相続した実家や長く所有している物件を売ろうとして、「これは違法建築です」と告げられた。
一般の不動産会社には断られ、住宅ローンの利用も難しく、買い手が見つからない。
かといって放置すれば、行政から是正命令や取り壊し命令が来るのではないか。
違法建築を抱えた方の多くが、この二つの不安の間で身動きが取れずにいます。
結論から言えば、違法建築でも手放す方法はあります。
なかでも、是正や解体の費用を先払いせず、現状のまま手放したい場合は、買取業者への売却が現実的な選択肢です。ただし、買取の可否や費用負担は物件と契約条件によって変わります。
- 工事費を先に用意しにくい
現状のままの買取と費用負担を確認する - 買取価格がどれくらい下がるか知りたい
買取価格の計算例を見る - 相続・増築・接道の問題がある
状況別の対応を確認する - 買取を相談する準備をしたい
買取の流れと必要書類を見る
違法建築とは建築基準法などの法令に違反した建物のこと
違法建築とは、建築基準法や関連法令に違反している建物や敷地のことです。
建築時から違反している場合だけでなく、その後の増改築や用途変更によって違反する場合もあります。
似た言葉に「既存不適格」や「再建築不可」がありますが、意味はそれぞれ異なります。
まずは自分の物件がどれに当たるのかを正しく知ることが、手放し方を考える出発点になります。
建ぺい率・容積率などが法令に違反している
建てた当初から建築基準法・都市計画法・自治体の条例などに違反している場合も、適法に建てたあとで増築などのルールに違反する場合も、違法建築に当たります。
代表的な違反には次のようなものがあります。
- 建ぺい率・容積率オーバー:敷地に対して建物が大きすぎる状態。建ぺい率=建築面積÷敷地面積、容積率=延べ床面積÷敷地面積
- 接道義務違反:原則として建築基準法上の道路に2m以上接するなどの条件を満たさず、例外の認定・許可もない状態。道路は原則幅員4m以上ですが、例外があります
- 斜線制限・高さ制限違反:隣地や道路の採光・通風を守るための高さ制限を超えている
- 必要な確認を受けない増築など:必要な建築確認を受けていない、増築後の建物が基準を超えているなど
このほか、建てられる用途が決められた地域で用途を変えて使っている(用途違反)、必要な建築確認を受けずに建てた、といったケースも違法建築に含まれます。
なかでも多いのは、建てたあとに部屋や物置、離れを増築した結果、建ぺい率や容積率をオーバーしてしまうケースです。
建築時は適法でも、増築の段階で違法建築になっていた、という物件は少なくありません。
増築部分が未登記だと、登記簿上の面積と実際の建物が食い違い、売却の調査で問題が判明することもあります。
ただし、未登記は登記手続きの問題であり、それだけで建築基準法違反とは断定できません。査定では、登記と建物の法適合性を分けて確認します。
既存不適格との違いは建てた時点で適法だったかどうか
既存不適格とは、建てた当時は適法だったものの、その後の法改正で現在の基準に合わなくなった建物のことです。
両者を分けるには、建てた当時の適法性と、その後の増改築の履歴を確認する必要があります。
査定でも、この違いが是正費用の見込みに影響します。
- 違法建築:建築時、またはその後の増改築などで法令に違反。是正命令の対象になりうる
- 既存不適格:建てた時点では適法。法改正などで現在の基準に合わなくなった部分について、一定の適用除外がある
既存不適格は違反ではないため、そのまま住み続けることも売却することも可能です。
一方の違法建築は、行政から是正を求められる可能性があり、売却の難しさも大きく変わります。
両者は見た目では判別しにくいため、書類での確認が必要です。なお、次の表のとおり、両者は売却のしやすさや住宅ローンの可否にも差が出ます。
| 確認項目 | 違法建築 | 既存不適格 | 再建築不可 |
|---|---|---|---|
| 主な意味 | 建物・敷地が法令に違反 | 適法に建てた後、法改正などで現行基準と不一致 | 現在の条件では建て替えが認められない |
| 違反への是正命令 | 対象になりうる | 既存不適格であるだけでは対象外 | 再建築不可であるだけでは違反と断定できない |
| 売却・買取で確認すること | 違反内容と是正の可否 | 適用除外と増改築の履歴 | 接道と例外の認定・許可の可否 |
| 住宅ローン | 利用が難しい | 利用できる場合がある | 利用が難しい |
再建築不可との違いは土地の条件か建物かにある
再建築不可物件とは、いまの建物を解体すると新たに建て替えられない土地・建物のことです。
