「相続した実家でシロアリ被害が見つかった」「点検業者に高額な駆除・修繕を勧められたが、この状態で売れるのか不安」。そんな悩みを抱えていませんか。
結論からお伝えすると、シロアリ被害のある家でも売却は可能です。
ただし、シロアリ被害や過去の工事を買主に伝え、引き渡す状態と責任の範囲を契約で決める必要があります。
また「駆除してから売るべきか」で迷っている方も多いのですが、買主と条件が合えば、駆除や解体をせず現状のまま売却する方法もあります。
地方や築古の家で工事費を回収できそうにない場合や、遠方の空き家へ片付けに通えない場合は、先に現状の査定額と費用負担を確かめましょう。
- シロアリ被害のある家が売れる条件と、価格への影響
- 駆除・修繕・解体・古家付き土地・買取の選び方
- 工事費をかける場合とかけない場合の手取りの比べ方
- シロアリ被害の告知、免責特約、税金で確認すること
シロアリ被害のある家は売却できるのか
住むために家を探す買主だけでなく、家を直して活用したい人や、建て替え用の土地を探す買主も候補になります。
ただし物理的な欠陥として敬遠されやすく、通常の家より売却に時間がかかり、修繕費を見込んだ値引き交渉で価格も下がりやすい傾向があります。
売りやすさは、被害の程度と立地の需要によって大きく変わります。
シロアリ被害のある家も売却は可能
シロアリ被害を理解し、価格と引き渡し条件に合意する買主が見つかれば取引は可能です。
駆除・修繕した家を住宅として売却するほか、古家付き土地として売却する方法や、専門の買取会社への売却があります。
大切なのは「売れる/売れない」で考えるのではなく、「どの方法なら、自分の家と状況に合うか」を選ぶことです。
通常の家より時間がかかり価格も下がりやすい
一方で、被害のある家は、一般的な中古住宅より売却に時間がかかることがあります。
買い手は「購入後にどれだけ修繕費がかかるか読めない」と考え、その分を差し引いた金額を提示してくるためです。
ここで正直にお伝えすべきなのは、「値引きすれば必ず売れる」とは限らない点です。
土地の需要が高いエリアなら、家の傷みがあっても売却先の候補が見つかる可能性があります。
ただし、都市部の家なら値引きが小幅で済むとまではいえません。
しかし地方や郊外で買い手が少ないエリアでは、価格を下げても長期間売れ残ったり、そもそも買い手が現れなかったりすることもあります。
売りやすさは被害の程度と立地の需要で変わる
被害のある家の売却価格の下がり幅に、一律の相場はありません。
修繕に必要な費用だけでなく、周辺で家や土地を探す人がどれだけいるかによっても、見込める売却価格は変わります。
たとえば表面的な被害で駆除・修繕が容易な場合と、土台や柱まで食害が進んで構造補強が必要な場合とでは、買い手が見込む修繕費がまったく違います。
さらに同じ被害でも、需要の高い都市部と、需要の乏しい地方とでは、値引きの受け止められ方が変わります。
| 立地の需要 | シロアリ被害が軽微 | シロアリ被害が深刻 |
|---|---|---|
| 需要が高い | 駆除・修繕後の家として検討されやすい | 補修利用と建て替えの両方を検討 |
| 需要が低い | 工事費を価格に反映できるか確認 | 家を直す費用と現状買取を比較 |
自分の修繕見積もりと、周辺の成約事例を踏まえた査定をそろえると、売却前の工事にお金をかけるか判断しやすくなります。
シロアリ被害を放置するほど売却は不利になる
被害が進行している家は、対応を先送りにするほど売却条件が厳しくなりやすくなります。
時間とともに被害が拡大して駆除・修繕費が増え、土台や柱の食害が進めば資産価値が下がり、さらに進行すると倒壊リスクから買い手がいっそう減るためです。
すぐに高額な工事を契約する必要はありませんが、建物の状態の確認と売却の相談は早めに進めましょう。
| 建物の状態 | 想定される負担 | 売却前に確認すること |
|---|---|---|
| 一部に食害の跡 | 調査・駆除・部分補修 | 現在も活動しているか、被害範囲はどこか |
| 土台・柱まで食害 | 駆除に加えて構造の補修 | 家を直す見積もりと現状の査定額 |
