空き家を仲介に出しても買い手がつかず、その間も固定資産税と管理の負担だけが続いていく。
この「終わりの見えない負担」を終わらせる手段が、空き家買取です。
買取なら、一般の買い手を探す必要がないため、早ければ数日~1か月で現金化できます。
ただし、買取には仲介より価格が下がる、物件によっては断られることもある、といった事実もあります。
この記事では、そうした点も含めて、空き家買取のメリット・デメリット、相場の決まり方、失敗しない業者の選び方まで解説します。

株式会社AlbaLink(アルバリンク)
空き家や共有持分、再建築不可物件など、売れにくい不動産の買取を専門とする不動産会社。
空き家に関する豊富なノウハウをもとに、当記事の監修・作成協力を行っています。
- 東証グロース上場企業
- 年間相談件数25,000件超(2025年実績)
- 全国の不動産に対応
空き家の買取は不動産会社が物件を直接買い取る売却方法

空き家の買取とは、ひとことで言えば、不動産会社が自ら買主となって、あなたの空き家を直接買い取る方法です。
一般の買い手を探す「仲介」とは仕組みが根本的に異なり、買主探しの期間が不要なため、早ければ数日~1か月で現金化できるのが最大の特徴です。
ここでは、仲介と買取の決定的な違いと、なぜ業者が一般には売りにくい空き家を買い取って利益を出せるのかを解説します。
買主を広く探す「仲介」と「買取」の決定的な違い
仲介と買取の決定的な違いは、「誰が空き家を買うか」です。 この違いにより、売却にかかる期間や確実性が大きく変わります。
| 売却方法 | 空き家の買主 |
|---|---|
| 仲介 | 一般の個人 |
| 買取 | 不動産会社 |
仲介の場合、広告を出して買い手を待つため、売却までに数か月から半年以上かかることや、最悪いつまでも売れないリスクがあります。
一方の買取では、不動産会社が直接買い取るため、買主を探すプロセスが不要になり、最短数日~1か月という短期間で売却が成立します。
では、なぜ不動産会社は一般の個人が敬遠するような古い空き家を買い取れるのでしょうか。
それは、買い取った空き家にリフォームや解体を施して再生し、再販売することで利益を得るビジネスモデルだからです。
一般の個人にとっては「住むには難ありの家」でも、再生ノウハウを持つ専門業者にとっては「手を加えれば価値を生み出せる商品」になります。
この視点の違いこそが、古い空き家でも買取が成立する最大の理由です。
空き家を買取で売却する6つのメリットは?

空き家の買取には、仲介にはない明確なメリットがあります。
売れずに放置されがちな空き家を、確実に・早く・手間なく手放すために、以下の6つのメリットを押さえておきましょう。
これらのメリットは、終わりの見えない維持費や管理の不安を直接軽くしてくれます。 それぞれ具体的に解説します。
買主を探す期間が不要なため短期間で現金化できる
空き家を買取に出す最大のメリットは、買主を探す期間が一切不要で、短期間で現金化できることです。
早ければ数日、通常でも1か月程度あれば、空き家が現金に変わります。
仲介では買い手が現れるまで数か月から半年以上待つこともあり、その間ずっと固定資産税や管理の負担を抱え続けることになります。
一方の買取なら、査定額に合意した時点で売却の見通しが確定します。
相続税の納税資金が必要な場合や、次の生活のために早く現金化したい事情がある場合に、買取のスピードは特に頼りになります。
不確実なままだらだらと続く不安を、明確な期限を持って終わらせられるのが買取の強みです。
不動産会社が直接買うため仲介手数料がかからない
買取では、仲介で必ずかかる「仲介手数料」が一切かかりません。
不動産会社自身が買主になるため、売主と買主の間を取り持つ仲介という行為が存在しないからです。
仲介手数料は、売買価格が400万円を超える場合、「売買価格×3%+6万円+消費税」が上限と定められています。
たとえば1,000万円で売れた場合、約36万円に消費税を加えた額の出費となります。
買取ではこれがゼロになるため、提示された買取価格がほぼそのまま手取りになります。
空き家の買取価格と仲介の手取り額を比べるときは、この手数料の差も含めて考えることが大切です。
不用品撤去やリフォームをせず現状のまま売却できる
買取なら、家具やゴミが残ったまま、老朽化した現状のままで空き家を売却できます。