主な原因は接道義務を満たしていないことにあります。
都市計画区域・準都市計画区域内などでは、原則として敷地が建築基準法上の道路に2m以上接する必要があります。
道路の幅員は原則4m以上ですが、4m未満でも法上の道路として扱われ、セットバックが必要になる場合があります。
接道の原則を満たさない場合でも、例外の認定・許可で建築できることがあります。
買取を検討する前に、道路の種類と適用条件を役所で確認しましょう
違法建築は「建物や敷地が法令に違反している状態」、再建築不可は「現在の条件では建て替えられない状態」です。
違反しているかと、建て替えられるかは別々に確認します。買取後の使い道も、この二つで変わります。
ただし両者は重なることもあります。たとえば接道義務を満たさない土地に無許可で建てられた建物は、違法建築であり再建築不可でもあります。

検査済証と建ぺい率・容積率で違法建築か確認できる
自分の物件が違法建築かどうかは、次の方法である程度確認できます。
検査済証とは、完成した建物が建築基準法に適合していると行政(または指定機関)が確認した証明書です。これがない場合、完了検査を受けていない、または受けられなかった可能性があります。
登記簿や図面から建物の面積を調べ、その地域に定められた建ぺい率・容積率と照らし合わせます。
地域の制限は「(市区町村名)都市計画図」で調べられます。
確認申請の記録が残っているかを問い合わせれば、より正確に判断できます。
検査済証を紛失している場合でも、役所で「建築計画概要書」や「台帳記載事項証明書」を取得すれば、確認申請や検査の記録をたどれることがあります。
これらは、建てた当時にどんな申請がされていたかを確認する手がかりになります。
検査済証が手元にないだけで、建物の違反内容までは断定できません。
紛失している場合もあれば、必要な完了検査を受けていない場合もあります。
検査の記録と建物の現状を調べ、建築士や役所に法適合性を確認しましょう。買取業者への相談も並行して進められます。
とはいえ売却時には買主から説明を求められるため、判断に迷う場合は、違法建築の取り扱いに慣れた買取業者に現状を見てもらうと、手放し方まで含めて整理しやすくなります。
違法建築でも売却できるが一般の買い手はつきにくい
違反があることだけで、売却や買取が一律に禁止されるわけではありません。
ただし、取引後も違反状態が自動的に解消するわけではなく、違反内容の開示と対応方針の確認が必要です。
一方、住宅ローンの利用が難しく、一般市場で買い手を見つけにくいという問題があります。
買取が選択肢になる理由を、買主の立場から整理します。
ここでは、なぜ売りにくいのかを4つの理由に分けて説明します。
違法建築は住宅ローンを利用しにくく買い手が限られる
売りにくい大きな理由は、買主が住宅ローンを利用しにくいことです。
金融機関は建物の法適合性や担保価値を審査するため、違反が残る物件は融資の対象になりにくくなります。
融資の扱いは金融機関や是正の見込みによって異なります。
たとえばフラット35では、住宅の技術基準への適合と物件検査が必要です。査定でも、購入後にどの買主へ再販できるかが評価に影響します。
住宅ローンを利用できなければ、現金で購入できる人などに候補が絞られます。
ただ、現金を用意できる人であっても、立地や使い道が希望に合わなければ購入しません。
適法な物件も選べるなかで、制約のある建物を選ぶ理由が必要になります。
加えて、購入後に自分で是正やリフォームをするなら、その費用も現金で追加負担しなければなりません。
買い手の母数が極端に狭くなるため、一般の仲介(不動産仲介会社が一般の買い手を探す方法)では、値下げをしても半年~年単位で売れないことも珍しくないのです。
こうした融資の制約がある物件でも、再生・再販の見通しを持つ専門の買取業者なら検討できます。
買取では、一般の買主の住宅ローン審査を待たずに条件を相談できます。業者自身の資金調達や調査が必要な場合はあるため、買取日程は個別に確認しましょう。
出典:住宅金融支援機構:フラット35の対象となる住宅・技術基準
是正命令や取り壊しのリスクを買主が敬遠する
違法建築は、行政から是正を求められる可能性のある物件です。
買主の立場からすると、購入後に自分が是正命令を受け、費用を負担する事態になりかねません。この不確実性が、買い手をさらに遠ざけます。
とくに、増築部分の除却(取り壊し)が必要になるケースでは、その費用がいくらかかるかを買主が読みにくく、取引が進みにくくなります。
「安ければ買う」という単純な話にはならないのが、違法建築の難しさです。
