事故物件が売れない5つの原因は?大手に断られても手放したいときの対処法

事故物件を売りに出したけど、何カ月経っても内見すら入らない。大手や地元の不動産会社に相談したら「うちでは扱えません」と断られた。

事故物件を抱えて、こうした手詰まりに悩んでいる方は少なくありません。

結論から言えば、事故物件が売れないのには、はっきりとした原因があります。

そしてその原因は、死因の重さ・立地の需要・建物の老朽・価格設定・告知の伝え方という5つの要因に分けて見分けられます

原因がわかれば、打つべき手は絞れます。ただし、どんなに手を尽くしても仲介では売れない物件があるのも事実です。

この記事では、売れない原因の見分け方から、値下げや清掃・買取への切り替えといった対処法までを解説します。

あわせて、「値下げしても売れないとき」の現実的な出口まで、都合の悪い事実も含めて整理します。

この記事の監修者

株式会社AlbaLink(アルバリンク)

空き家や共有持分、再建築不可物件、事故物件、ゴミ屋敷など、売れにくい不動産の買取を専門とする不動産会社。

豊富な実務知見をもとに、当記事の監修・作成協力を行っています。

  • 東証グロース上場企業
  • 年間相談件数25,000件超(2025年実績)
  • 全国の不動産に対応
目次

事故物件が売れないのは心理的な抵抗により買い手が絞られるから

事故物件が売れないのは、人の死という事実に対して、買主の多くが強い心理的な抵抗を感じるためです

さらに売主には過去の人の死を伝える「告知義務」があり、事実を隠して売ることはできません

加えて、事故物件の情報がインターネットで広く知られていることも、買い手を絞り込みます。

まずは「なぜ売れないのか」という構造を押さえることが、正しい対処の出発点になります

事故物件とは人の死で買主が抵抗を感じる物件のこと

事故物件とは、過去に自殺・他殺・特殊清掃を伴う孤独死などの「人の死」があり、買主が住み心地の良さを欠くと感じる、心理的瑕疵(しんりてきかし)のある不動産のことです。

特殊清掃とは、孤独死や事件の現場で、専門業者が消臭や原状回復を行う清掃のことです。

「瑕疵(かし)」とは、その不動産が持つ欠点や不具合を指し、大きく4種類に分けられます。

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瑕疵の種類概要
心理的瑕疵過去の人の死などにより、買主が心理的な抵抗を感じる要因
物理的瑕疵雨漏り・シロアリ被害・傾きなど、建物そのものの不具合
法律的瑕疵再建築不可や違法建築など、法律上の制限による欠点
環境的瑕疵騒音・悪臭・近隣トラブルなど、周辺環境による要因

