狭小地が売れない5つの理由は?売却して手放す方法をわかりやすく解説

「不動産会社に持ち込んだら、やんわり断られた」「査定額が思っていた半分以下だった」「売りに出しても内覧の申し込みすら入らない」。狭小地や狭小住宅を手放そうとして、こんな壁にぶつかっていませんか。

結論からお伝えすると、狭小地でも、買い手と売り方を見直すことで売却できる可能性があります。

売れないあいだも固定資産税や管理の手間は毎年のしかかり、気持ちだけが焦っていくものです。

建てられる家に制約があるのか、価格が合わないのか、それとも買い手の探し方なのか。売れない理由を整理すると、自分の土地に合った売却方法が見えてきます。

この記事では、狭小地が売れない理由、状況別の売り方、買取価格、放置したときのリスクを解説します。まずは、今の状況に近い売り方から確認してみてください。

自分の状況から、売り方を探す

古家付き土地は、仲介や買取と組み合わせられます。
どの方法も成約を保証するものではないため、価格・期間・条件の比較表と合わせて確認してください。

この記事の監修者

株式会社AlbaLink(アルバリンク)

空き家や共有持分、再建築不可物件、事故物件、ゴミ屋敷など、売れにくい不動産の買取を専門とする不動産会社。

豊富な実務知見をもとに、当記事の監修・作成協力を行っています。

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目次

狭小地とは一般的に15~20坪以下の小さな土地を指す

狭小地とは、法律上の明確な定義はないものの、一般に15~20坪(約50~66平方メートル)以下の面積の小さな土地を指します。

小さく分割された土地のほか、三角形や細長い形の土地もあります。ただし、旗竿地のような形状の特徴と、面積の小ささは別のものです。

まずは自分の土地が狭小地に当たるのか、面積と形状から確認しておきましょう。

狭小地に法律上の明確な定義はなく15~20坪が目安

「何坪以下が狭小地」という法律上の基準はありません。不動産の現場では、住宅を建てるにはやや手狭に感じる15~20坪以下の土地を、慣習的に狭小地と呼んでいます。

20坪でも都市部では十分に住宅が建つ一方、地方では50坪でも「狭い」と受け取られることがあり、広さの感覚はエリアによって変わります。

大切なのは坪数そのものより、「その広さと形で、買い手が希望する建物を無理なく建てられるか」という視点です。同じ15坪でも、正方形に近い整った土地と、細長い土地や旗竿地とでは、売りやすさが大きく変わります。

狭小住宅とは狭小地に建つ3階建てなどの住宅のこと

狭小住宅とは、狭小地に建てられた住宅を指します。限られた敷地を活かすため、上へ空間を広げる3階建てや、地下室・スキップフロアを取り入れた設計が多いのが特徴です。

都市部の駅近では、あえて狭小住宅を選ぶ人も一定数います。一方で、間取りが特殊になりやすく、階段の上り下りが増えるなど、住み手を選ぶ面もあります。

売却の際は「狭小地(土地)」として売るか「狭小住宅(建物付き)」として売るかで、想定される買い手も価格も変わってきます。

狭小地は土地の分割や相続などで生まれる

狭小地が生まれる背景を知っておくと、売れにくさの理由も理解しやすくなります。たとえば、広い土地を分割して売り出したときに、小さな区画が残ることがあります。

また、道路から細い通路が延びた「旗竿地」でも、奥の敷地が小さい場合があります。ただし、旗竿地だから必ず面積が狭いわけではありません。

相続で土地を分けたときに、それぞれの取り分が小さくなって狭小地化することもあります。

面積だけでなく、道路への接し方と、建てられる家の条件まで確認することが大切です。

狭小地が売れない5つの理由とは?