一方、買取業者は是正や除却に必要な費用と実現性を調べ、対応できるリスクを織り込んで買取を検討します。
すべての物件を買い取れるわけではありません。買主の不安がそのまま売れなさにつながる一般市場とは、この点が大きく異なります。
売主に告知義務があり価格も相場より下がる
違法建築を売る際、売主には物件が違法建築であることを買主へ伝える義務があります。
これを隠して売ると、契約後に発覚した場合に契約不適合責任(引き渡した物件が契約内容と異なるときに売主が負う責任)を問われ、損害賠償や契約解除に発展するおそれがあります。
「安く売るのだから多少のことは大目に見てもらえるだろう」と考えるのは危険です。
たとえば、増築部分が違法だと知りながら伝えずに売却し、買主が購入後に是正命令を受けた場合、その是正費用や損害の賠償を売主が求められる可能性があります。
価格を下げたことと、事実を伝えなかったことは別の問題として扱われるためです。
違法である事実は、価格交渉の前に正直に開示することが結局は自分を守ることにつながります。
また、買い手が限られるうえに是正コストが見込まれるため、売却価格は一般の物件より下がるのが通常です。
ただし、どの程度下がるかは物件の状態や立地の需要によって大きく変わります。
都市部で需要が高ければ下落は小さく済むこともありますが、地方・郊外では価格を下げても買い手がつかないことすらあります。
「相場より少し安くなる」と一律には言えない点に注意が必要です。
防火・耐震など安全面の不安が買い手を遠ざける
違法建築のなかには、防火や耐震の基準を満たしていない建物もあります。
たとえば、違反した増築で隣地との距離が近くなり防火上の支障がある場合や、必要な構造の安全性が確保されていない場合です。
買い手にとって、これは購入後の安全と追加コストに直結する不安です。
また、1981年6月より前に建築確認を受けた旧耐震基準の建物では、耐震性の確認や補強が必要になることがあります。
ただし、旧耐震であるだけで違法とは限りません。買取でも建築時期と安全性を分けて調べます。
リフォームや補強で対応できる場合もありますが、その費用を見込むと購入をためらう人が多くなります。
結果として、安全面の懸念も違法建築が敬遠される一因になっています。
現状のまま買取業者が工事を引き受ける契約なら、売主が補強工事を手配し、その費用を先払いする負担を抑えられることも。
工事費用は買取価格に反映されるため、費用そのものがなくなるわけではありません。
違法建築を手放す4つの方法
違法建築を手放す方法は、大きく次の4つです。現状のまま買取に出す、解体して更地にする、違法部分を是正する、古家付き土地として売る、のいずれかになります。それぞれ費用負担や現金化までの期間、向いているケースが異なります。
自分に合う方法を選ぶには、次の3つの軸で考えると整理しやすくなります。
- 違法の種類:是正すれば適法にできるのか、それとも再建築不可などで根本解消が難しいのか
- 是正費用を回収できる見込み:直すのにかかる費用を、売却価格の上乗せで取り戻せるか
- 手放すまでの許容期間:多少時間がかかっても高く売りたいか、早く確実に現金化したいか
| 売り方 | 先に必要になる費用 | 期間の目安・向いている条件 |
|---|---|---|
| 現状のまま買取 | 工事の先払いを抑えられる。別途の登記費用などは契約で確認 | 条件が整えば最短数日~数週間。工事の手間や引き渡し時期を重視 |
| 解体して更地で売る | 解体費が必要 | 数か月~。建て替え可能で土地需要が見込める |
| 是正してから売る | 是正費が必要 | 数か月~長期。是正費を売却価格で回収できる見込みがある |
| 古家付き土地で売る | 解体の先払いは不要。売却時の諸費用は別途確認 | 仲介では数か月~が目安。建物を残して条件を相談したい |
現状のまま買取業者に売れば工事費の先払いを抑えられる
もっとも手間がかからないのが、違法な状態のまま買取業者に売る方法です。是正や解体を買主が引き受ける条件で合意できれば、売主が工事費用を先に用意せずに買取で手放せます。
買取業者のなかには、次のような費用や手間を負担してくれるケースもあります。
- 残置物の処分:家に残った家具・家電・荷物をそのままにして引き渡せる
- 名義変更・抵当権抹消:相続登記や住宅ローン完済後の抵当権抹消の手続き
- 境界確定・測量:隣地との境界があいまいな場合の測量費用
片付けや測量に手が回らない方、遠方に住んでいて現地に通えない方、高齢で手続きが負担な方にとっては、こうした費用と手間をまとめて引き受けてもらえる点は大きな利点です。