買い手である不動産会社が、残置物の処分も解体も自社で行うことを前提に査定するため、リフォームや掃除すら一切不要です。
一般の方が自費で残置物を撤去しようとすると、ゴミ屋敷状態では約90万円かかったケースもあるほど高額になります。
さらに、これだけの費用をかけて綺麗にしても、その分が売却価格にそっくり上乗せされる保証はありません。
それなら、片付けにかかる手間も費用もプロに任せ、現状のまま買い取ってもらう方が合理的です。
遠方に住んでいて片付けに通えない方や、量が多すぎて手に負えない方にとって、大きな負担軽減になります。
引き渡し後の契約不適合責任を免除してもらえる
買取では、売却後に物件の不具合が見つかっても責任を問われない「契約不適合責任の免除」を受けられるのが一般的です。
契約不適合責任とは、引き渡した物件に雨漏りやシロアリなどの見えない欠陥があった場合、売主が修補や損害賠償に応じなければならない責任のことです。
仲介で一般の個人に売る場合、引き渡し後にこの責任を追及されるリスクが常につきまといます。
しかし買取では、買い手であるプロの不動産会社が物件の状態を承知のうえで買い取るため、この責任が免責されるのが通例です。
売った後に何か問題が起きるのではという不安を抱えずに、すっきりと手放せます。
広告を出さないため周囲に知られずに売却できる
買取は、不動産ポータルサイトへの掲載やチラシ配布といった広告活動を行わないため、近所や親戚に秘密裏に売却できます。
仲介では広く買主を募るため、「あの家が売りに出ている」と周囲に気づかれてしまうリスクがあります。
相続でもめている、経済的な事情があるなど、親が住んでいた家を手放すことを親戚に知られたくない事情がある場合、広告で公になるのは避けたいものです。
買取なら不動産会社と売主の相対取引で完結するため、物件情報が市場に公開されることはありません。
プライバシーを守りながら静かに空き家を手放したい方に、買取は適した方法であると言えます。
早めに空き家を手放すことで維持費を削減できる
買取で空き家を早く手放せば、所有している限りかかり続ける維持費から解放されます。
空き家は誰も住んでいなくても、固定資産税、火災保険料、定期的な管理費用などが毎年かかり続けます。
立地や規模によっては年間十数万円から数十万円にのぼり、仲介で売れ残る期間が長引くほどこの維持費を払い続けることになります。
買取なら短期間で売却が完了するため、この出費を早い段階で確実に止められます。
たとえば年間20万円の維持費がかかる空き家を、仲介で1年かけて売るか、買取で1か月で手放すかでは手残りに大きな差が出ます。
「早く手放す」こと自体が確実な節約となり、終わりの見えない維持費の流出を断ち切ってくれます。
空き家を買取で売却する3つのデメリットは?

買取には大きなメリットがある一方で、知っておくべきデメリットもあります。
後悔しない選択をするために、以下の3点を事前に理解しておきましょう。
買取のメリットと天秤にかけて検討できるよう、一つずつ解説します。
買取価格は仲介より安くなる傾向にある
空き家を買取で売却する最大のデメリットは、売却価格が仲介市場の「6~8割程度」に安くなる点です。
安くなる理由は、買取業者が買い取った空き家にリフォームや解体を施して再販し、その差額で利益を得る仕組みだからです。
査定額は、「再販想定価格」から「リフォーム費・解体費・自社の利益」を逆算して決まります。
たとえば再販で1,000万円見込める物件でも、リフォーム等に数百万円のコストがかかる場合、買取価格は市場価格の6~8割に収まります。
ただし、仲介で高く売るには、買い手を待つ時間、内覧の手間、売れ残りリスク、売却後の契約不適合責任などを自ら引き受ける必要があります。
安くなる分の価格差は、これらすべてのリスクや手間を業者が代わりに引き受ける「安心代・スピード代」と捉えることもできます。
老朽化が激しい場合などは買取を断られることがある
買取は、どんな空き家でも必ず成立するわけではありません。
老朽化が極端に激しい物件や、需要がまったくない過疎地の物件などは、一般的な業者に買取を断られることがあります。
理由は、買取業者の多くが物件を再生・再販して利益を得るビジネスモデルだからです。
解体に200万円かかるのに土地が100万円でしか売れないような「解体費が土地の価値を上回るケース」では、再販しても利益が出ないため買取対象から外れてしまいます。