心理的瑕疵とは、物件そのものの物理的な欠陥ではなく、買主が心理的に住み心地の良さを欠くと感じる欠点のことです。

事故物件が売れにくいのは、建物そのものに欠陥があるからではありません。

「その場所で人が亡くなった」という事実に対して、買主が心理的な抵抗を感じるという、目に見えない要因が価格と流動性を下げているのです

売れない最大の原因は買主の多くが事故物件を避けること

事故物件が売れない根本には、そもそも「人が亡くなった家には住みたくない」と感じる買い手が多い、という現実があります。

実際に、事故物件への入居や購入に抵抗を感じる買い手は少なくなく、これが買い手の母数を最初から大きく狭めています

ここで押さえておきたいのは、通常の不動産売却と「買い手の母数」が根本的に違うという点です。

一般の中古住宅であれば、価格や立地が合えば幅広い層が購入を検討します。

しかし事故物件は、その事実を知った時点で多くの買い手が候補から外れます

残るのは「価格が十分に安ければ気にしない」という一部の層に限られるため、買い手の数が最初から絞られているのです

これは、後で説明する「地方ほど売れにくい」「値下げしても売れないことがある」という現象の出発点にもなります。

告知義務があるため事故の事実は隠して売ることができない

告知義務とは、買主の購入判断に重要な影響を与える事実を、売主や不動産会社が事前に伝えなければならない義務のことです。

事故物件における過去の人の死は、まさにこの重要な事実に当たります。

「黙っていれば売れるのでは」と考える方もいますが、事故の事実を隠して売ることはできません

国土交通省は2021年に「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を公表しました。

そこでは、不動産会社が人の死を「どこまで・どのように」買主へ伝えるべきかの指針が示されています。

売買の場合、この告知義務に明確な時効はなく、過去にさかのぼって伝える必要があります。隠して売ると、後述するように契約解除や損害賠償に発展しかねません。

事故物件の情報は調べればわかる情報として広まっている

事故物件の情報は、売主が思っている以上に外部へ広まっています。

代表的なのが、過去に事件や事故があった物件を地図上に掲載する「大島てる」などの事故物件情報サイトです。

不動産会社も査定の際にこうしたサイトを確認するのが一般的で、買い手や周辺住民が事実を知る手段にもなっています。

つまり、事故物件であることは「隠せる情報」ではなく「調べればわかる情報」です

この前提に立てば、事実を隠して売ろうとするより、正直に告知したうえで、買い手の不安を減らせる売り方を選ぶほうが、結果的にスムーズに手放せます

【自己診断】あなたの事故物件が売れない5つの原因

事故物件が売れない原因は、死因の重さ・立地の需要・建物の老朽・価格設定・告知の伝え方という5つの要因に分けて見分けられます

多くの場合、原因は1つではなく複数が重なっています。

まずは自分の物件がどの要因でつまずいているかを特定すると、次に打つべき手が絞れます。

次のチェックリストで、当てはまるものを確認してみてください。

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確認ポイント当てはまると売れにくい理由
死因が自殺・他殺など事件性が高い買主の心理的な抵抗が特に強くなる
地方・郊外にあり周辺の人口が少ないそもそも住みたい買い手の数が少ない
長く空き家で建物が傷んでいる修繕費の負担が買主に敬遠される
相場を意識せず希望価格のまま売り出している心理的瑕疵を割り引いた価格になっていない
事故の内容や清掃状況を十分に伝えていない買主が不安をぬぐえず決断できない