これらの負担者は契約によって変わります。相続登記や抵当権抹消など、売主側に必要な手続き・費用が残ることもあるため、査定額とは別に確認します。
必要な調査や権利関係の整理が済んでいれば、買取は最短数日~数週間で現金化できる場合があります。
行政指導や近隣トラブルがある場合はその内容も共有し、引き渡しまでの対応を決めましょう。
ただし、買い手を自分で探す仲介に比べると売却価格は下がります。
買取は、価格の高さより引き渡し時期や工事の手間を重視したい方に向く方法です。
買取の可否や日程は契約条件で確認します。
解体して更地にすれば違法状態を解消できる
違法建築の問題は建物に紐づいているため、建物を解体して更地にすれば、その多くは解消されます。
土地の需要が高いエリアであれば、更地にしたほうが買い手を見つけやすくなることもあります。
ただし注意点が2つあります。1つは解体費用です。
木造住宅の解体費は規模や立地で変わりますが、東京では30坪程度でおよそ135万~195万円が目安とされます。
もう1つは、接道義務を満たさない土地の場合、更地にしても新たに建物を建てられない(再建築不可のままになる)ことです。この場合は更地にしても買い手が限られます。
「自分で解体費を払っても結局売れないのでは」と感じる場合は、解体せずに現状のまま買取に出す方法と、工事後に売る場合の手残りを比べましょう。買取なら先払いを抑えられる場合があります。
出典:クリーンアイランド「東京の解体工事費用相場2025年版」
違法部分を是正すれば一般市場でも売れる
違法な部分は、内容に応じて解消できます。
たとえば、増築部分の除却、建ぺい率・容積率オーバーを解消する減築、道路の幅を確保するために敷地を後退させるセットバックなどです。
是正して適法な建物にできれば、一般市場でも売れるようになります。
是正によって住宅ローンの検討対象になる可能性はありますが、融資が必ず通るわけではありません。
建物の状態と買主の審査条件も確認されます。都市部で需要が高い立地なら、是正して一般市場で売るほうが手残りが多くなることもあります。
是正を選ぶかどうかは、「直す費用を売値で取り戻せる見込みがあるか」で判断することが大切です。
回収の見込みが立たない場合は、無理に直さず、現状のまま買い取ってもらうほうが手残りは多くなることもあります。
是正には費用と時間がかかります。
しかも、かけた是正費用を売却価格の上乗せで回収できるとは限りません。
是正費が300万円かかっても、その分だけ高く売れる保証はない点は注意が必要です。
古家付き土地として建物ごと売る方法もある
解体費をかけたくない場合、建物を残したまま「古家付き土地」として売る方法もあります。
買主が自分の判断で解体や活用を決められるため、解体前提の土地として一定の需要があります。
ただし、接道の原則を満たさず例外の認定・許可も受けられない土地では、買主は建て替えられず、需要が限られます。
買取でもこの条件は確認されます。また、建物が残る以上、違法建築であることの告知義務はなくなりません。
需要の弱いエリアや、そもそも建て替えができない土地では、古家付き土地として一般に売り出しても買い手がつかないことがあります。
その場合は、訳あり物件に強い買取業者への売却が現実的な出口になります。
違法建築の買取相場はどのくらい下がるのか
違法建築を買取に出すと、一般の売却でつく価格より下がるのが通常です。
ただし、その下落には明確な理由があります。理由を知っておくと、提示された金額が妥当かどうかを判断しやすくなります。
買取価格は業者の出口から逆算して決まる
買取価格を理解する鍵は、「出口」という考え方です。
出口とは、買い取った物件を業者が最終的にどう販売するかのことを指します。
違法建築の場合、業者は主に次のいずれかを出口として想定します。
- 是正してから再販する:違法部分を直し、一般の買い手や実際に住む目的で買う層(実需層)へ売る
- 解体して土地として売る:建物を壊し、更地や再建築可能な土地として売る
- リフォームして賃貸・再販する:現金で買える投資家へ収益物件として売る
買取価格は、この出口で見込める販売価格から、是正・解体・リフォームなどにかかる費用と業者の利益を差し引いて逆算されます。
費用が価格に反映される仕組みはありますが、提示額が妥当かは別途確認が必要です。
買取価格の根拠として、再販の見込みと費用の内訳を聞きましょう。
是正後に1,000万円で再販できると仮定し、是正費用300万円、販売時の諸経費・業者の利益200万円を見込む例です。
1,000万円 − 300万円 − 200万円 = 買取価格の目安 500万円前後