ただし、こうした「普通の業者が断る物件」こそ、独自の再生・活用ノウハウや特殊な再販ルートを持つ「専門の買取業者」の出番です。
一社に断られても諦めず、訳あり物件や空き家専門の業者に相談する価値は十分にあります。
全ての不動産会社が買取に対応しているわけではない
意外と知られていませんが、街の一般的な不動産会社に相談しても「うちは買取はやっていない」と断られることがあります。
不動産を直接買い取るには、物件を購入する「まとまった資金力」と、再生して利益を出すための「独自ノウハウ」が必要だからです。
仲介だけを専門にしている不動産会社は、こうした資金やノウハウを持たないため、そもそも買取に対応できません。
そのため、買取を依頼するなら、空き家や訳あり物件の買取を積極的に手がけている専門業者を選ぶ必要があります。
専門業者ほど再生ノウハウが蓄積されているため、古い物件にも価値を見出し、適正な価格で買い取れる可能性が高くなります。
空き家の買取価格の目安相場と査定の仕組み
空き家の買取を検討するうえで、最も気になるのが「いくらで買い取ってもらえるのか」でしょう。
先述した通り、空き家の買取価格は市場価格の「6~8割程度」が目安です。
仲介より安くなりますが、その金額がどう決まるのかという査定の仕組みを理解すれば、提示された価格が妥当かどうかを自分で判断できるようになります。
ここでは、空き家の買取価格の目安相場や、その根拠となる査定の仕組みについて解説します。
空き家の買取相場は市場価格の6~8割程度になる
空き家の買取価格は、仲介で売れる市場価格の6~8割程度になるのが一般的です。
これは、買取業者が買い取った空き家をリフォーム等して再販することで利益を得るビジネスモデルであり、査定額が「再販想定価格-リフォーム費・解体費・自社利益」で計算されるためです。
割合に6~8割という幅があるのは、物件によって再生にかかるコストが異なるからです。
手直しが少なくて済む比較的新しい物件なら市場価格の8割近くになりますが、大規模なリフォームや解体が必要な物件は、その費用が差し引かれて6割程度まで下がります。
ここで大切なのは、この水準を「仲介で売却した際の手取り」と正しく比較することです。
仲介では市場価格で売れても、そこから仲介手数料が引かれ、売れるまでの維持費、内覧の手間、売却後の契約不適合責任などを自ら負うことになります。
買取で安くなる分の価格差は、これらすべてのリスクや維持費を回避し、確実に手放すための「安心代・スピード代」と捉えることもできます。
立地や建物の状態・解体コスト等で価格は変動する
買取価格は、立地・建物の状態・解体のしやすさといった要素で大きく変動します。
同じ空き家でも、以下の条件によって再生にかかるコストや再販のしやすさが変わるためです。
価格が高くなりやすいのは、需要のある人気エリアで、建物の手直しが少なくて済む物件です。再販しやすく、かけるコストも小さいため、買取価格は上がりやすい傾向にあります。
逆に、価格が下がりやすいのが、解体に余計なコストがかかる物件です。
たとえば、前面道路が狭くて重機が入れず、人の手で解体する「手壊し解体」が必要な物件は、解体費が通常より大幅に高くなるので、その分買取価格が引き下げられます。
また、いわゆる旗竿地(細い通路の奥にある土地)や傾斜地なども、工事の難易度が上がるため価格が下がりやすい要因になります。
自分の空き家がどの要素に当てはまるかを把握しておくと、提示された査定額の妥当性を判断しやすくなります。
築20年以上の空き家は建物価値がほぼゼロになる
築20年以上の空き家は、建物そのものの価値がほぼゼロと評価されるのが一般的です。
その根拠は「木造住宅の法定耐用年数(22年)」にあり、これを超えると建物の会計上の価値はゼロと見なされるためです。
実際の取引でも、築20年を超えた木造の空き家は建物にほとんど値が付かず、「土地の価値-解体費用等」が査定のベースになります。
建物が価値を生まないどころか、解体にコストがかかる分、マイナス要素として扱われることすらあります。
「実家には価値があるはず」と思っていても、築古の木造であれば値が付くのは土地のみであるという現実を理解しておけば、冷静に査定額を判断できます。
【状況別】買取が特に向いている空き家の特徴は?