狭小地が売れない主な理由は、下の5つです。住宅ローンや建築の制約が、買い手の予算や希望する暮らしと合わないことが購入のハードルになります。

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売れない理由買い手が敬遠する具体的な中身
住宅ローンが通りにくい担保評価が低く希望額を借りられない/フラット35の床面積要件を満たさない
再建築不可の可能性建て替えが認められないと、住宅を新築したい買い手が選びにくい
建築費が割高になる狭い敷地は施工効率が悪く工事費が上乗せされやすい
用途が限られる駐車場や庭を確保できず希望の暮らしが実現しにくい
日当たり・プライバシーの不安隣家との距離が近く採光や視線が気になる

買い手が気にするのは、その土地に希望する家を建て、無理なく暮らせるかどうかです。ただ、住宅を建てたい人には選ばれにくい土地でも、敷地を広げたい隣地所有者など、別の買い手には価値があるかもしれません。

住宅ローンが通りにくくフラット35も使えないことがある

売れない理由の一つが、買い手が住宅ローンを組みにくいことです。

住宅ローンの審査では、買い手の収入などに加え、土地と建物の担保評価も確認されます。狭小地で担保評価が伸びない場合、買い手が希望額まで借りられないことがあります。

また、全期間固定金利の住宅ローン「フラット35」には、住宅の床面積の要件があります。一戸建てでは、住宅部分の床面積が50平方メートル以上必要です。土地の面積ではなく、車庫などを除いた住宅部分で判断します。

フラット35を使えなくても、ほかの住宅ローンを検討できる場合はあります。ただ、融資を利用できなければ現金で購入できる人に限られるため、売れにくい原因になり得ます。

出典:住宅金融支援機構:フラット35の対象となる住宅・技術基準

接道義務を満たさず再建築不可になっている場合がある

狭小地には、そもそも建物を建て替えられない土地が含まれます。

都市計画区域や準都市計画区域では、原則として、敷地が建築基準法上の道路に2メートル以上接する必要があります。これが接道義務です。

道路の幅は原則4メートル以上ですが、4メートル未満でも法上の道路に当たり、道路境界を後退させる「セットバック」が必要になる場合があります。

接道義務を満たさず、例外の認定・許可も受けられない土地では、建て替えができません。

旗竿地なら通路部分の幅や道路の扱いを確認します。見た目が道でも、建築基準法上の道路とは限らないため、役所の建築担当窓口で調べましょう。

再建築不可の狭小地だと、住宅を新築したい買い手には売れないことがあります。隣地と一体にするなど、条件を改善できるかも確認する必要があります。

売れないときは、土地の面積より先に「買主が建て替えられるか」を確かめましょう。

建てられる家を確かめるポイント
  • 接道・セットバック:道路の種類、接する長さ、後退後に使える敷地面積を確認する
  • 建ぺい率・容積率:建物の広さや延床面積の上限を調べる。高さなどの制限も合わせて確認する
  • 敷地面積の最低限度:地域に基準があるか、既存の小さな敷地に例外があるかを役所で確かめる

出典:e-Gov法令検索:建築基準法(第42・43・52・53・53条の2)
出典:横浜市:建築基準法第43条第2項の認定・許可(自治体の運用例)

建築費が割高になり買主の総予算を圧迫する

敷地や道路が狭いと、同じ延床面積でも建築費が高くなることがあります。

敷地が狭いと大型の重機や資材置き場を確保できず、手作業が増えて施工効率が下がるためです。3階建てにすれば、構造の補強や階段スペースの分だけコストも上乗せされます。

買い手にとっては、「土地は安く買えても、建物にお金がかかって総額はそれほど下がらない」という計算になります。狭小地の価格を下げても建築費が増えるなら、買い手の予算には収まらないかもしれません。

売れない原因が総予算への不安なら、建てられる家の広さと建築費の概算を示すことが判断を助けます。見積もりを取る前に、不動産会社と必要な資料や費用を相談しましょう。

駐車場や庭を取れず用途が限られる

敷地が狭いと、暮らしに必要なスペースを確保しにくくなります。車を停める駐車スペースが取れない、庭やベランダがほとんど作れない、といった制約が出やすいのが狭小地です。

とくにファミリー層が多い郊外エリアでは、駐車場のない土地は候補から外れやすくなります。

用途の自由度が低いことは、そのまま買い手の絞り込みにつながります。たとえば、車を使わない単身者やDINKs(共働きで子どものいない世帯)なら検討できても、車を2台置きたい世帯には合わないことがあります。

売れないときは、実際に暮らせる人に向けた紹介になっているかを見直しましょう。

隣家との距離が近く日当たりやプライバシーに不安が出る

狭小地は、隣の建物との距離が近くなりやすい土地です。窓を開けると隣家の壁が目の前にある。道路や隣室からの視線が気になる。こうした環境では、日当たりや風通し、プライバシーに不安を感じる買い手もいます。

こうした住み心地への懸念は、内覧時の第一印象を大きく左右します。図面や価格では条件が良く見えても、現地で「暗い」「圧迫感がある」と感じられると、購入をためらわれます。

内覧後も買い手がつかないなら、見送った理由を不動産会社に聞いてみましょう。採光が分かる時間帯に案内するなど、現地の特徴が伝わる見せ方も検討できます。

売れない狭小地を売却する方法は?