同じ物件でも、是正費用が100万円で済むなら買取価格はより高くなり、逆に除却や補強で500万円かかるなら買取価格はさらに下がります。
このように、買取価格は「いくらで売れそうか」から「手放すまでにいくらかかるか」を引いた残りで決まります。
一般の買主には、是正や解体を自分で手配する負担があります。
買取業者は、その工事や再販の見通しを立てて判断します。複数の再販先を検討できる専門業者なら、一般市場で動かない物件も買取の対象になり得ます。
是正や解体にかかる費用の分だけ買取価格は下がる
前項の逆算構造から言えるのは、是正や解体にかかる費用が大きいほど、買取価格は下がるということです。
たとえば、増築部分の除却が必要な物件は、その除却費用の分だけ買取価格が下がります。
逆に言えば、違法の程度が軽く、少しの是正で適法にできる物件ほど、下落は小さく済みます。
建ぺい率のわずかな超過なのか、それとも再建築不可で建て替え自体ができないのかによって、価格の下がり方は大きく変わります。
自分の物件の下落幅を知りたい場合は、「どの出口を想定し、そこにいくらコストがかかるか」を説明してくれる業者に査定を依頼するのが近道です。
金額の根拠を示せる業者ほど、提示価格の信頼性も高くなります。
下落幅は違法の種類とエリアの需要で変わる
買取価格の下がり方は、違法の種類とエリアの需要の掛け合わせで決まります。
次の表は、状態別に価格へ影響する主な要因を整理したものです。
| 違法の状態 | 取りやすい手放し方 | 買取価格に影響する主な要因 |
|---|---|---|
| 建ぺい率・容積率の軽微な超過 | 是正または現状買取 | 是正の難易度・担保評価の低下 |
| 増築部分の除却が必要 | 現状買取・解体 | 除却費用の大きさ |
| 接道義務を満たさず再建築不可 | 現状買取 | 建て替えや融資の制約で買い手が限られる |
| 防火・耐震基準を満たさない | 現状買取・リフォーム | 補強費用と安全面の不安 |
同じ違法建築でも、都市部で土地の需要が高ければ出口の販売価格も高く、下落は小さく抑えられます。
反対に、地方・郊外で需要が乏しい場合は、出口の価格自体が低いため下落幅は大きくなり、買い手がつかないこともあります。
本記事を監修する空き家買取専門業者であるアルバリンクの実務でも、増築による建ぺい率オーバーのように是正のめどが立つ物件と、接道が取れず再建築不可の物件とでは、提示できる価格の水準は大きく変わります。
都市部では買い取れても、地方では出口を描きにくく価格を付けにくいケースもあります。
相場は一律ではなく、あくまで物件ごとに変わる点を押さえておきましょう。
仲介と買取の違いを理解して選ぶ
最後に、仲介と買取の違いを整理します。
仲介は不動産仲介会社が一般の買い手を探す方法で、買取は買取業者が直接買い取る方法です。
- 買い手がつけば高く売れる可能性もあり
- 違反や融資の制約で買い手が限られ、長期間売れない場合も
- 価格は下がる傾向にあるが、買い手探しの期間を省ける
- 是正・解体の費用や手間を業者が引き受けるケースもあり
- 買取の可否と時期は条件次第
都市部で需要が見込める物件なら、仲介で買い手を待つ選択にも合理性があります。
一方、買い手がつきにくい物件や、早く手放したい事情がある場合は、買取のほうが結果的に負担が軽くなることが多いといえます。
どちらが得かは物件と事情によって変わるため、両方の可能性を比べて選ぶことが大切です。

【状況別】違法建築の売却で取るべき対応
買取や売却を進める際は、置かれた状況によって最初の一手が変わります。
ここでは相談の多い4つのケースについて、どう動けばよいかを整理します。自分の状況に近い項目から読んでください。
相続で引き継いだ違法建築を知らず所有していた
相続した実家を売ろうとして、はじめて違法建築だと判明するケースは少なくありません。
アルバリンクの買取相談でも、「親から引き継いだままで、売却時の調査で初めて違反を知った」という例は多く見られます。
この場合は、買取の相談と並行して相続登記の準備を進めましょう。
相続登記とは、亡くなった方の名義のままになっている不動産を、相続人の名義に変更する手続きです。
買主へ所有権を移す前に、相続登記を済ませる必要があります。ただし、登記が終わるまで査定や売却相談を待つ必要はありません。
相続人が複数いる場合は、誰が引き継ぐか、あるいは売って現金で分けるかを話し合う必要があります。
違反があり活用も売却も難しい物件は、相続人の間で押し付け合いになりやすく、共有名義のまま放置されて塩漬けになるケースも見られます。