「自分の空き家は買取に向いているのか」を判断するために、買取が特に適したケースを整理します。
結論から言うと、一般の仲介では売りにくい「訳あり」の空き家ほど、買取が向いています。
仲介では買い手がつかず放置されがちな物件こそ、専門業者の買取が真価を発揮するからです。
ここでは、買取が特に向いている4つのタイプを取り上げます。
接道義務を満たしていない再建築不可の空き家
今ある建物を取り壊すと新しい家を建てられない「再建築不可物件」の空き家は、買取が特に向いています。
再建築不可になる主な原因は、建築基準法上の接道義務(道路に敷地が2m以上接すること)を満たしていないためです。
建て替えができない家は住宅ローンの審査が通らず、現金で買える人にしか売れません。
その結果、価格は同じエリアで接道義務を満たしている一般的な土地と比べて、「3割程度」まで下落するのが現実です。
しかし、再建築不可物件を専門に扱う買取業者であれば、建物を解体せずにリフォームして賃貸再生したり、隣地の所有者に売却して一体の土地として活用したりと、独自の出口戦略を持っています。
そのため、一般市場で3割まで落ちる物件でも、専門業者なら適正価格で買い取れる可能性があります。
荷物や不用品が大量に残っているゴミ屋敷状態の空き家
家具やゴミが大量に残ったゴミ屋敷状態の空き家も、買取が非常に向いています。
一般の仲介では自費での片付けが前提になりますが、ゴミ屋敷の残置物撤去を自費で行うと「約90万円」かかるケースもあるほど高額です。
多額の費用をかけて片付けても、その分が売却価格に上乗せされる保証はありません。
一方、買取業者ならトラックの手配から仕分け、処分まですべて引き受けるため、売主は何もする必要がありません。
ゴミや家具が散乱したままの状態で現地を見てもらい、そのまま買い取ってもらえます。
遠方に住んでいて通えない、高齢で作業ができない、量が多すぎて手に負えないという方にとって、「片付け不要」は何よりの負担軽減になります。
過去に事件や事故が起きた事故物件の空き家
過去に事件や事故、孤独死などがあった「事故物件」の空き家は、買主に心理的な抵抗(心理的瑕疵)を与えるため、買取が向いています。
事故物件の価格下落には、以下のような一定の目安があります。
| ケース | 目安価格 |
|---|---|
| 孤独死・自然死・病死 | 相場より1~3割減 |
| 自死(自殺) | 相場より1.5~5割減 |
| 事件性のある死 | 相場より5~7割減 |
※事件性や周知の度合い、地方か都心かによってはさらに変動します
これだけ下落すると、一般の仲介で買い手を見つけるのは極めて困難です。
また、事故物件には過去の出来事を買主に伝える「告知義務」があり、隠して売ると後で損害賠償等を求められるリスクがあります。
専門業者は、心理的瑕疵のある物件を活用するノウハウを持ち、過去の経緯をすべて開示する透明性の高い取引を前提としているため、隠し事のない誠実な売却が可能です。
共有者との話し合いがまとまらない共有名義の空き家
複数人で共有している空き家で、他の共有者と話し合いがまとまらない場合も、専門業者への「買取」が有効です。
空き家全体を売却するには共有者全員の同意が必要ですが、「自分の持分だけ」なら他の共有者の同意なしに単独で売却できるからです。
兄弟姉妹で相続して持分が分かれている場合、以下のようなトラブルに陥りがちです。
- 一人でも反対すると、物件全体の売却や解体ができない
- 話し合いがこじれて何年も「塩漬け状態」になる
- 放置している間も、固定資産税などの維持費がかかり続ける
しかし、自分が持っている持分(たとえば3分の1)だけであれば、他の共有者の関与なしに単独で売却することが法律で認められています。
共有持分を専門に扱う買取業者に持分を売却すれば、親族間で合意できない膠着状態からでも、自分だけは現金化して面倒なトラブルから合法的に抜け出せます。
共有者ともめて動けずにいるなら、「自分の持分だけを手放す」という解決策があることをぜひ知っておいてください。
空き家買取で失敗しないための業者の選び方
空き家買取の成否は、業者選びで大きく変わります。
同じ空き家でも、依頼する業者によって買取価格に数百万円の差が出たり、手続きの任せやすさが違ってくるからです。