| 家の傾きなど安全面に不安 | 大規模補修・解体の検討 | 専門家による安全確認と引き渡し条件 |
被害は時間とともに拡大し駆除・修繕費が膨らむ
床下や壁の内側は見えにくく、外観だけでは食害がどこまで広がっているか分かりません。
早く見つかっても、すでに見えない箇所まで被害が及んでいる場合があります。
過去の食害の跡なのか、現在も活動が続いているのかを、駆除業者に調べてもらいましょう。
「今すぐお金をかけたくない」と現況の確認まで先送りにすると、駆除だけでは済まず、大がかりな修繕が必要になることがあります。
結果として、売却時に差し引かれる修繕費相当額も大きくなってしまいます。
土台や柱が食害されると建物の資産価値が下がる
家の土台や柱が食害を受けると、建物を支える力が損なわれるおそれがあります。
買い手やその住宅ローンを審査する金融機関は、構造の安全性を重視するためです。
木造の家では、補修の規模によっては建物の評価額より工事費が大きくなることもあります。
家を直して売却する方法に加え、土地として売却する方法や現状買取も比較したい状態です。
進行すると倒壊リスクが高まり買い手がさらに減る
食害がさらに進むと、建物の強度が著しく低下し、地震などの際に倒壊するリスクが高まります。
倒壊のおそれがある家は、買い手にとって「購入後にすぐ解体や大規模補修が必要な物件」となり、敬遠される度合いが強まります。
家の倒壊や外壁の落下で近隣に損害を与えた場合、建物の設置・保存の瑕疵などを理由に、占有者や所有者が損害賠償責任を負うことがあります。
売りにくくなるだけでなく、放置している間の責任リスクも高まる点に注意が必要です。
また、特定空家等や管理不全空家等について、市区町村から勧告を受けると、その敷地は住宅用地の特例の対象から外れます。
家に傾きや床の沈みがあるときは、自分で床下に入らず、調査担当者に状態を伝えてください。
出典:国土交通省「空家法」と「2023改正空家法」
出典:e-Gov法令検索「民法第717条」
早めに対応すれば費用や心理的な負担を抑えやすい
家の売却を早めに相談すると、工事をするか、現状のまま買主を探すかを、資金や期限に合わせて検討できます。
家の傷みが軽いうちなら、必要な補修を小さく抑えられる可能性もあります。
また、「いつか対処しなければ」「近隣に迷惑をかけていないか」といった不安を抱えたまま何年も過ごす負担から解放されることも、見逃せない利点です。
とくに遠方に住んでいて管理に通えない方にとっては、早く手放すこと自体が大きな安心につながります。
シロアリ被害を隠して売ると契約不適合責任を問われる
シロアリ被害は、買主に伝えるべき告知義務の対象です。
被害を知りながら隠して売ると、売主は契約不適合責任を問われ、損害賠償や契約解除を求められるおそれがあります。
トラブルを避けるためにも、被害は正直に開示するのが原則です。
買取で免責特約に合意する場合も、知っている家の不具合は伝える必要があります。
シロアリ被害は物理的な瑕疵で告知義務がある
売主は、家で把握している食害や雨漏り、過去の駆除・修繕について、買主が購入を判断できるよう具体的に伝えましょう。
建物の性能に関わる欠陥は「物理的な瑕疵(かし)」と呼ばれ、被害の履歴も契約条件を決める際の重要な情報になります。
まず売主が物件状況報告書などにシロアリ被害や工事の履歴を記載し、写真・施工報告書とともに仲介会社へ渡します。
宅地建物取引士が行う重要事項説明と、売主による建物の状態の告知は役割が異なるため、契約書にどの内容を反映するかも確認してください。
「言わなければわからないだろう」と考えて黙っておくのは、後々のトラブルのもとになります。
隠して売ると損害賠償や契約解除を請求されることがある
家の不具合を知りながら告知せずに売却し、引き渡した状態が契約内容に合っていなければ、売主は契約不適合責任を追及されるおそれがあります。
購入後に必要となった工事費をめぐって争いになり、金銭的な負担や契約の解消につながる場合もあります。
注意したいのは、「開示すればすべて安心」というわけでもない点です。
伝え方が不十分だったり、被害の程度について誤解を与えたりすると、「聞いていた話と違う」とトラブルになることがあります。