買取価格と引き渡し時期の見込みが分かれば、現金化してどう分けるかを話し合いやすくなる場合があります。
そのうえで、物件の現状(違法の内容・接道の有無・是正の可否)を把握し、手放す方法を検討します。
遠方で現地に通えない場合や、他の相続人との話し合いを早く終えたい場合は、現状のまま買い取ってもらう方法が負担を抑えやすい選択肢です。

増改築が原因で違法建築になった
建てた当初は適法でも、あとから部屋や物置、離れを増築した結果、建ぺい率・容積率をオーバーして違法建築になっているケースがあります。
増築部分が未登記のまま、というパターンも多く見られます。
この場合は、まず「いつ・どの部分を増築したか」を確認しましょう。
増築部分を除却すれば適法に戻せるのであれば、是正して売る選択肢が現実的になります。
ただし、除却には費用がかかり、その分を売却価格で回収できるとは限りません。
除却費用の持ち出しを避けたい場合は、増築部分を含めて現状のまま買い取ってもらう方法もあります。
除却に必要な費用と再販の見通しを踏まえ、増築部分を含めた買取を検討できる業者に相談しましょう。
建ぺい率・容積率オーバーは建て替え後の広さと融資に影響する
建ぺい率・容積率をオーバーしている物件は、たとえ建て替えができても「いまの基準に収まるサイズ」しか建てられません。
たとえば昔の基準で100㎡の建物を建てていても、いまは50㎡分しか建てられない、といった状態です。
建て替え後に使える面積が小さくなると、担保評価や住宅ローンの審査に影響することがあります。
ただし、小さな建物なら建てられる状態と、再建築不可は同じではありません。
昔の基準では適法だった場合は既存不適格の可能性もあります。査定では、違反の有無と、建て替え後の規模を分けて確認します。
一般市場では動きにくいため、こうした物件は訳あり物件に強い買取業者への売却が現実的です。
接道義務を満たさず再建築不可になっている
原則として建築基準法上の道路に2m以上接するなどの条件を満たさず、例外の認定・許可も受けられない土地では、建て替えができません。
幅員4m未満の道路でも法上の道路に該当する場合があるため、幅だけで判断しないことが大切です。
とくに、他の土地に囲まれて公道に出られない「袋地」や、道路に接する間口が2m未満の「旗竿地」は、この問題に当たりやすい形状です。
このような物件は、解体しても住宅用地として売りにくいことがあります。
買取では、建物を残した利用なども含めて使い道を検討します。
接道要件を満たす方法がないわけではありません。
前面道路の幅を確保するために敷地を後退させるセットバックや、隣地の一部を買い取って間口を2m以上にする、といった手段で再建築可能な土地に変えられることもあります。
ただし、実現には道路の法的な扱いや建築計画の確認、隣地を取得する場合は所有者の協力や追加費用が必要です。
セットバックだけで接道の問題が必ず解消するわけではありません。
こうした土地は、現金で購入できる投資家などへの出口を持つ買取業者でなければ扱いが難しくなります。

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違法建築を放置するとどうなるのか
違法建築を放置しても、時間の経過で合法になることはありません。
むしろ状態が悪化すると、行政からの是正命令や、従わない場合の取り壊し命令・罰則、税負担の増加につながります。
ここでは放置した場合に実際に起きることを説明します。
是正命令に従わないと取り壊し命令や罰則がある
違法建築が発覚すると、行政の対応は段階的に進みます。
一般には調査や指導から是正を求められ、必要に応じて法に基づく命令が行われます。
空家法の「助言・指導→勧告」の流れと、建築基準法の違反是正を同じ手続きとして扱わないようにしましょう。
行政から連絡が来たら、違反内容と対応期限を確認します。
買取を検討している場合も、連絡を受けた事実を業者に伝えてください。
是正命令とは、違反建築物の所有者に対し、行政が違法状態の解消を法的に命じる処分のことです。
建築基準法第9条では、特定行政庁(市町村長など)が、工事の施工停止や、相当の猶予期限を付けて建物の除却・移転・使用禁止・使用制限などを命じられると定められています。
命令に従わない場合、行政が所有者に代わって除却などを行い、その費用を所有者に請求する行政代執行に進むこともあります。
命令や代執行までの手続きは、違反内容や緊急性によって異なります。買取の相談中でも、必要な対応を先延ばしにしないことが大切です。
しかし、指導を無視して放置し続けると段階が進みうるため、行政から連絡が来た時点で誠実に対応することが大切です。