死因が重い事故物件ほど買主の抵抗が強いため売れない

同じ事故物件でも、死因によって買い手の受け止め方は大きく変わります。

一般に、病死や自然死よりも自殺、自殺よりも他殺(事件)のほうが、買主の心理的な抵抗は強くなります

事件性や社会的な影響が大きいほど、購入を検討する買い手の数はさらに絞られます。

自分の物件がどの位置にあるのかを把握することは、この後の相場や売り方の見通しを立てるうえで欠かせません。

死因の重さは、告知の際にも「いつ・どこで・どのような死因だったか」として買主に伝わる要素になります。

地方や郊外はそもそも買い手の数が少なく売れ残りやすい

意外と見落とされがちなのが、立地による買い手の数の差です。

事故物件が売れない理由を「事故物件だから」の一言で片づけてしまうと、この立地の影響を見誤ります。

都市部であれば、価格が十分に下がれば「安く住めるなら気にしない」という買い手が一定数見つかります。

一方で、地方や郊外では、事故物件かどうか以前に、そもそもその地域に住みたい人の数が少ないのが実情です。

つまり地方の事故物件は、「心理的瑕疵で買い手が絞られる」ことと「立地で買い手が少ない」ことが掛け合わさり、売却の難度が一段と高くなるのです。

老朽化していると買い手の負担が増すため売れない

相続などで引き継いだまま長く空き家になっていた物件は、建物の傷みが進んでいることが少なくありません。

人が住まない家は、換気や手入れがされないため、想像より早く劣化します。

雨漏りや設備の故障、庭木の繁茂などがあると、買主は購入後に修繕費やリフォーム費を負担することになります。

事故物件という心理的なハードルに加えて、こうした費用の負担まで見込まなければならないと、買い手はさらに慎重になります。

売れない原因が「事故の事実」だけでなく「建物の状態」にもある場合、清掃や最低限の補修で印象が変わることもあります

相場より高い価格のまま売り出しているため売れない

「事故物件だから安くしなければ」と頭ではわかっていても、実際の売り出し価格が相場を反映できていないケースは多く見られます。

心理的瑕疵のある物件は、通常の物件と同じ価格帯では、買い手の抵抗を上回るメリットを示せません。

ただし、ここで注意したいのは「とにかく安くすればよい」という単純な話ではないことです。

立地や死因によっては、大きく値下げしても買い手が現れないこともあります

価格設定は、後述する死因別・立地別の相場観をふまえて、需要に見合った水準に調整することが大切です

告知が不十分で買主が不安を抱えているため売れない

告知は「事実を伝えればそれで終わり」ではありません。

伝え方によっては、かえって買主の不安を強めてしまうことがあります。

事故の内容があいまいだったり、清掃や原状回復の状況が説明されていなかったりすると、買主は「何か隠されているのではないか」と感じ、購入をためらいます。

いつ・どこで・どのような死因だったのか、特殊清掃やリフォームはどこまで済んでいるのか。

こうした情報が具体的に整理され、正直に伝えられているほど、買主は安心して判断できます

告知の不十分さが売れない原因になっている場合は、事故物件の取り扱いに慣れた会社に相談することで、伝え方から見直せます。

大手や一般の不動産会社で事故物件が売れない理由

大手や地元の不動産会社に相談して「扱えない」と断られた、あるいは任せても一向に売れない。

これは、あなたの物件に問題があるからとは限りません。仲介という売り方そのものが、事故物件と相性が悪いのです

仲介の主な買い手は一般のマイホーム購入者で、事故物件を敬遠しやすいものです。そのため不動産会社側も、再販できないリスクを避けて取り扱いを断ることがあります。

ここで、不動産会社を通じた売り方には「仲介」と「買取」の2つがある点を押さえておきましょう。

仲介は、不動産会社が買主を探して売買を仲立ちする方法。買取は、不動産会社自身が物件を直接買い取る方法です。

事故物件が大手で売れない理由は、主に前者の仲介の仕組みにあります。

仲介で買うのは主に一般のマイホーム購入者のため敬遠されやすい

仲介で物件を探しているのは、そのほとんどが「自分や家族が住む家」を探している一般の購入者です。

こうした買い手にとって、事故物件は真っ先に候補から外れる対象になりがちです。

つまり仲介は、事故物件ともっとも相性の悪い買い手層に向けて売り出す方法だといえます。

いくら不動産会社が販売活動をしても、買い手側が心理的に受け付けなければ、内見も申し込みも入りません。

「大手に任せれば売れる」という期待が外れやすいのは、この買い手層のミスマッチが原因です

大手は再販できないリスクを避けて取り扱いを断ることがある

大手を含む一般の不動産会社が事故物件の取り扱いに消極的なのには、会社側の事情もあります。

仲介会社は買い手が見つかって初めて仲介手数料を得られるため、「売れる見込みが立ちにくい物件」には力を入れにくい構造になっています。

本記事を監修するアルバリンクの買取実務でも、一般の不動産会社が扱いを断った事故物件の相談は少なくありません。

事故物件は買い手が限られ、販売期間が読めないため、通常の物件と同じようには扱いにくいのが実情です。

断られたことは、物件の価値がないという意味ではなく、その売り方が合っていなかったサインと捉えるほうが実態に近いといえます

売却が長期化しトラブルに発展する懸念から扱いを避けられる

事故物件の仲介には、時間がかかるだけでなく、契約後のトラブルにつながりやすいという懸念もあります。

告知の内容や範囲をめぐって、売主・買主・不動産会社の間で認識の食い違いが起きると、契約解除や損害賠償の問題に発展しかねません

こうしたリスクを避けるため、事故物件の経験が少ない会社ほど、取り扱いそのものに慎重になります。

裏を返せば、事故物件を安心して任せられるのは、告知の実務やトラブル対応に慣れた会社だということです

事故物件は扱い実績のある買取会社が現実的な売却先になる

仲介で買い手が見つからない事故物件は、不動産会社が直接買い取る「買取」に切り替えるのが現実的な選択肢です

買取であれば、買い手を一般の購入者から探す必要がなく、事故物件を再生・活用する前提で買い取ってもらえます。

事故物件の買取は、心理的瑕疵のある物件をどう活用するかというノウハウを持つ会社でなければ成立しないと言ってよいでしょう。

売れない事故物件を手放すための6つの対処法は?

