

見込みが立たない場合は、解体せずに古家付きのまま売却するか、専門の買取業者にそのまま引き取ってもらう方が持ち出しを避けられます。

空き家のまま専門業者に直接買い取ってもらう

早く確実に手放したい、あるいは仲介では売れない老朽化物件なら、業者が直接買い取る「買取」が向いています。

買主を一般から探す必要がないため、現状のまま数週間~1か月程度で現金化でき、訳あり物件でも引き取ってもらえる可能性が高いのが特徴です。

スクロールできます
項目仲介買取
売却にかかる期間数か月~(買主が見つかるまで)数週間~1か月程度
手間内覧対応・価格交渉・清掃が必要不要(残置物ごと買い取る業者もある)
売却後の責任契約不適合責任を負うことが多い免除されるケースが多い
向くケース立地・状態が良く、急がない急ぐ・遠方・老朽化・売れにくい空き家

立地が良く時間に余裕があるなら仲介の方が手残りは大きくなりますが、遠方で管理が負担、老朽化で買い手がつきにくい、維持費を早く止めたい場合は買取が適しています。

また、買取の大きな利点は売却後の「契約不適合責任」が免除されるケースが多い点です。

古い空き家は売却後に雨漏りやシロアリが見つかると売主が責任を問われることがありますが、買取ならプロがリスクを承知で買い取るため、売却後のトラブル不安から完全に解放されます。

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「有償引き取り」で終わりのない不安を断つ

ここまでの方法でも手放せない空き家には、こちらがお金を払って引き取ってもらう「有償引き取り」という選択肢があります。

一見損に見えますが、状況によっては最も合理的な「損切り」になります。

世の中には、売却代金よりも解体費や残置物撤去費などの処分コストが上回る「マイナス物件」も存在します。

買い手がつかず、解体には数百万円かかり、保有し続ければ税金と管理費が永遠に出ていく空き家は、持ち続ける限り赤字が垂れ流しになります。

有償引き取りを使えば、一度まとまった費用を払う代わりに、将来の維持費の流出、損害賠償リスク、次世代への「負の遺産」の押し付けをすべて断ち切れます。

「今後かかる総コスト」と「今支払う処分費用」を比較し、お金を払ってでも手放す前向きな決断も重要です。

自治体や第三者への寄付・相続土地国庫帰属制度を利用する

買い手も引き取り手も見つからない空き家の場合、自治体や個人への寄付、あるいは「相続土地国庫帰属制度」で国に返す方法もありますが、いずれもハードルが高く最終手段と考えるべきです。

自治体は公共利用の予定がない土地の寄付を断るケースが多く、個人への寄付はもらった側に贈与税がかかる点に注意が必要です。

また、相続土地国庫帰属制度は不要な土地を国に引き取ってもらえる制度ですが、要件は厳格です。

建物がある土地は対象外のため自費での解体が必須であり、境界の確定や担保権がないこと等の条件を満たす必要があります。

さらに審査手数料に加え、原則10年分の管理費相当の負担金(20万円~)もかかります。多額の持ち出しになるため、まずは買取や有償引き取りを優先して検討しましょう。

相続した空き家はどんな状態?状況別に最適な選択肢を紹介

一口に空き家といっても、その状態によって最適な手放し方はまったく違います。

築浅で立地のよい空き家なら一般市場でも売れますが、老朽化や瑕疵がある場合は一般の不動産会社に持ち込んでも「売れません」と断られたり、長期間放置されたりしがちです。