ここでは、失敗しないための空き家買取業者選びのポイントとして、以下の4つを解説します。
この4つを押さえれば、あなたの空き家を適正に評価してくれる信頼できる業者を見極められます。
空き家や訳あり物件の買取実績が豊富な業者を選ぶ
業者選びでまず重視すべきは、空き家や訳あり物件の「買取実績の豊富さ」です。
実績が多い業者ほど、古い物件にも価値を見出すノウハウを持っており、結果的に他社より高く買い取れる可能性が高いためです。
具体的には、老朽化した家のリフォーム、再建築不可の土地活用、事故物件の用途転換など、多様な「出口」を知っている業者ほど、一見価値がなさそうな物件にも値を付けられます。
逆に、経験が浅い業者は再生方法がわからず、低い査定額しか出せないか、買取自体を断ることも少なくありません。
依頼前には、ホームページなどで自分の物件と似た買取事例が公開されているか、必ず確認しましょう。
査定額の根拠を実費ベースで説明してくれる業者を選ぶ
信頼できる業者かどうかは、査定額の「根拠」を実費ベースで論理的に説明してくれるかで見極められます。
買取価格は、再販想定価格からリフォーム費・解体費・自社の利益などを差し引いて決まるためです。
誠実な業者であれば、「解体費に〇〇万円、リフォームに〇〇万円かかるため、この価格になります」と内訳を隠さずに開示してくれます。
逆に、「だいたいこのくらいです」と根拠を曖昧にしたり、相場より極端に高い金額で契約を急がせたりする業者には注意が必要です。
根拠のない高値は、後から不当な減額を要求されるなど、トラブルの原因になります。
司法書士などと提携し権利関係の整理も任せられる業者を選ぶ
相続した空き家を売却する場合は、司法書士や弁護士などの専門家と提携している業者を選ぶと安心です。
相続登記が済んでいない、あるいは共有名義が複雑になっているといった権利関係の整理を、ワンストップで任せられるからです。
こうした手続きを自分で進めるには、戸籍の収集や書類作成など多大な手間がかかります。
しかし専門家と連携している買取業者なら、たとえば未完了の相続登記を進めながら、並行して買取手続きを進めることも可能です。
とくに権利関係に不安がある場合は、専門家によるサポート体制が整っているかを必ず確認しましょう。
複数の業者に査定を依頼し価格や条件を比較する
最後に最も重要なのが、最初から1社に絞らず、「複数の業者に査定を依頼(相見積もり)」して比較することです。
同じ空き家でも、業者ごとに得意とする再販ルートや活用方法が異なるため、査定額に数百万円の差が出ることがあるからです。
たとえば、建物をリフォームして賃貸にするのが得意な業者と、解体して土地として転売するのが得意な業者とでは、物件に対する評価が大きく変わります。
比較する際は、提示された価格の高さだけでなく、査定根拠の明確さや担当者の誠実さなどもあわせて確認してください。
少しの手間をかけることが、空き家買取で大きく損をするリスクを防ぐ最大の防御策になります。
空き家の買取業者に査定を依頼してから引き渡すまでの流れ

空き家の買取は、仲介のように買主を待つ期間がないため、全体で数日~1か月程度とスピーディーに進みます。
具体的な手順は、以下の4ステップです。
- WEBや電話から査定を依頼する
- 買取業者が現地調査を行う
- 査定額に納得出来たら売買契約を結ぶ
- 引き渡し・決済を行う
ここでは、各ステップで何が行われるのかを解説します。
専門の買取業者に査定を依頼して相場を把握する
空き家買取の第一歩は、物件の基本情報(住所・面積・築年数など)をもとにおおまかな価格を算出する「机上査定」を依頼することです。
現地を見ずに書類上の情報だけで行う概算ですが、ご自身の空き家がどのくらいの価格帯になるかの見当をつけるには十分役立ちます。
ここで大切なのは、最初から1社に絞らず、複数の業者に机上査定を依頼することです。
買取価格は業者によって差が出るため、複数社の概算を比較して初めておおよその「相場感」をつかむことができます。
机上査定は無料で対応している業者がほとんどなので、まずは気軽に複数社へ依頼し、相場の幅を把握することから始めましょう。
現地調査を受けて正確な買取価格を提示してもらう