売れない狭小地でも、売却の方法は一つではありません。検討したいのは、仲介・隣地所有者への売却・古家付き土地としての売却・専門の買取業者への売却です。

価格を重視するなら仲介や隣地への打診、早く手放したいなら専門業者の買取を検討します。それぞれの条件を比べてみましょう。

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売却方法向いているケース価格の目安手放すまでの早さ
仲介で売る都市部・駅近で需要があるエリア相場に近い価格を狙える数カ月~長期(買い手次第)
隣地所有者に売る隣地の拡張ニーズがある場合条件次第で相場並みも交渉次第
古家付き土地で売る建物が古いが解体費を出したくない更地より下がることもある数カ月~
専門の買取業者に売る再建築不可・地方・売れ残り仲介より下がる傾向。再販の見込みによる早ければ数日~数週間(条件が整った場合)

古家付き土地は売り出す状態のことで、仲介や買取と組み合わせられます。表の期間は目安で、買い手や交渉、引き渡しの条件によって変わります。

需要のあるエリアは仲介で相場に近い価格を狙える

駅近や都市部など、その土地に住みたい人が見込めるエリアなら、まずは不動産仲介会社に仲介を依頼して、実際に住む人(実需の買い手)を探す方法が有力です。

仲介の利点は、幅広く買い手を募り、相場に近い価格を狙えることです。住宅ローンが使える物件なら、購入を検討できる人も広がります。

住宅用地として売り出す場合は、マイホームを建てたい人が主な候補になります。希望する家が建てられない、総予算が合わないといった理由で、半年以上売れないこともあります。

需要がなければ、値下げをしても何年も買い手がつかない可能性がある点は、正直に見ておく必要があります。

仲介で売れないときに見直す時期も、依頼時に相談しておきましょう。問い合わせがないのか、内覧後に断られるのかで、直すべき点は変わります。

買い手がつかないときは、ほかの売り方と比較し、相談時に伝える売り出し状況を整理しましょう。

隣地所有者への売却は価格が付きやすい交渉先になる

見落とされがちですが、隣の土地の所有者は、狭小地の有力な売却先です。隣地所有者にとっては、自分の敷地を広げられる土地だからです。建築条件によっては、建て替えや駐車場の確保に役立つ場合があります。

第三者には売れない土地でも、隣地所有者には「自分の土地とセットで使える土地」として、相場並みの価格が付くこともあります。

一方で、いきなり本人同士で価格の話をすると、関係がこじれたり足元を見られたりするおそれもあります。声のかけ方に不安がある場合は、不動産仲介会社を介して打診してもらうと、条件の交渉や契約手続きを冷静に進められます。

断られる可能性もあるため、あくまで選択肢の一つとして考えておくとよいでしょう。

隣地への打診が難しい場合は、ほかの売り方も比較できます。相談に必要な資料も確認しておきましょう。

古家付き土地なら解体費の先払いを避けられることがある

建物が古い狭小住宅の場合、「更地にした方が売れるのでは」と考えがちですが、必ずしもそうとは限りません。

そこで、建物を残したまま「古家付き土地」として売り出す方法があります。買主が解体を負担する条件で合意できれば、売主が先に工事費を用意せずに済みます。ただし、買主が見込む解体費の分、売却価格が下がることはあります。

解体前に確認する費用
解体には数十万円から百万円単位の費用がかかります。建物の規模や搬出条件で金額は変わり、更地にすると住宅用地の特例が外れて土地の税負担が増えることもあります。

買い手が現れてから解体条件を相談することもできます。また、建て替えの可否と、雨漏りなど把握している建物の不具合は事前に伝え、費用負担や引き渡し条件を契約で確認しましょう。