売れない事故物件への対処は、値下げ・特殊清掃やリフォーム・期間を空ける・更地化・買取への切り替え・賃貸活用の6つが基本です

ただし、どの手にも効果と限界がありますし、地方や重い事案では、値下げや清掃だけでは売れないこともあります。

まずは各対処の向き不向きを押さえ、自分の物件に合う手を選びましょう。

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対処法期待できる効果限界・注意点
値下げする価格を気にする買い手が増える立地や死因によっては下げても売れない
清掃・リフォーム心理的な抵抗を和らげる費用が回収できないことがある
期間を空ける事案の印象が薄れる場合がある放置中も維持費がかかり老朽化する
更地にする建物の印象を消せる解体費がかかり告知義務は残る
買取に切り替える買い手を探さず短期で手放せる仲介より価格は下がりやすい
賃貸・投資用に貸す手放さず収益を得られる借り手にも告知が必要で家賃も下がる

相場より価格を下げると買い手の対象が広がる

もっとも基本的な対処は、価格を相場に合わせて下げることです。

心理的瑕疵の分だけ価格に割安感が出れば、「安く住めるなら気にしない」という買い手の関心を引きやすくなります。

ただし、値下げは万能ではありません。

買い手の数がもともと少ない地方や、事件性の高い物件では、大きく下げても反応がないことがあります。

やみくもに下げ続けると、手元に残る金額が減るだけになりかねません

値下げは、次の相場の項目で示す需要の見極めとセットで判断することが大切です

特殊清掃やリフォームで心理的な抵抗を和らげる

室内の汚れやにおいが残っていると、買主の心理的な抵抗はより強くなります。

特殊清掃で原状に近づけたり、内装をリフォームして事故の痕跡を感じさせない状態にしたりすると、印象が改善し、検討してくれる買い手の幅が広がることがあります。

一方で、清掃やリフォームの費用が、売却価格の上乗せ分を超えてしまうこともあります。

とくに建物の傷みが大きい場合、費用をかけても回収できないおそれがあります。

どこまで手を入れるかは、費用に見合う効果があるかを見極めてから決めるのが安全です。

なお、こうした清掃やリフォームの費用は、買取であれば買取会社が現状のまま引き受け、売主が負担せずに済むケースもあります

事故発生から期間を空けると印象が薄れることがある

事案から一定の時間が経つと、地域での記憶や関心が薄れ、買い手の抵抗が和らぐことがあります。

とくに事件性の高い物件では、時間の経過が売りやすさに影響する場合があります。

ただし、これは「待てば必ず売れる」という意味ではありません。

売買における告知義務には明確な時効がなく、期間が経っても事実を伝える必要は残ります。

さらに、売れないまま持ち続ける間も、固定資産税や維持費はかかり続け、建物は老朽化していきます

期間を空ける対処は、こうしたコストと引き換えである点に注意が必要です

更地にする方法もあるが解体費がかかり告知は残る

「建物があるから売れないなら、取り壊して更地にすれば」と考える方もいます。

建物を解体すれば、事故の現場そのものが物理的になくなり、印象が和らぐ面はあります。

しかし、更地化にはいくつもの落とし穴があります。

まず、解体には数十万円から百万円以上の費用がかかります

次に、建物を壊しても、その土地で人が亡くなった事実は消えず、告知義務は残ります。

さらに、住宅が建っている土地に適用される税の軽減(住宅用地特例)が外れ、翌年からの固定資産税が上がることもあります2

更地にすれば必ず売れるわけではないため、解体は損得を慎重に確かめてから判断すべきです

なお、事故物件の買取であれば、解体せず現状のまま引き受けてもらえるケースもあり、解体費をかけずに手放せる選択肢もあります。

仲介で売れないなら事故物件に強い買取業者に売却する

仲介で一定期間売り出しても反応がない場合、売り方そのものを買取に切り替えるのが現実的です。

買取なら、事故物件を敬遠する一般の購入者を探す必要がなく、数日から数週間で現金化できることもあります

事故物件の買取では、契約不適合責任(引き渡した物件に問題があった場合に売主が負う責任)を免責にできたり、残置物や清掃が済んでいない状態のまま買い取ってもらえたりするケースもあります。