分かっている被害、未調査の場所、実施した工事を分けて書面に残すことが大切です。
契約不適合責任では買主が4つの請求をできる
契約不適合責任とは、引き渡した家の品質などが、売買契約で合意した内容に適合していない場合に売主が負う責任です。
2020年4月施行の改正民法により、従来の瑕疵担保責任から、契約内容との適合を基準にする仕組みへ改められました。
買主が求められる主な対応は、追完、代金減額、損害賠償、契約解除の4つですが、それぞれ成立する要件が異なります。
| 買主の対応 | 主な内容 | 主な条件・売主への影響 |
|---|---|---|
| 追完請求 | 家の不具合の補修など | 契約に適合する状態への対応 |
| 代金減額請求 | 代金の一部減額 | 原則、相当期間を定めた追完を求め、期間内に対応がない場合など |
| 損害賠償請求 | 生じた損害の賠償 | 売主の帰責事由などが必要 |
| 契約解除 | 売買契約の解消 | 催告の要否や不履行の程度などで判断 |
このように、被害を隠したまま売ると、売却後に大きな負担が跳ね返ってくる可能性があります。
出典:e-Gov法令検索「民法第415条・第541条~第543条・第562条~第564条」
買取なら契約不適合責任を免責にして売れる場合がある
個人が家を売却する場合、仲介か買取かという方法だけで責任の有無が決まるわけではありません。
空き家や訳あり物件を扱う会社への売却では、契約不適合責任の範囲を限定したり、免責にしたりする特約を交渉できる場合があります。
どの不具合について、いつまで責任を負うのか、あるいは負わないのかを、契約書で確かめましょう。
「家の見えない部分まで分からない」「引き渡し後の負担が不安」という場合は、調査範囲と免責の範囲を合わせて相談してください。
免責特約があっても、売主が知りながら告げなかった事実については責任を免れません。
被害の告知を避けるために買取を選ぶことはできません。

シロアリ被害のある家を売却する5つの方法
家を残して売却するか、解体して土地を売却するかに加え、売却先によっても、事前の出費と手間は変わります。
主な選択肢は、駆除、修繕、更地化、古家付き土地、現状買取の5つです。
手間・費用・売却スピードが異なるため、被害の程度と自分の状況に合わせて選びます。
家を直して住みたい買主を探す場合は、工事費を回収できる見込みがあるかを確認しましょう。
| 方法 | 売主の事前工事 | 向いている状況 | 期間を左右すること |
|---|---|---|---|
| 駆除後に売却 | 駆除を実施 | 家の傷みが軽く住宅需要がある | 施工日程と買主探し |
| 修繕後に売却 | 駆除・必要な補修 | 家を直す費用を回収できそう | 工期と買主探し |
| 更地で売却 | 家を解体 | 再建築でき、土地の需要がある | 解体日程と買主探し |
| 古家付き土地で売却 | 現状引き渡しで合意すれば不要 | 家を残して土地として売りたい | 解体費を含む条件交渉 |
| 買取会社へ売却 | 現状買取で合意すれば不要 | 家の管理や工事の手配が難しい | 査定・契約・登記の準備 |
①シロアリを駆除してから売る
シロアリ被害が軽く、周辺に中古住宅の需要がある場合は、駆除をしてから仲介で売却する方法が候補になります。
駆除の施工記録を示せれば、買主が建物の状態を判断しやすくなります。
ただし、駆除だけでは、食害を受けた土台や柱の強度は元に戻りません。
補修の要否、駆除後の点検、保証の範囲や買主への引き継ぎも施工会社に確認しておきましょう。
駆除費の見積もりを取ったら、未施工の家の査定額とも比べてから発注してください。
②被害箇所を修繕してから売る
家の土台や柱などを修繕・補強し、住宅として売却する方法です。
安全に住める状態へ家を直せるか、駆除業者に加えて建築士や施工会社へ相談します。
一方で注意したいのは、修繕費が売却価格の上乗せ分を上回ってしまうと、かえって手取りが減ることです。
地方や築古の家では、工事費をかけても、その金額を売値に反映できない場合があります。
修繕後に見込める家の価格と、現状で売却できる価格との差を確認しましょう。
③建物を解体して更地で売る