解体するか決める前に、売り方を比較し、建物や費用の相談事項を整理しましょう。

売れ残る狭小地は専門の買取業者に直接売る

仲介で長く売れない、再建築不可を兼ねている、地方で需要が乏しい。こうした場合は、狭小地や訳あり物件に強い買取業者に直接売る方法もあります。

買取では業者自身が買主になり、購入後の再生・再販を引き受けます。その見通しが立つ物件なら、一般の買い手には売れない土地でも検討してもらえます。

買い手を探す期間が不要で、価格と引き渡し日を直接相談できることが買取の利点です。査定額と最終的な契約金額は分けて確認しましょう。

条件が整えば、早ければ数日から数週間で現金化できる場合があります。ただし、境界や相続登記の整理が必要だと、それ以上かかることもあります。

さらに、狭小地に強い買取業者であれば、古い建物の解体や室内の残置物(家具・家電など)の処分をそのまま引き受けてくれるケースもあり、こちらの手間と費用を大きく減らせます。

仲介より価格は下がる傾向にありますが、早さや解体・片づけの手間を減らすことを重視するなら、有力な選択肢です。すべての土地が買取対象になるわけではありません。

価格と引き渡しの条件をほかの売り方と比較したうえで、査定の相談で伝えることを確認しましょう。

査定は信頼できる一社を見極めて依頼する

売却先を探すとき、「複数社に査定を出して比べましょう」という助言をよく見かけます。しかし狭小地のように評価が難しい土地では、単に査定額の高さで比べると、かえって遠回りになることがあります。

STEP
査定額が変わる条件を聞く

最初の査定が概算であれば、調査後に金額が変わる場合もあります。何を確認済みで、どの条件なら金額が変わるのかを聞いておきましょう。

STEP
価格の根拠と買取実績を確認する

大切なのは、査定額の数字だけでなく、その根拠をきちんと説明してくれるか、狭小地の買取実績があるかを見極めることです。

STEP
信頼できる一社を見極めて依頼する

狭小地や訳あり物件の取り扱いに慣れ、なぜその価格になるのかを丁寧に示してくれる、信頼できる一社を見つけることを優先しましょう。

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【状況別】狭小地の売り方はどう選ぶ?

自分の狭小地に合う売り方は、「エリアに需要があるか」「再建築ができるか」「早く手放したいか」の3つの軸で見極められます。

住宅を建てられ、近隣で取引があるなら、仲介で探す買い手と価格を相談します。隣の敷地と一緒なら使いやすい土地では、隣地所有者への打診も候補です。需要が乏しく売れない期間が長く、早く管理を終えたい場合は、専門業者に買取条件を確認しましょう。

相続で得た土地は、査定の相談と並行して、名義や相続人の意向を整理します。自分がどのケースに近いか、下の表で確認してみてください。

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狭小地の状況エリアの需要向いている売り方
都心・駅近で再建築できる見込める場合がある仲介・隣地所有者への売却
地方・郊外で需要が乏しい低い専門の買取業者への売却
再建築不可を兼ねるエリアによる現金購入者か専門の買取業者
相続で取得したばかり状況による相続登記の準備と並行して売り方を相談

都心や駅近の狭小地は仲介や隣地交渉で高値を狙う

「立地が良ければ売れるはず」と思われがちですが、好立地の狭小地でも売れないことはあります。

都心の駅近は土地の価格自体が高く、狭小地でも総額が数千万円になることがあります。そこに建築費の高さやローンの組みにくさが重なると、買い手が二の足を踏むためです。

それでも、都心・駅近で再建築できる土地なら、住みたい人や敷地を広げたい隣地所有者が見込めます。

まずは仲介で実需の買い手を探しつつ、隣地所有者への打診も並行して進めると、相場に近い価格で売れる可能性が高まります。

単身者向けの住まいやセカンドハウスなど、建てられる家と立地に合う使い方を伝えましょう。事務所・アトリエとして紹介する場合は、用途地域などの制限も確認します。

地方や郊外で売れない土地は専門業者の買取も検討する

地方や郊外の狭小地は、そもそも住宅の需要が少なく、仲介に出しても買い手が現れないことが少なくありません。人口が減っているエリアでは、価格を下げても売れないケースが現実にあります。

長く売れ残るあいだも、固定資産税と管理の負担だけは続いていきます。こうしたエリアで売れない場合は、専門業者の買取額と、持ち続ける費用を比べると判断しやすくなります。