命令に従わない場合には、3年以下の拘禁刑(2025年6月の刑法改正前は「懲役」)または300万円以下の罰金が科されることがあります。
出典:福島市「違反建築物への指導・是正(建築基準法第9条)」
出典:建築基準法(e-Gov法令検索)
違法建築に時効はなく放置しても合法化されない
「何年か経てば時効で合法になるのでは」と考える方もいますが、建築基準法に、一定期間が過ぎれば違法建築が合法化されるという規定はありません。
つまり、放置しても違法状態は解消されず、いつ行政の指導が入ってもおかしくない状態が続きます。
時間が経つほど建物は老朽化し、是正や解体にかかる費用もかさみます。
放置は問題を先送りするだけで、解決にはつながりません。
むしろ、老朽化が進むほど買取価格も下がりやすくなるため、早めに手放し方を決めるほうが手残りを確保しやすくなります。
通報されると行政の調査や指導が入る
違反は、近隣住民などからの通報をきっかけに発覚することがあります。
とくに、増築で日当たりや風通しが悪くなった、建物が敷地からはみ出しているといった場合に、近隣とのトラブルが通報につながることがあります。
通報を受けた行政が調査し、違反が確認されれば是正に向けた指導などが行われます。
買取を相談する際は、調査や指導を受けていることも共有しましょう。
通報は匿名でも可能なため、思わぬタイミングで行政の調査が入ることもあります。ただし、通報されたからといってすぐに取り壊しや罰則になるわけではありません。
指導で求められた内容と期限を確認し、具体的な是正方針を相談しましょう。
誠実に対応すれば必ずそこで終わる、というものではありません。
問題なのは対応を放置することで、その場合は前述の是正命令へと段階が進むおそれがあります。連絡が来たら早めに対応方針を決めることが大切です。
特定空家などへの勧告で固定資産税の軽減が外れることがある
建物を空き家のまま放置し、管理が行き届かない状態になると、「特定空家」に指定される可能性があります。
特定空家とは、放置すれば倒壊などの危険や衛生・景観上の問題があるとして行政に指定された空き家のことです。
住宅が建つ土地には「住宅用地の特例」があり、住宅1戸につき200㎡までの部分は固定資産税の課税標準が6分の1になります。
特定空家や管理不全空家について勧告を受けると、特例の対象から外れます。
指定されただけで直ちに軽減が外れるわけではなく、勧告が条件です。
査定では、行政からの通知書も確認資料になります。
固定資産税は「課税標準額×税率1.4%(標準税率)」で計算されます。
たとえば、評価額2,000万円の土地全体が小規模住宅用地に当たり、特例以外の調整を考えないとすると、課税標準は約333万円です。
標準税率1.4%で計算した固定資産税は年約4.7万円になります。
放置による税負担の増加は、手放す判断を先延ばしにするほど重くのしかかります。
使っていない物件を保有し続けるだけで、こうした固定費が毎年出ていく点も、早めに手放し方を決めるべき理由の一つです。
出典:横浜市:令和8年度固定資産税(土地)の税額計算の仕組み
出典:国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」
違法建築を買取で売却する流れと注意点
違法建築の買取は、査定の依頼から引き渡しまで、いくつかのステップで進みます。ここでは全体の流れと、売却時に必ず押さえておきたい注意点を説明します。
工事・残置物処分・登記などの負担者を確認し、買取代金から費用を引いた手残りと引き渡し時期を比べます。
買取業者に査定を依頼し条件を確認する
まずは、違法建築の買取実績がある業者に査定を依頼しましょう。
査定では、物件の場所・面積・違法の内容・接道の状況などをもとに買取価格が提示されます。
査定をスムーズに進めるために、手元にあれば次の書類を用意しておくとよいでしょう。なくても査定は依頼できますが、揃っているほど正確な価格が出やすくなります。
- 登記簿謄本(登記事項証明書)や公図
- 建物の図面・間取り図
- 検査済証や建築計画概要書(あれば)
- 増改築の履歴がわかる資料
このとき、提示された金額の根拠を必ず確認しましょう。
前述のとおり、買取価格は出口とそこにかかる費用から逆算されます。「どの出口を想定し、なぜこの金額になるのか」を説明できる業者ほど、価格の信頼性が高いといえます。
あわせて、残置物の処分や名義変更・境界確定などの費用をどちらが負担するかも確認しておくと、手残りを正確に把握できます。

違法建築物件の売却でお困りではありませんか?