修繕に多額の費用がかかり、土地に需要がある場合は、更地にして売却する方法もあります。
買主が解体を手配せずに済む一方、家を取り壊す前には、接道などの条件から再建築できるか確認が必要です。
解体費に加えて、家がなくなると住宅用地の特例が外れ、土地の固定資産税が上がることがあります。
「解体すれば必ず有利」とは限らないため、費用と税負担の両面から検討しましょう。
買取会社が解体を引き受ける契約なら、売主が先に工事を発注する必要はありません。
更地での査定額だけを見て決めず、解体費・税負担を差し引いて比べましょう。
④古家付き土地として現状のまま売る
古家付き土地は、古い家を残した状態で土地として売り出す方法です。
解体を買主が引き受ける条件で合意できれば、売主が解体費を先に用意せずに済みます。
ただし、買主が見込む解体費は、購入価格の交渉に反映されることがあります。
「解体費を出す余裕はないが、土地としてなら売りたい」という場合に現実的な選択肢です。
ただし、建物に価値を付けにくいため、価格は土地値が中心になります。
古家付き土地でも、シロアリ被害の告知は必要です。
家を残すことと、契約不適合責任を負わないことは別なので、引き渡し条件を書面で決めてください。
⑤空き家に強い買取会社にそのまま買い取ってもらう
家の管理や工事の手配を減らし、引き渡し時期を相談したい場合は、空き家を扱う会社への売却が候補です。
現状での買取に合意できれば、家の駆除・修繕・解体を売主が先に行わずに済みます。
買取会社は家の再生や土地の活用を見込んで査定するため、一般の買主が見つからない家でも購入を検討できる場合があります。
ただし、所在地や被害の状態によっては買取の対象にならないこともあります。
修繕などの見込み費用は査定額に反映されるため、買取価格と売主が別に負担する費用を合わせて確認しましょう。

状況別に見るシロアリ被害の家の売り方
売却方法は、シロアリ被害、周辺の需要、工事に使える資金、引き渡したい時期を合わせて考えます。
住み続けられる家で需要もあれば仲介、補修費が大きい家や管理に通えない空き家なら現状買取が候補になります。
被害の場所・発見時期・写真・過去の工事資料をまとめ、未確認の箇所も伝えます。
家を現状で売却する場合の査定と、必要な工事の見積もりを照らし合わせます。
遠方の家なら立ち会いの回数、空き家なら残置物、共有の家なら持分や合意の状況も相談します。
被害が軽微で好立地なら駆除して仲介で売る
被害が軽い家で、駆除・補修の費用を見込んでも周辺の成約価格に届く見通しがあるなら、仲介で一般の買主を探す方法が向いています。
駆除した建物の状態を施工報告書で説明し、必要な修繕の範囲も示せば、買主は購入後の負担を検討しやすくなります。
仲介と買取の両方で、売却価格から費用を引いた金額を比べてください。
売却を急がない場合でも、家の維持費を払いながら待てる期間を決めておくと、売却価格や方法を見直しやすくなります。
相続した遠方の空き家なら現状のまま買取が現実的
相続した実家が遠方にあり、片付けや駆除の手配のために現地へ通うのが難しい――こうしたケースでは、現状のまま買い取ってもらう方法が現実的です。
遠方からでは、複数の駆除業者や解体業者を比較して手配するだけでも大きな負担になります。
買取では、空き家の家具や家電などの残置物も引き受ける契約にできる場合があります。
家の中で残してよい物、処分費の負担者、現地立ち会いや鍵の受け渡し方法を、査定時に確認しましょう。
相続した家の名義や、ほかの相続人との合意も確認が必要です。
工事の手配を減らせても、権利関係の整理まで不要になるわけではありません。
地方や築古で駆除費が建物価値を上回るなら解体か買取
地方や郊外の古い家では、修繕費を家の売却価格に十分反映できない場合があります。
監修者であるアルバリンクの買取実務でも、「駆除・修繕費が建物の価値を上回り、費用をかけて仲介に出しても回収できない」という相談は珍しくありません。
このような家は、更地にする場合と、古家付き土地で売却する場合の手取りを比べましょう。
土地の需要が弱ければ、家を壊しただけで買主が見つかるとは限りません。