価格だけでなく、いつ手放せるかも確認しましょう。

買取業者は、その土地を投資家向けの収益物件として再生するなど、一般の買い手とは別の出口を持っているため、地方の狭小地でも買い取れる可能性があります。

「いくらでもいいから、まず手放したい」という段階なら、買取を軸に検討しましょう。

再建築不可を兼ねる狭小地は現金客か専門買取が出口

狭小地が再建築不可も兼ねている場合、買い手はさらに絞られます。

再建築不可の土地は住宅ローンを利用しにくいため、現金で購入できる人や、再生ノウハウのある業者などが主な候補になります。融資の扱いは金融機関によって異なります。

ここで注意したいのは、「資金に余裕のある人なら買ってくれるだろう」という期待です。

現金で買える人でも、立地や用途が希望に合わなければ選びません。既存の家を使いたいなど、その土地を買う理由が必要です。

住宅用地として売れない場合は、再建築不可の物件を扱う専門業者に、建物を残した活用や隣地との一体利用を検討できるか相談してみましょう。

相続した狭小地は登記の準備と売却相談を並行する

親などから相続した狭小地でも、相続登記が終わる前に査定や売却相談を始められます。

ただし、買主へ所有権を移すには、前提として相続登記を済ませる必要があります。

「登記が終わるまで相談できない」と待つ必要はありません。誰が売主になるかを決め、司法書士と不動産会社に引き渡しまでの手順を確認しましょう。

相続登記は2024年4月から義務化されました。原則として、不動産を相続したことを知った日から3年以内に申請が必要です。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象になります。

2024年4月より前の相続も対象です。施行前から取得を知っていた場合の期限は2027年3月31日です。

遺産分割がまとまらない場合も、期限内に必要な申請を司法書士などへ相談しましょう。

兄弟姉妹など複数人で相続した場合は、誰が引き継ぐのか、売却して分けるのかを話し合って決める必要があります。話がまとまらないまま共有名義で放置すると、後々売却がさらに難しくなります。

出典:法務省:相続登記の申請義務化について

狭小地の買取価格はどう決まる?

「買取だと安く買い叩かれるのでは」と不安に感じる方は多いものです。買取価格を判断するときは、買い取った後の使い道と費用に目を向けてみましょう。

狭小地の買取価格は、その土地を「最終的に誰にどう再販するか(出口)」から逆算して決まります。

この仕組みを知っておくと、提示された金額が妥当かどうかを自分で判断しやすくなります。

買取価格が下がる理由と、売主が負担する費用は分けて確認しましょう。

買取価格は再販の出口から逆算して決まる

買取業者は、土地を買い取ったあと、リフォームや解体・再建築などを経て、別の買い手に販売して利益を得ます。この最終的な販売先を、業界では「出口」と呼びます。

買取価格は、「その土地をいくらで再販できるか」という出口の見込みから、必要な費用と利益を差し引いて算出されます。

つまり、出口をたくさん持っている業者ほど、一般には売れない土地でも値を付けられるということです。

狭小地に強い買取業者は、狭い土地を活かす再生の引き出しを持っているため、他社が断った土地でも買い取れる可能性があります。

逆に、出口を持たない買取業者に持ち込むと、そもそも取り扱ってもらえないこともあります。

都市部は実需・地方は収益と出口で価格が変わる

同じ狭小地でも、立地によって出口は変わり、それが価格にも表れます。

都市部で検討される出口⇒自分で住む買い手

都市部では、リフォームや建て替えをして「自分で住みたい人(実需)」に再販できるかが判断材料になります。

住宅需要が厚いぶん、比較的価格が付きやすい傾向です。

地方で検討される出口⇒賃貸収入を見込む買い手

一方、住宅用地として売れない地方の土地では、賃貸に回して家賃収入を得る「投資家向け(収益)」の使い道を検討することもあります。

投資家は利回り(投資額に対する年間収益の割合)を重視して購入するため、家賃をどれだけ見込めるかが価格を左右します。

ただし、地方の狭小地でも住宅需要のある場所はあり、都市部でも条件が悪ければ売れにくいことがあります。
地域名だけでなく、その物件の買い手と収支を見て価格を判断します。