仲介と買取のどちらがよいかは、売り急ぎの度合いや立地の需要によって変わります。

複数の会社に一斉に査定を出して価格を競わせる必要はありません。

事故物件の実績がある信頼できる一社にじっくり相談するほうが、無理のない判断につながります

賃貸や投資用として事故物件を貸し出す選択肢もある

すぐに手放すことにこだわらないなら、売らずに貸すという選択肢もあります。

事故物件でも、家賃を相場より抑えれば、住む人や収益用に運用したい投資家が見つかることがあります。

ただし、賃貸に出す場合も、借り手に対する告知は必要です。

また、心理的瑕疵の分だけ家賃も下がりやすく、期待する収益が得られないこともあります

管理の手間や空室のリスクも含めて、手放すのと貸すのとで、どちらが自分の状況に合うかを比べて判断しましょう

事故物件の下落相場と売れないときの値下げ幅の目安は?

前提として、事故物件に、全国一律の相場はありません。下落の幅は、死因の重さと立地の需要によって大きく変わります。

目安として、需要のある都市部で孤独死1割・自殺1.5~2割・他殺4~5割ほど下がり、地方ではこれよりさらに大きく下がります

同じ死因でも都心と地方では下落幅が2倍以上変わることがあり、地方では値下げしても買い手がつかないこともあります。

ここで示すのは、あくまで目安です。「◯割下がる」という数字だけを見て売り出し価格を決めると、需要の実態と食い違うおそれがあります。

下落は都市部で孤独死1割・自殺1.5~2割・他殺4~5割が目安

事故物件の価格がどれくらい下がるかは、死因の重さと立地の需要によって変わります。

本記事を監修するアルバリンクの買取事例に基づく目安をまとめると、次の表のようになります。

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死因都市部の下落目安地方の下落目安
孤独死・自然死・病死1割ほど3~5割ほど
自殺(縊死=首つりなど)1.5~2割ほど5割ほど
印象が特に重い自殺・焼死など2~3割ほど5~6割ほど
他殺(事件)4~5割ほど7~8割ほど