駆除ありきで進めず、家を直した場合に増える代金が工事費を上回るかで判断します。
兄弟と共有している家は自分の持分だけでも売れる
相続した実家を兄弟や親族と共有しているケースでは、「全員の合意が得られず売却が進まない」という悩みがつきものです。
登記などで自分の権利が確定している共有持分は、原則として他の共有者の同意なしに売却できます。
ただし、家全体を売却するには原則として共有者全員の合意が必要で、自分の持分を売っても家全体の売却にはなりません。
持分だけを取得する買主は家全体を自由に使えるわけではないため、買主や価格の条件も家全体の売却とは異なります。
共有持分を扱う買取会社に、登記事項証明書や利用状況を示して相談しましょう。

出典:e-Gov法令検索「民法第206条・第249条・第251条」
シロアリ駆除と家の解体にかかる費用の目安
被害のある家を売却するときは、駆除だけで足りるのか、補修や解体まで必要なのかで、用意する金額が変わります。
工事費は、施工する範囲や現地の条件で変わるため、次の目安を参考に個別の見積もりを取りましょう。
| 工事 | 費用目安 | 見積もりでそろえる条件 |
|---|---|---|
| 駆除 | 1坪約5,700円/30坪で約10万~20万円 | 施工面積・工法・保証・税込総額 |
| 修繕 | 数十万~数百万円 | シロアリ被害範囲・補修対象・追加工事 |
| 木造家屋の解体 | 1坪約3万~5万円/30坪で約90万~150万円 | 延床面積・搬出条件・付帯工事 |
工事費の総額と、家の価格をどれだけ上乗せできるかを分けて比べることが大切です。
シロアリ駆除の費用相場は30坪で約10万~20万円が目安
シロアリ駆除を検討する際は、施工面積1坪あたりおよそ5,700円が費用の目安の一つになります。
30坪程度の家では約10万~20万円が目安として挙げられていますが、延床面積と駆除する面積が一致するとは限りません。
1坪5,700円で施工面積30坪なら17万1,000円となる計算です。
階数、床下へ入れるか、工法や被害範囲によって見積額は変わります。
- 家のどの範囲を施工する金額か
- 調査費・追加工事・消費税を含むか
- 点検の回数と保証の範囲、家の買主へ保証を引き継げるか
安さだけで決めず、どの被害に何の処置をするか説明を受けてください。
被害箇所の修繕費は範囲によって数十万~数百万円かかる
食害を受けた家では、駆除とは別に補修・補強の費用がかかる場合があります。
家の床下の一部補修で済む場合は数十万円程度、土台や柱など構造部分に及ぶ場合は数百万円規模になることもあります。
工事中に壁や床の内側で新たな傷みが見つかる場合もあるため、見積もりの対象外となる工事や追加費用の扱いを確認しましょう。
修繕を発注する前に、不動産会社へ「この補修で売却価格をどれだけ変えられそうか」を確認すると、費用をかけ過ぎるのを防ぎやすくなります。
建物の解体費は木造で1坪あたり約3万~5万円が目安
木造家屋の解体費用は、1坪あたり約3万~5万円が目安です。
延床面積30坪程度の木造の家なら、約90万~150万円という計算です。
建物の構造や広さに加え、重機や搬出車両が入れるか、周囲に作業場所があるかによっても費用が変わります。
見積もりでは、家本体の解体と、家財・庭木・塀の撤去などを分け、含まれない作業を確かめてください。
石綿の事前調査や必要な除去など、家の状況に応じた費用も施工会社へ確認しましょう。
駆除して仲介で売る場合と現状のまま買取の損得を比較する
家を直して仲介で売却する場合も、現状のまま買取会社へ売却する場合も、比べるのは最終的な手取りです。
仲介の査定額は成約を保証する金額ではなく、買取の提示額も調査や契約条件によって変わることがあります。
| 比較する項目 | 家を直して仲介 | 家をそのまま買取 |
|---|---|---|
| 事前の工事 | 駆除・修繕を売主が発注 | 現状買取の合意なら不要 |
| 価格 | 工事後の家の需要次第 | 工事・再販費用などを見込む査定 |
| 諸費用 | 仲介手数料・登記・税金等を確認 | 直接取引なら仲介手数料は不要、登記・税金等は別 |
| 期間 | 工事と買主探しに左右される | 会社との契約・決済日程による |