本サイトの監修・協力会社であるAlbaLinkが運営する「訳あり物件買取プロ」では、空き家・共有持分・再建築不可物件など、売りにくい不動産の買取に対応しています。
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契約を結び物件を引き渡して現金化する
査定価格と条件に納得できたら、売買契約を結びます。
契約時には手付金が支払われ、その後の決済で残代金を受け取り、物件を引き渡して所有権を移転します。
買取では買い手を探す期間が不要です。
調査・資金・権利関係などの条件が整えば、契約から引き渡しまで最短数日~数週間の場合もあります。
相続や境界の整理が必要なときは、それ以上かかることもあります。
契約書には、契約不適合責任の扱いや引き渡し条件などが記載されます。内容に不明な点があれば、署名前に必ず確認しましょう。
専門業者との買取契約では、契約不適合責任を免責とする特約を設ける場合があります。
ただし、売主が知りながら告げなかった事実などは、免責特約があっても責任を免れません。
違反内容の開示と特約の範囲を確認しましょう。
買取でも違反内容を具体的に開示し書面に残す
売却時には、物件が違法建築であることを買主に正しく伝える必要があります。
仲介で一般の買主に売る場合は、宅建業者による重要事項説明で法令上の制限などが説明されます。
一方、個人から業者への直接買取は、一般の買主への売却と同じ重要事項説明の手続きになるとは限りません。
買取でも、把握している違反や行政指導を買主へ伝えることが重要です。
注意したいのは、「開示すればそれで安心」とは限らないことです。
伝え方が不十分だったり、買主が内容を誤解したりすると、引き渡し後にトラブルへ発展することがあります。
どの部分がどう違法なのかを具体的に説明し、記録に残しておくことが、後々のトラブルを防ぐうえで重要です。
実績のある信頼できる一社を見つける
違法建築の買取では、業者選びが結果を大きく左右します。
訳あり物件を扱った実績があり、買取後の使い道を具体的に描ける業者であれば、適正な価格で買い取ってもらいやすくなります。
一方で、注意したい業者もいます。
高い査定額を見せられても、調査後や契約直前に金額が変わる場合があります。
査定で何を確認済みか、どの条件で減額されるのかを確認せずに進めるのは避けましょう。高い査定額だけで飛びつくと、こうした値下げのリスクを負うことになります。
大切なのは、価格の根拠を明確に示し、費用負担の条件まで誠実に説明してくれる、信頼できる一社を見つけることです。
金額の高さだけでなく、説明の丁寧さや実績を見て判断しましょう。
よくある質問
- 違法建築でも解体しないと売れませんか?
-
解体は必須ではありません。
違法な状態のまま、現状で買取業者に売る方法があります。
工事を買主が引き受ける契約なら、売主の先払いを抑えられます。
ただし、工事費は買取価格に反映され、登記などの費用が別に残る場合もあります。
土地の需要が高いエリアでは解体して更地で売るほうが有利なこともあり、どちらがよいかは物件によって変わります。
- 違法建築の買取価格はどれくらい安くなりますか?
-
一般の売却でつく価格より下がるのが通常です。
下落幅は、是正や解体にかかる費用と、エリアの需要によって変わります。
違法の程度が軽ければ下落は小さく、再建築不可などで解消が難しい場合や需要の乏しい地方では、下落が大きくなることもあります。
金額の根拠を説明できる業者に査定を依頼するのが、実態を知る近道です。
- 違法建築だと知らずに相続した場合はどうすればいいですか?
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相続登記の準備と並行して、物件の現状(違法の内容・接道の有無・是正の可否)を確認し、買取相談を進められます。
買主へ所有権を移す前には相続登記が必要です。
遠方で通えない、他の相続人と早く話をまとめたいといった事情がある場合は、現状のまま買い取ってもらう方法が負担を抑えやすい選択肢です。
- 違法建築を放置していると時効で合法になりますか?
-
なりません。
建築基準法に、一定期間の経過で違法建築が合法化されるという規定はありません。
放置しても違法状態は続き、老朽化で是正・解体の費用がかさむうえ、買取価格も下がりやすくなります。
早めに手放し方を決めるほうが負担は軽くなります。
- 違法建築を売ったあとに買主とトラブルになりませんか?
-
買取でも、違反の内容を具体的に開示し、書面に残すことでトラブルを防ぎやすくなります。
開示が不十分だと契約不適合責任を問われるおそれがあるため、どこがどう違法かを具体的に説明することが大切です。
訳あり物件に強い買取業者では、契約不適合責任を免責にできる場合もあり、引き渡し後の不安を減らせます。
ただし、知りながら告げなかった事実などは免責されません。
まとめ|違法建築は放置せず買取で手放せる
違法建築は、住宅ローンの利用が難しく一般の買い手がつきにくいため、通常の仲介では手放しにくい物件です。
ただし、違反があることだけで売却が一律に禁止されるわけではありません。
現状買取・解体後の売却・是正後の売却・古家付き土地での売却という4つの方法を、条件に合わせて検討できます。
なかでも、是正や解体の先払いを抑え、引き渡し時期を相談して手放したい場合は、訳あり物件に強い買取業者への売却が現実的な選択肢です。
買取価格は出口から逆算されるため一般の売却より下がりますが、是正・解体の費用や手間を業者が引き受けてくれるケースもあり、結果的に負担が軽くなることも少なくありません。
放置しても違法状態は消えず、是正命令や取り壊し命令、固定資産税の増加といったリスクが残り続けます。老朽化が進むほど手残りも減っていきます。
違法建築を抱えて動けずにいるなら、まずは現状を正確に把握し、違法建築の取り扱いに慣れた信頼できる一社に相談することから始めてみてください。