こうした売りにくい空き家ほど、放置するほど負担が増えるため、現実的な出口を早めに見極める必要があります。

ここでは、扱いに困りやすい8つのタイプ別に、なぜ売りにくいのか、どう手放せばよいのかを解説します。

共通して言えるのは、一般市場で値が付かなくても、訳あり物件を専門に扱う買取業者なら現金化の道が残るということです。

自分の空き家がどのタイプに近いかを確認しながら読んでください。

老朽化が進んで一般売却が難しい空き家

雨漏りやシロアリ被害、傾きなどがある老朽化した空き家は、一般の仲介市場では買い手がつきにくいのが現実です。

そのため、費用をかけず買取業者に「現状のまま」買い取ってもらうのが得策です。

リフォームをしてから売るにしても数百万円の費用がかかり、立地が悪ければ費用を回収できません。

また、解体して更地で売る場合も、木造で坪5万~7万円程度の解体費がかかるうえ、更地にすると固定資産税が上がってしまいます。

手を加えるほど回収できないリスクが高まるため、まずは不動産会社に「現状」「リフォーム後」「解体後」の想定価格を聞いて比較しましょう

費用を回収できないと判断した場合は、何もせずに現状のまま買取に出すのが最も損を少なくする賢明な判断です。

買い手が付きにくい地方・過疎地の空き家

地方や過疎地の空き家は、住宅需要そのものが低く、地元の不動産会社に仲介を依頼しても問い合わせすら入らず、長期にわたり売れ残るケースが珍しくありません。

売れない間も固定資産税や維持管理の負担はかかり続けてしまうので、まずは地元の不動産会社に「売れる見込みと想定価格」を確認し、需要の有無を見極めましょう。

需要がほとんどなく仲介で動かない場合は、価格にこだわって持ち続けるほど維持コストの赤字が膨らみます。

このような場合は、全国対応の空き家専門の買取業者へ早めに相談するのが現実的です。

都市部の業者が扱わない過疎地の物件であっても、全国の需要とマッチングさせるノウハウを持つ専門業者なら引き取れる可能性があります。

相場がつかない地域でも早期に手放して現金化する道が残されているので、手放すことを決断したら、専門の買取業者に相談しましょう。

共有名義で意見がまとまらない空き家

複数の相続人で共有名義にした空き家は、物件全体を売却・解体する際に「共有者全員の同意」が必要です。

一人でも反対したり連絡が取れなかったりすると、手続きは完全にストップしてしまいます。

解決の前提として、誰かが他の持分を買い取り単独名義にするか、全員で売却して代金を分けるのが理想です。

しかし、話し合いがこじれている場合は、「自分の共有持分のみ」を専門の買取業者へ売却する方法が有効です。

共有持分のみの売却であれば、他の共有者の同意や関与は一切不要なため、面倒な権利関係から合法的に離脱し、自分の持分だけを即座に現金化できます。

物件全体は動かせなくても、親族間の泥沼のトラブルから抜け出し、自分だけ保有コストや管理責任の負担を止められるのは大きなメリットです。

再建築不可で売却方法が限られる空き家

今の建物を取り壊すと二度と家を建てられない「再建築不可物件」は、一般市場では極めて売れにくい物件です。

主な理由は、幅員4m以上の道路に敷地が2m以上接していないなどの「接道義務違反」です。

建て替えができない家には金融機関の住宅ローンが通らず現金一括で購入できる人にしか売れないため、価格は相場の3割程度まで落ち込むこともあります。

隣地所有者へ売却して接道義務を満たす方法もありますが、交渉のハードルは高いのが現実です。

また、更地にしても家が建たないただの空き地になるため、かえって使い道が狭まります。

そのため、古家を残したまま、再建築不可物件を専門に扱う買取業者に引き取ってもらうのが現実的です。

専門業者はリフォームして賃貸に回すなどのノウハウがあるため、現状のままでも手放すことができます。

借地権・底地が絡んでいる空き家

他人の土地に建つ空き家(借地権)や、人に貸している土地(底地)は、土地と建物の所有者が異なるため権利関係が複雑で、自分の一存では売却できません。

借地権付きの空き家を第三者へ売るには、原則として地主の承諾が必要であり、その際に借地権価格の1割程度という高額な「譲渡承諾料」を求められることが一般的です。

一方、底地を相続した場合も、借地人がいるため自分で使えず、一般市場では安値になりがちです。

当事者間で権利を買い取り合い、完全な所有権にまとめられれば高く売れますが、地主や借地人との交渉は感情的な対立も多く簡単ではありません。

交渉が難しい場合は、借地・底地問題に強い専門の買取業者に直接買い取ってもらうのが近道です。プロが直接交渉を引き継ぐため、面倒な権利調整なしで手放すことができます。