| 責任 | 建物の状態と特約を契約で確認 | 免責の対象・例外を契約で確認 |
手取りの比較では、家の売却価格から、売主が負担する工事費・諸費用・税金・ローン返済額を差し引きます。
同じ家について、仲介会社と買取会社に費用の内訳を出してもらうと、価格だけでは見えなかった差が分かります。
解体費が査定額に織り込まれているのか、決済時に別途差し引かれるのかも確認し、二重に引かないようにしましょう。
買取なら駆除や解体の事前負担を抑えて手放せる
現状買取なら、売却前の工事費を先に用意せずに済む場合があります。
ただし、工事の先払いが不要でも、家の売却にかかる費用がすべてゼロになるわけではありません。
解体や残置物の処分を買取会社が引き受ける場合は、その範囲と追加請求の有無を契約書に残しましょう。
登記費用や税金、住宅ローンの残債は別に確認が必要です。
売却代金から支払える費用と、売主が先に用意する費用を分け、自己資金の持ち出しがあるかを確かめてください。
シロアリ被害のある家を売却するときにかかる税金
家の売却では、売買代金がそのまま手元に残るわけではありません。
一方、被害の駆除・修繕は、利用状況などの要件を満たせば、雑損控除の対象になる場合があります。
あわせて、売却益が出れば譲渡所得税がかかり、更地にすると固定資産税が上がることがあります。
| 税金・控除 | 関係する場面 | 売主が確認すること |
|---|---|---|
| 雑損控除 | 生活に通常必要な資産への被害 | 利用実態・対象支出・保険金 |
| 譲渡所得への課税 | 家や土地の売却で利益が出た | 取得費・譲渡費用・所有期間 |
| 固定資産税 | 家を解体して土地を保有 | 1月1日の状態・住宅用地の特例 |
| 相続空き家の特別控除 | 相続した家や敷地の売却 | 建築時期・利用履歴・期限・相続人の数 |
シロアリ被害は雑損控除の対象になる場合がある
雑損控除とは、災害・盗難などで資産に損害を受けた場合に、一定額を所得から差し引ける所得控除です。
国税庁は、シロアリによる被害の修繕と駆除の費用を、雑損控除の対象となる支出として示しています。
ただし、対象になるのは生活に通常必要な資産などで、相続した空き家であればどの家でも使えるという制度ではありません。
所有者などの要件や利用実態を確認し、対象となる損失・支出から保険金などで補われる金額を差し引いて控除額を計算します。
被害を防ぐための予防費用は、駆除と同時に支払っても雑損控除の対象外です。
確定申告で雑損控除を受けるには、駆除・修繕にかかった費用の領収書や、被害・作業の内容がわかる書類が必要です。
駆除・修繕と予防を分けた明細を受け取り、税務署や税理士に確認しましょう。
出典:国税庁「シロアリの駆除費用」
出典:国税庁「No.1110雑損控除」
売却で利益が出ると譲渡所得税がかかる
家や土地の売却で譲渡所得が生じると、特例が適用される場合などを除き、所得税・住民税等がかかります。
税金は売却代金の全額ではなく、取得費・譲渡費用などを差し引いた利益に対して計算します。
譲渡所得は「売却価格-(取得費+譲渡費用)」が基本で、特別控除があればさらに差し引きます。
建物の取得費は購入代金のままではなく、減価償却費相当額を差し引くため、購入時より安く売れた家でも課税される場合があります。
取得費が不明な場合などは売却価格の5%を概算取得費にできるため、まず家を買ったときの契約書や領収書を探してください。
一般の税率は、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下なら39.63%、5年超なら20.315%です。
いずれも所得税・住民税と復興特別所得税を合計した税率で、適用できる特例によって計算は変わります。
相続した家の取得時期と取得費は、原則として亡くなった方から引き継ぎます。
たとえば、売却価格1,000万円、減価償却を反映した取得費600万円、譲渡費用100万円の家なら、譲渡所得は300万円です。
所有期間5年超で特別控除などを使わない仮定では、300万円×20.315%=60万9,450円で、約61万円が税額の目安になります。