この表からわかるのは、死因が重いほど下落幅が大きくなること、そして同じ死因でも地方のほうが大きく下がることです。

数字はあくまで幅のある目安であり、実際の物件で当てはめるには、立地の需要を含めた見極めが必要です。

同じ死因でも都心と地方では下落幅が2倍以上変わる

上の表で注目したいのが、都市部と地方の差です。

たとえば孤独死の場合、都市部では1割ほどの値引きで買い手が見つかることがある一方、地方では3~5割下げても売れないことがあります

この差が生まれるのは、事故物件かどうか以前に、買い手の絶対数が違うからです。

都市部は住みたい人が多いため、価格を下げれば「安く住めるなら」という買い手が現れます。

しかし地方や郊外では、そもそも住みたい人が少ないため、いくら安くしても検討する人が現れにくいのです

「相場より◯割」という一律の割合ではなく、その場所に需要があるかどうかが、売れるかどうかを分けます

地方や郊外では値下げしても買い手がつかないことがある

ここは、あえて正直にお伝えすべき点です。

地方や郊外にある事故物件、とくに死因が重い物件では、大きく値下げしても買い手がつかず、いつまでも売れ残ることがあります

さらに、建物が傷んでいて修繕費が価格を上回るような場合には、売却代金より処分にかかる費用のほうが大きくなり、実質的に価値がつかないこともあります。

こうした物件を仲介で売り続けようとすると、時間と維持費だけがかかっていきます。

「安くすれば必ず売れる」とは限らないという現実を受け止めることが、次の一手を決める出発点になります

事故物件は家賃も下がるため収益物件としての価値も落ちる

価格が下がるのは、売却時だけではありません。

事故物件を賃貸に出す場合も、心理的瑕疵の分だけ家賃を下げなければ借り手が見つかりにくいものです。

アルバリンクの買取事例では、都市部で1~2割、地方で2~3割ほど家賃が下がるのが目安です

家賃が下がれば、収益物件としての利回りも落ちます

「売れないなら貸せばいい」と考える方もいますが、賃貸に回しても収益が想定より伸びないことは珍しくありません。

売る・貸すのいずれにしても、心理的瑕疵は価格や家賃に反映される点を前提に判断する必要があります。

買い手がつかない事故物件は買取が現実的な出口になる

値下げや清掃を尽くしても仲介で売れない物件は、事故物件に対応する買取が現実的な出口になります

買取であれば、一般の購入者ではなく、事故物件を活用するノウハウを持つ会社が買い手になるため、地方や重い事案でも手放せる可能性があります。

買取価格は仲介より下がりやすいものの、「いつまでに手放せるか」という見通しが立ちやすいのは大きな安心材料です。

売れない不安を抱えたまま何年も過ごすより、手放せる時期の見通しが立ちやすいという価値は、金額だけでは測れません。

事故物件を売れないまま放置するとどうなる?4つのリスクを解説

売れないからといって放置しても、負担がなくなるわけではありません。

使わない家でも固定資産税や維持費は毎年かかり続け、建物は老朽化して価値が下がっていきます。

管理を怠り、放置で危険と判断された「特定空家」に指定されると、税負担が最大6倍になることもあります

損失を止めるという観点からも、早めに出口を決めることが重要です

使わない家でも固定資産税と都市計画税が毎年かかる

不動産を所有している限り、住んでいなくても固定資産税がかかります。

市街化区域にある物件では、あわせて都市計画税もかかります。

これらは物件の評価額に応じて毎年課される税金で、売れない間はずっと払い続けることになります。

たとえば、地方の一般的な戸建てでも、固定資産税と都市計画税で年間数万円から十数万円ほどの負担になることがあります

ここに、火災保険料や庭木の手入れ、たまに様子を見に行く交通費などが加わります。

売れない期間が長引くほど、こうした持ち出しは積み上がっていきます。

特定空家に指定されると税が最大6倍になることがある

空き家のまま放置し、管理が行き届かなくなると、行政から「特定空家」に指定されるおそれがあります。

特定空家とは、放置によって倒壊の危険や衛生・景観上の問題があると自治体が判断した空き家のことです。

住宅が建っている土地には、固定資産税を軽減する特例(住宅用地特例)が適用されています。

しかし特定空家に指定され、自治体からの「勧告」を受けると、この特例の対象から外れ、土地の固定資産税が最大で6倍になることがあります

「指定された瞬間に6倍」ではなく、改善の勧告を受けた段階が分かれ目になる点に注意が必要です。

放置は、税負担の面でも大きなリスクをはらみます。

建物は放置するほど老朽化し価値が下がり続ける

人が住まない家は、換気や手入れがされないため、住んでいる家よりも早く傷みます。

湿気による腐食やカビ、設備の故障、庭木の繁茂などが進むと、建物としての価値はさらに下がっていきます。

事故物件はただでさえ買い手が限られるうえに、建物の状態が悪化すれば、修繕費の負担を嫌ってますます売りにくくなります

放置している間に、売れる可能性そのものが目減りしていくのです

売れない期間が延びるほど売却はさらに難しくなる

ここまで見てきたように、放置には「税金や維持費の持ち出し」「特定空家のリスク」「建物価値の低下」という負担が重なります。

これらは時間とともに積み上がり、売却の難度を押し上げていきます。

さらに、事故物件を抱え続けること自体が、精神的な負担にもなります。

「いつか誰かに迷惑をかけるのではないか」「子や親族に負担を残すのではないか」という不安を、何年も抱え続けるのはつらいものです。

金銭的な損得だけでなく、その不安から解放されることも、早めに手放す大きなメリットです

【状況別】売れずに困っている事故物件の最適な手放し方は?