測量費や登記費用を差し引いて買取価格が決まる

買取価格は、再販時の見込み価格から、業者が負担するさまざまな費用を差し引いて決まります。

たとえば、隣地との境界を確定する測量や、名義を移す登記の費用などです。

おおまかな内訳は次のとおりです。

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買取価格の算定で見込む費用等目安
測量費(境界の確定)数十万円程度(土地の広さや境界の状況による)
登記費用(司法書士報酬・登録免許税)数万円~(土地の評価額による)
リフォーム・解体・残置物処分の費用建物の状態・物量による
再販までの諸経費・業者の利益出口の見込みに応じて設定

表の金額は概算です。測量の範囲、登記の種類、建物の状態で変わります。

所有権移転登記は通常買主側、売主の相続登記や抵当権抹消登記などは売主側で負担を確認します。

こうした費用を差し引くぶん、買取価格は仲介で売れた場合より下がる傾向にあります。

売主が別に支払う費用も確認する

業者が工事や処分を引き受ける契約なら、売主が先に支払う費用を抑えられます。

ただし、相続登記など売主側に残る費用もあるため、負担者を分けて確認します。

査定額だけでなく、売主が別に支払う費用を引いた手取りで比べましょう。

売れない間の税金や管理費も含めると、保有を続ける場合と比較できます。

価格の下がり幅は、エリアの需要や土地の状態によって大きく変わるため、一律に「何割下がる」とは言えません。

買取なら残置物や解体をそのままで売れることがある

狭小地の売却では、古い建物の解体費や、室内に残った家具・家電などの残置物の処分費が、売主の重い負担になりがちです。仲介で更地にして売ろうとすると、これらを先に自費で片づける必要が出てきます。

この点、狭小地や訳あり物件に強い買取業者であれば、建物を解体せず現況のまま、残置物も残したまま買い取ってくれるケースがあります。

「解体しないと売れないのでは」「まず片づけないと」と足踏みしている方は、そのままの状態で査定に出せるか確認してみるとよいでしょう。

工事や片づけを買主が引き受ければ、売主が費用を先払いせずに済みます。
処分費がなくなるわけではなく、買取価格に織り込まれることを理解しておきましょう。

売れない狭小地を放置し続けるとどうなる?

「売れないなら、しばらく持ち続けてもいい」と考えたくなるかもしれません。

売れないあいだも、原則として固定資産税などの負担は続きます。

使っていないことだけで免除されるわけではありません。建物を放置し、特定空家や管理不全空家として勧告を受けると、土地の税負担の軽減が外れるおそれもあります。

一方で、売却時にかかる譲渡所得税は「利益が出たときだけ」の税金です。放置のコストと売却のコストを、正しく比べておきましょう。

空き家でも原則として固定資産税の負担は続く

固定資産税は、原則として毎年1月1日時点の土地や建物の所有者にかかります。免税点に満たない場合などは課税されません。

税額は「課税標準額×税率」で計算し、標準税率は1.4%です。

住宅用地の特例などがあるため、評価額にそのまま税率を掛けるとは限りません。

都市計画税は、原則として市街化区域内の土地・建物が対象で、条例による例外もあります。

税率の上限は0.3%です。実際の対象や税率は、納税通知書と自治体の案内で確認しましょう。

住んでいない空き家でも、売れずに持っているだけで、この税金は発生し続けます。

金額としては年間数万円でも、売れないまま何年も続けば、その負担は積み上がっていきます。「売れないから放置」は、実際には毎年お金が出ていく選択でもあるのです。

出典:横浜市:固定資産税・都市計画税の概要(課税の仕組み)

建物を放置すると特定空家に指定される可能性がある

狭小住宅を管理せずに放置し、老朽化が進むと、市区町村から「特定空家」に指定されるおそれがあります。

特定空家とは、倒壊などの危険、衛生上の問題、著しい景観の悪化などがあり、周囲の生活環境を守るために放置が不適切と判断される空き家です。

指定されると、市区町村から修繕や解体などの助言・指導、さらに勧告・命令を受けることがあります。

それでも改善しない場合、最終的には行政が所有者に代わって解体し、その費用を所有者に請求する「行政代執行」に至ることもあります。

放置は、思わぬ形で大きな出費を招くリスクをはらんでいます。

出典:国土交通省:空家法・住宅用地特例

空き家への勧告で住宅用地の特例が外れることがある

住宅が建つ土地には、一定の範囲で「住宅用地の特例」があります。固定資産税の課税標準は、住宅1戸につき200平方メートルまでの部分が6分の1、200平方メートルを超える一定の部分が3分の1になります。