出典:国税庁「No.3211短期譲渡所得の税額の計算」/国税庁「No.3208長期譲渡所得の税額の計算」
出典:国税庁「No.3270相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期」
解体して更地にすると固定資産税が上がることがある
住宅用地のうち、住宅1戸につき200㎡までの小規模住宅用地は、固定資産税の課税標準が価格の6分の1となります。
家を解体し、1月1日時点で住宅用地に当たらなくなると、原則として特例が外れます。
ただし、土地の税額がそのまま6倍になるわけではありません。
たとえば、土地の固定資産税が年6万円であっても、負担調整措置などがあるため、家を壊した後に何万円になるかは個別の確認が必要です。
「更地にすれば売りやすい」と考えて先に解体すると、売れるまでの間に高くなった固定資産税を負担し続けることになりかねません。
家の売却の見通しと解体時期をそろえ、市区町村の資産税担当窓口などで翌年度の見込み額を確認しましょう。
古家付き土地で家を残しても、住宅用地としての要件を満たさなければ特例を維持できません。
特定空家等・管理不全空家等への勧告による除外にも注意してください。
相続した家の売却に使える特別控除もある
相続した空き家やその敷地を売却し、一定の要件を満たせば、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります。
2024年以後の譲渡で、対象の家屋と敷地等を取得した相続人が3人以上の場合は、控除上限が2,000万円となります。
- 家屋が1981年5月31日以前に建築され、区分所有建物ではないこと
- 原則、相続直前に亡くなった方だけが住んでいた家であること(老人ホーム入所等の例外あり)
- 相続後の家屋・敷地を事業・貸付け・居住に使っていないことなど
- 相続開始から3年経過日の属する年末まで、かつ2027年12月31日までに売却すること
- 売却代金が1億円以下で、家屋の耐震基準または全部取り壊し等の要件を満たすこと
2024年以後の譲渡では、家を売却した翌年2月15日までに耐震基準への適合や全部取り壊しを行う方法も認められています。
買主が工事する場合は、期限までの実施と証明書類の受け渡しを契約前に相談してください。
適用条件がそろっても自動的に控除されるわけではなく、必要書類を添えた確定申告が必要です。
上の項目だけで適用は確定しません。
取得した経緯や買主との関係、他の特例との併用なども、税務署や税理士へ確認してください。

出典:国税庁「No.3306被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
シロアリ被害のある家をスムーズに売却するための注意点
家の売却を進めるときは、工事の記録、調査で分かった範囲、契約条件の3つをそろえましょう。
「問題のない家」と説明するのではなく、分かったことと分からないことを区別すると、買主との認識の食い違いを減らせます。
駆除や修繕の履歴は書面で残して買主に開示する
シロアリの駆除や修繕をした場合は、施工報告書・領収書・保証書を保管し、買主に開示しましょう。
いつ、どこを、どう処理したかを写真や図面で示すと、買主が購入後の対応を判断しやすくなります。
- シロアリ被害を見つけた日と場所、当時の写真
- 施工日・施工範囲・未施工の場所
- 保証期限と対象、家の所有者が変わる場合の扱い
口頭だけでなく書面で残すことが、後々の契約不適合トラブルを防ぐことにつながります。
インスペクションと専門調査で家の状態を確認する
インスペクション(建物状況調査)は、建物の構造耐力上主要な部分などの劣化・不具合を、目視等で調べるものです。
ただし、通常の調査だけで隠れた食害や構造への影響をすべて把握できるわけではありません。
被害が疑われる家では、駆除業者による床下などの専門調査を組み合わせ、必要なら建築士へ補修や耐震診断を相談します。
調査報告書は、確認できた場所と、入れずに確認できなかった場所の両方を買主へ示してください。
出典:国土交通省掲載資料「インスペクションの実施・シロアリ点検を実施」
シロアリ被害に強い信頼できる一社に相談する