残置物が大量に残っている空き家

長年住んだ実家には家財や生活用品が大量に残っていることが多く、撤去の手間と費用が大きな負担になります。

自分で撤去する場合、居住直後レベルの量で40万~70万円程度、ゴミ屋敷レベルでトラック10台規模になると100万~300万円程度の高額な費用がかかることもあります。

仲介で売る場合は、内覧のために自腹でこの片付けを済ませておく必要があります。

しかし、片付け費用をかけても売却価格がそれに比例して高く売れるとは限りません。

費用対効果が見合わない場合や、遠方で自力での片付けが難しい場合は、残置物を片付けず「そのままの状態」で買い取ってくれる専門業者に依頼するのが合理的です。

業者側で処分を行うため、事前の費用持ち出しや面倒な片付け作業なしで、そのまま現金化して手放すことができます。

遠方にあって管理ができない空き家

遠方にある空き家は、物理的に通えず管理が行き届かないため、急速に老朽化が進み、「特定空家」に指定されて固定資産税が最大6倍になるリスクが最も高いタイプです。

当面の対策として、月数千円~1万円程度で定期的な見回り・換気・庭の手入れを代行してくれる空き家管理サービスを利用する方法があります。

これで放置による劣化やトラブルはある程度防げますが、毎月の費用がかかり続けるうえ、将来使う予定がないのであれば根本的な解決にはなりません。

使う見込みがないなら、管理サービスで劣化を抑えつつ、早急に売却して手放すのが最も負担を小さく抑えられます。

遠方の空き家は売却のために何度も現地へ通うのが負担ですが、専門の買取業者であれば、現地調査から契約まで業者が主導し、最小限の来訪で手続きを進められるため相性が良いです。

事故物件になってしまった空き家

孤独死や自殺などがあった「事故物件」は、心理的な抵抗から一般の買い手がつきにくく価格も大きく下がるため、専門の買取業者への売却が現実的です。

国交省のガイドラインでは、自然死や不慮の事故死は原則として告知不要とされています。

しかし、これは主に賃貸の目安であり、売買では孤独死や自殺の事実は告知が必要になるケースが多いと考えておくべきです。

事実を隠して売ると損害賠償を求められるおそれがあるため、正直に開示するのが前提です。

価格下落の目安として、病死・孤独死では都内で約1割減、地方で3~5割減、自殺では都内で1.5~2割減、地方で5割減と、地方ほど下落幅が大きくなります。

仲介では売れ残るリスクが高いため、専門ノウハウを持つ業者に相談し、周囲に知られず確実に現金化する道を選びましょう。

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空き家の相続をした後にやるべき3つの手続きとは?

活用・売却・処分の方向性が決まったら、それを実行するために必要な手続きを押さえます。

ここでつまずくと、売ることも貸すこともできないまま時間だけが過ぎてしまうためです。

やるべきことは大きく、誰が相続するかを決める「遺産分割協議」、名義を変える「相続登記」、そして期限に間に合わないときの応急処置である「相続人申告登記」の3つです。