税負担が増える条件

特定空家や管理不全空家について市区町村から勧告を受けると、住宅用地の特例の対象から外れます。

「空き家になったら税額が6倍」という意味ではありません。

実際の税額には負担調整措置なども影響します。

たとえば、評価額600万円の土地全体が小規模住宅用地で、税率を1.4%とした場合、特例適用時の単純計算は年1.4万円です(600万円÷6×1.4%)。

特例が外れた後の税額は、この評価額だけでは決まりません。売れない間に負担がどれほど増えるかは、自治体に確認してください。

住宅を取り壊して更地にした場合も、原則として住宅用地の特例が外れます。

「更地にすれば売れる」と安易に解体すると、売れないまま税負担だけが増えることもあるため注意が必要です。

出典:国土交通省:空家法・住宅用地特例
出典:横浜市:土地に対する課税(住宅用地特例・負担調整措置)

売却時の譲渡所得税は利益が出たときだけかかる

売却をためらう理由に「税金が心配」という声もありますが、ここは誤解されがちなポイントです。譲渡所得税は、売れた金額すべてではなく、取得費や譲渡費用を差し引いた利益に対してかかります。

まずは課税される利益を計算する

購入代金と売却代金の差だけで判断しないことが大切です。

譲渡所得は「売却価格-(取得費+譲渡費用)」で計算します。

建物の取得費は減価償却分を差し引き、相続した不動産は原則として亡くなった方の取得費を引き継ぎます。

所有期間に応じた税率を確認する

税率は、売った年の1月1日時点で所有期間が5年以下なら原則39.63%、5年を超えるなら原則20.315%です。所得税・復興特別所得税・住民税を含み、相続では原則として亡くなった方の所有期間も引き継ぎます。

相続した空き家は、控除の条件も確認する

相続した空き家では、一定の要件を満たして申告すると、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる場合があります。対象の家と敷地等を取得した相続人が3人以上の場合、2024年以後の売却では最高2,000万円です。

相続空き家の特例には、建築時期、相続後の利用状況、耐震改修や解体、売却期限などの要件があります。

相続開始から3年を経過する日の属する年末まで、かつ現行制度では2027年12月31日までの売却が対象です。利用できるかは契約前に確認してください。

安く売る場合でも、取得費が分からないなどの事情で税金が生じることがあります。

買い手がつかず値下げする場合も、購入時の契約書などを探し、税金を含めた手取りを確認しましょう。

放置で毎年出ていく税金と、売却で一度だけかかるかもしれない税金を、冷静に比べてみましょう。

出典:国税庁:No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)
出典:国税庁:No.3270 相続等により取得した土地建物の取得費と取得の時期
出典:国税庁:No.3211 短期譲渡所得の税額の計算
出典:国税庁:No.3208 長期譲渡所得の税額の計算
出典:国税庁:No.3306 相続空き家を売ったときの特例

売れない狭小地を活用する選択肢はある?

売却がうまくいかないとき、「いっそ活用して収益を得られないか」と考える方もいるでしょう。

狭小地は、コインパーキングやトランクルーム用地として活用できる場合があります。

ただし活用には初期費用がかかり、立地によって収益性が大きく変わります。売却して管理を終えたいのか、持ち続けて収益を狙うのか。初期費用をかける前に、両方の見込みを比べることが大切です。

駅近の狭小地はコインパーキングにできる場合がある

駅前や商業施設の近くなど、車を停めたい需要があるエリアの狭小地は、コインパーキングとして活用できることがあります。

少ない台数でも運営できる場合がありますが、車の出入りと必要な設備を確認しましょう。土地の舗装や精算機の設置などに費用がかかることもあります。

運営会社に土地を貸して機器の設置・管理を任せる方式なら、初期費用を抑えて始めることもできます。

ただし、狭小地では停められる台数が限られ、大きな収益は見込みにくいのが実情です。周辺の駐車場の料金や稼働状況も確認し、見込める収入を運営会社に聞いてみましょう。

住宅を解体して駐車場にする場合は、住宅用地の特例が外れる税負担も収支に入れます。もともと更地の土地とは分けて考えましょう。

住宅地の狭小地はトランクルーム用地の需要がある

住宅街に近い狭小地であれば、収納スペースを貸し出すトランクルーム用地としての需要が見込めることがあります。周辺に集合住宅が多く、収納に困っている世帯が多いエリアと相性が良い活用方法です。