被害のある家の売却では、建物の状態だけでなく、修繕の見込み費用や土地の使い道まで考えられる相談先が必要です。
査定額の根拠と、売主が負担する費用を具体的に説明する会社かを確かめましょう。
「家を直して仲介で売却する場合」と「現状のまま買取会社へ売却する場合」の両方を検討し、自分の事情に合う方法を提案してくれる相手が頼りになります。
高い査定額が出たときは、調査が済んだ確定条件なのか、今後の確認を前提にした金額なのかを聞いてください。
後からシロアリ被害が分かると減額交渉になる場合もあるため、減額の条件と判断時期を先に確かめておきましょう。
- 所在地・築年数・広さと登記事項証明書
- シロアリ被害の写真、駆除・修繕の記録や見積もり
- 空き家の残置物、共有者の合意、希望する引き渡し時期
説明に納得できる一社を相談先に選び、家を直すかどうかは査定と費用の内訳がそろってから決めてください。
シロアリ被害のある家に関してよくある質問
- シロアリ被害のある家は隠して売れますか?
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被害を知りながら隠して売却すると、契約不適合責任を問われるおそれがあります。
把握している不具合は物件状況報告書などで正確に伝えてください。
買取で免責特約を設けても、知っていて告げなかった事実については免責されません。
- シロアリ被害があると家はいくら安くなりますか?
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シロアリ被害範囲や立地の需要、必要な工事によって異なり、一律に何割安くなるとはいえません。
都市部の家でも補修費が大きければ価格に影響し、地方の家では値引きしても買主が見つからない場合があります。
- シロアリを駆除しないと家は売れませんか?
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駆除は売却の必須条件ではありません。
シロアリ被害を告知し、古家付き土地や現状買取で合意できれば、駆除や解体をせず引き渡せます。
ただし、工事費を先払いしなくてよいことと、売主の諸費用がゼロであることは別です。
- 相続した遠方の空き家にシロアリ被害があっても売れますか?
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買主と条件が合えば売却できます。
空き家の家財が残っていても引き受ける買取会社へ、片付けや現地立ち会いの条件を相談しましょう。
相続した家の名義を確認し、要件を満たす場合は最大3,000万円の特別控除も検討できます。
対象家屋・敷地等を取得した相続人が3人以上の場合の上限は2,000万円です。
- シロアリ被害の家は仲介と買取どちらがよいですか?
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被害が軽い家で、工事費をかけても手取りが増えそうなら、仲介が候補です。
シロアリ被害が大きい、遠方で管理が難しい、事前工事の負担を抑えたい場合は、現状買取も比べましょう。
売却価格に加え、工事費・諸費用・引き渡し時期・免責の範囲で判断してください。
まとめ|シロアリ被害のある家は駆除しなくても手放せる
シロアリ被害のある家でも、状態と条件を理解する買主が見つかれば売却できます。
大切なのは、被害を隠さず正直に開示すること、そして「駆除してから売却する」「現状のまま売却する」を含む複数の選択肢から、自分の家と状況に合った売り方を選ぶことです。
地方や築古の家で修繕費を回収できそうにない場合や、相続した遠方の空き家を管理できない場合は、家をそのまま売却する選択肢もあります。
現状買取なら、家の駆除・解体や残置物の処分を買主が引き受ける場合がありますが、費用負担と免責特約の範囲は契約ごとに確認が必要です。
「駆除にお金をかけるべきか」で迷ったら、写真や工事の記録をそろえ、まず現状の査定と売却条件を相談してみてください。
家を直す見積もりと、売却代金から差し引く費用を比較すれば、自分に合う売却方法を選びやすくなります。