机上査定で候補を絞ったら、次は実際に業者が現地を訪れて物件や周辺環境を確認する「現地調査」を受けます。
この工程で初めて正確な買取価格が提示されるため、買取において最も重要なステップです。
なぜ現地調査が必須かというと、図面や書類だけでは分からない「価格を左右する罠」が現地には無数に潜んでいるからです。
たとえば、図面上は道路となっていても実際は私道で水道管工事の掘削承諾が得られなかったり、道幅が狭くセットバックが必要で家が小さくしか建てられなかったりするケースがあります。
こうした再販価格や活用方法に直結するリスクは、経験豊富なプロが現地を見て一つずつ確認しなければ見抜けません。
逆に言えば、現地も見ずに安易に高い金額を出す買取業者には注意が必要です。
提示された査定額や条件に合意し売買契約を締結する
提示された買取価格と引き渡し条件に納得できたら、売買契約を締結し、手付金を受け取ります。
このとき、価格だけでなく「契約不適合責任の免責」といった買取ならではの条件が、契約書にきちんと盛り込まれているかを確認することが大切です。
後から「聞いていない」というトラブルを防ぐためにも、価格の根拠や免責事項などの条件は、その場で納得いくまで業者に確認しましょう。
信頼できる買取業者であれば、こうした質問にも実費ベースで明確に答えてくれます。
逆に、説明が曖昧だったり、確認を急かしたりする業者との契約は避けるべきです。
必要書類を準備し物件の引き渡しと決済を行う
売買契約を結んだら、最後は必要書類を準備して残代金の受け取りと物件の引き渡し(決済)を行います。
引き渡しには、登記済権利証(または登記識別情報)、本人確認書類、固定資産税の納税通知書などが必要です。
決済当日は、買主である不動産会社から残代金を受け取り、司法書士による「所有権移転登記」の手続きと鍵の引き渡しを行ってすべて完了となります。
これ以降、固定資産税の支払いや建物の管理責任はすべて業者に移ります。
なお、相続した空き家で名義が亡くなった方のままになっている場合は、事前に相続登記(名義変更)が必要です。
専門の買取業者であれば提携する司法書士と連携して手続きをサポートしてくれるため、安心して任せることができます。
空き家買取で発生する税金と負担を抑える特例
空き家を買取で売却する際にも、税金がかかる場合があります。
ただし、利益が出なければ課税されないものもあり、税負担を大幅に軽くする特例も用意されています。
ここでは、買取で発生しうる税金と、手取りを最大化するための特例として以下の5つを解説します。
仕組みを知っておけば、必要以上に税金を恐れることなく売却を進められます。
利益が出た場合は譲渡所得税と住民税がかかる
空き家を売却して利益(譲渡所得)が出た場合は、その利益に対して「譲渡所得税と住民税」がかかります。
利益が出なければこれらの税金はかからないため、まずはこの原則を押さえておきましょう。
課税対象となる譲渡所得は、以下の式で計算します。
譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)
ここがプラスになって初めて課税対象になり、マイナスなら非課税です。
相続した古い空き家を買取で手放す場合、取得費や譲渡費用を引くと利益が出ない(またはごくわずか)ケースも多く、その場合は税金の心配は不要です。
利益が出た場合の税率は、売った年の1月1日時点での所有期間によって以下のように変わります。
| 所有期間 | 所得税率 |
|---|---|
| 5年以下(短期譲渡) | 39.63% |
| 5年超(長期譲渡) | 20.315% (※所得税・住民税・復興特別所得税の合計) |
なお、相続した空き家は亡くなった方の取得日を引き継ぐため、ほとんどのケースで税率の低い「長期譲渡」に該当します。
書面で売買契約を交わす場合は印紙税がかかる
譲渡所得税とは異なり、売却益の有無にかかわらず、紙の契約書を作成する際に必ず発生するのが「印紙税」です。
不動産の売買契約書を作成する際、契約金額に応じた収入印紙を貼り、消印(割印)をすることで納める税金であり、買取・仲介どちらの取引でも発生します。
なお、近年普及している電子契約(クラウドサイン等)を利用して電子データで契約を交わす場合は、印紙税は一切かかりません。