ここでは、それぞれの手続きについて、詳しく解説していきます。

遺産分割協議を行い「単独名義」で相続する

遺言書がない場合、相続人全員で誰が空き家を相続するかを決める「遺産分割協議」を行います。

ここで強く推奨するのが、空き家を複数人の「共有名義」にせず、一人の「単独名義」にすることです。

共有名義は公平に見えますが、将来の売却や解体の際に共有者全員の同意が必要となり、一人でも反対したり認知症になったりすると完全に身動きが取れなくなります。

また、共有者の死亡で持分がさらに細分化し、関係者が雪だるま式に増えるリスクもあります。

トラブルを避けるため、空き家は住む人や管理できる人が単独で相続するのが鉄則です。

他の相続人には現金で調整する(代償分割)、あるいは売却して代金を分ける(換価分割)方法をとることで、後々の「負動産化」を防ぐことができます。

義務化された「相続登記」を3年以内に済ませる

誰が空き家を相続するか決まったら、その人の名義に変更する「相続登記」を行います。

2024年4月から相続登記は義務化され、不動産の取得を知った日から3年以内に申請しないと、10万円以下の過料の対象となるおそれがあります。

そのため、「売るときに登記すればいい」と考えるのは間違いです。

亡くなった方の名義のままでは、買主への所有権移転登記も担保設定も一切進められず、売りたいときにすぐ動けません。登記は不動産を管轄する法務局へ申請します。

被相続人から相続人までの戸籍謄本、住民票、固定資産評価証明書、遺産分割協議書などの書類と、登録免許税が必要です。

書類収集が煩雑な場合は、司法書士に依頼することで確実かつスムーズに進められます。

遺産分割が間に合わない場合は「相続人申告登記」を利用する

遺産分割の話し合いが難航し、3年の期限に間に合いそうにない場合の応急処置として「相続人申告登記」があります。

自分が相続人であることを法務局に申し出ることで、ひとまず相続登記の義務を果たしたとみなされ、過料を回避できる制度です。

通常の相続登記より必要書類が少なく、遺産分割が長引く際の時間稼ぎとして有効です。

しかし、これはあくまで暫定的な対応であり、空き家の名義が完全に変わったわけではありません。

そのため、実際に空き家を売却する際には、遺産分割協議を成立させて正式な相続登記を済ませる必要があります。

話し合いが長引きそうなら、まずはこの申告で過料リスクを防ぎつつ、並行して遺産分割をまとめ、最終的な正式登記まで完了させることを目指しましょう。

空き家の相続をした際にかかる税金や利用するべき特例

空き家を相続すると、相続税や、売却時には譲渡所得税がかかる可能性があります。

一方で、税負担を大きく軽くする特例も用意されており、使えるかどうかで納税額が数百万円単位で変わることもあります。

特に空き家の売却では、要件を満たせば売却益から最大3,000万円を控除できる強力な特例があるため、知らずに売ると損をしかねません。

ここでは、相続税の基本と、空き家の3,000万円特別控除・取得費加算の特例・小規模宅地等の特例という3つの節税制度を、それぞれ使える条件とあわせて解説します。

遺産総額が基礎控除を超えると「相続税」がかかる

相続税はすべての相続にかかるわけではなく、遺産の総額が「基礎控除額」を超えた場合にのみ課税されます。

超えなければ申告も納税も不要です。基礎控除額は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算します。

例えば、相続人が配偶者と子2人の計3人なら、4,800万円が基礎控除額のラインです。

空き家の評価額(土地・建物)に預貯金や有価証券などのプラスの財産をすべて足し、そこから負債や葬儀費用を引いた金額が、この基礎控除額を超えるかどうかが判断の出発点となります。

超える場合は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に申告・納税が必要です。

なお、小規模宅地等の特例などを適用すると、結果的に税額がゼロになるケースもあります。

ただし、特例を利用して税額をゼロにするためには期限内の「申告」が必須となるため、基礎控除を超えそうな場合は、早めに税理士へ相談して適用可否を確認しましょう。

空き家の3,000万円特別控除で譲渡所得税の負担を抑える

相続した空き家を売却して利益が出た場合、一定の要件を満たせば、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります。

これが適用されると譲渡所得税がゼロになるケースも多く、非常に有利な制度です。

対象となるのは、主に昭和56年5月31日以前に建てられた旧耐震基準の戸建てで、相続開始直前まで亡くなった方が一人暮らしをしていた空き家です。

令和6年の税制改正により、従来は売主が耐震改修や解体を行う必要がありましたが、「売却した翌年2月15日まで」に買主側で工事を行った場合でも特例が適用できるよう緩和されました

ただし、相続人が3人以上いる場合は控除上限が1人あたり2,000万円に縮小されるなど、要件が細かいため、適用の可否は税理士に確認しながら進めましょう。

取得費加算の特例で譲渡所得税を軽減する

取得費加算の特例は、相続税を納めた人が空き家を売却する際に使える制度です。

支払った相続税の一部を売却時の経費(取得費)に加算でき、その分だけ売却益が圧縮されて譲渡所得税が軽くなります。

適用には、相続税の申告期限の翌日から3年以内(相続開始から約3年10か月以内)に売却するという期限が設けられています。

ここで重要なのは、前述の「空き家の3,000万円特別控除」とこの特例は併用できないという点です。

一般的には控除額の大きい3,000万円特別控除が有利なケースが多いですが、相続税を多く納めた人や売却益が非常に大きい場合は、取得費加算の方が有利になることもあります。