売れずに困っている事故物件でも、状況によって現実的な手放し方は変わります。

半年以上売れ残っている、大手に断られた、相続で引き継いだ、知られたくない、区分マンションである――。

自分の状況に近いケースから、次の一手を確認してください

半年以上売れ残っているなら売り方を仲介から買取に見直す

こういう状況の方へ

仲介に出して半年以上経つのに、内見も申し込みも入らない。

この場合、価格や広告の問題というより、仲介という売り方が物件に合っていない可能性が高いといえます。

仲介の買い手である一般のマイホーム購入者が事故物件を敬遠している以上、同じ方法を続けても状況は変わりにくいものです。

一定期間売れなければ、買取への切り替えを検討するのが現実的です

買取なら、買い手を探す前提が変わるため、売れ残りの状態から抜け出せる可能性があります。

大手や地元の会社に断られたなら事故物件に強い買取会社に相談する

こういう状況の方へ

大手や地元の不動産会社に相談したら、扱いを断られてしまった。

断られたのは、あなたの物件に価値がないからではなく、その会社が事故物件を扱う体制を持っていないからであることがほとんどです

事故物件は、告知の実務や再販のノウハウを持つ会社でなければ扱いにくいものです。

断られた経緯をそのまま伝えたうえで、事故物件の取り扱い実績がある買取会社に相談すると、現状のまま買い取れるかどうかの見通しが立ちます。

相続した事故物件が売れないならまず相続登記を済ませる

こういう状況の方へ

相続した実家が事故物件で、名義もそのままになっている。

不動産を売るには、名義が売主本人になっている必要があります。

相続した物件の名義が亡くなった方のままでは、売却の手続きに進めません。

まずは相続登記(名義を相続人へ変更する手続き)を済ませることが先決です。

相続登記は2024年から義務化されており、放置すると過料の対象になることもあります

近所や親族に知られず手放したいなら広告を出さない買取が向く

こういう状況の方へ

事故物件を売ることを、近所や親族に知られたくない。

仲介では、物件を広く売り出すために、不動産ポータルサイトやチラシに情報を掲載するのが一般的です。

そのため、周囲に売却の事実が伝わりやすくなります。

一方、不動産会社が直接買い取る買取であれば、広告を出さずに取引が完結するため、周囲に知られにくいという利点があります

世間体や親族への配慮から、静かに手放したい場合には、買取が向いています。

分譲マンションやアパートは他の入居者への配慮が必要になる

こういう状況の方へ

売りたいのは、分譲マンションの一室やアパート一棟である

集合住宅の場合は、自分の物件だけでなく、他の入居者や管理組合への配慮も必要になります。

とくにアパート一棟を売る場合は、入居中の賃借人がいれば、その権利関係も引き継がれます。

分譲マンションの一室では、建物全体で過去にどんな事案があったかも売却に影響することがあります。

集合住宅は個別の事情が絡みやすいため、事故物件の取り扱いに慣れた会社に、早い段階で状況を伝えて相談するのが安全です。

売れない事故物件を手放すときに注意するべき5つのポイント

売れない状況を抜け出そうと焦るほど、かえって失敗しやすくなります。

事実を隠さないこと、独断で解体しないこと、信頼できる会社に相談することが、後悔しないための要点です

事故物件であることを隠して売ると契約解除や損害賠償になる

もっとも避けるべきなのが、事故の事実を隠して売ることです。

前述のとおり、事故物件の情報は調べればわかる状態にあり、隠しても後から発覚する可能性が高いといえます。

告知を怠って売却した場合、買主から契約不適合責任を問われ、契約解除や損害賠償を求められることがあります

目先の売りやすさのために事実を隠すと、かえって大きなトラブルを招きます

遠回りに見えても、正直に告知することが結局は安全です

告知義務がない人の死でも不動産会社には正直に伝える

告知義務の有無は、事件性や特殊清掃の有無などで判断されます。

老衰や病死などで告知が原則不要とされるケースもありますが、その場合でも、不動産会社には把握している事実を正直に伝えておくことが大切です。

告知が不要かどうかの最終的な判断は、専門的な知識を要します。

売主が自己判断で「これは言わなくてよい」と決めてしまうと、後から認識の食い違いが生じかねません。

判断に迷う事実こそ、隠さずに会社へ共有しておくほうが安全です。

更地にしても心理的瑕疵は消えないため独断で建物を解体しない

「更地にすれば売れる」と考えて、相談前に自己判断で解体してしまうのは避けましょう。

解体には数十万円から百万円以上の費用がかかるうえ、更地にしても、その土地で人が亡くなった事実と告知義務は残ります。