紙の契約書を使用する場合、印紙税の金額は契約金額に応じて高くなりますが、不動産の売買契約書には軽減措置が適用されます。
主な金額表(軽減税率適用後)は以下の通りです。
| 空き家の売買価格 | 印紙税額 |
|---|---|
| 500万円超~1,000万円以下 | 5,000円(本則:1万円) |
| 1,000万円超~5,000万円以下 | 1万円(本則:2万円) |
空き家買取を紙で契約する場合は、売却において必ずかかる経費として、あらかじめ資金計画に見込んでおきましょう。
空き家の3000万円特別控除で税金を抑えられる
相続した空き家を売却する際にぜひ知っておきたいのが、「空き家の3,000万円特別控除」です。
要件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を控除でき、譲渡所得税がゼロになるケースも多い非常に節税効果の高い制度です。
主な適用要件は以下の通りです。
- 1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられた旧耐震の戸建てであること
- 相続開始直前まで亡くなった方が一人暮らしをしていたこと
- 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
ここで絶対に見逃せないのが、3つ目の「適用期限(3年後の年末)」です。
仲介で買い手を探しているうちにこの厳格な期限が迫り、控除を受けられなくなるケースは珍しくありません。
その点、買取であれば最短数日~1か月で確実に売却が完了するため、期限切れのリスクを避けて特例を使い切るという観点でも非常に有利です。
相続税を納付した場合は取得費加算の特例を利用できる
相続税を納めた人が相続した空き家を売却する場合、「取得費加算の特例」を利用できます。
納付した相続税の一部を売却時の「取得費」に加算し、譲渡所得を圧縮することで税負担を軽くする制度です。
ただし、利用には以下の点に注意が必要です。
- 相続開始から約3年10か月以内(相続税の申告期限の翌日から3年以内)に売却すること
- 「空き家の3,000万円特別控除」とは併用できないこと
両方の要件を満たす場合、基本的には控除額の大きい3,000万円特別控除の方が有利ですが、多額の相続税を納めている場合は取得費加算の方が得になるケースもあります。
手取りが変わる重要な判断になるため、該当する場合は税理士へのシミュレーション依頼が確実です。
売却額が500万円以下なら低未利用土地等の特別控除も検討する
買取によって売却額が下がり、500万円以下になった場合に検討する価値があるのが、「低未利用土地等の100万円特別控除」です。
長く利用されていない土地の売却を後押しする特例で、要件を満たせば長期譲渡所得から100万円を控除できます。
主な要件は以下の通りです。
- 売却価格が土地と建物あわせて500万円以下(一部区域は800万円以下)
- 都市計画区域内にあること
- 売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていること
- 令和10年(2028年)12月31日までに譲渡すること
利用には、所在地の市区町村で「低未利用土地等確認書」の交付を受け、確定申告を行う必要があります。
買取では市場価格の6~8割になるため、もともと低額な地方の空き家などは売却額が500万円以下に収まりやすく、この控除が効果を発揮するケースがあります。
空き家の買取で後悔しないために押さえておくべき注意点
空き家の買取で後悔しないために、必ず押さえておくべき以下の4つの注意点を解説します。
とくに最後の「有料引き取り」は目を背けたくなる現実かもしれませんが、損や失敗を避け、正しく空き家買取を判断するうえで欠かせない事実です。 一つずつ見ていきましょう。
相場を知らないと悪質な業者に買い叩かれるリスクがある
買取で最も避けたい失敗は、相場を知らないまま悪質な業者に不当に安く買い叩かれることです。
自分の空き家のおおよその価値を知らないと、知識不足につけ込まれ、「古いから」「立地が悪いから価値がほとんどない」という言葉を信じて、相場より大幅に安い金額で手放してしまう危険があります。