コンテナ型やルーム型など、運営会社の方式によって必要な広さや初期費用は変わります。

もっとも、トランクルームも需要のあるエリアかどうかが収益を大きく左右します。

利用者が集まらなければ、設備投資を回収できないまま維持費だけがかかることになります。

需要に加え、設置できる建物や設備も確認します。継続して倉庫に使い、容易に移動できないコンテナは建築物として扱われるため、建築確認などの手続きの確認が必要です。

出典:国土交通省:コンテナを利用した建築物の取扱い

活用は初期費用と収益性を売却と比べて判断する

活用は、うまくいけば土地を持ちながら収益を得られる一方で、初期費用や維持費、うまくいかないリスクを自分で抱えることになります。

とくに需要の乏しいエリアの狭小地では、活用しても採算が合わず、「結局は負担が続くだけ」になりかねません。

判断のものさしは、「その活用で得られる見込み収益が、初期費用とリスクに見合うか」です。

見合わないと感じるなら、無理に持ち続けず、売却して負担そのものを手放す方が合理的なこともあります。

売れないからと急いで設備にお金をかけず、活用と売却の両方を比べ、自分にとって負担の少ない方法を選びましょう。

よくある質問

10坪以下の激狭の土地でも売れますか?

接道や建築の条件、エリアの需要次第で売れる可能性はあります。

駅近で住宅を建てられる土地なら、単身者向けの住まいなどを検討できます。

単独では売れない場合も、隣地所有者には需要があるかもしれません。

専門の買取業者に相談する方法もありますが、必ず価格が付くわけではありません。

狭小地は更地にした方が売れますか?

売れないからといって、一律に更地にするのはおすすめできません。

解体には数十万円から百万円単位の費用がかかり、住宅用地の特例が外れて土地の税負担が増えることもあります。

まず建て替えの可否を調べ、古家付き土地と更地で売る場合の手取りを比べましょう。

建物を残したままの買取も選択肢です。

隣の人に買ってもらうにはどう声をかければいいですか?

まずは「土地の売却を考えているが、ご関心はありますか」と、負担にならない形で意向を確認するのが基本です。

ただし、本人同士だと価格交渉がこじれたり、関係が気まずくなったりすることもあります。

不動産仲介会社を介して打診してもらえば、条件の調整や契約手続きを冷静に進められ、断られた場合も角が立ちにくくなります。

相続した狭小地は相続放棄した方がいいですか?

相続放棄では、狭小地だけでなく預貯金などの財産も引き継げなくなります。

申述の期限は原則として、相続の開始を自分が知ったときから3か月以内です。

売れないかどうか様子を見て期限を過ぎないよう、検討する場合は早めに専門家へ相談してください。

放棄時に財産を現に占有していた人には、相続人または相続財産清算人へ引き渡すまで保存義務が残ります。

出典:裁判所:相続の放棄の申述
出典:e-Gov法令検索:民法(第915・940条)

まとめ|狭小地が売れないときは買い手と売り方を見直そう

狭小地が売れないのは、住宅ローンの組みにくさや再建築不可の可能性など、買い手が住宅を建てて住みにくい構造的な理由があるからです。

ただ、今の条件で売れないことと、どの方法でも手放せないことは同じではありません。

住宅需要があり再建築できるなら仲介や隣地への打診、売れない状態が続くなら専門業者の買取など、土地の条件に合う方法を検討できます。

売れないまま放置すれば、固定資産税や特定空家のリスクだけが積み上がっていきます。

もし仲介で売れ残っている、解体や片づけの負担で足踏みしている、というのであれば、現況のまま査定に出せる専門の買取業者に一度相談してみるのも一つの方法です。

査定の相談で伝えておくこと
  • 所在地・土地の面積・接道状況と、手元にある図面
  • 古家や残置物の有無、相続登記と境界の確認状況
  • 売れない期間、これまでの売り出し価格と問い合わせ状況
  • 希望する引き渡し時期と、解体などで先に負担できる費用

手放してしまえば、売れない不安や税金の負担を抱えたまま何年も過ごす必要もなくなります。

まずは建て替えの可否と売れない理由を確認し、費用を引いた手取りと引き渡し時期を相談してみましょう。

この記事を書いた人

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