判断を誤ると手残りの金額が大きく変わるため、必ず税理士を交えてシミュレーションを行いましょう。

小規模宅地等の特例で相続税評価額を下げる

小規模宅地等の特例は、亡くなった方の自宅敷地を相続する際、一定の要件を満たすと土地の相続税評価額を最大80%(330㎡まで)減額できる節税効果の高い制度です。

基礎控除を超えて相続税がかかりそうな場合、この特例が使えるかどうかで税額が大きく変わります。

空き家の相続で特に知っておきたいのが「家なき子特例」です。

これは、亡くなった方と別居していた親族でも、過去3年間に自分や配偶者の持ち家に住んでいないなどの要件を満たせば特例を適用できるというものです。

賃貸暮らしで実家を相続する子どもなどが該当し、同居していなくても大きな節税につながります。

ただし、申告期限まで土地を保有し続けるなどの細かい要件があり、相続後すぐに売却する場合は適用できないおそれがあるため、必ず税理士へ確認してください。

空き家の相続に関して覚えておくべき2つの注意点は?

空き家の相続では、「いらないから相続放棄すればいい」と安易に考えると、思わぬ落とし穴にはまることがあります。

相続放棄には、空き家だけを選んで手放せないという制約と、放棄しても管理義務が残る場合があるという盲点があるためです。

ここでは、相続放棄をめぐる2つの注意点を解説します。放棄を検討している人は、手続きを進める前に必ず確認しておいてください。

空き家だけを相続放棄することはできない

「いらない空き家は放棄したいが、預貯金は相続したい」という部分的な相続放棄はできません。

相続放棄は、プラスの財産もマイナスの財産も含めたすべての遺産を手放す手続きだからです。

そのため、相続放棄を検討するなら、まず財産の全体像を正確に把握することが欠かせません。

空き家の処分にかかるマイナス費用と、預貯金などのプラスの財産をすべて洗い出し、どちらが得かを比較します。

めぼしい財産がなく空き家の負担だけが大きいなら放棄が合理的ですが、預貯金が多い場合は慎重な判断が必要です。

また、相続放棄は原則として、相続開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所へ申し立てる必要があります。

期間内に調査を終えて決断しなければならないため、迷った場合は早めに弁護士や司法書士へ相談しましょう。

相続放棄をしても空き家の管理義務が残る場合がある

「相続放棄をすれば空き家と完全に無関係になれる」と考えるのは危険です。

放棄した後も、一定の場合には空き家の管理義務が残る可能性があるためです。

相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。

民法940条

たとえば、亡くなった親と同居していた家を相続放棄した場合などは、次の管理者に引き渡すまで放置するわけにはいきません。

この間に空き家が原因で近隣に損害を与えれば、責任を問われる可能性もあります。

相続放棄は「手放せば終わり」ではないため、引き渡しまでの管理も含めて専門家に相談しておくと安心です。

まとめ|空き家を相続したら早めに方針を決めよう

空き家の相続で最も避けたいのは、判断を先送りして放置してしまうことです。

放置すれば建物の価値は下がり続け、特定空家に指定されれば固定資産税が最大約6倍に急増し、倒壊などで近隣に損害を与えれば賠償リスクも負います。

空き家は持っているだけで負担が膨らむ資産です。まずは、義務化された相続登記を3年以内に済ませて名義を整えましょう。

そのうえで、使う予定がないなら早めに売却へ動くのが基本です。

老朽化や訳ありで一般市場で売りにくい空き家でも、専門業者による買取なら確実に手放せます。処分費の方が上回る「マイナス案件」でも、有償引き取りという出口があります。

大切なのは、出口の見えない負担を「負の遺産」として次世代に残さないことです。一人で抱え込まず、早めに専門家へ相談して現実的な手放し方を見つけましょう。

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