これを防ぐ最も確実な方法は、複数の業者へ査定を依頼(相見積もり)することです。
複数社を比較すればおおよその相場が見えてくるため、1社だけが極端に低い金額を出していれば買い叩きだと気づけます。
相場という「ものさし」を持つことが悪質業者から自分を守る盾になるため、面倒でも必ず複数社を比較し、提示額の妥当性を確かめてください。
相続した空き家は売却前に必ず相続登記を完了させておく
相続した空き家を買取に出す場合は、売却前に必ず「相続登記(名義変更)」を済ませておく必要があります。
亡くなった方の名義のままでは売買契約が結べず、買取業者も買い取ることができないためです。
また、2024年4月から相続登記は義務化されており、以下のルールが適用されます。
- 不動産取得を知った日から3年以内の登記申請が必須
- 正当な理由なく放置すると10万円以下の過料(罰則)の対象になる
「売るときにまとめてやればいい」と後回しにすると、いざ売ろうとした時に名義変更が済んでおらず、すぐに契約できない事態に陥ります。
相続したら早めに登記に着手し、もし手続きに不安がある場合は、司法書士と提携して相続登記と買取を並行して進めてくれる買取業者を選ぶのも有効な方法です。
事前の解体やリフォーム・残置物撤去を行わない
空き家を買取に出すなら、事前に解体やリフォーム、残置物の撤去を「行わない(現状のまま査定に出す)」のが鉄則です。
買取業者は自社でそれらを行う前提で査定するため、売主が先に費用をかけても、その分がそのまま査定額に上乗せされる保証はなく、費用倒れして損をするケースが大半だからです。
たとえば、自費で100万円かけて残置物を撤去しても買取価格が100万円上がるとは限らず、多くは持ち出し(赤字)になります。
だからこそ、汚れていても、荷物が残っていても、老朽化していても、何も手を加えず「現状のまま」引き渡すのが正解です。
買取業者は解体や撤去にかかる費用を考慮したうえで査定額を出すので、売主側が先回りして費用を負担する必要はまったくありません。
状態や立地によっては有料引き取りになるケースもある
最後に押さえておきたいのが、空き家の状態や立地によっては買取価格がつかず、逆にお金を払って引き取ってもらう「有料引き取り(マイナス査定)」になる現実です。
都合の悪い事実ですが、これは以下の3つの悪条件が重なった物件で起こります。
- 直せない(老朽化が激しくリフォーム費用が売却価格を上回る)
- 壊せない(重機が入らない等の理由で解体費が極端に高い)
- 需要がない(再販・活用の見込みが立たない)
こうした物件は処分コスト(解体費等)が土地の価値を上回るため、業者は買い取るだけで赤字となり、その差額を売主に負担してもらう形になります。
お金を払って空き家を手放すことに抵抗を感じる人が多いのは当然です。
しかし持ち続ける限り固定資産税はかかり続け、倒壊や事故で他人に損害を与える賠償リスクも残り続けます。
有料引き取りは、こうした「終わりの見えない負担」を断ち切り、長く維持されてきた家を整理して次の世代へ負担を残さないための、後ろ向きではない合理的な選択といえます。
まとめ|空き家買取は負担から解放されるための手段
空き家の買取には「市場価格の6~8割程度に下がる」というデメリットがある一方で、それを上回るメリットがあります。
とくに、一般の仲介では売りにくい「再建築不可」「ゴミ屋敷」「事故物件」「共有持分」といった空き家ほど、専門業者の買取が真価を発揮します。
また、相続した空き家における3,000万円特別控除など期限付きの特例を逃さないためにも、スピーディーな売却は有効な選択肢です。
空き家の売却で失敗しないためには、買取価格が下がる・場合によっては有料引き取りになるといった「都合の悪い事実」も正しく理解することが大切です。
そのうえで、買取実績が豊富で査定根拠を明確に示してくれる業者を見極めて、ご自身の空き家に合った手放し方を選びましょう。

アルバリンクは、空き家・共有持分・再建築不可物件など、 一般的な不動産会社では扱いが難しい不動産に特化した買取業者です。
- 東証グロース上場企業
- 年間相談件数25,000件超(2025年実績)
- 全国の不動産に対応