さらに、建物を壊すと住宅用地特例が外れ、翌年からの固定資産税が上がることもあります

解体したほうがよいかどうかは、立地の需要や買取の可否を含めて総合的に判断すべきです。

費用をかけて解体したのに売れない、という事態を避けるためにも、独断で進める前に相談することをおすすめします。

根拠のない高値の査定を出し契約直前で減額する会社に注意する

事故物件を手放したい心理につけ込む会社には注意が必要です。

とくに気をつけたいのが、相場からかけ離れた高い査定額を出す会社です。

契約の直前になって、何かと理由をつけて金額を下げてくる手口があります

高い査定額に安心して他の選択肢を断ってしまうと、いざ減額されたときに引き返せなくなります

査定額を見るときは、金額の高さだけでなく、「なぜその価格になるのか」を根拠まで説明してくれるかどうかを確認することが大切です

事故物件の扱い実績がある信頼できる一社に相談する

事故物件を手放すうえで最後の要点は、相談先の選び方です。

事故物件は、告知の実務や心理的瑕疵のある物件の活用に慣れた会社でなければ、適切に扱えません。

一括査定サイトで何社にも同時に依頼して価格を比べる方法もありますが、事故物件の場合は、価格の高さだけで選ぶと後悔しがちです。

それよりも、事故物件の取り扱い実績があり、告知やリスクについて誠実に説明してくれる会社を選ぶことが大切です

信頼できる一社にじっくり相談するほうが、無理のない売却につながります。

断られた経緯や不安な点も含めて、正直に話せる相手を選びましょう。

事故物件が売れないことに関するよくある質問(FAQ)

事故物件はいくら下げれば売れますか?

下落の目安は、都市部で孤独死1割・自殺1.5~2割・他殺4~5割ほどで、地方ではさらに大きく下がり買い手がつかないこともあります。立地の需要によって大きく変わるため、値下げで反応がなければ、事故物件に対応する買取への切り替えが現実的な選択肢になります。

大手の不動産会社に断られた事故物件でも売れますか?

売れる可能性があります。大手は再販のリスクを避けて取り扱いを断ることがありますが、事故物件の扱い実績がある買取会社なら、現状のまま買い取れるケースがあります。断られた経緯を伝えたうえで、事故物件に強い会社へ相談するのが近道です。

事故物件を更地にすれば売れやすくなりますか?

更地にすると建物の印象は和らぎますが、解体費がかかるうえ、その土地で人が亡くなった事実は残り、告知義務も消えません。さらに建物を壊すと住宅用地特例が外れ、固定資産税が上がることもあります。更地化は、損得を確かめてから判断すべきです。

事故物件であることを隠して売ってもばれませんか?

隠して売るのは避けるべきです。事故物件情報サイトや近隣への聞き取りで事実は判明しやすく、告知を怠ると契約解除や損害賠償を求められることがあります。正直に告知したうえで、告知の不安を減らせる買取を選ぶほうが安全です。

売れない事故物件を放置し続けるとどうなりますか?

使わない家でも固定資産税や維持費は毎年かかり、建物は老朽化して価値が下がり続けます。管理を怠って特定空家に指定されると、税負担が最大6倍になることもあります。売れない期間が延びるほど売却は難しくなるため、早めに出口を検討することが重要です。

まとめ|事故物件は売れない原因を見極めれば手放せる

事故物件が売れないのは、決して「どうしようもないこと」ではありません。

売れない原因は、死因の重さ・立地の需要・建物の老朽・価格設定・告知の伝え方という要因に分けて見分けられます。

そして原因がわかれば、値下げや清掃、期間を空けること、買取への切り替えといった、打つべき手が絞れます。

同時に、都合の悪い事実もお伝えしました。

地方や郊外の重い事案では、値下げや清掃を尽くしても、仲介では買い手がつかないことがあります。

そして、売れないまま放置すれば、税金や維持費が積み上がり、建物の価値も下がり続けます

だからこそ、「仲介で粘る」ことだけにこだわらず、確実に手放せる出口を持っておくことが大切です

大手や一般の不動産会社に断られた物件でも、事故物件の取り扱い実績がある買取会社であれば、現状のまま、周囲に知られずに、告知の不安も抑えて手放せる可能性があります。

売れない不安を一人で抱え込まず、まずは自分の物件の原因を見極め、信頼できる相談先に状況を話すことから始めてみてください。

この記事を書いた人

空き家売却ガイドは、相続した空き家の売却や活用、管理に悩む方に向けて、専門家の協力のもと情報を発信するWEBメディアです。

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